第67話 界魔将団について
俺たちは教室に入り、燕先生からHRを聞いていた。
燕「みなさんおはようございます」
先生の第一声が…どこか疲れているような声だった。それに…目の下にクマも少しある。夜更かしでもしたんだろうか。だがそれに気づくのは…俺だけのようだ。他のみんなは普通に先生の話を聞いている。
燕「今日も授業頑張っていきましょうね」
違和感がある。いつもよりも少し声が低いんだ。元々少し低いが、それ以上に低い。
燕「あ、あと近頃不審者の出没が相次いでいます。気を付けてくださいね」
不審者…まあ泥棒とかだろう。だがこの世界には能力があるからな…前みたいに襲撃を受けるかもしれない。翠花姉でもなにもできなかった奴らがうろうろしていると思うと…やっぱり警戒をしないといけないな。
先生がHRを終え、俺たちは授業の準備をした。
授業の準備を終え、先生が教室に入ってくる。
燕「さ、授業を始めるわよ~」
そこから俺たちは授業を受けた。4限まで授業を受け、給食も食べ、その日の学校を終えた。
俺と結夢は一緒に校門に向かった。だがその時…
「パシャ」
俺の耳に…あのシャッター音が再び耳に入ったのだ…。俺は音がした方向を見る。
真「シャッター…音…」
結夢「真くん?もしかして…また…?」
真「聞こえたんだ。間違いない」
結夢「不審者が多いって先生言ってたけど…怖いね…」
真「うん…」
そんな不信感を覚えながら俺たちは日菜子さんのいる場所へ向かった。
日菜子「おつかれ~。んじゃ帰ろっか」
結夢「ねえお姉ちゃん」
日菜子「ん?どした?」
結夢「そっちでも不審者のことって言われた?」
日菜子「言われた。最近よく出る不審者ってのがね、『界魔将団』の司教が動いていることなの。他の国でも司教が動き、真くんや翠花を襲ってきた相手も界魔将団の司教。最近になって活発になってきてるの」
俺と翠花姉を襲った羅弾という男。翠花姉や颯治さんにとって因縁持ちのようだった。そんな感じの人がうろうろしているとなると…そりゃあ学校側も言うよな。
真「界魔将団ってなんなんですか?あんまりわかってなくて…」
日菜子「残念ながら私もあんまりわかってない。嵐紗さん屋敷にいるかな?」
真「ん~…多分いると思います」
日菜子「なら今日もお邪魔して、その時に教えてもらお」
真「そうですね。嵐紗さんなら知ってることも多いでしょうし」
結夢「ならまた真くんの家に行こ!」
俺の家ではなく翠花姉や蓮乃さんの屋敷なんだがな…まあいいか。俺たちは下校をして屋敷に向かった。
玄関を開け、リビングに入った。嵐紗さんがノートにめっちゃ書き込んでいる姿が目に入った。
真「帰りました。嵐紗さん」
俺の声に嵐紗さんが反応する。
嵐紗「あ、おかえり~。結夢ちゃんと日菜子ちゃんもいるね。今日も一緒に鍛錬を…」
真「嵐紗さん、聞きたいことがあって…」
嵐紗「…そんな顔をして…多分界魔将団のことだね」
真「え!?」
なんで…なんでわかるんだ!?心を読めるのか!?エスパーすぎんか!?
