第77話 総力戦8 再会
俺はスサノオの剣である「天叢雲」を手に、羅弾さんと戦う。
羅弾「お前そんな剣持ってたか?やばそうな剣だ」
真「今回の騒動で意図せずですけど会得することができた新しい能力の一つですよ」
羅弾「へえ、そりゃあまた面白そうだ。俺相手にどこまで行けるのやら」
羅弾さんが一気に近づき、刀を横に振ろうとしてきた。今の俺なら大丈夫だ。受け止められる。
俺は彼の刀に合わせるように剣を振るう。だが…刀が…まるで瞬間移動でもしたかのように軌道が変わった…!俺は反射的に刀を動かし、刃の先端でかろうじて受け止めた…。
「ガキン!」
羅弾「へえ、大したもんだ。前会った時翠花はこれに反応できずに斬られたが、お前は反応してくるか」
真「まだ見ることは…できてるんでね…」
羅弾「神気量の差がなければやばかったかもな。お前、神気による筋力増加をしたスピードを受け止めるし、刀の軌道も平気で目で追えている。剣技の練習でどうにかなるものじゃない。お前の神話能力だな?どんな能力だ?」
さすがに戦闘者であり、違和感を持つのも早いな。流石だ。
真「スサノオを能力として得た。剣神として…」
羅弾「へえ、スサノオか…へえ…」
その時…羅弾さんが急激にスピードを上げ、首や足、手首などの主要部位を斬るような軌道で俺のことを斬ろうとした…。すべて反応し、受けたり避けたりしてすべてを凌いだ。
真「いきなりですね?」
羅弾「スサノオノミコトに関しては話が変わるぞ?あくまで伝承に留まるが…俺らが使っている『覇王流』はスサノオが俺らの先祖に教えた剣技だ。そんな奴を能力として持っているのは違うよな?」
真「別にスサノオを能力として持っていたところで使いこなせていなければ意味はない。使いこなせている次元にもいない俺は未熟だ」
羅弾「お前なにか勘違いしているみたいだな?能力として剣神を得るということはな、剣による競り合いの見方が変わるんだよ。それはもう訓練云々じゃない、獲得した時に得られるボーナスみたいなものだ。現にお前は俺の剣技を見切り、受けたり避けたりしている。それが証拠だろ」
そんな説明…受けてないんだが…?
真「少し待ってもらえますか?」
羅弾「…まあいい。好きにしろ」
真「ありがとうございます。スサノオ。ちょっと来い」
俺がそう言うと頭の上にスサノオが来た。
スサノオ「なんだ?」
真「さっきの会話聞いてた?」
スサノオ「ああ」
真「本当なの?」
スサノオ「ああ」
真「説明もらったっけ?」
スサノオ「いや?」
真「なんで教えてくれてないの?」
スサノオ「わかるかなって」
俺はスサノオの頬を真横に引っ張った。
真「なんで教えてくれねえんだよ!そういうのも教えてくれって頼んだやろがい!!」
スサノオ「うおー!や、やめてくれー!!なんか怒気を感じるぞ!!」
真「怒っとんじゃボケ!!」
俺はスサノオの頬から手を離した。スサノオは俺の頭で伸びている。
スサノオ「ぐえ…」
真「次からはちゃんと教えてくれよ?」
スサノオ「わ、わかった…」
真「んじゃ戻っていいよ」
スサノオ「うむ…」
そう言いながらスサノオは俺の頭から消えた。
羅弾「神相手にそんなことできる人間はお前だけだわ」
真「そんなことないですよ」
羅弾「ま、まあいい。…で、なんだっけ?」
真「忘れました」
羅弾「ふん。ならそういうことにしておいてやるよ!」
そう言いながら羅弾さんが俺に向かって強烈な横なぎを放つ…!俺は剣で受けるが…神気を纏い、圧倒的力の前に俺は吹き飛ばされた…!
結夢「真くん!」
真「く…!」
すでに壊れかけていた校舎が、俺が吹き飛ばされたことで一気に倒壊を始める…!
