第34話 色目検査と神気量検査
先生に連れられ、俺たちはどこかに向かって歩いている。
燕「ここで色目検査を行います」
連れられ着いた場所は…保健室のようだ。保健室で色目検査をするのか。
燕「まずは色目検査です。赫星くんから並んでください。見てくれる先生にしっかりと挨拶をするのが礼儀です。よろしいですね?」
クラスメイト達「はーい!」
燕「では真くん。中に」
真「はい」
俺は先生に言われカーテンで囲まれた空間に入った。
真「よろしくお願いします…え?」
「はい。よろしくお願いしますね。何か驚くようなことはありましたか?」
そこに座っていたのは…入学式で気絶した源爺と婆を連れていった翠帝に呼ばれたリーラという女性だった…。見たことのある人でびっくりした。
リーラ「確か君…そうだ。昨日の入学式で源一族のいざこざに巻き込まれた子だね。大丈夫だったかい?」
真「はい…まあ翠花姉が助けてくれたので…」
リーラ「あの子か。結構強いだろうね。あの大男を相手に一方的にやってたしもしかしたら中等部最強クラスかも?」
真「翠花姉はめっちゃ強いんですよ!」
リーラ「いや、そんなことあの戦いぶりを見れば誰でもわかるよ。さて、会話もこんなところにしないとと怒られちゃうね。じゃあ見ようか。目はっと…」
そう言いリーラさんは俺の目をしっかりと見た。
リーラ「この目は…もしかして『絶眼』持ち?」
真「…はい」
リーラ「仁様以外じゃ初めて見たな…。しかもこの色は琥珀金色…何を表しているの?外に聞こえないように、こそっと教えて」
そう言いリーラさんは俺に耳を向けた。俺は正直に能力名を言った。周りに聞こえないようにこそっとな。
真「えっと…朱雀っていう…神様です」
リーラ「…ってことは…神話能力?」
真「はい…」
リーラ「わーお、才能の塊じゃん。私超えられちゃうかも?」
真「そんなことはないですよ…」
リーラ「謙遜はいいよ。事実結構強そうな能力あるし」
久々に聞いたな。能力。翠花姉も能力のことをそのまま能力と言っていて、能力とは言っていなかった。何の違いなのだろうか…。
真「それも目を見ればわかるんですか?」
リーラ「真くんがわかっているかはわからないけど、真くんの目は両目とも絶眼。その時点ですごいことだから、発現したらどんなのになるのか期待できるね」
真「あ、ありがとうございます…」
リーラ「よし、じゃあそこから出て、先生のところに行ってね」
真「はい、ありがとうございました」
俺はリーラさんと別れ、先生のもとへ向かった。俺が保健室を出たのを確認すると、先生が結夢に向かって言った。
燕「では結夢ちゃん。中に」
結夢「はい」
そう言い結夢は保健室に向かって入っていった。中で話した内容は聞こえないようになっていて、大きな声で話しているクラスメイト達の声は全く聞こえなかった。これもそういう設計になっているのか?