嵐紗「驚くことはないよ。界魔将団のこと、教えなくちゃね。あ、いいよ。座って座って。お茶用意するね」
日菜子「えっと…」
嵐紗「遠慮しなくても大丈夫!」
嵐紗さんがコップと冷たいお茶が入ったピッチャを取り出し、コップに注ぐ。それを座ってる俺たちのところに置いてくれた。
真「ありがとうございます」
嵐紗「ん!さてと、界魔将団のことだね。私が知ってる範囲でもいいかな?」
日菜子「はい。私も多少は知っていますが…全部知ってるわけではないので…」
嵐紗「だいじょぶだいじょぶ。私もそんな感じ。虹帝達の一人にめっちゃ詳しい人いるけど、説明が下手だからね~。その人が作る資料の記憶で説明するよ。おおかた覚えてるし」
真「お願いします」
嵐紗「おっけ~。あ、聞きたいことがあったらその都度言ってね。質問があるか聞くけど、基本的に一方的に話していくから」
真「はい」
嵐紗さんがお茶を飲み、一息つき、口を開く。
嵐紗「『界魔将団』はね、世界中で活動する、団長をこの世界の神にするために結成された巨悪組織なの」
真「神!?」
嵐紗「うん。神になってこの世界の誰もを心酔させ、全てを手駒とすることが目的。自分が描く理想を実現させるため、団員を使ったり、時には団長本人が動くこともある。そしてその団員にはある特定の悪魔の力を宿す。その悪魔は『ソロモン72柱の悪魔』と『七つの大罪悪魔』の二つに分けられる」
ソロモン72柱の悪魔も…七つの大罪悪魔も…聞いたことがある。七つの大罪なんてそれこそアニメでもよく使われるくらいには有名じゃないか。
嵐紗「3人は知ってるかな?『ソロモン72柱の悪魔』にはそれぞれ階級が存在することを」
真「少しだけ…」
結夢「私は全然…」
日菜子「私は知っていますよ。戦闘をした相手が『俺の階級は伯爵だ!』って言ってました」
嵐紗「日菜子ちゃんは知ってるんだね。そ、団員もとい司教はそれぞれの階級にあう悪魔を能力として持っている。ただ日菜子ちゃんが相手したその司教は勘違いをしてるね」
日菜子「そうなんですか?」
嵐紗「うん。この階級ってのは悪魔が位置する階級のことを指すだけで、本人の実力とはまた別物。どんなに強大な力を持つ悪魔を能力として持っていてもその使用者本人が弱ければ宝の持ち腐れ。逆もあり得る。弱い悪魔でも使用者の使い方次第で上位に食い込むこともある。だから悪魔の階級で判断しないで、実際に戦闘をしてみないと相手の実力がわからないこと。これが厄介な点だね」
使用者次第で強くも弱くもなる…か。判断をミスると負ける可能性もざらってことか…そんなやつらが…司教だけでも多分72人はいるってことだ。やばい組織だな…。
結夢「その階級によって悪魔が持つ能力も変わりますよね?階級が高いほど厄介な能力を持ってるとか…」
嵐紗「その通り。なら今度は階級による悪魔のやばさも説明するね。まずは『伯爵』。一応界魔将団内では一番下の階級。さっきも言った通り能力の使用者次第で強くも弱くなるからね。この階級の悪魔は厄介とまではいかないけど一部の連中は上位層に入ってる。警戒するに越したことはないけど、この階級が脅威になることは稀。次が『騎士』。この階級は結構特殊で1体しかいない。その分特殊な能力を持ってるらしい。私は戦闘したことはないし、教えてくれた人も戦ってないらしくて、部下からの説明らしい。1体しかいないからこそユニークな能力を持ってると推測できるね。一旦この二階級を説明したけど質問はある?」
日菜子「はい」
日菜子さんが手を挙げる。
嵐紗「なに?」
日菜子「伯爵に関して、一部が上位に食い込むとありましたけど、何人くらいでしょうか?」
嵐紗「1人だよ。他の階級の悪魔の能力を持つ司教なんかよりも強いらしい。界魔将団内では結構優遇される扱いをされてると思う」
日菜子「そうなんですね…」
嵐紗「うん。他はある?なければ次の階級にいくよ」
真「大丈夫です」
結夢「私も」
嵐紗「なら次に行くね。次は『侯爵』。伯爵以上の能力を持つ悪魔で、この階級は結構人数が多い。人数が多くて伯爵以上の能力を持つっていう結構めんどくさいやつらの集まり。この階級も一部は上位層に食い込むね。情報だと2人。能力も使用者によりけりってのがわかるね。そして次の階級は「こうしゃく」。さっきと一緒で侯爵以上の能力を持つ…」
