第50話 夏休み突入、虹帝達集結
あれから時は流れ、今は7月の第3週。そう、夏休みに入る直前だ。
「真の上にも3年!」
何か聞こえてきたな。聞いたことありそうでないちょっと変わってることわざが。しかもほんとになんか乗ってる感覚あるし…おでこらへんに…。
「乗り心地悪い!やっぱやめるのじゃ!」
忍耐力なさすぎんか?3年はおろか3秒もいなかったよ、こいつ。
そんな風に思ってる俺はもちろん目を覚ました。
真「もう少し我慢も大事じゃないか?朱雀」
朱雀「頭か肩ならまだ乗れるんじゃがどっちも布団の中に入っておったから仕方なくお主のでこに行ったんじゃが乗り心地悪かったしやめといた」
真「人の体に乗っておいてそんなのありか…。まあいいや。行くぞ」
朱雀「うむ」
俺は朱雀を肩に乗せ、リビングに向かった。リビングにはいつものように明かりがついていた。俺はドアを開けた。中には翠花姉と蓮乃さんがいた。
真「おはよう。2人共」
翠花「あ、おはよ~。真くん」
蓮乃「おはようございます。真くん。ご飯できてますので食べましょうか」
真「うん」
机の上にはすでに朝ごはんのパンができていて、俺たちは椅子に座り、ご飯を食べた。
3人「いただきます」
翠花「今日は午前で終わりだし一緒に帰ろうよ」
真「うん。僕もそのつもりだよ」
蓮乃「そういえば朱雀様の色が前に比べて赤色が濃くなって金色も入ってきましたね」
真「え?そう?」
朱雀「自分の能力の変化くらい気づいてほしいものじゃがのう…」
真「どうして色が変わってるんだ?」
朱雀「お主の神気が増えたからじゃ。しっかりとランニングをしておるし、翠花との稽古もこなしておるからじゃのう」
以前は5億が最大だった。だが、今の俺の最大神気量は相当上がった。
翠花「真くんはほんとに頑張ってると思うよ。今なんて15億でしょ?私でもその年で3か月で10億も増やせる自信はないね」
そう、俺は翠花姉や朱雀に言われたことをこなしていき、15億になった。塵も積もれば山となるを初めて体験した気がするよ。ほんと。
真「さすがに持ち上げすぎだよ。翠花姉」
翠花「そう?まあ真くん褒められるのとか持ち上げられるの慣れてないもんね」
真「うん。けど翠花姉になら慣れたかな」
翠花「そうなんだ?まあ悪い気はしないしいっか」
そんな会話をしながら俺たちは朝ごはんを食べ終えた。
3人「ごちそうさまでした」
俺と翠花姉は学校に行くための準備を着々と進めた。
俺の準備はすぐに終わって、後は翠花姉の準備が終わればいいだけだ。リビングで待とう…と思ったが、リビングにすでに翠花姉がいた…。やっぱり準備早すぎん?この人。制服とかもあるし結構することあると思うんだが…まあいいか。
翠花姉がリビングに入った俺の姿を見てこちらに向かってきた。
翠花「終わったっぽいね。じゃあ行こうか」
真「うん」
翠花姉がソファから立ち上がり、俺たちは玄関で靴を履いた。
翠花「じゃあ行ってきまーす」
真「行ってきます」
蓮乃「行ってらっしゃい」
俺たちは玄関の扉を開け、蓮乃さんに挨拶をして学校へ向かった。
道中で結夢と日菜子さんがいて、一緒に学校に向かった。
翠花姉と日菜子さんと別れ、俺と結夢は教室に向かった。
少ししたら先生が教室に入ってきて、朝のHRを始めた。
燕「おはようございます。明日から夏休みですね。満足いく夏休みを送るためにも、しっかりと聞いてくださいね」
クラスメイト「はーい!」
そこから先生が夏休みに関する注意をプリントを使いながら言ってくれ、大体5分くらいで終わった。先生は結構「プリント見といてください。」を言うから、時間自体は結構短い。おかげで他のクラスよりも早く帰れるしありがたい。
先生が話し終えたくらいの時…
「キーンコーンカーンコーン」
チャイムが鳴った。なんでだろうか。チャイムが鳴り終わった後、誰かが話し始めた。
「あー、あー、聞こえてるか?俺だよ俺」
おいおい、オレオレ詐欺を学校の放送でやる人とか初めてだぞまじで。
「まあ聞こえてなくてもいいわ。俺だよ俺。ハンバーグだよ!」
どっかの師匠が出てきたな?西洋っぽい帽子被ってそうだ。
「仁様。ちゃんとやってください」
女性の声だ。多分だけど様付けしてるしリーラさん辺りじゃないか?
