第68話 日常、そして…
俺と嵐紗さんは朝ごはんを一緒に食べ、学校へ行く準備に取り掛かった。
歯を磨いたり、寝ぐせを直したりなどだ。服も着替え終わり、リビングで嵐紗さんを待っていると…
「ピンポーン」
チャイムが鳴った。朝にチャイムが鳴るということは…
結夢「真く~ん。来たよ~」
とうとう俺がドアを開けなくても結夢と日菜子さんは入ってきた。まあ毎日来てくれてるからね。許してます。
真「今行く!」
嵐紗「私まだ!」
真「じゃあちょっとだけ待って!」
結夢「おっけ!」
めっちゃ勢い任せの問答が続いたが、結夢と日菜子さんはちゃんと待ってくれている。
少し時間がたち嵐紗さんの準備も終わったようだ。
嵐紗「お待たせ!」
真「じゃあ行こうか。結夢、日菜子さん」
結夢「うん!」
玄関のドアを開け、俺たちは登校をした。俺はなぜか日菜子さんと会話をした。
日菜子「最近真くん頑張ってるよね」
真「そ、そうですか?自分は嵐紗さんとの鍛錬以外は特になにもしてないんですけどね…」
日菜子「その鍛練ですっごい頑張ってるんだと思うよ」
真「そうですかね…。あんまり実感はないです」
日菜子「その意気で頑張ってね。結夢も頑張ってるからさ」
真「結夢も神気増えましたよね。200億もいってる。やっぱり嵐紗さんの鍛錬だといいんですかね?」
日菜子「さあね。でも私も神気量が増えた。5兆もいけた。前は出せて1兆5000億とかだったのにね。効果は抜群だった」
数字だけ見ると日菜子さんが一番増えてるんだよな…。まあ日菜子さん自身の鍛錬もあるだろうけどな。
そんな会話をしていると結夢が日菜子さんを追い出すように隣に来た。
結夢「真くん、お姉ちゃんとどんなこと話してたの?」
真「俺も結夢も日菜子さんも神気が増えたよねっていうくらいだけど…」
結夢「え~私もその話したかったのに~」
真「まあまあ。あ、結夢。今日の宿題はやってきた?」
結夢「もちろん。流石にやってるよ」
真「よかった。やってない人いた時は先生怒ってたし、やるに越したことはないね」
結夢「ほんとにね」
そんな会話をしてると…
嵐紗「楽しそうに話してるね~やっぱり仲いいね。真くんと結夢ちゃんは」
嵐紗さんが隣に来た。なんだろう、今日は妙に俺に話しかけてくるな。まあ話すのは特に何も感じてないしいいか。というかそんなに仲がいいだろうか?学校の会話をしてるだけだ。
結夢「そ、そんなことないですよ!」
嵐紗「そう?顔赤いけど」
結夢「き、気のせいですよ~あはは」
日菜子「な~ぜ顔が赤いんだろうね~」
真「わかんないです」
嵐紗「まあそんなものだよね。あ、真くん、宿題は…」
真「ちゃんとやってますって」
嵐紗「ならよかった。宿題に関しては私ノータッチだからね。頼むよ~?」
真「大丈夫です。翠花姉にちゃんとやれって言われてるので」
その一言で日菜子さんがそっぽを向いた。
日菜子「そ、そうだよね~宿題はやるべきだよね~」
あ、やってねえわこれ。やってたらもう少し言い方に違和感ないもん。
真「日菜子さんもしかして…」
日菜子「え?な、なに?」
真「…」
日菜子「…」
真「宿題…」
日菜子「…」
真「やって…ない…?」
日菜子「さ、さあ~?知らないなぁ」
確信犯ですわこの人。絶対宿題やってない。それを見た嵐紗さんは日菜子さんの肩に手を置く。
嵐紗「日菜子ちゃ~ん。宿題はやっとくものだよ~」
日菜子「は、はい~」
なんかめっちゃ圧のある言い方だった。まあ正しいしな。
そんな会話をしていると学校に到着した。校門付近で俺は独り言のようにつぶやいた。
真「今日は…ないよな?」
俺がぽろっと言ったその言葉に嵐紗さんが反応する。
嵐紗「なにがないといいの?」
真「シャッター音…あ、嵐紗さん」