少し時間が経ち、結夢が部屋から出てきた。結夢の顔には少し笑顔が見えた。
真「なにかあったの?」
結夢「うん!能力がすごいねって言われて、このクラスはすごい能力持ちが2人もいるって言ってて、めっちゃ嬉しかったの!」
そういえば結夢の目を言及してはいなかったな。結夢の目は桃色で、単色。これは自然能力の特徴だ。また瞳孔は普通の人よりも大きく、素質があることがわかる。そしてもう片方の目には白い目に…何か模様が入っている。俺はこの模様が何を指しているのかわからないが、白い目、そして模様。これは偉人能力の特徴。つまり目だけでわかる情報でも彼女は2つ能力を持っている。
真「そっか。僕もそんな風に言われたよ」
結夢「真くんも!?じゃあ私たちすごいね!やった!」
燕{…神気量もとても多いし、なによりこの2人の姉がどっちも小学校の時起きたあの事件を解決に導いてくれたんだし、その2人に教えてもらって、それを我が物にできているし、納得の才能なのよね…}
そんな会話をしながら俺はクラスメイト達が戻ってくるまで待っていた。最初の俺たちが長かったようで、みんなは30秒、長くても1分はかからないくらいだった。
そんなみんなが続々と帰ってきて、最後の人が戻ってきた。先生がみんなに聞こえるように声を出した。
燕「ではみなさん。次は神気量検査体育館に向かいますよ。体育館では1年生のみんなが一気に集まります。みんなが騒ぐと私の声が通らないから、私が話すときだけは静かにしてくださいね」
クラスメイト達「はーい!」
先生が俺たちを引率し、体育館に向かって歩いた。俺たちが体育館に着いた時には既に多くの学生がいて並んでいた。そう思っていた時、他のクラスの担任であろう男の先生が燕先生に向かって歩いてきた。
男の先生「先生たちのクラスが最後です。並べちゃってください」
燕「わかりました。みんな。並ぶよ。ついてきて」
クラスメイト達「はーい!」
俺たちは先生に連れられ、指定された場所に向かった。そして学年主任の女性の先生が前に立ち、俺たちに向かって話した。
学年主任「これから神気量についての検査をするよ。番号の早い子から前に出てきてね。いいかな?」
俺は周りを見渡した。みんな首を縦に振っていて理解できているようだ。
学年主任「よさそうだね。では先生方。椅子に座り、子どもたちの神気を記録していってくださいね」
その言葉と同時、各クラスの先生が前に置いてある椅子に座り、紙とペンを持っている。
学年主任「では番号1番の子は担任の先生の前に立って、神気を出してね」
俺は立ち上がり、先生の前に行こうとした。その時、後ろから結夢が声をかけてきた。
結夢「真くん。やっちゃえやっちゃえ!」
真「…ああ。やってくるよ」
俺は結夢からの応援を受け、先生の前に立った。先生は少し笑顔でこちらを見ている。
燕「今度は気絶しないわよ?」
前の気絶を引きずっているのかわからないが、今度は気絶しまいと自信を持った顔をしている。
真「僕も頑張ります。先生も気絶しないでくださいね?」
俺は先生に少し笑みを浮かべながら言った。先生は自信ありという顔だ。
学年主任「では先生の前に立っている子は神気を全力で開放してください!」
その掛け声と共に周りの子らが次々に神気を練り出している…!俺は神気を扱えるようになったこともあり、周りのみんながどれだけ神気を出しているのかがわかる。2万…3万…7万…多い子でも10万くらいだ。
燕「みんな普通はそんなもの。10万でも結構出てる方だけど、君には敵わないね。さ、見せてちょうだい」
真「じゃあ…いきます!」
俺は体の中に神気の渦ができるようにイメージをして、それを爆発させるようなイメージをとった。それと同時、俺の体内から神気が出た。
その神気を見た周りの先生たちは驚いたような顔をしている先生や目を見開いている先生が大勢だった。
燕「1000万…それが限界?」
先生に声をかけられた。これが限界なわけ…ないだろう!
真「まだ…いけますよ!」
俺は能力である朱雀を開放し、腕を後ろに伸ばし、足を肩幅くらいに開き、深呼吸をした。大気全てを吸うようなイメージで…。どんどん神気が増えていくのがわかる…!1億じゃ止まらない…!俺の神気量の限界は…もっと上だ!
俺はできる限界まで空気を吸い、そして息を吐いた。その時の俺の神気量は…!