真「すみません嵐紗さん、ひとついいですか?」
嵐紗「うん。なに?」
真「おなじ「こうしゃく」じゃないんですか?」
嵐紗「あ、漢字が違うね」
そう言い嵐紗さんが紙に文字を書く。侯爵と…公爵…誰がわかるん?この違い。
嵐紗「さっき説明したのが『侯爵』で、今から説明するのがこっちの『公爵』ここはしっかりと区別しておいてね。聞いてるだけじゃ違いがわからないのもしょうがないね。ごめんごめん」
真「はい、ありがとうございます」
嵐紗「よし、それで説明に戻るね。『公爵』もさっきのように侯爵以上の能力を持つ悪魔のこと。この階級が一番人数が多い。けど上位層に食い込む人間は1人だけっていうね。でもこの階級は中位層が多い。確か順位でいうと40~10番台後半までの順位のほとんどを公爵が埋めてる。それくらい人数が多いってことね。質問はある?」
特にないな。漢字の違いだけは気をつけよ。他の2人もなさそうだ。
嵐紗「なさそうだね。次の階級は『君主』。この階級から悪魔の能力も戦闘で厄介になっていく。厄介度だと…最初の伯爵の100倍と思ってもいい。能力の厄介度だからね。何回も言うけど使用者によりけり。厄介な能力を持っていても使えないと意味がないからね。そこだけは覚えてて。上位層に位置するやつは2人。そのうちの1人は界魔将団の司教内ではNo.2の実力を誇る。虹帝達のリーダーである光さんでも傷を負ったレベル。それくらい強い。最も警戒すべきはその司教だね」
虹帝達のリーダーでも負傷する…。No.2でさえ…となるとNo.1は一体どうなるんだ…。
嵐紗「そして最も厄介な能力を持つ悪魔がいる階級『王』。この階級に関しては使用者にもよるけど、歴代の虹帝達でさえも負けてる人が多数いる、別格の能力を誇るまさに化け物の巣窟。この階級に関しては例外なく全員強い。私も以前戦ったことあるけど、死ぬかと思った。それくらいの実力を全員持ってる。漏れなく全員上位層に入る。界魔将団の司教で最も警戒すべきはここ」
嵐紗さんでさえ死ぬと思わせる強者の集まり…。そんなのどうすればいいんだ…。
日菜子「嵐紗さん、少しいいですか?」
嵐紗「なに?嵐紗さんがいうその上位層ってどこまでのことを指すんですか?」
あ、それは少し気になってた。
嵐紗「さっき言った公爵の時に、10番台後半って言ったじゃん?それよりも順位が高いやつら。16位以内に入る奴らのことだね。王が9人、君主が2名、公爵が1名、侯爵が2名、伯爵が1名。なんで16位までなのかに関しては、上位層と中堅層でもだいぶ差があるとのこと。16位の司教と17位の司教でも数字は1しか違わないけど、その差は歴然らしい。そこで分けてるって輪電君が言ってたね」
なるほど。中位層と上位層で力量差が明確にある順位がそこなんだな。だが…それを知ると、異次元の強さを誇る相手が最低でも16人もいる…か。やはり世界規模の集団はそれだけ強力ということだな…。
嵐紗「あ、あと一個忘れてた。階級に関してだけど、兼任している悪魔もいるの」
結夢「けん…にん?」
嵐紗「わかってないね。兼任ってのは2つ以上の仕事を持ってること。例えば…体育係もやってるけど学級委員もやってるみたいな?」
結夢「あ~!」
めっちゃわかりやすい例だ。あ、俺はわかってたよ?マジマジ。
嵐紗「んで兼任している悪魔がいる階級を『総裁』っていうの。この階級は王や君主の悪魔も入ってて、王と総裁を一緒にやってる悪魔もいる。そして総裁だけをしてる悪魔もいる。ここは騎士と同じで少し特殊な役割を持ってるね」
総裁だけの役割を持つ悪魔もいれば、王と総裁を兼任している悪魔もいるのか。悪魔だけど仕事の面だけ見ると可哀そうだな。ドンマイ、悪魔。
真「その総裁っていう悪魔の中に上位層は…」
嵐紗「兼任してるからわからないけど、総裁の中には王もいるから最低でも一人はいる。けど兼任だから細かい人数は私にはわからない」
まあ全部知ってるわけではないだろうしな。しょうがない。
