第76話 総力戦7 それぞれの役目
蜂明との戦闘を終えた嵐紗は自身が壊した脱衣場のベンチに腰をかけていた。
嵐紗「…」
嵐紗が周りを見回す。
嵐紗「少しやりすぎたかな?」
頭を掻きながら嵐紗がそう言う。プールに溜めてあった水は全て抜け、脱衣場は完全に崩壊し、周辺は少し沈んでいた。
嵐紗「仁君に怒られるかもな~。でも屋上とかも燃えてるし、たくさん爆発とかも起きてるし…まあいっか!」
そう言い嵐紗は体を伸ばし、体育館を見つめる。
嵐紗「なんだろ、あそこ。神気もそうだけど…血の匂いがするな。行ってみるか」
嵐紗は体育館に向かって足を進める。そして体育館に繋がる大きなドアを開ける。そこに広がっていたのは…
「ん?誰か入ってきたな」
体育館のステージの床で胡坐をかく男の姿だった。嵐紗はその男に向かって声をかける。
嵐紗「誰?この学校の人?にしては神気もあるし、なにより…戦闘でもしたの?血の匂いがするよ?」
「俺は界魔将団の人間なんでね。今までにも大量の人間を殺してきた。もうこの匂いは消せねえだろうな」
嵐紗「そう。でも服についてるその赤い染みはなんだろうね?まるでさっきも人を殺してその返り血が服に付いたみたいな血の付き方だね?」
「そりゃあな。俺の邪魔をしたこの学校の人間も殺した。付いてても何も不思議ではない」
嵐紗「すでに殺していると。仁君にはもう言ったの?」
「ああ。教員は殺してないが、職員は殺した。パソコンって言うんだっけな?それをいじってたんでな。質問をしたんだが攻撃してきたから殺した。正当防衛だろ?」
嵐紗「やりすぎな気もするけど、まあこんな世界だ。しょうがないだろうね。それで?界魔将団ってことは司教でしょ?名前は?」
その時男が胡坐から足をほどき、ステージの上から飛び降りる。着地をし、深い息を吐く。胸いっぱいになるまで息を吸い、口を開く。それと同時…窓が激しく揺れる…!
閃邪「界魔将団第32席、アスモデウスの司教であり、使役せし者、業座閃邪だ。今回の騒動は俺が部下たちに指示した。いわば今回の騒動の頭ってわけだ」
それを聞いた嵐紗の眉間にしわが寄る。
嵐紗「使役ってことは悪魔が力を貸してるんじゃなくて、悪魔の力を我が物としていると?」
閃邪「ああ。もう何年になるかもわからないくらいには一緒にいる。年数を数えるのも億劫だしな」
嵐紗「へえ。今回の騒動は…いや、なんでもいいや。どうせ動くんでしょ?」
閃邪「ここまでお前らに接近しておいて戦わねえはないだろ。それにお前…フェネクスの奴をやったな?」
嵐紗「私に喧嘩を売ったんだよ?言葉を返すようだけど正当防衛だよ。界魔将団の司教相手に手加減する私じゃないしね。さっきの人は悪魔の能力を知ってたからできた。フェネクスの司教は私は手加減できる余裕はなかった。だから殺した。しょうがないことでしょ?」
それを聞いた閃邪が明確に怒りの表情を露わにする…。
閃邪「たしかにそうだなぁ…。もちろんこんな世界だ。危険が迫り、それを防ぐために戦闘が起き、その結果死傷者が出ることは百も承知だ…。だがよ、俺は知ってるぞ?お前らがあいつの解剖をし、能力研究に使ったことを…。あいつの尊厳はどうなる?世界にたった一人しかいないあいつの尊厳は?残された家族の思いはどうなる?研究に使われたことも知らず、今もあいつの帰りを待ってる家族がいるかもしれねえんだぞ?どうせ遺体も処分してんだろ?どう説明をつける気だ?」
嵐紗は息をついて口を開く。
