第41話 体力テスト4 先生たちの本気、異次元の戦闘
俺は翠花姉に抱きかかえられながら元の会場に戻っていた。そんな最中、俺は先生に質問をした。
真「ねえ先生」
燕「ん?どうしたの?」
真「この後の競技って何があるんですか?」
そう、今後の競技だ。俺はそれなりに大きなことをした…。だからこそ、この後の競技に先生たちに支障があるといけないと思ったからだ。
燕「この後は私たちがもう一度、今度は中学生の鬼ごっこをやるよ。それが終わったらおしまいだよ」
つまり…俺の体力テストは終わりなのか?
真「もう終わったって思っていいんですか?」
燕「そうだね。真くんはもうおしまい。後は中学生の鬼ごっこを見たら、午後に高学年がやるからそれを見て、今日はばいばいだね」
真「そっか。ならもう神気は抑えていいですか?」
翠花「残念それは私が許さないんだな~」
真「え?ど、どうして?」
なぜ抑えてはいけないのだろうか…。翠花姉は何を狙っている?
翠花「先生、先ほどの競技、みんなに合わせて神気を抑えていましたよね?」
燕「え、ええ。まあそうね。全力ではないわね」
翔「俺も全力ではないな。それがどうかしたのか?」
翠花「それで、私は思ったんですよ。真くんは虹帝達を目指す。今はその成長段階。そんな中で今までの戦闘はほぼ私がやってきて、真くんが戦闘したのを私が見たのは先生たちとだけ。それではいけない。だから、無茶ぶりかもしれませんが、真くん、可能なら結夢ちゃんも先生たちが全力の状態での鬼ごっこに入れさせてはくれませんか?」
翠花姉は…いつだって俺のことを考えてくれている…。こういう望まなければできないことを提案してくれるんだ。俺は蹴るなんてことは絶対にしない。
翔「記録は小学生でいいな?さすがに中学生基準の記録は今のこの子にはきついだろうしな」
翠花「そこは、はい。記録とは関係なく、真くんのためにお願いします」
燕「そういうことなら任せて頂戴。真くんはいいのかな?」
真「はい!僕も頑張るのでよろしくお願いします!」
燕「なら決定ね。あ、真くん私たちの能力ってわかってる?」
翔先生はわかったが…燕先生の能力は知らない…。あの高速移動はとてつもなく速かった。気づけば真正面にいるといっても過言ではないほどに。
真「うーん…光ってましたし…雷とか?」
燕「ぶっぶー。正解は…『光』だよ」
光…だと…。光といえば光速という言葉すらあるんだぞ…。確か前の世界で1秒で地球を7週半するとかいう俺では想像がつかないスピードだ…。
翔「ちなみに俺は『風』だ。まあバレたけどな」
真「なんか透明なものが見えましたからね。移動速度もそれなりに速かったし目の色で風かなって」
翔「おいおい翠花。ちゃんと見分け方も理解してんじゃねえか」
翠花「そりゃあ、私の可愛い弟ですから~。ね?真くん」
真「う、うん!翠花姉にいろんなことを教えてもらってます!」
翔「将来が楽しみだねえ。さて、そろそろ会場だな。みんな見えてきた」
燕「翠花さん。結夢ちゃんに参加するか聞いておいて。彼女の意思ももちろん尊重したいから」
翠花「わかりました」
そんな会話をしながら俺たちは会場に戻った。ちなみに俺は翠花姉に抱きかかえられたまま。
そのまま戻ったら、周りにみんなが寄ってきた。
男子1「いいな~!真くん!抱っこしてもらっちゃってよ!」
男子2「僕も抱っこしてほしいよ!」
真「え、えっと…」
翠花「まあまあ、私も暇な時があったらやってあげるからさ」
男子1「今がいい!お姉ちゃん可愛いもん!」
その言葉を聞いたその時、翠花姉は顔が凍ったかのように顔色が変わった…。
翠花「いくら私が可愛いからってそんなわがまま聞いてられないよ。それに私、この後鬼ごっこがあるからさ。じゃあ、行くね」
男子2「ずりーぞ!真!」
そんな男子たちを尻目に翠花姉は日菜子さんのもとに向かった。
日菜子「男子たちから人気だったね~。ほら、そんな顔をしないの。あれがあったから難しいかもだけどさ。切り替えないと」
翠花「まあね。それより、日菜子。私ね、真くんも中学生たちのグループに参加させることにしたの」
日菜子「え~?そんなのできるんだ」
翠花「先生に聞いたらいいよって。それで提案なんだけど、結夢ちゃんも参加するって言ったらなんて言う?」
日菜子「ん~…私たちがいるってことは先生たちも本気だよね。結夢、どうしよう?」
結夢「私は…出たいよ。真くんも出るのなら私も出たい。真くんに助けられてばっかだからさ」
それは…違うんじゃないか?先生たちと空中戦をしたときの決め手は結夢の桜だ。それがなければ負けていたのはこっちだった。結夢が責める必要はないと思う。
真「それは違うよ、結夢。結夢がいなかったら多分僕はあのまま先生たちに負けてたと思う。結夢がいたからこそ勝てたんだよ。だからそんな風には思わないで」
結夢「真くん…!ありがとう!なら私も自分に自信を持つね!」