嵐紗「そして…大司教に関してだけど…『七つの大罪』に属する悪魔がここには該当する。でも大司教に関しては…輪電君の資料にも全く情報がないの。わかることは傲慢、憤怒、強欲、色欲、怠惰、暴食、嫉妬という7個の大罪とそれに準ずる悪魔が存在しているということ。それしかわかってない。それはなぜか?簡単、こいつらと対峙して生きて戻ってきた人間がいないから。どんなに強い人間でも関係ない、悪魔の能力、そして能力者本人が強すぎる。ソロモン72柱の悪魔ならまだ戦える。大司教が相手となるとただ無慈悲に散らされるのみ」
…俺たちは黙ってしまった。俺たちでは全くかなわない嵐紗さんにそこまで言わせる大司教という存在に…。
嵐紗「輪電さんが言ってたんだけど、歴代の紫帝が残した情報では600年、死亡報告がない。つまりどういうことか?もっとも考えられる説。それは『大司教に寿命という概念がない』。絶大な力を持つ悪魔に人間は適応できずに死ぬ可能性があり、順応できた能力者本人に悪魔本人が永遠の命を授けるっていう説。600年間死亡報告がなく、おそらく顔ぶれも変わっていない。それが最有力だね」
それはもう…人間ではなく悪魔なんじゃないか?大司教は。600年という長い年月をこの能力者が蔓延る世界で生き延びているんだ。俺たちのものさしで測っていい次元じゃないんだ。
嵐紗「これが界魔将団で私が知ってる全て」
日菜子「…ありがとうございます。嵐紗さん」
嵐紗「ふふ、そんな顔をしなくてもいいよ。大司教なんて早々動かないから。今いる虹帝達で遭遇した人はいないんだから、みんなが遭遇することはないと思うよ」
結夢「はあ~。それならよかった~」
嵐紗「ま、こんな話は終わらせて、今日も鍛錬してく?」
日菜子「やりたいです!」
嵐紗「まあみんなの課題もわかってるし、走るぞ~!」
真「は、はーい」
界魔将団の話を終え、俺たちは鍛錬に入った。以前決めた黄国の訓練所まで走り、その後に訓練所にいる人たちと実践稽古をして、嵐紗さんの「覇天の我界」での神気を増やす&より実践に即した稽古だ。
学校生活を送りながら俺たちは毎日嵐紗さんのもとで鍛錬をした。
あれから2週間経過した。
「ロクジハン!ロクジハン!トットトオキロシンヨー!」
俺は朱雀のロボットのような声によって目を覚ました。
真「朝か。ってか朱雀、なんでそんなロボットみたいな声を?」
朱雀「おもろいじゃろ?」
真「そこまで?」
朱雀「じゃあ辞め辞め。これめっちゃのどが痛いわい」
ならやらなきゃいいのに。そんな朱雀を無視して俺はリビングに向かった。嵐紗さんがすでに朝食を作って待っていた。
真「おはようございます」
嵐紗「おはよ~。もうご飯できてるから食べようか」
真「はい」
俺は椅子に座り、嵐紗さんと朝ごはんを食べようとした。だが少しだけ違う点があった。
真「あれ、今日は牛乳じゃないんですね」
嵐紗「昨日切らしちゃってさ。真くんはなにがいい?」
牛乳じゃないのか。まあなんでもいいな。
真「オレンジジュースでお願いします」
嵐紗「おっけ~。私もオレンジにしよ~」
嵐紗さんが俺と嵐紗さんのコップにオレンジジュースを注ぐ。
嵐紗「よし、じゃあ食べようか」
真・嵐紗「いただきます」
嵐紗「真くんも随分と神気が増えたね。前に比べて神気量が全然違う。2000億なんてね~。初めて会った時とはまるで別人だ」
そうなんだよな。俺の神気は以前とは比べ物にならないほどに増えた。効果があると嵐紗さんが言っていた通り、神気の増え方がすごかった。体感できるほどに。
真「嵐紗さんが教えてくれた鍛錬のおかげです!ありがとうございます!」
嵐紗「真くんが強くなると私も嬉しいしね~。これからも頑張っていこうね」
真「はい!あ、そういえば嵐紗さん、今日も一緒に学校行くんですか?」
嵐紗「うん行くよ。最近の日課になってるね。まあいい運動になるしね」
真「そうなんですね。よかったです」
嵐紗「学校行くためにも、早くご飯を食べるぞ~」
真「は、はーい」
嵐紗さんも一緒に学校に行くのも最近の日課なんだよな。まあ俺からしたら登校してるだけなんだがな。
だが俺は知らなかった。
この日常に終わりを告げる日が近づいているということを__