嵐紗「どんな使い方をしたかなんて私は知らない。けどそれはこっちにだって言えること。界魔将団の人間が今まで殺してきた人の数は星の数でしょう。その中には遺体すら残らずに死んだ人だっているはず。私の国に仕える人があんたらに殺され、殉職を知らせた時の遺族の顔はもう見てられない。涙を流し、現実を受け止められない人だっている。殺しを是とする世界なわけではない。殺し合いを推奨するわけでもない。殺すことができる力を持つだけで、殺していいわけではない。これは私らもあんたらも変わらない。そうでしょ?」
閃邪が腕を組みながら、首を縦に動かしながら聞く。
閃邪「そうだな。じゃあ殺されたこっちの人間の遺族は泣き寝入りをしろってか?力も持たない人間が力を持つ人間に勝てるわけもない。だから俺たちがいるんだよ。遺族の無念を悪魔の力で実現させ、無念を晴らす。お前らは任務のためにやってるんだろうが、俺たちは無念を晴らすためにやってるんだよ。お前らとは違う」
嵐紗「別に私は界魔将団を悪とするわけではないし虹帝達側の人間が正義とするつもりもない。世間一般の評価が巨悪組織とされているだけで、私自身はどうとも思ってない。私だって環境が違えば界魔将団になってた可能性すらある。お互いが掲げる行動原理の違いが今回の騒動にもなってる。どんなつもりで騒動を起こしたかなんて知らないけど、お互いの信念に従って戦ってる。そこに差はないはずだよ」
それを聞いた閃邪が目を閉じ、嵐紗の言葉を反芻させながら理解する。
閃邪「そうか。お前の意見もごもっともだ。互いの正義のために動くことに差異はない。だからこそ…お前との会話ももう意味をなくす」
閃邪が神気を解放する…!呼応するように嵐紗も神気を解放する…!
嵐紗「会話で撤収させたかったけど…だめみたいだね」
閃邪「ああ。お前との会話は非常に…」
「不愉快だった」
閃邪と嵐紗の拳が衝突する…!ぶつかる衝撃波が王医学校全域に届く…!
嵐紗が蜂明と戦っている同時刻…
碧「『ジオグラニネット』」
赤く光る槍がドーアの頬を掠める。ドーアも円形の刃で碧の腕を削る。
碧「うーん。やっぱり強いな。それに気温上昇もやってるよね。暑いな」
ドーア「気温上昇は我の得意分野だぞ。まあお前にしかそれは対象にしていないがな。今お前の半径3メートルのみ気温は60度だ。暑いで済んでいる方がおかしいのだがな」
碧「え~60度?砂漠でもそんなに暑くないよ。この大陸の砂漠は上がって50度だからそれ以上の暑さでしょ?うへ~」
ドーア「そう言いながらお前は汗を一滴も流していないじゃないか。どういうことだ?」
碧「ん~?だって忍の訓練の一環で訓練してるからね。このくらいならどうってことない」
ドーア「忍だと?この時代に忍がいるのか?」
碧「目の前にいるよ。私が皇帝を担う『アーサノビ王国』はね、暗殺や機密情報の奪取を得意とする人間で溢れてる。そしてそんな国の皇帝である私も忍の一族。全然いると思うよ、この大陸にはね」
それを聞いたドーアは首をかしげる
ドーア「では我は運が悪いのか?忍に出会ったことがないんだ」
碧「暗殺者が前線に出ると思う?忍は暗殺者。決して人前に出ることなんてない。私だって本来は人前に出ることもないんだよ」
ドーア「そうか。なら出なければいいじゃないか」
碧「いいよ。お望み通り出ないであげる」
そう言い大きな斧を地面に叩きつける碧。地面が完全に陥没し、大きな穴が開く…!