燕「2億…5000万…!」
真「これが僕の限界です…!」
2億5000万だ。訓練を頑張った甲斐がある。後ろからみんなが騒いでるのが聞こえる。
燕「2億5000万…十分すぎる才能だね…」
先生は記録用紙に数字を書いた。
燕「よし、じゃあ元の場所に戻ってね」
真「はい、ありがとうございました」
俺は先生に礼を言い、元の場所に戻った。周りはまだ騒がしかった。結夢が俺に話しかけてきた。
結夢「さすが真くん!すごかったね!」
真「そ、そうかな?ありがとう!」
俺はただ神気を出しただけだが…褒めてくれるくらいには出ていたということでいいんだろうな。
真「つ、次は結夢でしょ?結夢も頑張ってね」
結夢「任せて!私も真くんくらい出せるかな?」
真「いけるよ!頑張ってね!」
結夢「うん!」
結夢が先生の前に立った。結夢は昨日先生に神気を見せ、先生を気絶させた。(まあ俺も出して気絶させてしまったが。)それくらい出せる彼女ならまたみんなを驚かせるには十分なんじゃないか?
学年主任「では2番の生徒は神気を!」
燕「真くんもすごかったけど…結夢ちゃんもすごいことを私は知ってる。見せてちょうだい」
結夢「はい!」
そう言い、結夢が両手を交差させた。そして力を溜め、それを一気に開放させるように腕をすごい勢いで交差させている腕を離した…!それと同時…結夢から神気が溢れ出た…!俺はその光景を見ていた。
燕「神気量…1億8000万…!」
結夢の神気に再び周りが騒がしくなってきた。そりゃあそうだろう。俺の神気量に及んでいなくとも、他クラスの子が出している神気量に比べれば十分結夢も規格外だ。
結夢「どうですか!?先生!」
燕「すごいわね…真くんに次いで結夢ちゃんもすごい神気量よ」
結夢「はあ…ありがとうございます!」
結夢も十分に神気を出せたようで、少し汗をかきながら俺のもとへ駆け寄ってきた。
結夢「どうだった?真くん」
真「すごかったよ。1億8000万なんて俺でもめっちゃ頑張らないと出せないし、蓮乃さんも言ってたけど僕らすごいんだね!」
結夢「だね!やった!!」
結夢は喜びで手のひらを俺に向けた。この感じは…ハイタッチかな?俺は彼女の動きに合わせて手を動かした。
「パチン!!」
俺と結夢の手がしっかりと合い、いい音が出せた。そして嬉しかったのか、結夢は顔は弾けるようなとても素敵な笑顔で、俺は思わず心の中で呟いた…。
真{素敵な笑顔…かわいい…}
俺はその笑顔を見て、そう思った…。心臓が早く…知らない感情が…俺の胸を熱くした…。
そしてハイタッチを終わった結夢は俺の隣に座って、あとのみんなの神気を見ていた。みんな出せて5万くらい、多くても10万を超える人間は序盤にはいなかった。そう…序盤には…。
学年主任がどんどん順番を呼んでいき、今は23番、次は24番だ。そこで俺は驚くこととなった…。
学年主任「次は24番ね。先生の前に」
19番の生徒の中で一人、周りとは違う空気を醸し出す男子がいた。俺たちのクラスではない。5組かな?俺たちのクラスから4個左にいた。
学年主任「では神気を!」
その男子は両手で恋人つなぎのような感じで手をゆっくりとつなぎ始めた。そしてその手がしっかりと握られたその時…!
「ブゥゥゥン!!」
辺り一帯に突風が巻き起こり、そして…威圧するような空気が辺り一帯を包み込んだ…。そして彼の神気量は…
真「4億…!」
4億だった…。俺よりも多く、とても重厚的な神気だった…。そして男子が出し終え、先生に向かって礼をした。だが…クラスの列に戻ることはなく…俺たちの方向に向かって歩いてきたのだ…!