「あ、はーい。てことで校長の橘仁だ。体育館はこの時期は熱いから校内放送でこんな感じでやらせてもらう。明日から夏休みってことで、満足いくように充実した内容を送れ。以上」
いや短すぎんか?オレオレ詐欺パートの方が長かったよ?
「もうちょいお願いします」
だよね。そう言ってくれる後ろの人に感謝だわ。
「えー。じゃあ、夜に一人で外出すると怪しいおじさんがいるかもしれないから気をつけな。あとは親に迷惑をかけるようなことはするな。はめ外すのもそれなりにしとこうぜ。俺との約束だ。以上」
それなりにいいこと言ってくれるじゃないか。いつもの校長先生みたいな長ったらしい文じゃなくて結構短くて内容はそれなりという理想の話だった。
「ありがとうございました。んじゃみなさん、よい夏休みを~」
…この人も結構適当だな。まあいいや。
燕「校長先生の話にもあったように、夜遅くに一人で出ないこと。お父さんお母さんと一緒に出れば大丈夫。はめは外してもいいかもしれませんが、誰かに迷惑をかけることはしてはいけません。先生との約束ですよ」
クラスメイト「はーい!」
燕「さて、ではお待ちかねの夏休みの課題を配りますね~」
クラスメイト「えー!」
終わった。俺の夏休みは課題によってないものになるんだろうな…。
燕「ではこれを配っていきますね~」
「ドサ!」
結構あるやんけ…。買い物かごのようなかごが二つパンパンに詰まってて俺は戦意喪失だわ。これは。
先生が配り始めた…。終わりの始まりや…。夏休みの日誌、能力を除く5教科の課題プリント、自由研究、読書感想文、縄跳びの4種類だが…縄跳びと日誌はまだなんとかなる。だるいのが…自由研究と読書感想文だよな…。しかも2枚。多くね?って思うよ。
燕「これで終わりかな。しっかりと夏休みが終わる前にしっかりと終わらせてくださいね」
クラスメイト「はーい…」
もちろんやらないといけないからしっかりとやるが…やっぱりやる気にはならないものだな。どこの世界でも。
燕「最後に成績表を配ります。前の番号の人が終わったら廊下に来てください」
クラスメイト「はーい!」
燕「ではまずは真くんから」
真「はい」
俺は先生のもとに向かった。先生が成績表を見せてくれた。
燕「君に言うことはないわ。成績優秀だし、能力戦闘も十分。夏休みで成長した姿、休み明けに楽しみにしてるわ」
真「はい。ありがとうございます」
燕「では結夢ちゃんを呼んできて頂戴」
真「はい。失礼します」
成績表をもらい、教室に戻り、結夢に行くように伝えた。結夢が廊下に出た。結夢も俺と同じくらいのスピードで戻ってきた。
俺たちに続いてクラスのみんなも成績を受け取り、最後の人も終わって、先生が教室に戻ってきた。
燕「やることすべて終えたし…よし、では帰りましょうか」
もう終わりか。結構すぐに終わるんだな。まあ課題配って先生から夏休みの注意受けて成績受け取って終わりだしあっという間だった。
燕「ではみなさん。よい夏休みを!」
クラスメイト「はーい!」
燕「さようなら!」
クラスメイト「さようなら!」
すること全て終えて、俺たちは帰ることになった。翠花姉と一緒に帰る約束をしたから、俺は翠花姉を待った。だが教室で待ってるのは忍びないので校門前で待っていた。結夢も日菜子さんと一緒に帰る約束があるらしく、俺は一緒に待っていた。
少し時が経って、中学生が帰り始めたのがわかった。中学生の人混みの中に、2人の姿が見えた。2人も俺たちのことを見つけたんだろう。俺たちを指さしてこっちに向かってきた。
翠花「ごめんごめん遅くなった?」
真「ううん。大丈夫!」
日菜子「んじゃ、帰ろっか」
結夢「うん!」
俺たちは一緒に帰った。そしてこれからの夏休みを楽しみにしながら帰った。俺は夏休みを満喫すると決めた__
