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天帝転生~前世で王を夢見た俺は異世界で皇帝を目指す~  作者: おかしなお菓子
第3章 王医学校編

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第62話 嵐紗との鍛錬

少し時は経ち、俺と嵐紗さんは翠帝がいる診察室に来ていた。


仁「よし、今日から能力を使っても構わない。学校も行ってくれて構わない」

真「本当ですか!ありがとうございます!」

仁「ただ前にも言ったように無茶はするな。なにかがあってからでは遅いからな」

嵐紗「それを見張るために私がいるんでしょ?大丈夫だって」

仁「そういえば嵐紗、お前…」

嵐紗「ん?なに?」

仁「どれくらいの間真と一緒にいる気だ?もう終わってはいるが…」

嵐紗「翠花ちゃんが帰ってくるまでの間かな。それまではいるよ。流石に小学校一年生を屋敷に一人は可哀そうでしょ」

真「僕的にも嵐紗さんがいてくれると嬉しいです」

仁「まあ真がいいならそれでもいいのではないか?」

嵐紗「ならそうしよう。仁君から聞くことも聞いたし、帰ろっか」

真「あ、ちょっとだけ聞きたいことがあるんですけど…」

仁「なんだ?」


俺が聞きたいことは…翠花姉に関することだ。もちろん翠花姉の今後に関しては翠花姉自身が決めることだ。詮索はしない。俺が気になるのは…


真「翠花姉の手術の時に本当に危なかったと言ってましたよね。どれくらいやばかったんですか?」


翠花姉は心臓を斬られていたと以前言っていた。それがどれほどだったのかを知りたいのだ。


仁「まず心臓だがな、8センチほどの裂傷を負っていた。心臓はおおよそ12センチくらいだ。3分の2は斬られてしまっていたことになる」

嵐紗「それってどれくらいやばいの?やばいってのは想像がつくけど…」

仁「亀裂が入ったガラス玉…とでも言おうか。少しでも刺激すれば崩れかねない。それほどに危険な状態だった。嵐紗がここに向かうのが少しでも遅ければ可能性は0にどんどん近づいていた。あの場に嵐紗がいたこと、俺の医療技術、そして翠花が諦めなかったこと。それらが重なり合ったからこそ為せた奇跡と言っていいだろう」