俺が吹き飛ばされた場所は…
真「ここって…中等部の校舎か?」
見慣れない場所だ。だが…戦場でそんなことも言ってられない。そして羅弾さんが俺が開けた穴を通ってきた…。
羅弾「ここなら邪魔が入ることもない。遠慮なくできるな」
真「結夢たちのことを邪魔とは言わないでほしいんですが?」
羅弾「そりゃあ悪かったな。だが事実お前は大きく刀を振ることができず剣を持っていただけで避けていた。教室は狭く、後ろには手負いの人間がいた。その条件での戦闘は必然的に消極的になる。それがここに移動したことで攻撃的になったとしたら…お前はその言葉に何も言えなくなるぜ?」
真「…」
ごもっともだ。事実俺は攻撃することよりも結夢や烈道に攻撃がいかないように防御重視の戦闘をしていた。彼の言っていることは間違っていない。
羅弾「だがな、小僧。覚えておけ。強者が死ぬときはいつだって弱い人間を守るときだ。気に掛けた人間が近くにいることが足枷となり本来の動きが出来なくなる。相手はそんなの知ったこっちゃない。全力でそいつを殺しに来る。その結果強者は負け、最悪の結果をたどる。いいか?どんなに大切な人間であっても自分の命が一番だ。すべてのことは二の次だ。それができないやつから死んでいく。歴戦の猛者たちもそうやって死んでいった」
…心に残る言葉だ。だが…それをあんたが言うのか…?今まで散々人を殺してきたあんたがそれを言うのか?俺はそれを…納得できない…。
真「…あんたは一体どれだけの人間を殺してきたんだ?」
羅弾「逆に聞くがお前は今まで食べた白米一粒一粒をすべて数えることはできるのか?」
俺はその言葉を聞いて…目の前が真っ赤っかになった。
真「殺人鬼に聞く質問ではなかったようだ」
俺は地面を強烈に蹴り、あいつとの距離を縮め、剣を振るう。だが彼は容易に俺の攻撃を避け、カウンターで俺の腰を軽く掠める…。
真「く…」
羅弾「なあお前、さっき言った言葉を覚えてるか?強者が死ぬときはいつだって守るってやつだ」
俺はその言葉を遮るように彼に向かった。そして競り合いを始めた。だが…それでも彼は口を開く…。
羅弾「あれはお前が強者側の人間だから教えたわけじゃない。お前はまだ弱者側の人間だ。あたかもお前はあの2人を守りながらの戦闘をしていたから言ってやったが、2人との距離は十分にあった。お前が遠慮をしなくても平気で俺に攻撃できるくらいにはな。それでも抑えていたその理由はなんだ?教えてくれよ」
真「もしもってのが…」
羅弾「もしも?は、そんなのを気にしてる余裕はあるのか?一方的に話してる俺は無傷だがお前はどんどん削れていってるんだぜ?他の奴のことを気にする前に自分のことを考えろよ。今まではお前は強力なポテンシャルがあるから勝てたんだろうが…格上が相手じゃそれも通用しないんだよ」
真「わかってるさ。俺は決して強くない。成長途中の人間ってのを!」
羅弾「成長途中が一番似合う言葉だろうな。よくわかってるじゃないか」
真「そんな俺でも…教えてくれる人がいる!その人たちのために…戦う!」
羅弾「そうか!そりゃあ大したもんだな!」
彼が刀を上段に構え…そして刀を持ち手の部分を軸に一周させた…。なにか…来る!
羅弾「『覇王流【四閃螺旋】』」
渦を巻く飛ぶ斬撃…!しかも4つも…!だが…俺にはあれがある!