ドーア「な…まじかお前」
ドーアも穴に落ちていく。そしてたどり着いた場所は…大きな洞窟…!そこは太陽の明かりも届かない、広がっているのは暗闇のみ。
ドーア「これほどまでの暗闇…それに太陽光がないと…ガープ様の力が…。…むう!」
ドーアの眼前に迫るは赤い槍、そして槍を持つ手だった。ドーアは槍を反射的に躱し、槍を掴む。だが…その槍は焼けるように熱く、ドーアは手を離す。
ドーア「この状況はまずいな」
碧「でしょ?この暗闇ではまず何も見えない。私はこの暗闇でもあなたを視認することも、地形の把握もできてる。一方的にならないといいね」
ドーア「だな。だが対策しておこうか。『未来予知』でな。もうお前の不意打ちに苦しむこともない」
碧「あっそ」
碧は用意していた大きな岩をドーアの頭上に落とすが…ドーアはそれを完全に避ける…。それどころかドーアは暗闇の中、突出する地面を飛び越え、碧のもとへとたどり着く…!
碧「まじ?この暗闇でそんなに動けるんだ」
ドーア「ああ。もう地形の特徴も、お前の不意打ちも気にする必要はなくなった。この環境も慣れてしまえばどうということはない。だが…明かりがないのも面倒だ」
そう言いドーアは地面に手をつける。直後…ドーアが触れている地面が溶け、オレンジ色に光る熱を発する粘着性のある液体が大量に出現する…!それは瞬く間に地面一体に行き届き、碧の地面も奪う。そしてこの空間の暗闇がマグマによって完全に消え、お互いの顔が見える。
碧「まさか…マグマ?」
ドーア「ああ。ガープ様の力をサポートに、この世界で我が最初から持っていた自然能力である『マグマ』でお前を追い詰めるとしよう」
碧「うーん…これは結構めんどくさい相手と当たったね。はあ~」
ドーア「ため息をつかれるといい気はしないな?」
碧「それだけ強いんだよあなたは。本気出すとしますかね」
ドーア「初めて同じ考えに至った。『魔将降臨』」
碧とドーアは同時に神気を解放する…!碧の神気量は1800兆、ドーアの神気量は…2400兆…。
碧「神気量じゃ負けてるのか」
ドーア「勝てるといいな?これだけの差を埋めれる方法があるのなら…試してほしいものだ」
碧「私は碧帝。神気の精度で皇帝にまで成り上がった凡人の努力の究極系。数字で判断してると痛い目を見るよ」
ドーア「やってみてほしいものだ」
そう言いドーアがマグマを動かし、まるでトカゲのような形を作る…!
ドーア「行ってこい。『サラマンダー』」
トカゲが猛スピードで碧に向かって突撃する…!火炎球を吐き、碧は対処をする。
碧がトカゲの爪撃、ドーアが繰り出す刃の二つを同時に処理するが…マグマによって溶けた地面の一部が噴き出し、偶然か必然か碧の足を飲み込む…!
碧「あっつ。早くなんとかしないとね」
だが…柔らかくなっている地面が碧の体の自由を奪う…!
碧「ぬかるんでる…これじゃあ踏み込みが出来ない…」
そこをさらにドーアが刃で攻撃し、トカゲは距離を保ちながら火炎球を放つ…。
碧「『黄泉【ジャラーナ】』」
碧は鎖でつながる5個の球体を取り出す…。そしてそれをマグマに向かって放り投げる…!
「シュー…」
なんと…マグマが固まる…!
ドーア「我のマグマが固まるか…どれだけの冷気を宿しているのかわからんな」
碧「不細工でも対処できればいい。勝つことにしか焦点を当ててないからね。今一度舞い戻れ。『天斧【アグラビオン】』」
碧が手に大きな斧を再び召喚する…!そして斧を構える…!
ドーア「この体勢は…まずい…!」
ドーアは刃で攻撃をする最中であった。碧との距離はどんどん近づく…!
ドーア「『サラマンダー』!!斧を狙え!!」
碧「もう遅い。『天断冥斧【ペルフェクト】』」
碧が持っている斧を大きく振り上げる…!
