第42話 体力テスト5 不死身の風隊長
ついに先生が…本気になった…神気もさっきよりも多く、もう1兆を超えている…。この状況だからこそ彼は本来の限界神気量を超えてきたのか…。
翔「まず手始めだ。さっきの俺とは違うってのを知ってもらわないとな」
先生が風を両腕に纏わせた…。そしてその腕を地面に向かって叩きつけたのだ。
翔「『風絶・迦楼羅』」
叩きつけた直後、風が地面すれすれを相当なスピードで走ったのだ…。俺も結夢も反応ができていない…。
日菜子「あの技…!!結夢!!」
筋肉男子「少年!!」
結夢は日菜子さんが、俺は筋肉男子が掴み、空中に浮かんだ。先生が出した風は周りにいた中学生にぶつかった…。
「え…」
一人の中学生に風が当たった…。その直後、風が巻き起こり…その中学生の身体が無残にも…バラバラになってしまった…。だがその技はそれで終わりでは…なかった…。
真「なんだ?熱い!!」
筋肉男子「あの風の温度は200度を超える…神気が足りないものは…」
筋肉男子がそう言った直後、神気が少なかった男子5名、女子6名が風を受けた…
「うわあああ!!」
「う…あ…」
風を受けた彼らの身体が…火に包まれ少しの断末魔と共に焼死したのだ…。
筋肉男子「ああなってしまうぞ…」
真「そ…そんな…」
あんなの…やばいじゃないか…風を受ければ最後、肉体が温度に負けて焼けるなんて…
翔「残っているものは俺がやる。今のうちに自分の身体を可愛がっておけ」
その言葉と共に先生が…今度は、俺が警戒していた男3人組に向かった…。一人の男子は後ろに下がった。残りの2人が先生と対峙する…!
男子1「風なら…負けませんぞ!」
男子2「それだけのスピードも…重力の前では意味を為さない!」
一人は先生に向かって風を纏った拳を突き立てた。もう一人は先生に向かって手のひらを見せた。
…だがその2人の能力が発動する前に先生が手のひらを見せる男子の腹に手を突き刺したのだ…。
男子2「が…」
翔「お前は『重力』だったな。発動するよりも前に潰すに限る…!」
男子1「暖!」
翔「もう遅い…」
暖と呼ばれる男子が…先生の風を直でくらい…完全に体がバラバラになってしまった…。
翔「次はお前だ…」
男子1「く…!風なら…」
翔「俺に勝てると思ったか?お前では役不足だ…」
男子が出す風をもろともせずに先生が男子の体…心臓に向かって手を突き刺した…。
「グシャ…」
男子1「ぶ…ふ…」
男子が血を吹き…倒れた…。その倒れた彼の首根っこを掴み…振り回した…。辺り一帯には彼の血が飛び散っている…。
翔「残りを日菜子たちだけにしよう…。『風血・迦楼羅』」
先生の言葉と共に彼の血が赤い風に変わった…!標的は…俺たち以外の残っている生徒に向けてだ…。血が彼らの方向にどんどんと向かっている…。
彼らの地面に血が飛び散り、それを確認した先生が男子の遺体を地面に捨てていた。
翔「生き残れやしない…。諦めろ…『風龍血巻』」
赤い風が…竜巻となり、生徒たちを襲った…彼らは一人残らず竜巻に飲み込まれた…。
「うわあああ!!」
男子3「何が…起きている…!?」
その竜巻は校舎を優に超える高さまで発展した…。
翔「終いだ…『終風血』」
竜巻が生徒たちの上空に現れ、そして…
「パチン!!」
先生の合図と同時、風が一気に開放された…。解き放たれた風は…空中にいる生徒たちを地面に叩きつけたのだ…。
「パ!」
何かが俺の耳と視界を塞いだのだ…。何が起きた?訳も分からず誰かが耳と視界を解くのを待った。
少し時間が経ち、俺の耳と視界が戻った。そこに広がっていた光景は…
真「あ…ああ…」
結夢「そん…な…」
無残にも地面を紅く染めた中学生たちの遺体だった…。
日菜子「ねえ…武くん…勝てる…?先生相手に…」
武「名前で呼ばれるのは初めてだが…あれはちょっと…」
日菜子「だよね…ふう…頑張るか」
先生が俺たちに近づいてきている…。
翔「この光景を見せまいと判断したのは流石上級生だな。では次は…お前らだ」
先生がその言葉と同時、先生が猛スピードで突っ込んできた…!
