第57話 新たな決意
俺と結夢は燕先生のHRを終え、俺たちは授業の準備をした。
最初の授業は能力だ。グラウンドに出て実践練習をするらしい。
燕「今日は戦闘で使えるものです。護身術くらいに思っておいてください」
護身術か、確かにいるかもしれないな。いざ戦闘になれば自分の身を守るために必要な技術だもんな。
燕「今日は2個技術的な技を紹介します。初歩的な技術ですから安心してください。最初は難しいかもしれませんが練習すれば身に着きますから」
練習すれば…とは言うが難しいんだろうな。俺にできるかな…。
燕「ということで見せた方が早いですね。その技術、その名は『集気』。こんな感じです」
そう言い先生は手に神気を集めた…。神気が渦を巻き、球状となりすさまじいスピードで回転している…。
燕「これが『集気』です。神気が一点に集まり、そして渦を巻くことで相手に対して攻撃できるって感じです。一度地面に向けてやってみると…」
「グシャ!!」
先生が作った神気の渦が地面に触れると同時、回転と同じような痕が地面にできていた…。
燕「ということでやってみましょう」
いや無理でしょ。めっちゃ難しそうだしこれが初歩的ってマジ?絶対できないんだが…。
燕「まあ2人一組でいいでしょう。わからないところがあったら言ってくださいね。私もサポートします。授業の半分はこれの練習、後半はもう一つの技術を教えますね。でははじめ」
俺は結夢とペアを組んだ。そして先生がさっきやっていたように一度やってみたのだが…
真「うわあ!」
神気が球状にまとまらず離散してしまった…。結夢も同じように離散してしまっている…。
結夢「これ難しくない?今日だけでできるとは思えないんだけど…」
真「だよね…先生が求めてるの結構高いのかな…」
そんな会話をしていたら突然…
燕「そんなことはないわよ」
後ろから先生の声が聞こえた…!俺は思わず振り返った…。
真「せ…先生…びっくりした…」
燕「ごめんなさいね。けど本当にこれは初歩なのよ。さっきはいつもの私のスピードでやったからあれくらいだったけれど、実際はこんな感じよ」
そう言い先生は再び神気を手に集中させた…。
燕「まずは神気を手のひらに集中させる。その後にこの神気を回転させる。ゆっくりでいいわ。イメージで想像すればやりやすいわ」
真「イメージ…」
翠花姉や蓮乃さんとの鍛錬で俺はイメージを大事にしてきた。2人の説明が良かったのもあってのことだろうが本当にイメージしてやってみるというのが俺の中では定着している。
俺は手のひらに神気を集中させ、その神気を少しずつ回転させるイメージをした。すると…
燕「いいじゃない。あとはそれを早く回転させたり神気を増やすことで威力が高くなるわ」
真「これってどういう原理なんですか?」
燕「…難しいわね。いや説明はできるのだけれど、あなたたちが理解できるかどうか…」
真「あー…」
燕「まあ気が向いたらでいいわよ。それに君には翠花ちゃんがいるじゃない。多分私の説明以上にわかりやすく教えてくれるわ」
真「じゃあ今日帰ったら聞いてみます!」
燕{頑張ってね~やるのは結構お手軽だけど原理はめっちゃ難しいから~}
「ええ。またわからなかったら言ってね。結夢ちゃんはいい?」
結夢「少しだけ、これって神気どれくらいまでやっていいんですか?」
燕「神気はどれだけ入れてもいいわよ。これで威力が小さくなる原因は…あ、難しいやつだやめとこ」
結夢「えー!教えてくれないんですか?」
燕「けど神気を入れれば入れるほど安定するわ。試しに結夢ちゃん。あなたの最大神気量の…そうだな、8割くらいをこれに入れてみて」
結夢「8割…ですね。わかりました!」
そう言い結夢は神気を開放した…。以前によりも神気量が増えているようだ。約3億…。
結夢「この状態でもう一回やればいいんですよね」
燕「ええ」