嵐紗「…真くんからシャッター音なんて単語、初めて聞いたけど?」
真「それは…言ってないですし…」
嵐紗「悩みがあるのなら相談に乗るよ?」
結夢「真くん、嵐紗さんなら何かわかるかも?」
真「そうだよね。実は__」
俺は嵐紗さんにシャッター音のことについて話した。翠花姉といたときだけは翠花姉と接触した時にだけ聞こえること、最近だと俺たちが登校した時に聞こえるようになったこと、その音が結夢や日菜子さん、また他の生徒には聞こえてなさそうなことを。
全てを聞いた嵐紗さんが悩んでいる顔をした。
嵐紗「なるほどね…シャッター音か…もしかしたら今日なるかもしれないね。仁君にも聞いてみるよ。仁君に用があるしそのついでに聞いてみる」
真「はい。ありがとうございます」
嵐紗「うん。んじゃみんな行っておいで」
俺たちは校門の中に入った。だがシャッター音が俺の耳に入ることはなく、違和感なく校舎に向かうことが出来た。
校舎に向かってる最中、とてつもないスピードで走る男子生徒がいたのだが…
「ブヘ!」
俺たちの目の前で転んだのだ…。
真「だ、大丈夫?」
「いてて…って真か!」
なんと転んだ男子生徒は…
真「烈道か!ってかなんでそんな急いでたんだ?」
烈道「先生に用があってよ。急いでいかなきゃいけなくて…」
結夢「もしかして宿題を…」
そう結夢が言った瞬間…
烈道「ピ~…ピ~…」
口笛を鳴らしやがった。絶対にやってねえな。提出遅れかな。職員室に行くなんてそうそうないからな。
結夢「はあ…やってないとだめだよ?」
烈道「や、やってるって!」
真「えまじで?」
烈道「いやまじまじ!」
真「じゃあ行かなくてもいいんじゃないか?」
烈道「え…あいや、それはちょっと…」
結夢「別に宿題をちゃんとやってたらHRの時に提出すればいいと思うんだけどな~」
真「そうだよな~。な~んで行くんだ~?」
烈道に向かってめっちゃやらしく言ってみた。結夢も乗ってるし少し楽しい。
烈道「しゅ…しゅ…」
真・結夢「しゅ?」
烈道「出勤しないといけなくてな!」
真・結夢「宿題やってないと言え!」
烈道「はい!やってません!」
やっぱりやってなかったね。まあ隠すのも難しいよね、うん。
結夢「もう、ちゃんとやらないとだめだよ?」
烈道「はい。頑張ります」
真「行ってこいよ。遅れるとまずいんだろ?」
烈道「そうだった!行ってくる!」
そう烈道が走り出したが…
烈道「いて!!」
曲がり角で壁にぶつかってた。
真「大丈夫かな…」
結夢「まあなんだかんだ大丈夫だよ。私たちは教室に行こ」
真「だね。行こ」
烈道に対する心配もあったが、俺たちは教室に向かった。
教室にはすでに先生がいた。早いな。いつもならもう少し遅いのに。
結夢「先生、おはようございます」
燕「おはようございます。2人で来ることが多いのね」
真「そうですね。翠花姉と日菜子さんが関りがあって、一緒に行くようになりました」
燕「いいな~。幼馴染は大事にするのよ?真くん」
真「えなんで俺だけ?」
燕「気にしない気にしない。ほら、準備とかあるでしょ?しておいで」
真「…はい」
まじでなんで俺だけ言われたんだろ。結夢のことは当然大事にする。当り前じゃないか。
そんなこともあったが学校では朝のHRが行われ、授業に入った。最近の授業は面白いと思う要素が減ってきた。なんせ知ってる内容や前の知識でも通用する内容がほとんどだからだ。だが周りのクラスメイトは苦戦しているところもある。やっぱり知識があるのとないのとでは差が生まれるのか。まあしょうがないことだな。