奇跡…か。確かに心臓を斬られていたら…死ぬと俺なら考えてしまう。だが重なり合い起きた奇跡によって翠花姉は今も生きている。感謝しかないな。


真「そう…ですか…」

仁「ああ。だが翠花は元気に動けている。気にしなくてもいいだろう」

真「そうですね」

仁「そういや真、明日は学校に行くのか?」

真「その予定です」

仁「そうか。なら伝えておく。ちゃんと授業の準備をしておけよ?」

真「はい!では失礼します」


診察室を出て病院を後にした。少し歩き俺たちは屋敷に戻った。


嵐紗「気づいたらもう12時か。お昼ご飯の準備するね」

真「はい、お願いします」


嵐紗さんが準備をしてくれている。俺はその様子をソファから見ていた。結構慣れた手つきでチャーハンを作っていた。


嵐紗「お?どうした~?」

真「いや、どんなのを作るのかなって思って」

嵐紗「チャーハン。手軽に作れるからね。そろそろできるよ~」

真「はーい」


嵐紗さんが作ったチャーハンをお皿に乗せる。結構おいしそうだ。おもわずよだれが垂れそうだ。


真「わあ…!おいしそう…!」

嵐紗「じゃあ食べよっか。手を合わせて」

真・嵐紗「いただきます!」


俺は嵐紗さんが作ったチャーハンを食べた。めっちゃパラパラだし、肉も入ってて男子が好きそうなやつだ。実際俺はこの味が大好きだ。


俺と嵐紗さんはチャーハンを食べ終えた。


真・嵐紗「ごちそうさまでした」

嵐紗「さてと、仁君から能力の使用を許可されてるし、今日は神気を増やすトレーニング、ランニングをやりまくるよ~」


使用許可が出て早速走るのか。まあリハビリがてらだな。


真「はーい」

嵐紗「今日は私のスピードに追い付けるように神気を使って追い付いてね」

真「……そんなに速く走らないでくださいよ?」

嵐紗「大丈夫大丈夫。そこまで速くないから」


嵐紗さんに関しては黄帝なのもあって…基準がずれているのではないか不安だ…。絶対に速いに決まってるな…。


俺と嵐紗さんは靴に履き替えた。


嵐紗「とりあえず走ろうか。まずは学校まで行こう。スピードは気にしないでウォーミングアップのつもりで走ってね」

真「はい」


俺と嵐紗さんは一緒に近くを走った。一緒に走っているが、絶対に嵐紗さんは加減しているってのがわかる。合わせてくれているよなこれ。多分神気云々じゃなくて、素で足が速いんだろうな。


学校までの距離をノンストップで走った。距離にすると約1kmを走ったのか…。


真「はあ…はあ…」

嵐紗「よく頑張ったね。神気なしで1kmを走ったのは誉めてあげようじゃないか」

真「ありがとうございます…」


褒めてもらうもなにも…食らいつかなきゃ置いて行かれるんだ。嵐紗さんは遅くても走っていれば止まってくれるが…俺が少しでも止まれば嵐紗さんは走ってしまう。置いて行かれてしまうため、俺は頑張って追い付かなきゃならない。というか…これだけの距離を走ったというのに…嵐紗さんは全く息が切れていない…。


そして嵐紗さんがストレッチをしている。結構柔らかい。


嵐紗「真くんもやろうか。動くからね、やるに越したことはないよ」

真「あ、はい」


俺も一緒にストレッチをやった。前の世界では硬かったが…こっちでは体が柔らかい。思い通りに体が動く。


ストレッチも終わり、嵐紗さんが口を開いた。


嵐紗「よし、ここからが本番ね。じゃあ神気を解放してもらおうか。1億くらい出してほしいな」

真「あ、はい」


俺は神気を解放した。嵐紗さんに言われた通り1億ほど。


嵐紗「よし、では神気を出した状態でそれなりのスピードを出して走ろうか」

真「えっと…どれくらいの距離を走るんですか?」

嵐紗「そうだね、私の国である『クロディール王国』の訓練所まで行こう。これからそこでも実戦練習をするから、今日はそれの挨拶をしに行こうか」

真「そこって…どれくらいの距離があるんですか?」

嵐紗「結構近いよ。大体60kmくらい」

真「ろくじゅう!?」


そんなの…車とかそういうのを使わないと日が暮れてしまうぞ…。


真「と…とても間に合うとは思えないのですが…」

嵐紗「大丈夫。神気を使って移動すれば意外とすぐに到着するよ。それに明日に影響を及ぼしそうなら私が送っていくから」


それはそれで忍びないが…まあ嵐紗さんからの厚意だ。断るのも失礼ってものだろう。


真「が、頑張らないと…」

嵐紗「その意気だ。よし、じゃあ行こうか!」


嵐紗さんが行く方向を指差した。


嵐紗「大きな道に出たいから、城下町に行こうか。城下町から訓練所までは一直線だから、迷うことはないよ」

真「そうなんですね」

嵐紗「城下町までは早速走ろうか。時間がもったいない」

真「はい…」


嵐紗さんが走り始めた。俺も嵐紗さんについていくように走った。


嵐紗「走りながらだけど言うことがあるよ。走りながらだと普段吸う大気中の神気よりも密度が低くなる。真くんならそれが顕著に出ると思う。空気を吸って神気を増やすんだもんね。真くんは」