結夢は神気を球状に集めた…。それは…綺麗な渦ができていて見事な球になっていた。
結夢「あれ…さっきみたいに離れない…」
燕「まあ少しだけよ?難しい説明をすると、風を神気で覆うのよ。最初に手のひらに神気で空気を集める。集まる空気はすごく速くて、それを神気でとどめているって感じ…わか…らないね」
俺と結夢は同じ顔をしてたと思う。何言ってんだって感じ。
燕「簡単に言えばすごく速く集まる空気を神気で閉じ込めるって感じ。風船を思い浮かべてみるといいかも。ゴムの部分が神気、風船の中にある空気は外に出ようとするけど結んで空気の逃げ道を潰すって感じ。それを神気で再現してるって感じ。神気量が多くないと風船を結べなくて空気が漏れるように神気もまとまらなくて球状にならないのよ」
真・結夢「あー!風船と一緒か!」
思わず声が出ちゃった。しかもめっちゃ結夢とハモっちゃった。
燕「めっちゃハモるじゃん。でも理解できてそうならよかったわ。真くんもやってみてね」
真「はい!」
先生が他のみんなのところに行った。成功している人は…まだいなさそうだ。結夢は成功してるから…2人目になれるように頑張った。
真「まずは神気量を増やすか。ふ!」
俺は神気を開放し、そして大きく息を吸った。
結夢「やっぱり真くん神気多いね。20億か~…。追いつける自信ないな…」
真「俺は能力に恵まれてるだけだから。それに俺はもっと増やさないといけないんだ」
結夢「なんで?」
真「…俺にはもう一つ神話能力がある。それを開放するのにどれだけの神気量がいるかわからないけど、開放できるまで鍛錬を怠ることはないよ」
結夢「真くんはいつも目標が高くていいなあ…。私もなにか目標を作ろうかな」
真「今はなんとなく増やしてるの?」
結夢「ほんとにそんな感じ。どうしようかな」
それを俺に言うのか…。なんて返せばいいんだろう…。
真「日菜子さんを越す!とか?」
結夢「お姉ちゃんは…私越せる自信ないよ…」
真「それがだめ…なんじゃないか?」
結夢「え?」
真「できないかも…それが結夢の中であるんだよ。絶対に越す!って決めて、そのために頑張ればいいんじゃない?」
結夢「…!」
{私は…真くんのことを信じてもいいのかもしれない。時には私にこんなことを言ってくれる。本当に私と同い年なのか疑っちゃうくらい、私にとって変わる言葉をかけてくれる…。私が迷った時…真くんは手を差し伸べてくれる…}
結夢の目がどこか輝いたような気がした。けど俺はそれに触れず、ただ「集気」の練習をした。
真「神気を集めて…神気で風を巻き込み…作る!!」
俺は手のひらにハンドボールくらいの大きさの「集気」を作ることが出来た。さっきは神気が少なすぎてだめだったんだ。
真「これができたから…神気量を増やす!ふ!」
俺は集気に神気を込めた。どんどん神気を入れていった…。
だがそれはとても自由が利くものじゃなくて…俺の腕は挙手をする形になってしまった。
それは空気をとてつもないスピードで一点に集めていた…。俺はそれを制御できず、辺り一帯に竜巻のようなものを作り出していた…。
真「もう…限界…だ…」
あまりの風圧と神気が一点に集まったことに腕が耐えらず集気を手放してしまった…。集気は上昇していき…大きな竜巻となってしまった…。
その瞬間…
「ドン!!」
圧倒的な神気を感じた…。それは…
燕「授業で…けが人を出してたまるものか…!!」
先生が神気を開放していたのだ…。そして先生がその竜巻に向かって飛び出し…
燕「『光破挟斬脚』!!」
先生は俺が出してしまった集気に向かって足で挟み込んだ…。
燕「さすが真くんが作りだした『集気』ね…。硬い…」
先生でさえ…俺が出した集気を止めるのに…苦戦している…それほどのものなのか…。
燕「けどね…」
だがその時…先生の体から金色に輝く神気が溢れ出した…!