そんなこんなで授業がどんどん進み、現在は給食の時間だ。今は準備に取り掛かってもらってる。俺は当番ではないからな。その時間は結構暇だった。だが先生は給食当番の手伝いをするわけではなく、何かハプニングがあっても「自分たちで考え行動しろ」というスタンスだ。怪我をしたのなら自分や周りで負傷を治し、皿が割れたのなら他のクラスから借りるなどを自分たちで動くんだ。
このスタンスだからか、みんなが考えるようになった。この光景に先生は口角を上げている。小1から自分たちで考え行動することが大事というのを先生は伝えたいんだろうな。授業で教えれないところを給食などの授業外でも教えるのは流石先生といったところか。
給食の準備が終わり、俺と結夢が前に立ち挨拶をする時間になった。
結夢「よし、じゃあやろうか」
真「頼むぞ?」
結夢「任せて!何か今日は行ける気がする!」
真「じゃあお願いしま~す」
結夢「おっけ!!手を合わせてください!」
クラスメイト「合わせました!」
結夢「いただきます!」
クラスメイト「いただきます!」
お、今回は言えたじゃないか。俺が言う必要もないし、クラスのみんなもすんなり給食を食べることができる。結夢がドヤっているけど…任されてから何日目だよ。1学期はずっと言えてなかったし、今は10月入ってるんだよな…10月3日です現在。それまで学校が始まってから言えてませんあの人。
給食も食べ終わり、昼休みに入った。そこで結夢が話しかけてきた。
結夢「ねえ真くん」
真「ん?どうした?」
結夢「もうちょっと反応くれてもよくない?」
さっきのことでした。そんなに素っ気なかったかな。
真「ごめんごめん。どんな反応が欲しかった?」
結夢「真くんが思うよくやった!って感じのやつ」
めっちゃむずいお題来たなオイ。よくやった!っていう漠然としたお題って本当にムズイ…。俺は結構な間考えた。だがいい案が思い浮かばない…。
結夢「…思いつかない?」
真「…うん」
結夢「じゃあ私が言うから、それをやってよ」
真「やる?わ、わかった。何すればいいの?」
結夢「私の頭撫でて」
真「へ?」
結夢「私の頭撫でて」
真「…」
これやっていいのかな。学校だし、クラスメイトがいる空間でそれをしていいのかわからない…。だが本人が求める以上はやってあげないとな。
「スッ」
もうこの人やってもらう気満々じゃん。俺が撫でやすいように姿勢まで変えちゃったよ。俺の手がちょうど結夢の頭に来るくらいになった。
もうこれは…やるしかない。俺は結夢の頭に手を置き、そして撫でた。
真「よくやったね、結夢」
撫でてもらった結夢の顔は…赤くなってて、そして口元が緩んでいた。
結夢「えへへ。ありがと、真くん」
満面の笑み。それを見た俺は確信した。やっぱり結夢は可愛い。だが俺は悟られないように、顔に出ないように我慢をした。
真「う、うん」
結夢「また私が頑張ったときにやってね」
真「ま、まあいつかね」
結夢「ふふ、うん。お願いね」
やっぱり破壊力がすごいな。女子の満面の笑みって。
それを教卓から見守る女性の姿があった。
燕「どっちも可愛いね」
先生の声なんて聞こえるわけもない。俺は結夢にバレないように必死だったんだからな。
そんなこともあった昼休みも終わり、授業も終わり、帰りのHRも終わった。俺と結夢は一緒に校門に向かった。その道中で…
「あれ、真くんと結夢ちゃんじゃん」
聞き慣れた声が俺と結夢を呼んだ。声の方に視線を向けるとそこには…
嵐紗「やっほ~」
なんと嵐紗さんがいた。俺たちは嵐紗さんに近づいた。すると…
碧「お、真くんじゃないか。それに日菜子の妹さんもいる」
なんと…碧帝、碧さんも一緒にいた。
真「碧さん…」
碧「昨日ぶりだね。帰りかな?」
結夢「はい…。碧さんはどうして?」
碧「ん?どうしてって?」
結夢「なんでいるのかなって」
碧「まあ嵐紗の見送りだな。私は部活があるからね」
部活…帰ると決めてからグラウンドを見たことがなかったが…多くの部活が活動をしている。