それはドーアの腕を切り、洞窟の壁を切る…!
ドーア「これほどまで…!…!」
碧が放った斬撃は天井まで届き、太陽光が差し込む…!それは碧とドーアを照らす…!
ドーア「太陽さえ出てしまえばこちらのものだ…!」
ドーアがマグマを身に纏いながら猛スピードで洞窟を駆け上り、地上に出る…!
碧「威力が高すぎたね…天井まで行くとは思ってなかった…」
碧もドーアを追うように猛スピードで洞窟を抜ける。
そして隙間から飛び出して碧の視界に広がるのは…自身がやった斬撃によって倒壊している小学校低学年の校舎、完全に真っ二つになっている体育館、まっすぐに割れる地面…。そして…大量のマグマが噴き出していた…。
碧「あれで仕留めきれると踏んでいたけど…そう甘くはないみたいだね…」
マグマを纏い、そして紫色に輝く光を纏うドーアが碧の目の前に現れる…!
ドーア「すさまじいものだな。これほどまでの破壊力を持つ力の持ち主とは。1800兆の人間がここまでできるとは考えていなかった」
碧「可能だよ。現にできているしね」
ドーア「そうだな。それにこれほどまでのパワーアップもできた。死に際でこそ人間は覚醒をする…!お前はその機会をくれたのだ。感謝するぞ?」
碧「覚醒…?…!神気量がさっきよりも増えてるね…」
ドーア「ああ。今のお前ではたどり着けない領域だ。4400兆。倍以上の神気量だ。絶望しながら死ぬといい」
碧「ふふ、絶望?私が?するわけないじゃん」
ドーア「ほう?この状況でもまだ希望を見出すと?」
碧「うん」
そう言いながら碧は体育館の屋根に脚をつける。
碧「酷使して悪いね、『ギルガメッシュ』。でももうそろそろ終わるからもう少しだけ力を貸してね。『乖離剣【エア】』」
そう言いながら碧は柄が3重の赤い輪でできた光り輝く剣を手にする。
ドーア「それがお前の希望か?」
碧「ずっと信じてきた『ギルガメッシュ』の能力を最大限まで開放させたときにのみ使える至高の剣。神気量の差なんて関係ない。さ、始めようか」
ドーア「『溶道球極』」
ドーアが自身が身にまとうマグマを使い碧に繋がるマグマの道を作りだす…!
碧は持っている剣でマグマを斬る。すると…ドーアの操作を受け付けなくなったのかマグマが地面に垂れる…。
ドーア「なにを…した?我が操作するマグマが言うことを効かない…」
碧「そりゃそうだよ。この剣は能力者と能力を一時的に乖離する剣だからね」
ドーア「…なに?」
碧「少しの間だけどマグマは使えないよ。あなたの強みであるマグマを封じたわけだけど、どうするのかな?」
ドーア「ならば近接をするのみ」
ドーアが碧に近づき、円形の刃を碧に向かってぶつけようとするが碧は剣で防ぐ。
碧「これは能力じゃないんだね。意外かも」
ドーア「我が打った武器なんでね。そうそう壊れることはない…!」
そして崩壊する校舎まで碧を吹き飛ばす…!
碧「ここ…真くんの神気を感じるな…ミスったね…」
ドーア「身内の人間のことなど忘れてしまえ。今お前の前にいるのは我なのだからな。気を抜けば死ぬぞ?」
碧「んなことわかってる。でもね、友達が仲良くしてる子を守ってと言われたらその子を守るのが務め。この戦闘を終わらせて早いところ守ってあげたいけど…。でも…真くん以外の神気を感じる…それも邪悪な神気…」
ドーア「ふ、そうか。ならばその邪悪な神気から守ってやらねばな?できればの話だが」
碧「だからこそとっとと終わらせる」
碧とドーアが互いの武器で競り合う…!だが…ドーアがどんどん押されていく…!