燕「生徒を守るのが!!先生の役目なのよ!!」
それと同時、先生の両足が俺が生み出した集気を踏み潰した…!それと同時集気が…
「シュウウ…」
割れた風船のように一気に空気が抜け、竜巻はなくなった…。
燕「ふう。よかった。誰も怪我してない?」
先生の声にみんな頷いた。そして先生が俺のところに近づいてきた…。
真「先生…ごめんなさい…」
先生はなにも言わず俺に目線を合わせるように屈んだ。
燕「そんなに神気を出してたらああなっちゃうわ。それに真くんは才能があるんだもの。そこまで出さなくてもよかったわ。教え方がよくなかったわね。私こそごめんなさい」
真「そんな…!僕があれをうまく使いこなせなかっただけで…」
燕「いや、正確には使いこなせていないわけではないのよね。けど真くんは『集気』の応用を意図せずにやっちゃったのよね」
真「そ、そうなんですか?」
燕「ええ。だから気を病むことはないわ。気にしないで」
真「は…はい…」
燕「まあ『集気』自体はできてないから授業終わりに一緒にやろうね」
真「あ…はい。わかりました!」
燕「ではみなさん、もう一個の技術も教えますね」
先生がみんなを集め、もう一つの技術を教えてくれた。
燕「今度は足に神気を集中させましょう。こんな感じですね」
そう言い先生は神気を足に集中させた。そしてスクワットをするかのように屈んで見せた。
燕「今足に神気が集中していますよね。これを爆発させるように一気に開放し、それと同時にジャンプをすると…」
その瞬間…
「ドゴン!!」
先生の神気は爆ぜ、その爆風に乗って先生は遥か上空に飛んで行った…。
真「わあ…高い…」
「ピュー…」
結夢「めっちゃ速く落ちてきてるね」
真「だね」
結夢「大体真くんの真上くらいかな?」
真「だね。…ん?俺の真上?」
「ピュー…」
「ドゴン!!」
真「へぶ!!」
その光に俺は完全に飲み込まれて思わず吹っ飛んでしまった。
燕「こんな感じね。先生みたいにできなくてもいいので、まずは数十センチ飛べることを目指して頑張ってくださいね」
クラスメイト「はーい!」
先生が言い終えた後、結夢が俺のことをつついた。
結夢「おーい、真くーん」
真「はーい」
俺は何事もなかったかのように起きた。
結夢「これは難しいのかな?」
真「神気を足に集中させて爆発させるようにって感じだよね。一回やってみるか」
俺は足に神気を集中させた。その時…
燕「真くん。今度は神気を出しすぎちゃだめよ。これはそこまで神気は必要ないの。真くんなら1000万あれば十分よ。一旦神気を抑えてちょうだい」
真「わかりました」
俺は今出している神気を抑え、潜在神気量である1000万のみを出した。
燕「それならいいわね。けれど気は抜かないでね。1000万も十分多い。私もサポートするわ。やってみて頂戴」
真「は、はい」
先生が横についてくれ、俺は再び足に神気を集中させた。
朱雀{おそらくお主ならこれはできる。というかすでに何度もやってきたものじゃ。これはな」
朱雀が俺に話しかけてきた。というか何度も?そんなにやったっけ?
真{そうなのか?}
朱雀{ああ。初めてわらわを自身の能力として使った時、お主はジャンプし、そして空を飛んだ。そのジャンプこそがこれなのじゃ。いつも通りにやったらええ}
真{わかった。やってみるよ}
朱雀を初めて使った時…俺はこれをやってたのか。実感ないけど、本人がそう言うってことは間違いないんだろう。
俺は先生と同じようなポーズをとった。そして踏ん張って…一気にジャンプをした。すると…
真「結構行くな!」
俺は近くにある10メートルくらいある木と同じくらいの高さまで飛んだんだ。
燕「真くん!しっかりと足で着地しなさい!神気を纏ってるから痛くないわ!」
真「は、はい!」
どんどん地上に近づいていくが、俺は体勢を変えずにそのまま足で着地をした。
燕「ふふ。これは真くんには簡単だったみたいね。安定していたわね」
真「朱雀を使うときにこれをやってるって朱雀本人に言われました」
燕「あらそうなの。なら納得の出来だわ。真くんは結夢ちゃんのサポートをやってあげて」
真「わかりました!」
先生が俺たちにそう言いみんなのところにいった。
結夢「真くんはすごいね。私も同じ感じでできるかな…」
真「うん。結夢ならできるよ。失敗しそうなら俺が支えるからね」
結夢「心強いね。じゃあやってみる!」
結夢も足に神気を集中させている。俺は結夢に何かあってもいいように朱雀を開放した。
結夢「じゃあいくよ!」
真「いいよ!」
結夢は勢いよくジャンプをした…のだが…
結夢「わわ…!」
結夢のジャンプは少し前傾で…目の前にある木に突っ込もうとしていた…!