とある場所で、緑色の服を着た人間と付添人の女性が虹色に輝くとても大きな城に向かって歩いていた。
「時間は大丈夫か?」
「大丈夫です。皆様が集まるまで始まらないと通達できていましたよ」
「そうか。見てなかった」
「ちゃんとしてください」
「すまん」
彼が城に向かって足を進める。彼が門に到着し、その色にいる受付の人間に声をかけた。
仁「翠国皇帝、橘仁だ。今日の5時からある虹帝会議への参加のため馳せ参じた」
受付「翠帝、橘仁様ですね。ありがとうございます。どうぞお入りください」
仁「ああ」
受付「付添の方も名前をお聞きしてよろしいでしょうか」
リーラ「はい。私、アーガル・リーラが翠帝、橘仁様の護衛として付き添います」
受付「リーラ様ですね。どうぞお入りください」
リーラ「はい」
2人が城の中に入り、入って正面にある大きな扉を開けた。そこに広がっているのは…
仁「相変わらずまぶしいな」
リーラ「そうですね。あの階段を上った先のドアの向こうに虹帝達の皆様がいるんですよね」
仁「ああ。あそこにはお前も入ることが出来ない。俺だけが入ることが出来る。控室で待っていてくれ」
リーラ「承知しました」
リーラは控室へと向かい、仁は階段を上り、扉を開けた。入ってきたのは…
「遅かったな。仁」
「元気そうで何よりだね~」
仁「ああ。お前たちも元気そうだな」
椅子に座っていたのは…紫色の長髪をまとめる男性と、碧色の髪を流している仁よりも若い少女だった。
仁「碧、輪電、お前たちだけか?」
碧「そうだね。嵐紗は1番に到着してて、城下町で暇つぶしてくるって言ってたよ」
輪電「光殿は皆が到着するまで自室で大学の勉強をしてるとおっしゃってたな。来てないのは流己と海治だな。流己は部活が終わってから来るから遅れると言ってたな。海治はすでに向かってきていると先ほど連絡があった。おそらく虹帝会議が始まるのは6時以降になるだろうな」
仁「なるほどな」
碧「仁さんはどうするの?」
仁「俺もここで待っていよう」
碧「人が増える~」
仁が緑色の椅子に座った。碧は碧色の椅子に、輪電は紫色の椅子にすでに座っていた。その時…
「バタン!」
ドアが勢いよく開いた。開いたドアから黄色の髪の少女が走って黄色の椅子に向かった。そのまま黄色の椅子に座った。
碧「嵐紗。そんなに急いでくるものじゃないよ」
嵐紗「仁さんが来たって聞いたから私も一応いようかなってさ!あ、見てこれ!城下町で買った飲み物なんだけど、めっちゃビビ!ってきて速攻買っちゃった!」
碧「確かにおいしそうだけど!後でもっかい買いに行こうよ」
嵐紗「おっけい!!」
嵐紗は仁と輪電にも目を配った。
嵐紗「仁くん来るの遅いよ。1時間前集合を大事にしてこ?」
輪電「お前は早く来すぎて誰も来てないから城下町に行ったのだろう?」
嵐紗「まあそうだけど~」
仁「まあ俺はいつも通りぐらいの時間に来たつもりだ」
集まっている4人が会話をしている最中、再びドアが開いた。見えた陰が2つあった。
流己「お待たせしました」
海治「道中に流己がいたので一緒に来ました」
橙色の短髪の少年と、濃い青色の服を着て、黒髪の中にところどころに青い髪が入ってる青年がいた。
嵐紗「お、流己くんだ~。部活お疲れ様!」
嵐紗が流己の頬を手で円を描くように動かしている。
流己「あ、ありがとうございます」
嵐紗「流己くんは私の横だし、ほら、座りな座りな~」
流己「あ、はい」
海治「光さん以外は揃ったっぽいですね」
輪電「ああ。では皆席に座って光殿を待とうじゃないか」
仁「それがいい」
虹色の席と赤色の席を除くすべての席にそれぞれ対応した皇帝が座り、虹帝の到着を待った。
少し時間が経過し、扉が開いた。少し開いたその隙間から、とてつもない圧が流れ出る…!