日菜子「武くん!一瞬だけ持ちこたえて!」
武「了解!」
先生に対峙したのは…なんと筋肉男子である武さんだった…。あの先生を止めれるというのか?
武「カモン!雷電!」
そう言った瞬間、彼の体…正確には筋肉が先ほどとは比べ物にならないほどの大きさになっていたのだ…!
翔「確か武は…『雷電為右衛門』だったな!!」
雷電為右衛門…前の世界、江戸時代後期に活躍した「史上最強の力士」の名を冠する大男だ。彼に合っている能力と言える。
彼が先生と対峙した…。
翔「さすがは武だな。一撃一撃が重い…」
武「俺は筋肉に愛された男ですか…ら!!」
声を上げたと同時、先生を足で振り切ったのだ…。彼の足は…まるで巨木と形容できるほどに太かった…。
武さんが両拳を地面につけた…。そのポーズはまるで…これから相撲を取る人間がするものだった。
武「ごっつあん!!」
そう言った彼は神気を爆発させた…!その数値…5000億…!
翔「ふ…。見事だ。武。それでこそ張り合いがあるというものだ…!」
翔先生が不敵に笑い、武さんとぶつかり合った…!
「バーン!!」
両者がぶつかり合った時、周りには風が巻き起こった…!そのまま2人は互いの拳で殴り合ったのだ…!筋肉がある武さんが優勢に…
翔「おらおらどうした!パワーはあるが…スピードで負けてんぞ!!」
武「ぐ…ぐ!」
武さんが先生のスピードに…追い付けていない…彼でさえ…先生のスピードを超えることができないのか?どれだけのスピードがいるんだ…。一方的に武さんが殴られ続けている…。もう武さんは…血まみれだった…。
翔「お前とは…筋肉の話でまた盛り上がろう!!」
武「な…」
殴り合いの最中…先生が拳を一気に振りかぶった…その攻撃は…
武「ぐ…あ!」
翔「光のない世界で殴られるのもまた…乙なものだろう!」
武さんの目を…切り裂いたのだ…。そしてそのまま先生が拳を振り上げる…!だがその時…
日菜子「よく頑張った。武くん。こんなにボロボロになってまでよく耐えた。あとは私に任せて」
武「…日菜子…さん…」
先生が振りかぶっている拳を日菜子さんが止めたのだ…。
翔「次は…日菜子だな!受けて立つぞ!」
先生がそこに立っている武さんを蹴ろうとした瞬間…
「バチ!!」
雷がそこに落ちたのだ…。その衝撃で先生の体は自由が利かなくなっている…!
翔「ぐ…!」
日菜子「そんなのさせるわけないでしょう!!2人共!武くんを!」
真「はい!」
そう言い日菜子さんが武さんを俺たちの方向に投げた。俺は武さんをキャッチした。だが武の顔は…もう…
武「もういい…俺を捨て…戦闘に専念しろ…少年少女…」
そう言い…武さんの体から力が抜けた…。
真「た…武さん!」
結夢「く…そんな…」
武さんは…力尽きてしまったんだ…。だが…彼が稼いだ時間で…日菜子さんは万全になった…!
日菜子さんが先生と殴り合っている…!
日菜子「武くん…あとは任せて。絶対に勝つから」
翔「それができりゃあ…いいな!」
先生が腕を掲げた…!その直後、再び風が巻き起こった…!
翔「あいつらの二の舞にはならねえよな?」
日菜子「私は強いですよ?」
翔「だろうな!『風絶・迦楼羅・爆』!!」
「バン!!」
直後、先生が起こす風が…爆発したのだ…!