日菜子「おたくの弟さん、私の妹をたぶらかしてませんか?」
翠花「し、知らないわね~。なんのことかしら~。おほほほ」
翠花姉…そんな口調もあるんだな…。俺はたぶらかしたつもりはこれっぽちもないんだが…。
翠花「さて、結夢ちゃんが参加するのなら私は先生に言ってこなきゃだから一瞬外すね」
日菜子「うん。行ってらっしゃい」
翠花姉は結夢の参加を先生たちに言いに行った。先生たちは頷いていた。そしてシールをもらい、翠花姉がこっちに戻ってきた。
翠花「OKだって。じゃあ2人にこれ」
そう言い翠花姉はシールを俺たちに渡してくれた。
真「これってどこに貼るのがいいの?」
日菜子「いや、これはお腹に貼らないといけないんだ。どことかなくね」
結夢「あ、そうなんだ」
俺たちはお腹にシールを貼った。貼ったくらいで先生が中学生たちに向けて口を開いた。
翔「じゃあ最後に中学生の鬼ごっこをやる。そして今回だけ例外中の例外として先ほど活躍した2人も参加する。翠花と弟と日菜子の妹だ。変に気を起こすなよ?」
「うす!!」
翔「では始めようか。先に言っておくが、お前ら相手なら俺も燕先生も本気で行く。いいな?」
「うす!!」
ついに始まるぞ…!中学生たちと一緒にやるんだ…!俺は全力でやるぞ!そう思っていた時、筋肉男子がこちらに寄ってきた。
筋肉男子「ふ、少年よ。先ほどの試合を見ていた。ん~ナイスマッスルだ!!」
真「あ、ありがとうございます!!」
翠花「はいはい、真くんを褒めてくれるのは嬉しいけど、あなたも頑張らないとでしょ?」
筋肉男子「もちのろんだ!互いに頑張ろう!少年と翠花!はっはっはっは!」
そう言い筋肉男子が離れていった。
翠花「まああの人も結構強いし、後半まで残るかな~」
真「けど、先生たちも本気なんでしょ?神気どれくらいかな?」
翠花「私が知ってる範囲でだけど、翔先生の最大神気量は9900億。もう少しで1兆だね」
翔先生が1兆…もう俺ではわからない次元だ…。
翠花「そして燕先生は私を超えてくるよ。確か…14兆だったかな」
真「え!?」
14…兆…?翠花姉でさえ届かない範囲にいるのか…燕先生は…
翠花「しかも2人はさっき翠帝様に聞いたと思うけど昔小隊長をしていた。つまり実戦経験が豊富だよ」
俺は…後悔した…この別次元な環境に入ったことを…だが、翠花姉の期待を裏切るわけにはいかない。だから俺は…この環境に来たんだ…!
そして翔先生が声を上げた…!
翔「では全員、神気を最大まで開放しろ!!」
その声と共に中学生たちが一斉に神気を開放した…!俺も一緒に神気を開放した…。そして翠花姉も。先生たちはさっき言われた数値になっている…!これは…得られるものも多いぞ!後悔をしつつも、この状況を全力で楽しむと俺は決めた…!
翔「では…はじめ!」
先生が声を上げたと同時、急発進をした…!もう眼鏡男子が捕まった…!
燕「よそ見してる余裕はないわよ!!」
そこにはすでに燕先生が向かってきていた…。先生が拳を俺に向けた…。俺は反応できなかった…。だがその瞬間、俺の視界は後ろに飛んだ…。
真「え…」
「ガキーーン!!」
大きな金属音と共に燕先生と刀を持った翠花姉がぶつかった…。
翠花「初手から真くんを狙いのは違うでしょう!先生!」
燕「やってみたくなるものよ!」
その2人の会話と同時、燕先生は拳で、翠花姉はつばぜり合いが始まった…。そのスピードは…
俺には全く見えなかった…翠花姉の刀も燕先生の拳も見えなかった…。わかるのは2人が異次元の戦闘をしているということだけだ…。聞こえる音が俺には多すぎた…。
その時、2人が大きく振りかぶった…。
翠花「覇王流…『業禍絢爛』!!」
燕「『光覇神拳』!!」
「バギャーーーン!!!」
2人の技が…ぶつかった…!
真「うわ!!」
俺は2人の衝撃で吹き飛ばされた…!そこで視界に入ったのは…黄色の雷と緑色の雷がぶつかりあっているということだけだ…。
そのまま俺は吹き飛ばされた…。
「ガシ!!」
誰かが俺を捕まえた…。
筋肉男子「大丈夫か!少年!あの2人には近づくな!!あの2人は本当の意味で別格だ!!」
筋肉男子だった。
真「は、はい!」
筋肉男子「よさそうだな!ははは!!では離すぞ!!」
真「はい!」
そう言い彼は俺を離した。俺はもうこの環境で頑張るしかない。そう腹を決めた。俺は朱雀を開放した…。
「クアアアア!!!」
俺は空を飛んだ。その光景をつばぜり合いをしている2人を除く全員が見ていた。
筋肉男子「ふはは!これはすごいな!!」
翔「きたか!!」
翔先生がこちらに向かって飛んできているのが見えた。俺は彼を迎撃しようと羽を広げた。
真{金紅羽…}
朱雀{それでは負けるぞ!少しわらわに所有権を渡すのじゃ!どういう技がよいかだけ見せてやる!}
真{わ、わかった!}
そう言い朱雀は俺の身体の所有権を奪った。そして朱雀は今いる高さよりも遥かに高いところまで飛んだ…!