嵐紗「やっぱり光さんはすごいね。私らじゃなかったら多分倒れちゃうよね」
輪電「間違いない」
扉がどんどんと開き、そこに人影が現れた。開かれた扉から女性が入ってきた…。
「みんないるじゃん!ごめん遅れちゃった!」
白色の髪を膝近くまで伸ばしているその女性は、ノートとペンを持ち、椅子に急いで座った。
輪電「大丈夫ですぞ。光殿。そこまで待っていませんので」
光「ありがとう~輪電~。他のみんなもごめんね?」
みんなが口をそろえて言う。
「いえ、大丈夫です」
光「そう言ってもらえてよかった。じゃあ会議始めよっか」
「はい」
全員が椅子に座り、虹帝会議が始まった。
光「まずは名前確認からいくよ。私が国の名前とみんなの名前を言ってくから呼んだら返事してね。まず私から。『オリフィーナ帝国』皇帝、姫野光。じゃあどんどんいくね。『デループス帝国』皇帝、常無輪電」
輪電「うむ」
光「よし、次は『デルトスト王国』皇帝、武藤流己」
流己「はい」
光「次、『ヒーディキュア王国』皇帝、橘仁」
仁「ああ」
光「『アーサノビ王国』皇帝、水神碧』
碧「はい」
光「『クロディール帝国』皇帝、狛野嵐紗」
嵐紗「はーい」
光「『クストディウム帝国』皇帝、青山海治」
海治「はい」
光「うん、みんないるね。では本題に入るよ」
そう言い、光はプロジェクターを起動し、ホワイトボードに映した。
光「内容はいつも通り。近況報告がメインで、自分の国で目立つ活躍をした人の紹介とかもやる。じゃあ輪電からお願い」
輪電「我が国は特にこれといったものはないな。だが、我の国出身の人間がヒーディキュアで敗れたという報告を受けた。それに関してはどうだ?仁」
仁「その報告に関して俺は知っている。そしてそいつを破った人間もな。そいつを後に紹介しようと思っている」
光「輪電、その人はなんていう名前?」
輪電「我流だ。地方を転々としているらしく、我が国の隊長を務めたこともある人間だ」
仁「間違いないな。俺の親友であり、直接彼が俺のところに来て報告をしたんだ。まあ間違えるはずもない」
我流、以前真、翠花、蓮乃とぶつかった人間であり、獅道という男とともに行動していた人間である。
光「なるほど。じゃあその人を破った人を教えてもらおうかな。仁」
仁「源一族の中でもずば抜けての叡智を持つ少女、源翠花だ。彼女は強い。未だ成長段階であるにも関わらず、剣術は研ぎ澄まされ、神気も十分に使いこなしている。我が学校で行った体力テストでは歴代の小隊長で見ても3本の指に入る遠野燕を単独で、しかも無傷で撃破した。彼女は相当な強さを持っている」
海治「盛っている気がしますが…なにせ彼女は界魔将団の中堅を単独で倒せている。その彼女を撃破することなど…」
仁「確かに燕も強い。だがその戦いの影響で神気が出し切れないのもあったかもしれないが、翠花が勝ったのは紛れもない事実。だろう?碧」
碧「間違いありませんね。私はヒーディキュア王医学校の生徒会長をさせていただいており、そのテストにも参加しました。そこで彼女は燕さんを圧倒し、残っているもう一人の教員から攻撃を受けそうな少年を守り、その教員にも立ち向かったのを私はこの目で見た。間違いありません」
海治「碧が言うなら間違いないんだろうな。すまなかった、仁さん」
仁「構わん。それに翠花だけではない。面白い人間が我が学校に通っている」
嵐紗「仁くんがそう言うくらいなんだ。どんな子?」
仁が少し間を置き、口を開いた。
仁「赫星真。彼もまた面白い人間だ」
仁がそう言ったその直後…
「キキイイ…」
虹帝達しか入れないはずの扉が開いたのだ…。
海治「誰だ!?ここは我々以外の入室は…」
「誰に口を利いてるのかわかって言ってる?」
虹帝達「…!!」
とてつもない圧をかけるその女性は…水色と紫色の線が入った黒色のローブを着こみ、白い髪をフードで隠していた…。彼女が虹帝達のもとへ歩みを進めた…。
「光、私が来るとは思ってなかったでしょ?」
光「は、はい。なぜこの場にいらしたのか…お聞きしてもよろしいでしょうか…」
「この会議を聞いていると、息子の名前が出てきたからね。息子の名が出るとは思ってもみなかった。だが実際に出たんだ。だろう?仁」
仁「は…はい…。って…真が息子?」
「ああ。赫星真は…私の息子だ」
その言葉と共に、フードを被る彼女がフードを外した…!
