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天帝転生~前世で王を夢見た俺は異世界で皇帝を目指す~  作者: おかしなお菓子
第2章 鍛錬編

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第22話 王の飛翔

人の姿になった朱雀と対峙しているが…圧が半端ない。目を合わせてはいるが…正直言って合わせたくはない。それくらいピリピリした空気がある。


朱雀は羽を大きく羽ばたかせ、俺に向かって飛んできた。俺は受けるべく刀を構えた。


朱雀「構えがなっておらんな…そんなのでわらわを受け止めることはできぬぞ!」


朱雀は突きの動きをしている。スピードは…さっきの鳥の状態よりも何倍も早い。空気を裂くともいうべきなスピードだ。


真「早い…けど受け止めてやる!」


俺はさっきの鳥の形態だった時と同じように刀の先端を朱雀の剣の先端に合わせにいった。


朱雀「なめるな!先とは違うこともわからんか!」

真「やってやる!」


朱雀の剣と俺の刀が交差した…!


ぶつかった場所から赤い光と青い光が出ている。雷のようにバチバチしたものもあり、俺はその衝撃に体が負け、朱雀の突きに押し負けてしまった…


俺は吹き飛ばされ、火柱の一つにぶつかった。柱はボロボロに崩れ、俺を下敷きにした。


これが…神の力…正直舐めていた。もちろん翠花姉や蓮乃さんのような明確な神気量を聞いていない。…いや、2人とも俺の神気量を見て俺に驚いていたんだろうが…俺にそんな技術はない。だから今朱雀がどれほどの量を出しているのかもわからない。体に纏っている神気の色と圧しか感じ取れない。


朱雀「あまりわらわを舐めるな?今のお主には確実に負けん。それほどに差があるのじゃ」


俺は朱雀の言葉を聞いて改めて思った。これが強者…翠花姉や蓮乃さんみたいに強い覇気がある。俺はすごい人たちの中にいたからこそ感覚が麻痺していたのかもしれない。この人たちに教われば強くなれる。翠花姉がいろいろ動いてくれる。そうすれば簡単に以前の国に帰れると。なにかあっても翠花姉が守ってくれる。そう思っていた。彼女は本当に強いから。だが…今この空間に翠花姉はいない…。頼ってばっかりの俺は無力でしかない…。才能だけある人間なんだ…。俺は…俺は…。


真「……く…」


俺は…そんな弱い存在になりたかったのか?違うだろ?俺は皇帝になる。その夢を掲げて、翠花姉と蓮乃さんに鍛えてもらってたんだ。2人がいなかったら神気なんて絶対に開放はできていない。鍛えてくれた2人に…このままじゃ…面目が立たないな…。


朱雀「おわ…りではないようじゃな」


俺は今ある神気で柱を吹き飛ばした。どうやったのかもわかっていない。だが…俺は今までの感覚とは違うのはわかった。なんというか…いつもよりも吸う空気が澄んでいる。いくらでも吸っていられそうだ。後は…心拍数が上がり、体に巡る神気が普段よりも多いのがわかった。そして…目が何か今までとは違う。目が…熱い。俺は朱雀を見た。10メートルはあるこの距離が目と鼻の先にあるように見えた。


朱雀「ほう…成ったな。神気の数がけた違いじゃ」

真「なにか言った?」

朱雀「いいや、なんでもない。続きをやろうか」

真「ああ」


俺は朱雀が来ているのをゆっくりと見ていた。だいぶ時間がある。そう思った俺は一度深呼吸をしてみようと思う。肺の空気を一度すべて出し、辺り一帯にある空気をすべて吸い込む勢いで俺は息を吸った。そして吸った空気を吐き出した。さっきよりも体が熱く、体を流れる神気も層が増したかのような重厚感が増した。


朱雀{兆候は…あった。まず炎の柱を避けた時だ。神気とは別に羽のようなものが見えた。いくら神気が1000万あるとはいえあの加速の仕方は通常ではない。おそらく…紅羽(こうう)の力。そして…柱にぶつかった時だ。あの柱は温度にして2000度はある。あれだけの神気を纏った状態でも人体には火傷が残る。じゃが…ぶつかる瞬間、体から出た神気が火のように、そして鳥の翼のようなものがあやつを囲んだ…。そして柱をどけ、わらわの前に出た時…炎を纏っていた。小さくはあるが…あれは翼だ」


朱雀が空に長時間いるもんだからなにかしようと考えていた。今の俺なら…なんでもできるような気がする。俺は朱雀に向かって飛ぶイメージをした。どんな力がいるとかそんなことは考えず、ただ飛ぶことだけを考えるんだ。


俺は神気を爆発的な力で押し上げるように神気を開放した。


真「わああ…!」

朱雀「なんじゃと!?」


俺は…空を飛んだ。神気を爆発的に出して飛ぶことができた。だが…これでは飛んだというより爆風に巻き込まれたという方が正しい。もう…今は考えるのはやめだ。もう今の俺に不可能はない。空を飛べたなら空気を掴み、それを押し上げるようにすれば飛べる…!すべてはイメージ…飛ぶんだ…!俺は…!