真「そうですね…けどそんなに…はあ…差が?」

嵐紗「ほら、もう出てる。さっきはこんな距離だと息も切れてなかったのに、今はもう息が切れてる。気を付けてね」

真「は…はい…」


正直、ここまで差があるとは思ってもみなかった…。さっきは学校の半分くらいの距離でやっと息が切れてきたくらいだったが今は…100mくらいですでに絶え絶えだ…。


真「こんなにきついのか…」

嵐紗「そうだね。けど、これに慣れておくとメリットもある。城下町に着いたら教えようじゃないか」

真「はい…頑張ります…!」


俺は頑張って走った。嵐紗さんに置いて行かれないことだけを考えて走っていた。無我夢中で走っていると、大きな通りに入った。


「ガヤガヤ…」


周辺には食事処や着物の店、また温泉などもあった。子どもが走っていたり、美味しそうな匂いもする。そう、城下町に着いたのだ。


俺は城下町に到着したことによって安堵し、それと同時に地面に倒れ込んだ…。


真「はあ…はあ…」


その時、俺のおでこに冷たい何かが触れた…。


嵐紗「ひとまずお疲れ様。はい、スポーツドリンク」

真「あ…ありがとうございます…」

嵐紗「息を整えたら、休憩をはさみつつ訓練所に向かうからね」

真「はい…あ、嵐紗さん、さっき言ってたメリットって?」

嵐紗「あ、そうだった。メリットはね、真くんの神気の増やし方に関係してるんだ」

真「僕の神気の増やし方…?」


俺が神気を増やすときは大きく息を吸う。それがどう関係しているのだろうか…。


嵐紗「神気を纏った状態でのランニングは意図的に大気中の神気の濃度を下げれるの。戦闘だとそれが常にある。真くんは息を吸って神気を増やすんでしょ?」

真「そうですね、大気中の神気を吸ったり、空気を神気に変えて取り込んだり…」

嵐紗「でしょ?でも、大気中の神気の濃度が低いと増える量が減るの。でもこの状態に慣れることができれば安定して回復できる。安定して神気を回復できるようになれば戦闘において圧倒的なアドバンテージになるの」


なるほど…。これは…完全に俺にしかできない鍛錬なんだな。


嵐紗「真くんにとって、これは大きな武器になる」

真「大きな…武器…!」

嵐紗「そう。だから一緒に頑張ろうね」

真「はい!」


俄然やる気が出てきた。


嵐紗「さっきは神気を1億くらい出してもらったけど、今度は8割くらい出してもらおうか」

真「わかりました!」


俺は能力(センス)である朱雀を解放し、その状態で大きく息を吸った。


嵐紗「結構出るね。15億くらいか。じゃあそれをキープして走ろうか」

真「でも…ランニングをしてると息を吸っちゃいませんか?」

嵐紗「じゃあ…ちょっとじっとしててね」

真「え?はい…」


俺は動かなかった。すると嵐紗さんが俺に近づいてきて…俺の口と鼻をつまんだ…。


真「!?」

嵐紗「さらにここから神気を固定させれば…よし、完成~」


呼吸ができない…!嵐紗さんは俺に何をしたんだ…!?


嵐紗「ふっふっふ~何が起きたかわかってないね~」


本当になにもわかっていないんだが!?息ができないし…!


嵐紗「口と鼻に神気で固定したんだ~。私がよしというまで外さないから。さ~行こうか~」


まじでこれは外さないと…死ぬ!俺は大げさに足踏みをした。


嵐紗「きつそうだね~さてと行こうか」


俺は嵐紗さんが指をさす方向へと走った。だが…能力を解放したからなのか、口と鼻が抑えられてるからなのかはわからないが…なぜだろう、息苦しくないのだ。そりゃあ少しは苦しいが…走り始めてからだ、苦しくなくなったのは。


