第35話 身体測定
烈道の騒動はあったが、引き続き検査は続けられた。
学年主任「では引き続き検査を続けます。えっと…今は24番までいきましたね。では25番の生徒は先生の前に立ってください」
25番の生徒が先生の前に立つ。俺は前に立った生徒たちを見た。みんな神気を出している。
だがみんな出している神気は一般的で全く惹かれるようなものはなかった。
そのまま時は経ち、番号は33番までいった。
そこでとある女子が、俺や結夢、烈道とも違う、異質な空気を纏っているのを俺は見た。クラスは…結構奥で、全てで10クラスある中で最奥から1つ手前のようだ。つまり…9組かな?俺はその子を見た。
真「なんだ?あの子…」
結夢「どうしたの?真くん。9組の子を見てるけど」
真「いや、なんていうか…あの子、すごい空気してるなって思って」
結夢「あの子が?そんな空気出してる?」
烈道「俺にもそうは見えないが…」
結夢も烈道もわかっていないのか。俺がおかしいのか?だが明らかに異様な空気だ…。俺は疑問に思いつつ彼女を見た。
学年主任「では神気を開放してください」
その声と共に、前に立っている生徒たちが神気を開放する。その子は少しだけ待っているようだ。
その子を除くすべての生徒が出し終え、あとはあの子だけだ。そう思っていたら、彼女が両手で拳を握り、その両手を合わせた。その直後…
「ドン!!」
大きな音と共に、辺りに暗いモヤが出てきた…。そして彼女が神気を出している…!その数値は…
真「4…億…」
烈道「俺と同じ量かよ…」
烈道と同じ数値である4億だった…。烈道も含めても2人は神気が多いやつがいるのか…。俺はその事実にとても落胆をした…。
彼女は烈道のように俺たちのところに来ることはなく、そのままクラスの列の中に戻っていった。
だが…俺は見ていた。彼女が俺なのか烈道なのかはわからないが、視線を向けていたことを…。それはとても怖い目だった。睨んでくるような目に俺は思わず身震いをした。
真「なあ、烈道。視線感じた?」
烈道「ん?いや全然?」
ということは…彼女は俺を見ていた?烈道とは違う、別の方向で圧を感じた。そして烈道は視線を感じていないから、俺を見ていたんだろう。
そんなこともあったが、神気量の検査は終わった。彼女が終わった後は目立つような人はいなくてすぐに終わった。
学年主任「全員終わりましたね。では神気量検査を終わります。お昼ご飯を食べた後、身長や体重などを測ります。予定時刻は3時くらいです。一斉に終わりますので、勝手に帰ることのないように。では先生方、子どもたちを教室にお願いします」
学年主任の掛け声と共に各担任の先生がみんなの前に立つ。燕先生も俺たちの前に立って先導をしてくれた。
俺たちは先生に連れられ教室に戻った。戻っている最中にはパンとジャムが大量に積んであるワゴンが各クラスに置いてあり俺たちのクラスにも置いてあった。そして先生が少し話し、給食を配膳することになった。
燕「配膳を手伝ってくれる人はいる?」
結夢「はい!私やります!」
燕「お、一是さんやってくれるのね。他にやってくれる人はいる?」
…どうしよう。結夢が手を挙げているし、手を挙げてもなにも損はない。だが…めんどくさいし、やる気が起こらない。どうしたものか…。
結夢「先生!真くんもやってくれるらしいです!」
真「え?」
燕「あらそうなの!じゃあ手伝ってもらおうかな?」
真「あ…はい…」
それは想定外のことが起きたぞ…。そんなのを予想できる人間がどこにいるのだろうか。
そのまま俺は給食のパンを先生と一緒にクラスのみんなに配膳をした。結夢はジャムをみんなの席を置いている。結局あの後、誰も挙手をしていなくて俺と結夢だけでやった。
そのまま配膳を終え、みんなでご飯を食べ始めた。
燕「では…2人ともありがとう。じゃあそのまま2人にいただきますの挨拶をしてもらおうかな。いいかな?」