ドーア{どういうことだ…神気量では圧倒的に我の方が多い…!なのに…なぜここまで追い込まれる…!?我も神気の精度はそれなりにあるのだぞ…!?}
碧が絶対零度の視線を浴びせる…。それを見たドーアが強く刃を握る…!再びマグマを帯び始める…!
碧「もう回復したの!?」
ドーア「舐めるなよな…我のことをな!!」
ドーアがマグマを帯びる刃を地面に投げる…。そして…その刃が地面を潜る…!
ドーア「もう司教はいない!!被害を考える必要もない!!『大噴火』!!」
直後…グラウンドから火山が出現する…!大きな岩を大量に吹き出し、その全てが碧のところに向かって飛んでいく…!
碧「ち…」
碧が逃げるが…数が異次元、車のような大きさの岩からテニスボールのような大きさまであり、全てを避けることはかなわない…。
碧「これは『エア』でもだめか…。つまり能力生成ではなく、噴火による地層が飛んできてるってことか…」
ドーア「『ボルケーノ・爆』!!」
さらに火山が活性化、溶岩がグラウンドに流れる…!木々は燃え、高等部の校舎の1階を完全に飲み込む…!
碧「好き勝手して…!」
ドーア「失うものはない!どれだけやってもいいんだ!」
碧「はあ…もう被害云々の話じゃない。まずは整えようか」
碧が剣を溶岩に向かって突き刺す…!そして大量の神気を使い、両手を交互にかみ合うように握る…!
直後…流れている溶岩は完全に消え、火山活動も急激に収まる…!
ドーア「な…なにが…」
困惑しているドーアの目の前に碧が現れる…!すでに碧は剣を構えている…!
碧「次元の乖離だよ。あのマグマ全部冥界に飛ばした。これ以上被害を出すわけにはいかない」
ドーア「ち…!」
ドーアが苦し紛れに碧に向かってマグマを放出する…!だが碧はドーアを見つめる…!
ドーア「な…」
碧「今更そんなもので変わらない」
ドーア「体は焼けてるんだぞ…?片方の目も焼けてるのに…」
碧「私の覚悟はその程度では折れないんだよ」
ドーア「くそが!!」
碧が剣をドーアの首に向かって振るう…。
碧「じゃあね」
ドーアも死を悟ったのか目を閉じる…。だが…
「ガン!」
碧の剣はなにかしらの影響を受け…軌道が変わり、ドーアの腰を斬った…。
碧「なにが…」
ドーア「感謝するぜ…閃邪様!!」
剣を振りぬいた碧の頭を手で押し、もう片方の手で自身の腰を掴み…そして…ドーアは遥か上空にまで飛んで行った…。下に押された碧は逃げるドーアを追うことはできなかった…。
碧「くそ…最後の最後でしくじった…」
碧がゆっくりと地面に着地する。そして周辺を見回す…。
碧「く…はあ…はあ…いや、まだだ…終わってないんだ。嵐紗と戦っている司教もいるし…真くんたちと…戦ってる司教が…いる…のに…」
疲労に切り傷、火傷による損傷によって碧は剣を支えに意識を失った…。
ヒーディキュア王医学校グラウンド地下、水神碧対ゼルオ・ドーアの戦いは作り出された火山の崩壊によって終止符を打った。
碧が放った斬撃による被害は真たちにも届いていた。
真たちは一室で休憩をしていたが、碧の斬撃によって今にも崩れそうな校舎の中にいる。
真「一旦ここから出よう。この校舎が崩れるのも時間の問題だ」
烈道「だな。早いところ出るとするか」
結夢「うん。ここにいたらぺちゃんこになっちゃう」
俺たちは教室を出て外に出るために廊下に出た。天井は破片を飛ばし、ガラスは割れている。まじで逃げないとまずい。
だが…神気を感じた俺は2人に声をかけた。
真「烈道、結夢。この先に神気を出してる人がいる。でも多分司教だ。迂回しよう」