嵐紗「ここから大体10km走ったら一回休憩を入れようか。神気のおかげでスピードは出るから体感は同じくらいの距離だと思う。頑張ろうね~」


神気のおかげなのか走るスピードはとてつもなく上がった。だがそれ以上に息切れがないのが謎だ。なぜだろうか…。


結構な距離を走った。同じ景色が続いていたが、走っているとそれっぽい建築はなくなり、代わりに小さな一軒家が見えてきた。そこに向かって走っているのがわかった。


嵐紗「あそこで休憩しようか」


その一軒家は明かりがついているだけでお店とかそんなのではなかった。


目的地に向かって走り、到着することが出来た。


嵐紗「ふう、さて…あれ、真くん、全然苦しそうじゃないね。とりあえず外すか」


嵐紗さんが俺に施している神気を取り除いた。


真「はあ…」

嵐紗「さてと、苦しそうに見えないけど、なんでかな?」

真「それが僕にもわからなくて…走っている時だけは苦しくないんですけど、止まると苦しくなるっていうか…」

嵐紗「うーん…謎だね。もしかしたらそういう体質なのかもね」

真「体質?」

嵐紗「うん。神気と能力を解放した状態で走ると逆に息が苦しくなくなるみたいな」


そんな体質ある?アスリートなら喜びそうな体質だが俺にはあまり関係ない気がするな…。


嵐紗「まあそんな体質聞いたことなけど、あるならいいじゃん」

真「そ、そういうものですかね…」

嵐紗「そうそう。さてと、ここに来たのは私が忘れ物をしちゃったからなんだ」

真「忘れ物」

嵐紗「そうなの。訓練所に行くには私が連絡しとかないといけないからさ、それをここならやってくれるの。早速行こうか」

真「はい」


黄帝なのに…その国の施設に入るには連絡をしないといけないのか。まあ驚かれても面倒だからってことかな?


俺たちはその一軒家に入った。


嵐紗「お邪魔するよ~」


そう嵐紗さんが言うと奥の方から音がした。そしておばあちゃんが現われた。


「おやま~。久しぶりじゃないか。嵐紗」


嵐紗さんを…呼び捨て!?このおばあちゃんは…何者なんだ!?


嵐紗「やっほ~ばあば。近くに寄ったから来ちゃった」

真「ば…ばあば?」

嵐紗「うん。私のばあば。黄国に属してるけど基本はここで普通に生活してるんだ。ね、ばあば」


この人が嵐紗さんのおばあちゃん…確かに顔とか髪型、雰囲気とかが嵐紗さんと似ている。


嵐紗の祖母「そうね~。嵐紗、この子は?」

嵐紗「私が知人から預かってる子。鍛錬も兼ねてここに来たってのもあるよ」

祖母「あらそう~。ほいで?なんでここに来たんだい?」

嵐紗「訓練所に行こうかなって。ばあばのところに行けば連絡してくれるかなって」

祖母「そりゃあするけど…嵐紗が訓練所に行くなんて珍しいね」

嵐紗「この子の鍛錬のためだよ。そうじゃなかったら行かないよ」

祖母「そうかい。じゃあ連絡しておくから、行ってきてええよ?」

嵐紗「うん。そうさせてもらうよ。また会おうね。ばあば」

祖母「そうね~。気を付けてね。君もね」


そう言い嵐紗さんのおばあちゃんが俺の頭を撫でてくれた。


真「はい!頑張ります!」

嵐紗「じゃあ行ってくるね」


嵐紗さんが別れの挨拶をし、一軒家から出た。


嵐紗「さてと、訓練所に向かおうか」

真「どれくらいの距離があるんですか?」

嵐紗「一応あと40kmくらいだよ。まあ10kmごとに休憩していこうか。あ、口と鼻は閉じないよ。楽な鍛錬はだめだからね」

真「あ、はい」

嵐紗「早速行くよ」


そこから俺と嵐紗さんは訓練所まで走った。10kmを走り休憩をする、これを繰り返した。走っているので疲れもあったが、スピードを落とすと嵐紗さんも落としてくれる。止まるのはだめだが、スピードを下げるのはいいようだ。


そして走り続けると、竹林に入ってきた。


真「竹がいっぱい…」

嵐紗「もう近いよ。ラストスパートだね」

真「どれくらいなんですか?」

嵐紗「もう5kmないよ。この辺りはずっと竹林続きで、その訓練所もその中にある。頑張ってついてきてね。迷子になるかも」


迷子…こんな空間で迷子になったら一巻の終わりだぞ…!