真「『八咫鏡』!!」
俺の左手に大きな鏡のような盾が現れ、そのすべてを弾き返した。
羅弾「まじか」
反射した斬撃は彼の元へ行くが…そのすべてを凌ぐ…。
羅弾「なるほど、反射か。それは面倒だ」
真「こっちの台詞だ。完全にいったと思ったのに」
羅弾「自分がしたことくらいなんとかしなくちゃな」
真「今度はこっちの番だ」
俺の首にかかっている首飾りが青色に輝く…。
真「こっちに来い」
そう口にした直後、彼は引っ張られたかのような挙動で俺の近くに来た。
羅弾「んな!?」
勢いよくこっちに引っ張られているな。すでに俺は天叢雲を構え、剣の範囲に入ったと同時に腕を動かした。
羅弾「ちい!!」
彼が刀を正面に構え、俺の攻撃を防ごうと刀を振ったが…
真「吹っ飛んでもう一回こっちに来い」
俺はそう言った。彼は一度後ろに吹き飛ばされ、すぐにこちらに引き寄せられた。刀を振った彼の刃先は地面に向いていた。彼が防御するよりも早く俺は彼のお腹に向かって横なぎをした。
羅弾「ぐ…」
真「吹き飛べ」
俺がそう言うと彼は吹き飛んだ。だが彼は受け身を取り、立っている。
羅弾「なるほどな。引力と斥力か。それも自由自在だな。面倒だ」
真「これの真価はこれでは終わらない。でも練習不足なせいで扱えない。スサノオにも使うなと言われているし」
これがどこまでいけるかを聞いたが、それを扱える自信はないため、今後の鍛錬で教えてもらえるとのことだ。今はこれだけやれていれば十分だろう。
さらに俺には朱雀の力もある。俺は尾を取り出し、「不壊の誓い」を付与して元に戻した。朱雀の「不壊の誓い」にスサノオの「八咫鏡」。この二つがあればどんな攻撃でも防御できる。文字通り絶対防御だ。
羅弾「なんかめんどくさそうな能力を付与しやがって。はあ…だがこのままだと負けかねないしな。こっちもそれなりにやらせてもらうぜ?『魔将降臨』」
来るぞ…俺が知ってる界魔将団の司教が使うパワーアップが…
羅弾「まあ…それなりでいいな。は!!」
俺は…目の前にいる彼の神気量に…絶望をした。
羅弾「おいおい、そんな顔をするなよ。1400兆だぜ?まあこれでも本気ではないけどな」
1400兆という規格外の神気に…俺はなにができる?全力を出して30兆しかない俺が…。ただ蹂躙されるだけじゃないのか?抵抗したところで…
いや…諦めていい理由にはならない…。どんなに相手が強くたって…自分の身を奮い立たせなければならない時がある。でかい壁であっても…それに立ち向かわなきゃいけない時がある。
それは…今だ。俺では勝てなくても、この学校にはもっと強い人がいるんだ。俺が残した傷がその人の決定打になるかもしれない。勝てないと分かってても…死に物狂いであいつに負傷させるんだ…!
俺は朱雀の尾を取り出し、炎を帯びる効果、風を纏う効果、電気を帯びる効果の3つを付与した。引力と斥力を使うことで朱雀の尾を自分の好きなタイミングで放つこともできるようになった。
俺は尾を自身の周りに浮かせ、それらと一緒に奴に向かって走った。
俺は同時に帯電の尾と風を纏う尾を発射した。当たるかが重要なのではない。姿勢を崩すことが目的だ。発射した尾を引力で引き寄せる。そのまま俺は彼と競り合いになるが…
真「く…」
羅弾「神気量が増えてんだ。スピードももちろん上がるぞ?」
俺の剣が通ることはなく、一方的に俺の体に刃が当たる。だが「不壊の誓い」である程度の負傷は防げている。まだ再生をする必要はない。それに八咫鏡で左側に来る攻撃はすべて弾き返している。負傷は少なからずしているがまだ大丈夫だ。
羅弾{神気を上げているにも関わらず攻撃が通用しない?これほどの神気を湛えた斬撃を食らえば本来は致命傷になる。この差だ。間違いない。だが…それをこいつはまるでカッターナイフで斬られたような、少し痛がる素振りはあれど…致命には至っていない。どうなっている?}
羅弾の顔から動揺の顔色が見えているぞ…!まあそうだろうな。それだけの神気を使っても少し斬ることができている程度なんだから。
だが…俺の攻撃は通っていないことも確かだ。このまま続けば…俺が負ける。
俺は尾を取り出し、目的のものを没収する効果を付与した。それを飛ばした俺は同時に攻めた。
羅弾「今度はなんだ?」
彼は避ける選択ではなく、刀で受け止めた。それを…待っていた…!!