真「結夢!」
俺は咄嗟に地面を力強く蹴り、大きく広げた翼で結夢を覆った。
真「大丈夫か!?結夢!」
結夢「真くん…!うん!大丈夫!」
真「一旦降りるよ!」
結夢「お願い!」
俺はゆっくりと地上へと降りた。
結夢「何がダメだったんだろう…」
真「ちょっと前に飛んでたみたい。今度はまっすぐに飛べるといいね」
結夢「頑張る!」
結夢はもう一度ジャンプをした。
結夢「いいんじゃない!?」
今度はちゃんとまっすぐに飛べていて、木にぶつかることもなく、そして無事に着地もできていた。
真「まっすぐに飛べてたし、ちゃんと着地もできてたよ」
結夢「だよね!成功だ~」
それを遠くから見ていた先生はぽつりと言った。
燕「あれが青春か~。私にはなかったな~」
俺と結夢は神気の技術を上手にでき、そして能力の授業は終わった。
残りの授業も受け、給食や学園祭のことも話し、下校の時間になった。
燕「今日もお疲れ様でした。気をつけて帰ってくださいね」
クラスメイト「はーい!」
燕「ではさようなら」
クラスメイト「さようなら!」
帰りのHRも終わり、俺は先生のもとに向かった。
真「先生、神気のやつ…」
燕「そうね。体育館はすでに予約をとれているから、体育館シューズを持って体育館に向かってくれる?」
真「えっと…先に翠花姉に言ってきてもいいですか?」
燕「大丈夫よ」
真「ありがとうございます!」
俺は校門で待っているであろう翠花姉のもとに向かった。
少し時は戻り中等部の校舎、翠花は写真を鞄に入れ教室に向かっていた。
日菜子「翠花…大丈夫?」
翠花「…あんまりよくはないけど…私以上に真くんが危ないと分かった今、私が萎えてちゃだめだなって思ってさ」
日菜子「そっか…。けど写真については先生に言おうよ」
翠花「うん。そのつもり」
教室に向かっている最中、翔が目に入った2人は先生に駆け寄った。
翠花「先生」
その声に翔が振り向く。
翔「翠花か。どうか…したみてえだな。何があった?」
翠花「これを見てください」
そう言い翠花は鞄から写真の束を見せた。翔はその写真を一枚一枚しっかりと見た。
翔「…なんだ?これは?」
怒気が感じられるような低い声で翔は翠花に尋ねる。
翠花「今日登校して下駄箱を開けたら…これが…あったんです…」
日菜子「翠花、あれも忘れちゃだめだよ」
翠花「わかってる。先生、これは決して見逃していいものではないものなんですが…」
翔「……いいぜ。見せてみろ」
翠花は鞄から封筒を出し、それを翔に見せた…。真と翠花が映る写真の真の部分だけが破られた写真を…。
翔「…ふう…一線を越えやがったな…あっちも。だがそれ以上に…真がまずいな…。この手紙の送り主が誰かは知らないが…真にも危険が及ぶのは見逃せないな…これは翠帝様にも報告しておく。これを俺は報告しなければならないと判断した」
翠花「翠帝様にも…ですか…」
翔「ああ。おそらくだが…これを送ったやつは前にあった手紙を書いた奴とと同一人物、もしくはそいつに関わってる人間だ。翠花のことを認知したうえで真を消すと言っている。間違いなくな」
日菜子「界魔将団が…でも翠帝様は取り合ってくれるでしょうか…」
翔「わからんが…翠花のことは認知している。界魔将団ともなれば聞いてはくれるだろう」
翠花「そう…ですね。翠帝様を信じましょう」
翔「だな。あ、ちなみにもうチャイム鳴ってるけど教室にいないから2人共遅刻な」
翠花・日菜子「えー!!」
翔「はは、うそうそ。はよ入れ~」
日菜子「びっくりした~」
翠花と日菜子は席に座り、翔は教卓でHRを始めた。
翠花{付箋…あれだけが不安だ…。私だけなら…まだいい…。…けれど真くんを消す…それだけは…私が必ず…防ぐ…!}
翠花は写真と付箋を破り自身の胸にそう誓った__