破那「どんな活躍をしているのか。親として気になるのは至って普通と私は考える。違うか?」
そこにいたのは…!真の母親、赫星破那だった…!
仁「さ、左様です」
破那「じゃあ、続きを話してもらおうか。仁」
仁が口を震わせながら口を開いた。
仁「彼は体力テストにて、現役は引退しましたが、我が国の小隊長の中でも屈指の実力を持っていた人間相手に、小学生相手ということもあり手加減をしていたんでしょうが、友と共に能力を使いこなし教員2人を同時撃破してみせました。また、入学式にてハプニングが起き、そのハプニングの元凶を私が業波にて沈めました。近距離にいた彼は少し苦しそうな顔をしながらも気絶することなく耐えて見せた。医療をするうえで患者の神気の流れを変えることが必要な私は業波だけは虹帝達内でも随一の精度誇ると自負しております。その私が出す全力の業波を耐えること、そして先述したことの二点は彼の実力を証明するに十分と考えています」
破那は目を閉じ頷きながら仁の言葉を聞いた。
破那「ふふ、そうか。仁、お前がそう言うのなら違いないと私は信じよう。ちなみに仁、真の能力はどんなものだった?」
仁「大きな9本の尾を持つ朱い鳥になることが出来るようです。傷を負っても再生してるように見えました」
破那「朱雀か。真に相応しい神だ。だがな、仁。真は両目とも神話能力だ。さらにもう一つ神話能力を持っている。まだ覚醒していないんだろうが、しっかりと動向を見ておいてくれ。お前の学校に通っているのなら、学長を務めるお前に任せる。いいな?」
仁「お任せください」
破那「よし、じゃあ光。後は私はこの部屋でみんなの会議を傍聴する。私がいることは忘れていつものように会議を進めてくれ」
そう言い破那は自身の能力でできた氷の椅子に腰を掛け会議を傍聴する体勢になった。
光「承知しました。じゃあ流己、近況報告をお願いしようか」
流己「はい、僕の国では界魔将団の活動が少し表立ってきたような気がします」
輪電「というと?」
流己「僕の国にも隊員はいるのですが、その人たちの変死体が出てくることが多く、その死体の近くには必ずと言っていいほどこの紙があるのです。光さん、こちらです」
光「『我、ここに顕現す。界魔将団第26席、ジャガライオ・ジーバ』…これがその変死体の近くにあったんだね?」
流己「はい。そして、死体は目や耳がなく、また筋肉もすべてなくなっており、そのものには神気が宿るのみで、臓器すべてを抜き取られ、その者の尊厳などないと言っているようなものでした」
光「輪電、これについてどう思う?」
輪電「界魔将団の26席なら…その人間は公爵悪魔『ブネ』を能力として持っているな。だがブネは死体は操れど、その死体の臓物までも抜き去るというのは聞いたことがない。裏におそらく臓物を使う人間、界魔将団の誰かのいずれかがいると思っていいだろう」
その話を聞いた光が眉間にしわを寄せながら輪電にこう告げた。
光「輪電、流己の件、任せてもいい?対悪魔に特化したあなたにお願いしたいの」
輪電「承知した。必ずや吉報を聞かせよう」
光「うん。お願い。えっと流己は終わり?」
流己「あ、はい。僕はもう大丈夫です」
光「なら今度は…仁は言ってくれたから碧、何かある?」
碧「いえ、前回と特に変わったこともありません。人材に関しても特に」
光「そっか。じゃあ嵐紗は?」
嵐紗「こっちも特にないかな。部下が充実してきたってことくらい。今年はいつもよりも隊員が増えたんだよね。けど人数が増えただけで才能ありそうなのはいなかった。私も特になしでいいよ」
光「海治はなにかある?」
海治「こちらは界魔将団の件で一つあります。我が国のとある地方で太陽が出ている時間帯のみ、気温が急上昇しているのです。そしてその原因となる団員もおおよそわかりました」