そして男子が俺の目の前に立ち、こう言った。
「おい、立てよ」
俺に向かって立てと言ったのだ…。気に食わないが、俺は彼の言葉を聞き、その場で立ち上がった。
真「すごい神気量だね」
男子「まあな。お前なんかよりもずっと多いだろ?」
真「うん。越せれるように努力をしようと思うよ」
男子「っは!この俺を相手に越せるようだと?馬鹿言ってんじゃねえよ」
なんだこいつは?俺のことを何だと思っているかは知らないが、初対面の人を相手にこんな口調をするか?いくらなんでも口調がひどすぎる。
男子「俺はな、お前みてえな少し頑張った程度のやつとは違うんだよ。んで、お前はなんていうの?」
真「赫星真。君は?」
男子「あ?誰に向かって口を利いてんだ?」
真「僕は名前を聞いただけだ。そんなのも教えてくれないのか?」
男子「お前に教える義理はねえし…俺に口を利いてんじゃねえ!」
その言葉と同時、彼は俺の頭目掛け、脚を振り上げた…。
結夢「真くん!!」
結夢が隣で叫んでいる…。だが正直、その蹴りは遅く見えた。俺は彼の足に腕を入れた。
「ガン!!」
男子「んな…」
俺は彼の足を止めた。だが俺は何もしない。止めただけだ。
真「悪いね。神気は多くてもこっちは命を懸けて戦ったことがある。こんなの造作もないことだ」
俺は朱雀と戦った。その時の朱雀のスピードはこの回し蹴りの10倍は早かった。俺はあいつとの戦闘に勝ったんだ。こんな遅いスピード、当たる方が難しい。
男子「く…!」
真「もう一度聞く。君の名前は?」
男子「うるせえ!お前に…」
なんなんだこいつは。名前なんて教えてくれてもいいだろうに…蹴られたこともあるが、一番は名前を教えてくれないことが一番腹が立つ。腹が立った俺は思わず言ってしまった…。
真「黙れ。俺が聞いてるんだ。さっさと答えろ」
男子「ひ!」
彼がしりもちをついてしまった。だが俺はそのまま彼のもとへ歩いた。そして彼の目線に合わせて視線を下げた。
真「最後だ。お前の名前は?」
烈道「…轟烈道だ…」
彼の名前を知ることができ、俺は一気に腹の虫が収まった。
真「なんだ。いい名前じゃないか。なんでもったいぶったんだ?」
烈道「だって…負けたくねえんだ…。負けねえために…努力した…。努力をしてもいなさそうなお前が…気に食わなかったんだよ…」
負けたくない。そう思うのは至って健全だし、この年ならそれが強い時期でもあるだろう。でもだからって名前まで教えないのは…違うと思うが…
真「そうか。でも負けるのって悪いことじゃないぞ?」
烈道「…え?」
真「僕も才能はある方だけど、周りに凄い人がいて、その人たちに助けられてるんだ。だから俺の力じゃない、その人たちのおかげでできた、勝てたってことだ。その人たちがいなければ俺はできてないから、負けってことだ。その人らがいなければここまで神気を増やせなかった。だから最初は負けてもいいし、できなくてもいいと思うよ。だって僕らはまだ成長段階なんだから」
…それっぽい言葉を言ってみた…。だがこの言葉は翠花姉が言ってくれていた。だからこの言葉が出てきたんだと思う。
烈道「負けてもいい…」
真「うん。最初は負け続けても、それに勝てるようになればいいじゃん。強くなってさ」
烈道「!!」
彼の顔が明るくなったように見えた。
烈道「わかった…。俺、負け続けてでもやってやるんだ!そして…お前を殺す!」
バツバツバツ!そんな言葉を大声で言うな!
真「ちょちょちょ!?急な殺害予告が!?」
烈道「ん?俺はお前よりも強くなるって意味なんだが…」
真「越すね!?殺す!!じゃないよ!!」
烈道「そうだな!そうとも言うな!ははは!」
急な殺害で驚いたが…彼が前に向かって歩いてくれるならいいのかな?知らんけど。
烈道「もう一回言うぜ!赫星真!お前を…」
真「ごくり…」
烈道「殺す!」
真「だめやんけ!」
騒動もあったが、神気量検査の会場である体育館には笑いがあふれた。そして検査はこの後も続く__