尾が刀に巻き付き、そのまま刀を尾が取り込んだ。
羅弾「なに…」
刀を失った彼ができることはもうない…!俺は彼に向かって剣を振った。だが…致命傷にすることができない。脇腹を少し斬る程度で全く致命傷には至っていない…。
だが刀を持たないのなら…攻める以外の選択肢はない…!俺は剣で彼を袈裟斬りしようと刀を上段に構えた。そして刀を振るう。だが…肩に触れる寸前…
羅弾「あまり調子に乗るなよ?」
謎の力によって…俺は廊下の最奥の壁に叩きつけられた…。しかも…
真「うわあああ!!」
四肢を完全に分断され…胴は十字に斬られていた…。
再生だ…再生を…!!
だが俺が再生をするよりも前に…
奴が…俺に向かって刀を振り下ろそうとしていた…。飛ぶ斬撃を放ってきた…。
今の俺には…それをどうにかできる術はなかった…。
眼前に迫る黒い斬撃…俺は…ここで…終わりか…。くそったれ…。
皇帝になるなんて夢…俺には無理だったのか…。やっぱりこんな世界に転生をしたところで…力がない俺ではどうすることもできないんだな…。
目の前に迫る絶望から目を背けるように俺は…目を閉じた…。
「ガキン!!」
俺の耳に…斬撃を防ぐ金属音が聞こえた…。俺は目を開いた…。
俺の視界に入ってきたのは…
真「…!!」
緑と白を基調とした制服を着こなすその人は…。緑色の髪をなびかせ、髪の左側に三つ編みをする女性は…!優しい笑顔でこちらを見つめてくれる彼女は…!!
翠花「おまたせ」
真「翠花姉!!」
翠花姉の姿だった…!!
翠花姉が俺の体に神気を宿した手を伸ばす。すると…瞬く間に俺の体が治癒された…。
完全に回復するのに全く時間はかからなかった。俺は…翠花姉の目を見つめた。
すると…翠花姉は俺の頭を撫でてくれた…。
真「わわ…。翠花姉?」
翠花「ふふ、成長したね。真くん」
真「うん!頑張ったもん!」
翠花「神気も増えて、新しい神話能力も会得して、本当に頑張ったね」
真「…えへへ」
翠花「ここからは…私らに任せて」
私…ら?複数人いるということか?そう思っていると…
「パリン!!」
窓を蹴破る緑髪の男性が入ってきた…。いや…あれは…!
颯治「ここにいたか赫星真。小学生だから小学校の校舎にいると考えたが違ったようだね」
翠花姉のお兄さんの源颯治さんだ…!羅弾の奥にいて、翠花姉と挟むような立ち位置にいる…!
羅弾が翠花姉と颯治さんを何度も見る…。
羅弾「ふふ、そうか。お前ら2人が来たか。俺の悲願もついに叶う…!」
それを聞いた翠花姉が刀を構える…!
翠花「真くんをこれだけ傷つけて…許さない…。最初から飛ばす」
そう言い翠花姉が神気を解放する…!教室のドアが揺れ、窓も割れる…!その数値…3300兆…!
真「わあ…!」
颯治「そこまで増えていたのか…翠花。もう僕を超えているじゃないか。僕も…本気を出すとしようか」
颯治さんも神気を解放する…!その数値…1800兆…!
羅弾「身内であるお前らがそこまで神気を出すとはな。なら俺も…全力で行かせてもらうぜ?」
そう言いながら羅弾もさっき以上の神気を解放する…!その数値…3600兆…!!
源一族である3人が繰り広げるこの戦闘は未だかつてないほどの激戦となる__