その会話を聞いた輪電が口を開いた。
輪電「気温上昇…太陽…もしや海治、そやつ…」
海治「ええ。界魔将団第33席、ゼルオ・ドーアです。君主、ガープを従えています」
輪電「やはりあいつか…」
海治「知っているのですか?」
輪電「ドーアは我が以前追い詰めたのだが追手によって逃亡を許してしまったのだ。次会うときはやつを必ず殺す。被害を受けた者たちへのせめてもの手向けだ」
光「では…輪電、そいつも任せていい?」
輪電「ええ。やつは…我が殺さなければならんのですよ…」
光「ならお願いするよ。近況報告は以上だね。これで終わろうと思うけど、誰か言っておきたいことある?」
虹帝達の誰も手を上げないなか、一人手を挙げた人間がいた…。
破那「思ったんだけど、シーバンスの皇帝は?」
光「『シーバンス帝国』の皇帝は…大厄災によって今も行方不明です…」
破那「行方不明?皇帝になるほどの人間が行方不明なんてことあるのか」
輪電「それほどに大厄災はすさまじいものということですね…」
破那「ふーん。まあいいか。その子はどんなことしてたの?シーバンスで」
光「彼女は多種族国家を形成していたと聞きます。鬼人族、機械人族、獣人族、エルフ族、竜人族、その他にも様々な種族が一つにまとめたのが彼女です。今は大厄災によってまとまっていたその者たちも離散していると聞きます。それだけ彼女の影響が大きかったということですね」
破那「なるほどね。後釜は決まりそうなの?」
光「いえ…。すべての種族をまとめるカリスマ性、コミュニケーション能力は彼女が随一でした。シーバンスをまとめれるのは彼女以外いないと私は考えています」
破那「なるほど。おっけ。私はもういいよ」
光「では今期の虹帝会議は終わります。お疲れさまでした」
光の言葉と共に虹帝達が次々と退出する。全員出て行ったあと、光は赤色の椅子の前に立っていた。
光「赤花さん…。今あなたはどこにいるのですか…?みな、あなたの帰還を心待ちにしています…。どうか、戻ってきてくださいね…」
そう言い残し光は扉を閉めた…。
どこかに存在する孤島…そこは赤色の木々が生い茂る無人島と言っても過言ではなかった。そこにいる動物の体色は赤色、虫も赤色、植物も赤色、いたるところが赤色に染まっていた…。
その島の中で唯一の人工物があった。そこだけは赤色に染まっていなかった。
その建物の中にある檻に、一人の女性が捕えられてた…。彼女の四肢には錠がかけられていた…。
その捕えられている彼女に2人のマスクをした男が近づく…。
「採血の時間だ。抵抗するな」
彼女に向かって針を刺した。つながっている管には赤い液体が伸びていた。その液体はバケツの中にどんどんと流れていく…。
時間がたち、その男たちは彼女にこう吐き捨てた。
「お前がいるから俺たちがここにいようと思うんだ。さ、薬物投与だ。実験実験」
男たちは…彼女に向かって注射を刺し、中に入っている透明の液体を入れた…。彼女は…一時的に神気量が0になった…。
「お、これは成功か。じゃあ次だ」
彼女に向かってどんどん注射を刺していく…。だが彼女は音を上げることもなくただ彼らの実験体となっていた…。
「今回はこれで終わりだ。また来る。死ぬなよ」
実験を終えた男たちは檻から出て、その建物から出た…。
檻の中にいる彼女の目の光は…消えていなかった…。
「この程度で…死ぬか…。私は…諦めない…。絶対に戻るんだ…。私がみんなと作りあげた…かの理想郷に…シーバンスに!!」
大厄災によって廃れたシーバンス帝国…栄華を極めたシーバンス帝国皇帝、日暮赤花は…未だ希望を捨てることなく、人気のない島で助けてくれる人間を待っていた…。