真「朱雀ーーー!!」


俺は朱雀の方向に姿勢を向け、羽ばたいた。


朱雀「!!」

真「うおおおおおお!!」


俺は空中で加速した。本当に…俺は空を…飛んだんだ…!俺はその勢いのままに朱雀に突っ込んだ。刀を上段に構え、朱雀のいるところで振るんだ。


朱雀「く!!」

真「俺も…飛んだぞ!」


俺の刀と朱雀の双剣は空中で刃を交わらせた。押し合いになっている。


朱雀「自身でそこまでいったこと…賞賛に値する…。じゃが…わらわは言ったはずじゃ…。わらわを舐めるなと!」


朱雀は俺との押し合いに勝ち、距離をとった。俺はその場でとどまった。少し反動があったからだ。


朱雀「刀でわらわに勝つこと…これも叶わぬ。そして…もう終わりにしよう。お主はわらわとの戦闘で掴んだはずじゃ。神気の増やし方を。わらわはそれを教えるためにこの決闘を申し込んだ」

真「そうだったのか…」

朱雀「そしてお主…自身の神気見えているか?」

真「見てなかった。えっと…。…!?8800万!?」


元々の神気は1000万だったはず…なにが原因でこんなに増えているんだ!?


朱雀「そして…体に違和感というかなにか変わった感覚があるはずじゃ。わかっておるであろう?」

真「もちろんだ。だって飛べたんだ!でも…これは神気が増えたからじゃないの?」

朱雀「……背中を見よ」

真「え?」


俺は背中を見た。そこには…赤い翼があった。それも…火を纏った。火…火が…俺の背中に…


朱雀「案ずるな。その火は燃えん。悪しきを燃やし、正き者の心を焚きつける正義の火じゃ。その火はわらわの火。円環と守護を司るわらわの火じゃ。お主はわらわの力で翔んでおる」

真「この火は燃えない…正しき者の心を燃やす火…。朱雀の力で…飛んでいる…!」

朱雀「お主は先ほど火には散々な思い出があると言っておった。それは悪しき炎。わらわが燃やすは正義の心。悪しき炎ばかりに囲まれていたお主には苦しいかもしれんが…火は正義へと成る!ゆめ忘れるな!」


火は前の世界の俺を殺し、この世界ではあの龍の火によって故郷を奪った。そんな俺でも…もしかしたら変われるかもしれない…!朱雀という火の神様の力によって…!


真「……ああ!俺は朱雀を…火を使いこなしてみせる!!そして…悪しき炎を燃やす男になるんだ!」


俺は高らかに宣言した。もう怖くない。火が怖いものというのは扱い方が悪いからだ。正しい使い方ができれば俺は…正義を掲げ、遥かなる高みに…皇帝になれる!


朱雀「よし…では…仕上げじゃ。わらわを…打ち取ってみせよ!」


最後の関門…!得たこの力で…俺は朱雀を倒してみせる!!俺はもう一度深呼吸をした!俺は…わかったぞ!どうやって神気が増えるのか…それは呼吸だ…!深呼吸をしたら俺は神気が増えている。さっきは8800万だったが…今は9500万だ!朱雀はこれを理解させるために…


真「いくぞ!!朱雀!!」


俺は空中で刀を持ち、朱雀に向かった。水を出していた剣が…もう水が出ていない。というより、水は出ている。だが俺が纏っている炎ですべて蒸発しているんだ。俺は刀を振り回した。飛んだ斬撃と共に…水は出ていないが…水蒸気は出まくっている。これは攻撃に使えないか?今は応用の仕方がわからないが…今はいい!


朱雀「わらわにそんなものは効かぬ!」


朱雀は自身の金色の尾を振りまくり、俺が飛ばした斬撃を吹き飛ばした。


朱雀「ゆくぞ?『金紅羽(きんこうう)・積善(せきぜん)』!!