結夢「はい!任せてください!」
真「やります」
燕「じゃあみんな、2人が手を合わせてくださいと言ったら合わせましたと言って、2人はそのあとにいただきますと言うの。そうしたらみんなでいただきますと言いましょう。いいかな?」
こんなことを言うのは初めてだ。だが結夢がやる気に満ち溢れている以上、俺も全力でやらなければな。
クラスメイトたち「はーい!」
燕「じゃあお願いね。2人とも」
結夢「じゃあいきます!」
真・結夢「手を合わせてください!」
クラスメイトたち「合わせました!」
真・結夢「いただきます!」
クラスメイトたち「いただきます!」
なんか懐かしいな。俺もいただきますをしたような覚えはある。こんな感じだった。
俺たちはそのまま給食であるパンを食べた。
そしてみんなパンを食べ終え、先生が前に立った。
燕「みんな食べ終わったかな。じゃあ2人とも。ごちそうさまの挨拶をお願いしてもいい?」
結夢「はい!」
結夢はどんなことでも元気いっぱいにやるから一緒にやる俺も気分がいいな。
燕「最初はさっきと一緒で2人が手を合わせてくださいと言ったらみんなが手を合わせましたと言ってね。それで、2人はごちそうさまでしたと言うの。そうしたらみんなもごちそうさまでしたって言うの。いいかな?」
クラスメイトたち「はい!」
燕「では赫星くん、一是さん。お願いします」
真・結夢「手を合わせてください!」
クラスメイトたち「合わせました!」
真「ごち…」
結夢「いただきます!」
クラスメイトたち「いただき…え?」
おーい結夢さーん?大きな声でいただきますを言うとは、君はワンモア給食をやりたいのかい?パン一枚も結構大きくてもう一枚は食える自信はないぞ~?
俺は結夢の方を見た。めっちゃ赤くなっていた。まあそうだよね。わかるよ。みんなの前で間違えるのって恥ずかしいよね。
結夢「ご、ごごごめんなさい!間違えました!もう一回やらせてください!」
燕「え、ええ。いいわよ」
先生も口ではそう言っているが肩がめっちゃ動いてるじゃないか。笑いこらえるのに必死のようだな。
結夢「よ、よし!いくよ!し、真くん!」
真「はーい」
真・結夢「手を合わせてください!」
クラスメイトたち「合わせました!」
結夢が少し呼吸をした。一回落ち着いてやることは大事だからね。俺は結夢に合わせて少しだけ間を置いた。
結夢「ふう…」
真・結夢「ごちそうさまでした!」
クラスメイトたち「ごちそうさまでした!」
今度はちゃんと言えたようで結夢が安心したような息を吐いた。
燕「では2人ともありがとう。ではこの後の連絡をしますね。この後は主任の先生に言われたと思うけど、身長や体重などの身体測定になります。私がみんなを案内するから、チャイムが鳴ったらまた並んでね」
クラスメイトたち「はーい!」
燕「では少しの間休憩の時間です。チャイムが鳴るころには教室にいてね」
そう言い先生はいなくなり、休憩の時間が与えられた。俺は結夢に話しかけた。
真「結夢。間違えちゃったね」
結夢「うう…恥ずかしいよお…」
真「ま、まあ失敗はあるよ。誰でも。気にすることじゃないから」
結夢「そ、そそそそうだよね!」
結夢が顔を赤くして汗を少し流しながら言っている。まあさっきのもあるし納得だ。
真「えっと、休憩って何分までだっけ?」
結夢「…あれ?言われてなくない?」
真「いつまでなのかわからないね…。教室を出るのはやめておいた方がいいかな」
結夢「そうだね。真くんは私と話していようよ」
真「うん。そのつもり」
俺は休憩時間が終わるまでずっと結夢と話していた。他のクラスメイトたちはある程度グループのようなものができている。グループ内で話しているようだ。
結夢「みんな仲良くしてるんだね」
真「みたいだね」
そんな風に思っていると…グループの子たちがこちらに近づいてきた。