結夢「お姉ちゃん!!」
とても距離が近かった…大丈夫なのか…?
「ズザザ…」
地面をずり立っていたのは…雷を纏う日菜子さんだった…!しかも爆風を受けたような痕もない!
日菜子「あれも十分人殺せるね。ま、私は食らわないけど」
結夢「お姉ちゃん!」
日菜子「さすがにあれで終わるはないよ。それより2人ともにも協力してもらわないと多分勝てない。協力して」
日菜子さんだけでは…勝てないのか…。先生はそれほどに強いということなんだろう…。
真「僕は何をすればいいですか?」
日菜子「真くんはさっき出してたあの柱を出して。その柱とは別で何か先生を追い詰めれるものがあればいいんだけど…ある?」
真{朱雀。あるか?}
朱雀{まあ追い詰めるとは違うかもしれんが「金紅羽・積善」が安牌じゃが…それでは追い詰めるには至らんじゃろう。「焼弓光光」であやつの動きを多少は抑えれるかもしれんが…あやつのスピードを今の真が追えるか次第じゃ。追えるのならそれでいいじゃろう。厳しいなら前者じゃな」
真{なるほどな}
「日菜子さん。なくはないですが…そこまでできないかもしれないです…」
日菜子「あるにはあるんだね。ならそれをやってもらおうか。できるできないは問わないし、失敗しちゃってもいいからね」
真「は、はい!」
任せられたんだ…。全力でやるぞ!
結夢「お姉ちゃん。私は?」
日菜子「結夢は桜を真くんの柱の中にどんどん出して。そうすれば先生の動きを止められると思うから」
なるほど…。だがそれだと…
真「日菜子さん。お言葉ですが、それだと日菜子さんも…」
日菜子「ふ、真くんよ。さっきの200メートル走で私が走ってるとき、君は何を見ていたんだい?」
さっきあった200メートル走…日菜子さんは大きな音を立てたと同時、ゴールテープを切っていた。速すぎて俺は目に負えなかった…。それはもちろん覚えている…。
真「速すぎて見えなかったです…」
日菜子「あ、そっか。ならしょうがないか。私はね、雷そのものになることができる。つまりどういうことかわかる?」
真「雷に…もしかして…」
日菜子「多分考えてくれてるのと同じことが起きる。私が雷になったとき、雷が桜を熱で焼く。私が雷になれば結夢の能力は無効化できる。つまり、私は制限なくあの柱の中で戦闘できる、先生は桜を気にしながら戦わないといけない。これだけで結構有利になると思わない?」
確かにそうだ…!結夢の桜は触れて初めて効果がある。なら触れる前に焼いてしまえば無効化できるな!
結夢「なら私は真くんが出している柱に出せるように桜を出せばいいから…」
日菜子「真くんが柱を出したら真くんの鳥の状態で上空から桜を出してくれればいい。あの柱って何度あるの?確か…2000度だったような…」
日菜子「でもさっきはそれで先生は死ななかった。ならあとは私がなんとかするしかないか…まあなんとかなるっしょ。じゃあ始めようか」
真「はい!」
俺は日菜子さんに言われた通り、鳥の姿になり、結夢を連れて空を飛び、柱を出した!
真「『火怨柱律』!!」
俺は先生を中心に回る柱を展開した。先生は…驚いている様子は見えなかった。
翔「まあそうしてくると思ってたよ。驚きはない。では…俺も抵抗を…」
日菜子「私も来ました~」
翔「な…!」
先生を囲む柱の中に日菜子さんが来たのだ…!そして先生と殴り合い始めた…!
日菜子「ここは熱いですね!先生!」
翔「ここではお前も…」
日菜子「それで先生が倒せるならそれでいいんですよ!」
翔「相打ち覚悟か…だとすると…まだなにかあるな?」
日菜子「当然!結夢!頼むよ!」
結夢「うん!『満開・サクラサケ』!!」
結夢が手を柱の中心に向かって出し、そこから桜が大量に舞い込んだのだ…!