朱雀{今の真ならこれは可能じゃ!!}
朱雀は翼を広げ、深呼吸をした…。そして雄たけびを上げた…!
「クアアアア!!!」
その直後、赤い柱が次々と地面を突き破り出てきたのだ…!
朱雀{火怨柱律!地面に柱を作る技じゃ!わらわと戦った時のあの場所で立っていたあの柱じゃ!}
朱雀が出した柱が翔先生を囲んだ…!
翔「あついなあ!!おい!!『獄風天乱!!』」
翔先生が柱に向けて風をぶつけた…!その風は柱とぶつかったが…少しの衝撃を与えてすぐさまなくなったのだ…。
翔「まじかよ!?あれでびくともしないのは流石にやべえな!」
そう言い翔先生が離れようとした…。
朱雀{わらわがそれを逃がすわけなかろう!わらわの大技を受けてみよ…『極彩天・飛翔』!!」
朱雀がそう言った直後、柱が地面にいる中学生も動かざるを得ないスピードで動き出したのだ…。その中心には…翔先生がいる!
翔「これはまずいな…。助かるには…これしかねえな!!」
柱がどんどん近づく中、先生は空中を飛んだのだ…。柱が重なるよりも早く、抜け出すつもりか!?
真{朱雀!先生が抜け出すぞ!}
朱雀{あれは速すぎる!どうもできん!わらわが前と同じく突っ込んだところで避けるし…どうしたものか…}
真{考えてないのかよ!}
俺たちがそう思っていたその時、黄色の閃光が柱の中心辺りで止まったのだ…。そこにいたのは…
日菜子「私たちがいることを忘れないでよね!先生!」
結夢「私も戦えるんです!」
日菜子さんと結夢だった。
翔「日菜子か!?そして結夢も…まさか!!」
日菜子「そのまさか!やっちゃえ!結夢!!」
結夢「『満開・サクラサケ』!!」
柱の中心にいた先生目掛け、結夢が大量の桜を放ったのだ…!逃げる面積が小さく、先生は桜の力をなんとかしようと風を出した…だがそこに雷が突き抜け、先生は一瞬止まった…その一瞬でも結夢の桜なら十分すぎた。先生は桜の力で完全に止まったのだ…!
翔「く!!」
結夢「これが私が持つ能力全部使ったらこんなこともできるの!!お陀仏!!先生!」
日菜子「あんまりそういうこと言うな!けど…お陀仏!!先生!」
結夢「やっちゃって!真くん!!」
結夢が俺に向かって声をかけた。ここまで完璧な状況で…ミスるわけがない!!
真{いくぞ!朱雀!!}
朱雀{ああ!}
俺は止まっている先生目掛け、そして柱の中心目掛け飛んだのだ…!
そして先生が無抵抗なのも構わず俺は先生に向かって突っ込んだ!その勢いのまま、俺は先生を地面ごと叩きつけた…!柱も完全に重なり、その柱は眩い光を出しながら消えた。重なったときの温度は今の朱雀の状態の俺でさえ熱いほどだった。これを食らった先生が生きているわけがない…。
「クアアアア!!!」
俺は勝ったという喜びで声を上げた。
「ドカン!!」
…叩きつけたその地面から…爆発にも近い音が聞こえた…。そして…突風が巻き起こったのだ…。まさか…
「あれが…お前の大技か…。それに結夢と日菜子との連携、見事なものだ。だが…この程度で死ぬわけにはいかんな…」
真「え…」
そこに立っていたのは…
翔「普通は死ぬ。そう思うだろうが…俺を舐めすぎたな…俺の偉人能力『船坂弘』がなければ死んでいた…」
全身血まみれの翔先生だった…。それに…今…船坂弘と言ったか…?彼は俺でも知っているぞ…前の世界、太平洋戦争で「不死身の分隊長」と呼ばれた軍人だ…。その二つ名の通り、彼は何度も致命傷を負いながらも生還したという異次元の耐久力を誇る…。そんな彼が…先生の能力だと…
日菜子「あの技を食らって…生きてるなんて…」
結夢「真くんが失敗するわけない…どういうこと…?」
翔「真の熱でも衝撃でも俺を殺すには至らなかったな。では…ラウンド2だ…」
血まみれの先生が俺たちの前に立った。そこにはさっきのような軽い口調の先生ではなく、何度も死線を超えてきた本物の戦闘者の覇気を纏う加藤翔という人間だった…俺たちはこの人を倒せるのか…?