烈道・結夢「わかった」
俺たちは今通った道を通る。だが…教室の窓から大量の溶岩が流れたのが見え、一気に校舎がやばい音を立てているのがわかった…。
真「まずいな…出れるかな…」
結夢「き、きっと…だいじょう…」
「バキ!!」
天井からえぐい音が聞こえた…それは…俺たちの真上にある柱が折れたんだ…。
直後…天井がドミノ倒しのように崩れた…。それははっきり言って絶望でしかなかった…。
なぜなら…
真「烈道!!結夢!!」
俺と2人が完全に分断されてしまったんだ…。2人の神気は感じる。おそらく下敷きにもなっていない。
真「この瓦礫を超えることは無理だな…上の階に行って、階段から降りれば行けるな。神気を出してる人がいるのはわかってるけど…行くしかない」
瓦礫によって真と分断された烈道と結夢。奇跡的に怪我をすることはなかった。
烈道「どうしようか…」
結夢「真くんが来るまで変に動かないほうがいいよね…」
烈道「ああ。間違いない。待とう」
2人が近くにある教室に入り、腰を下ろす。
腰を下ろして数秒後、2人の耳に入る声があった。
「おーい!!結夢!!烈道!!」
2人を呼ぶ声があった。真の声らしき声に2人は反応し、声を出す。
烈道「真!俺たちはここだ!」
結夢「こっちこっち!」
その声に反応したのかどんどん近づき、ドアの目の前まで近づく。
「ここか?烈道、結夢」
烈道「ああ!ここだ!」
廊下側から教室のドアが開けられる。だが…そこにいたのは…真ではなかった…。
羅弾「そうかぁ。烈道ぉ、結夢ぇ」
その人間は…以前真と翠花を襲った源羅弾だった…。羅弾がねっとりとした笑顔を2人に見せる…。
結夢「ひ!!」
烈道「あんた…誰だ!!」
羅弾「名乗る必要もない。お前らみたいな雑魚に構ってる暇はない。真はどこだ?知ってんだろ?」
結夢「知らない!真くんの場所なんて!」
羅弾「そうか。なら…お前らはもう用済みだ。とっとと死んじまいな」
羅弾が刀を手に取り、ゆっくりと近づく…!烈道は神気を解放し、酒吞童子の力で棍棒を出す…。
羅弾「へえ、神話能力持ちか。こりゃ珍しい」
烈道「やってやらあ!!!」
烈道が羅弾に向かって近づき、棍棒を頭目掛けて振るうが…
「ガキン!」
容易に受け止められる…。
烈道「うごか…ねえ…」
羅弾「言ったはずだ。用済みってな」
羅弾は烈道の棍棒を弾き、蹴りで烈道を壁に叩きつけた…。烈道の意識は…今の一撃で絶たれてしまった…。
そしてゆっくりと結夢に近寄る。すでに上段で構えている…。
結夢「いや…いやだ…」
結夢は苦し紛れに桜を出すが…羅弾の神気によって桜が届かない…。
羅弾「じゃあな」
羅弾が刀を振り下ろす…。結夢は目を瞑る…。
「ガキン!!」
鉄の音がする…結夢が目を開く…。
結夢「…!」
羅弾「来たな?本命ぃ」
凶刃から結夢を守ったのは…
真「させるわけないでしょう。羅弾さん?」
そう、俺だ。ぶつかる刀を弾いた。すると羅弾さんが距離をとる。
羅弾「さん付けとは。以前会ったときに比べればめっちゃ強くなってんじゃねえか」
真「それほどでもないですよ。それで…なぜここに?」
羅弾「決まってんだろ?お前とやるためだよ」
真「そうですか。でもそのために烈道の意識を絶ち、結夢に刀を振り下ろそうとする必要はありました?」
羅弾「ねえな。無用とわかった。だから殺す。当然だ」
真「そうですか。全く理解ができない」
俺は羅弾さんと戦うことになった…。烈道は気絶、結夢も何もできなかったんだ。俺が…やるしかないんだ…!!