女子1「ねえ。2人共すごい量の神気を出せてたけど、どうやってやるの?」
真「えっと…」
結夢「うーん…頑張って稽古をしたからかな?私のお姉ちゃんも、真くんのお姉さんもすっごく強いらしくて教えてくれるからかな?」
女子2「そんな簡単にできるものじゃないよね?どれくらい頑張ったの?」
どれくらい頑張ったか…か。俺が神気を開放できたのは完全に翠花姉と蓮乃さんのおかげだ。そして神気を開放できたのは朱雀との死闘を乗り越えることができたからだ。朱雀と戦闘をし、能力を発現して呼吸による神気の増やし方を見つけることができた。そう思うと俺はやっぱり環境に囲まれ、才能があるんだなっていうのを実感する。
どれくらい頑張ったか、これの回答は…
真「死ぬ気で頑張る。僕はこれだけかな」
女子2「死ぬ気で…」
真「うん。何回も痛い思いをした。つらい思いもしたし、姉ちゃんにさせたけど、それでも頑張って鍛錬したから今の僕があると思ってるよ」
これが事実なんだ。初めて神気を開放できたときは暴走状態になり翠花姉を悲しませたし、朱雀にも能力に関することで世話になった。これからもいろんな人に迷惑をかけるんだろうが頑張っていこうと思う。そう改めて思った。
女子1「そうなんだ…。真くんもいろんな思いをしたんだね…」
真「今思えばそれも悪いことじゃないと思ってるよ」
結夢「そうなんだ…。私は真くんに比べれば全然だよ」
女子3「結夢ちゃんはどんなことをしたの?」
結夢「私は…お姉ちゃんと一緒に体を鍛えて…体に神気が馴染みやすくなるようになってから神気を増やす稽古をしてって感じかな」
そんな増やし方があるのか。翠花姉はイメージを大事にしながら徐々に増やしていくって感じだったが、結夢のお姉さんは体から入り、神気を効率的に増やす感じだった。才能云々で俺の方が神気は多いが、才能が一緒なら多分負けているんだろうな…。
女子2「そんな増やし方があるんだ!私もそうしようかな」
結夢「簡単じゃないよ?お姉ちゃんは私が無理しないように考えて鍛えてくれたけど、多分一人は難しいと思う」
女子2「そっかー…ならやっぱり自分のやり方がいいかな?」
真「それがいいと思うよ。いろんなやり方があるから自分にあったやり方でいいと思う」
女子1「おっけ!ありがとう!」
そう言いそのグループはもとの席に戻っていった。俺と結夢は再び会話をした。
真「結夢も大変だね。神気の増やし方が僕と違うからそう思うよ」
結夢「真くんが一番大変じゃない?どうやってるのか知らないけど、死ぬ気で頑張ることは私はなかったから真くんの方が頑張ってるんだよ」
真「そ、そうかな。けどまだまだ頑張らないと。烈道にも負けてるし、9組の子にも負けてる。僕は負けるのは嫌いだからね。神気だけでも負けないようにしないと」
結夢「烈道くんには勝てたような気もするけど?」
真「まあそこはいいんだよ。僕はすべて勝ちたい。だから神気で負けるのも悔しいんだ」
結夢「真くんは頑張り屋さんだね。私も頑張らなきゃ!」
真「お互い頑張ろう!」
そんな会話をしていると、先生が教室に入ってきた。
燕「みんな。休憩時間がもう終わるよ。先に並んでおきたいから、番号順で並んでね」
そう言い先生がみんなを廊下に並ばせた。俺は1番のため先生の後ろに立ち、結夢は俺の後ろに並んだ。
並んだくらいで休憩が終わることを示すチャイムが鳴った。
燕「では行きますよ。ついてきて」
俺たちは先生に連れられ、身長計や体重計などが置いてあるところに着いた。
燕「私が身長と体重を見るから、順番通りに来てね」
クラスメイトたち「はーい!」
燕「では真くん」
真「はい」
俺は身長と体重を測ってもらった。俺は先生の記録用紙を横目に見た。118センチ、23キロと書いてあった。これがどれくらい大きいのかわからない。でも俺よりも小さい人の方が多いから、平均よりも大きいのかな?