真「今外にいる運動してる人って部活ですよね」
碧「いや?あれは…小4、小6、中2、高1、高3の体育の授業だね。頑張ってるね」
そうか。あれは体育の授業か。どの学年の生徒もスポーツが上手いからてっきり部活だと思ってた。
結夢「とっても上手なんですね」
碧「高校男子のサッカー部は大会で優勝するレベルには強いし、その生徒がサッカーやってるね。高1と高3は特に上手だ」
嵐紗「まあ他の学年の授業だし、私らが見てたら迷惑かもしれないし帰ろうか」
それもそうだね。もしも嫌な顔をされていたらよくないもんな。俺たちは校門に向かって歩みを進めた。
碧「2人は授業でわからないところはない?」
真「僕は特にないですね」
結夢「私はちょっと難しいところが多いですね…」
嵐紗「どこがわからないの?単元によるけど私も教えれなくはないよ?」
結夢「本当ですか?数学の筆算がですね…」
嵐紗「あ~。筆算は難しいよね~。あれはね~…」
そんな会話をしながら歩き、校門を出て校門前の花壇に差し掛かった時…
「パシャ」
シャッター音が…聞こえた。
真「シャッター音…」
嵐紗「碧。2人も見守ってて」
碧「え?わかったけど…」
嵐紗「真くん。シャッター音私も聞こえた」
真「本当ですか?」
碧「嵐紗は耳がいいからね。多分間違いないと思う」
嵐紗さんが花壇の方に向かって進む。一直線に進む。
嵐紗「お前だな?」
嵐紗さんが声を出す。それは…ヘビだった。ヘビに向かって声をかけた。
嵐紗「この地域にヘビは生態系は作れない」
嵐紗さんが神気を纏う手をヘビに向かって突き刺そうとする。その時…
「やってしまえ!!」
その声と同時…
4人ほどの黒いフード被った人が俺と結夢と碧さんを囲んだ…。そして嵐紗さんの方にも2人もいる…。
俺たちを囲んでいる奴らが俺たちに近づく…。それを見た俺は神気を解放した。何かやばいと思ったからだ。それは正解だった。こいつらが猛スピードで近づいてきた。俺は朱雀の尾を取り出す準備をした。だが…碧さんがそれ以上のスピードで武器を構える。
碧「『天斧・アグラビオン』、『閻槍・ヘルニエート』」
大きな斧と真っ赤に光る槍だ。その二つを使って碧さんが奴らの攻撃をすべて捌く。だがその防御の隙を狙った一人の司教が碧さんの視覚外から俺たちの方に近づいてきたのだ…。
嵐紗「碧!!」
碧「しまった…」
なにかやばい、そう感じた俺は結夢の手を握った。
真「結夢!捕まってて!」
結夢「う、うん!」
その直後…
「仲がいいみたいね?」
司教らしき女性が俺たちの方へ来て、勢いそのままに俺たちを校舎の方を連れて行く…。
真「く…!」
俺たちがその司教に連れられ、宙を飛んでいる時…圧倒的な神気を放つ女性が俺たちに近づいている…。
「…!!あれは…」
刀を持つ女性が俺たちの方を近づく。そして視認することが出来た。そう、その女性は…
蓮乃「2人から手を離しなさい」
真「蓮乃さん!」
なんと蓮乃さんだったのだ…!だが彼女と俺たちの間に一人の司教が入る…。その司教は碧さんや嵐紗さんの近くにいた司教とは違う、巨体の司教だった…。
「させねえぞ?」
蓮乃さんが構えている刀をその男の司教に向かって振るう。だがその男は躱し、蓮乃さんを神気で能力で圧す…。
「とっとと行っちまえ!!」
「は!」
巨体の司教に圧された女の司教が俺たちを校舎の方へ連れて行き、校舎の窓を割り、校舎の中に侵入した…。侵入した司教が俺たちを放り投げる。
真「いって…」
結夢「真くん…」
真「ああ。やるしかない」
女司教「さ、やりましょうか?坊やたち」
何が起きているのかわからない。だが司教たちが一斉に動き始めたこの一連の騒動で俺は地獄を見ることになる…。