翔「く…あの桜…まずいな…」
日菜子「桜にばっか注目してますけど私もいますよ!」
日菜子さんが先生との殴り合いをさらに加速させた…!それに先生は日菜子さんに注目せざるを得ない。
真{あれだけ速いと…日菜子さんに当たるかもしれない…どうしよう…}
朱雀{やめておけ。あの2人の空間で水を差すとかえって不利になりかねん}
真{わかった…}
俺は打とうとしていた弓をしまった。その時でも、柱はどんどん近づいている…!
日菜子{そろそろ桜が来るね…しかも柱も近づいてきてるし、そろそろ逃げようか…}
翔「どうせ逃げる気だろう?」
日菜子「な…」
先生が…日菜子さんを掴んでいる…あれじゃあ…雷になれないのか…?
翔「どうせ逃げの算段はついているんだろう…だが日菜子がいなければさっきの二の舞だ。それに今の俺でもあの2人ならやれる。さあ…どうする?」
日菜子「ふふ…」
翔「何がおかしい?」
日菜子「私を掴んだって無駄ですよ!」
日菜子さんが先生の頭を掴んだ…なにをする気だ?
翔「まさか…お前…!」
日菜子「そのまさかですよ!雷…すなわち電気は人体を内側から壊せる!あなたはもう…なにもできません!『雷絶駆』!!」
翔「ぐああああ!!!」
えぐい…先生の頭に直接電気を流しやがった…!脳に電気が流れると…体の機能が一時的に停止する…!しかも周りには柱もある…!日菜子さん…えげつないな…!
電流を受けた先生の体から…神気がなくなっていく…しかも先生は白目をむいている…体勢が崩れた…。いわば先生は今生身の人間だ…その状態では2000度なんて体がもつわけもない…。
日菜子「さよなら!先生!!」
日菜子さんが雷の姿になり、柱から出た…!そして柱がどんどんと先生に近づき、最終的に柱は完全に重なった…!
日菜子「よし…あれならもう終わりだね…。後は…翠花と燕先生か…」
俺たちは翠花姉と燕先生の方を見た。未だつばぜり合いは終わっていなかった…。だが翠花姉が燕先生を抑えてくれたから…翔先生に勝つことができた…。
「ビュオン!!!」
真「え?」
突然、風が巻き起こった…。その風は…
日菜子「…!!まさか…。きゃあ!!」
日菜子さんを掴み、先ほど柱があったところまで連れて行ってしまったのだ…。まさか…
真「日菜子さん!」
俺は日菜子さんが連れられた方向にダッシュした…だが…
「バン!!」
真「な…」
風が俺の進行を阻んだのだ…。俺ではそれよりも奥に行くことができなかった…。結夢も同様に行けなかった…。
真「なんだよこれ…。日菜子さん!!」
結夢「お姉ちゃん!!」
俺たちがその風の外側から叫んでいたその時…
「バチ!!」
雷が走った…つまり…日菜子さんはまだ生きている…。だが風が止まない…。つまり…
「はあ…結構…えぐいことを…してくれんじゃ…ねえか…ゴフ…」
真「あ…ああ…」
そこに立っていたのは…
翔「日菜子…お前が俺に勝てたのはあいつらの支援があったからだ…。あの2人の邪魔さえなけりゃあ…俺は負けねえよ…」
さっきよりも血が噴き出し…火傷も負った…翔先生だったのだ…。そして…
日菜子「ここからは…タイマン…と…ふう…」
頭から血を流した…日菜子さんだった…。
結夢「お姉ちゃん!!よかった…」
日菜子さんも…さっきまで無傷だったのに…頭から血を流し、ところどころに傷が見えた…。
日菜子「私は…負けませんよ…先生」
翔「ああ…そうか…。なら俺も負けるわけにはいかねえな…。お前を倒し…あの2人もやってやるよ…」
日菜子「やってみてくださいよ…先生!!」
日菜子さんと翔先生が真正面から向き合った…。俺たちの生死を決める最後の戦闘の火蓋が切られようとしていた…!