燕「どんどん来て」
結夢「はい!」
結夢も身長と体重を測った。女子の体重なんて見てはいけないというのは暗黙の了解だ。みんなも気をつけようね。…誰に言ってるんだろうか。まあいいや。
俺と結夢が測り終わり、次々にクラスメイトたちが測っていく。そして全員終わった。
燕「次は視力を保健室で、聴力をもう一つの部屋で測ります」
そう言い先生は再び俺たちを誘導した。そして保健室に着いた。
保健室の先生が視力を測るやつが書いてある紙が貼られているところの前に座っている。ちなみに視力を測るやつ、ランドルト環って言うらしい。先生が教えてくれた。
燕「番号20番までの子は視力を、21番から40番までの子は別室で聴力を測ります。静かにしないとしっかりと聞こえないから、みんなの測定が終わるまで静かにすること。いいかな?」
クラスメイトたち「はーい!」
保健室にいる先生が後半の子らを連れて別室に連れて行った。俺たちは視力を測る。
保健室の先生「では測っていきますね」
真「よろしくお願いします」
先生はどんどん指していき、俺はそのすべてを答えた。
保健室の先生「視力2.0ね。次の子」
結夢「はい!お願いします」
結夢も視力を測っている。どんどん答えていて、一つも間違えていない。そして結夢も終わり、クラスメイトたちもどんどん終わらせ、最後の人も終わった。
燕「みんな終わったね。あっちは…終わってるね。じゃあ移動するよ」
先生が俺たちを連れ別室に連れて行った。
燕「ここでは聴力を測るからみんな静かにしてね」
クラスメイトたちが首を縦に振る。
燕「2人ずつやるから、真くん、結夢ちゃんは座って」
真・結夢「はい」
俺と結夢が椅子に座り、聴力を測った。小さな音が聞こえるがすべて聞こえる。音が鳴っている間ボタンを押すだけで簡単だ。
俺たちが測り終え、どんどん他の子たちも測っていく。
全員終わり、視力組と合流した。
燕「最後に握力を教室で測ります。教室に戻りますよ」
先生が俺たちを連れて教室に戻り、教壇には握力計が置いてあった。
燕「これを握ると握力が数字化されます。その数字を教えてほしいの。あと神気は使っちゃだめ。それは本来の握力ではないからね。握力計が3個あるから、3人ずつ前に来て」
俺は先生の言葉に従い前に立って握力計を持った。そして俺は握力計を握った。
真「ふ!」
握力計に出ている数字は…11キロ。平均を知らないからあれだが、勝手に多いと思っている。結夢も測っている。その数字は…
結夢「4キロ…」
ま、まあ握力なんてあんましいらないよ。うん。だから気にしなくてもいいと思う。
先生の記録を言い、先生が記録用紙に書く。それをクラスメイト分繰り返し、全員終えた。
燕「これで身体測定を終えます。時間もちょうど3時半ね。他クラスは…終わってるっぽいね。ではこれで終わります。お疲れ様でした。明日は体力テストを小、中、高校の生徒全員がグラウンドに集まってやります。明日も元気に来てくださいね。ではさようなら」
クラスメイトたち「さようなら!」
身体測定を終え、続々とみんな帰っていく。俺も結夢と一緒に教室を出た。
靴を履き替え、門に向かって結夢と一緒に歩いていると、結夢が門で待っている人を呼んだ。
結夢「あ!お姉ちゃん!」
そこにいたのは結夢のお姉ちゃんと…
真「翠花姉!」
翠花姉が待ってくれていた。2人が俺たちに気づいて振り向いた。
翠花「お、来た来た」
真「帰ろ!翠花姉!」
翠花「うん。そうだね」
翠花姉が俺と手を繋いだ。俺は明日ある体力テストにわくわくしながら帰路についた。