真「が、頑張ります!」

嵐紗「その意気だ…よ!!」


嵐紗さんがそう言ったその瞬間とてつもない衝撃で足がしびれた…。そして…


真「え?嵐紗さん?」


嵐紗さんが目の前からいなくなったのだ…。こんな竹林に俺一人…しかも初めてのところだから…わからない、どの方向に動けばいいのかが…。


真「まっすぐか?いや、もしかしたら違うかも…」

「迷う必要はないぞ、真」

真「え?」


俺の耳に聞き慣れた声が聞こえてきた。そして俺の肩に乗られる感覚があった。


朱雀「こういう時はの、とりあえず落ち着いて、自分が今できることを探すのじゃ。闇雲に動き、もしも嵐紗が帰ってきたときにいなくなればそれこそ面倒じゃ」


朱雀だった。自分が今できること…動かない…それはビビっているだけだ。だとすれば…今の俺ができることは…


真「なあ朱雀」

朱雀「なんじゃ?」

真「ここで俺が鳥の姿になるとどうなる?竹林に挟まって動けなくなるとか…」

朱雀「それはないぞ。安心せよ。そしてわらわの炎も燃やすこともない。燃やそうと思えば燃えるが意図せずに燃えることはない」

真「なら…なるぞ、鳥の姿に」

朱雀「あいわかった!」


俺はすでに朱雀を解放している。だがそれはあくまで呼吸をして神気を増やすという段階なだけだ。俺は地面を蹴り、そして鳥の姿になった。もう慣れたものだ。


鳥の姿になった俺はそれなりの高さまで飛んだ。竹林よりも高い場所まで。


真{これくらいでいいかな}

朱雀「うむ。じゃが距離があって建物が見えないのう。さて、どうする?」

真{…この尾が使えるんじゃないか?}

朱雀「というと?」

真{この尾って能力を付与できる魔法陣が展開されるんだよな}

朱雀「そうじゃな」

真{なら、神気を感知する能力を付与した魔法陣を8方向くらいに飛ばせばおおよその位置がわかるんじゃないか?}

朱雀「じゃがそれだと知らん奴の神気を感知するかもしれんぞ?」

真{大丈夫。嵐紗さんの神気の雰囲気でわかるさ。きっとね」

朱雀「不安でしょうがないが…まあよいか」

真{そうと決まれば早速だ!}


俺は自身についている尾を1方向ずつ飛ばした。すると3時の方向に、とてつもない量の神気を感じた。そして…雰囲気も嵐紗さんにそっくりだ!


真{あっちだな!}


俺はその方向に向かって飛んだ。感知した方向に進むと、嵐紗さんっぽい人が立っていた。完全には見えてないため、俺はそこで地面に足をつけ、神気を開放するのを止め、その人の近くまで歩いた。だが…その人は全く動いていない…何か違和感があった。


そして…近づいたのだが…それは…


真「にん…ぎょう?」


嵐紗さんにそっくりの人形だった。そして胴体の部分に紙が貼ってあった。


「騙されてる~笑笑。こんなのに騙されてちゃだめだよ!」


あの人…俺のことを試してるな?なんかめっちゃ腹が立った。


そこから俺が立ち去ろうとしたその瞬間…


真「!!」


俺の背中から神気を感じた。俺は咄嗟に飛びのいた。


真「…誰です?」


その瞬間、竹林の中から人が動いているのを見つけた。


真「そこだ!」


俺は落ちている長い折れた竹を投げた。当たりはしなかったが、その人を視認することには成功した。


真「姿を出して!俺は何もしてないよ!」


そう言うと人影が姿を現した。男性だ。


「いやはや、その年であれに反応するんですか。流石は黄帝様に鍛錬をつけてもらっている少年だ」


黄帝…嵐紗さんのことか。つまり…嵐紗さんの近くにいる人間…ということか?


真「あなたは?」

「失敬、黄帝様からの指令でね。君は私に勝たなければずっとここで過ごしてもらいますよ」

真「どういうこと?」

「黄帝様が君に向けて試練を課しました。私に勝つことが出来れば訓練所まで案内を、勝てなければここで過ごしてもらうと」

真「……そうですか。つまり、あなたに勝てば問題はないということですね?」

「ええそうですね。まあできるものなら、ですがね」

真「できるものなら…ですか…」

「なに?」


男が不服そうな顔をしていたが、俺は気にも留めていない。


真「負けない。いや…負けられない。なりたい自分がいるんだ。その夢を実現するまで俺は…負けられないんだ!」

「…そうか」


そして俺は再び神気を解放した。


真「さあ…行きましょうか!!」

「その神気量…黄帝様も気に入るわけだ…」

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