朱雀は翼を広げ、羽を無数に飛ばしてきた。もう数なんて数えれないレベルの数だ。本当の意味で無数だ。ホーミングは…ない。だが数が異次元な分先ほどよりもやばいのはわかった。だが…俺はあえて離れず、その羽を出している朱雀に向かって行った。数本をはじき、どんどん近づく。近づく分、量も増える。そこを体に流れている神気で筋肉の動きを活発させた。俺は…どれほどのスピードで弾きまくっているのかわからない。だがそれでも止まらない。


真「うおおおおおお!!」


俺は無数に出ている羽の中にある穴を見つけた。俺は迷うことなくそこに突っ込んだ。朱雀は驚いてはいなかった。


朱雀「それを見逃すわけなかろうよ。お主が。それは一見刺さる選択と思うじゃろうが…実際は刺すべくして刺した一手。つまりは…罠じゃ!」


その言葉と同時、朱雀の羽の一部が…弓になった…!そしてもうすでに構えている…!


朱雀「『焼弓光光(しょうきゅうこうこう)』!!」


まばゆい光と共に光が俺を貫いた…。


真「ゴフっ!」


俺は…人生で初めて血を吐いた…。本当の意味で体の中心に風穴があいた。視界が…ぼやけてきた…。


…だが…これで終わるわけには…いかない…!


真「おおおおお!」

朱雀「さすがじゃ!それでこそ…王である!」

真「はああ!」


俺は光が放たれた弓を…刀で横一文字に切った。そのまま…朱雀の頬を掠めた。


朱雀「良いぞ…久方ぶりじゃ!!赫星真!!!」

真「朱雀ーー!!!」


俺と朱雀は互いの武器で空を飛びながら競り合った。互いの体にどんどん傷がついていく…。お互いに再生があることも忘れ…剣を交差させまくった。俺たちの周りにはもうなにもない。あるのはそこにいる雌雄の剣戟の衝突音と纏う神気のみ。




もう…どれほどやった?過ぎた時間は…わからないが…悠久ともいえる時間を俺たちはやりあった。お互いに消耗し、もう俺の残りの神気は100万もなかった。最後の…俺だけの…技をやってやる…!


朱雀「ふふ…楽しい時間というのは…すぐに過ぎるものじゃなあ。可能ならば…永遠の時をやっていたが…それも終いじゃ。わらわが持つ大技で…締めよう。この楽しき時間をな…」

真「ああ…俺もそう思っていたところだ…終わりにしよう…朱雀…!」


俺たちは互いの武器を構えた。

俺の刀は神気を纏い、赤い神気を刀に湛えた。湛えた刀を俺は振り下ろすだけの状態にした。一方朱雀は剣を鞘にしまい、自身の翼を大きく広げ、飛んだ。朱雀の大技の構え…異様だった。両手の指が全て交わるような構えをし、足を広がる限界まで広げていた。異様。その言葉がふさわしい構えだ。


真「ふう…。うお!!」

朱雀「……は!」


俺たちはほぼ同タイミングで…体にあるすべての神気を放出した…。俺は朱雀の顔を見た。笑っていた。その笑顔は…楽しんでいるかのような、だが一人の戦闘者として認めたかのような顔だった。


朱雀「行くぞ!赫星真よ!」

真「ああ!!俺も行くぞ!!」


朱雀「『極彩天(きょくさいてん)・飛翔(ひしょう)』!!!!」


朱雀の大技…まるで自身が太陽とでもいうべき圧倒的光を纏い、俺に突っ込んできた。彼女のことを剣と思うほどに鋭かった…!



俺はどうなりたい?答えは一つ。皇帝になること。そんな俺が今できる限界の大技…


真「『覇王戴斬(はおうたいざん)』!!!!」


俺はこれからある輝かしい未来と夢を湛えた一振りだ。それを朱雀に向けて全身全霊で刀を振るった。


互いの大技がぶつかり合う…!神気が聞いたこともない音を立てて辺り一帯に響いた。だが…それでも俺たちは止まることなく、技をぶつけ続けた。


朱雀「はああああああ!!!」

真「おおおおおおおおお!!!」


俺たちは雄たけびを上げながら力を入れ続けた。俺は消費しすぎてもう体の穴という穴から血が出まくっていた。それでも…俺は止まるわけには…いかないんだ…!


真「はあああああああああ!!!」


俺は刀に…全存在をぶつけんばかりに力を入れた。



バーーーーーーン!!



大きな音が鳴った。なんの音かなんて…わかりやしない。俺はただ…ただ力を込めて刀を振るった…!


朱雀「……く…!」

真「はああああああああああ!!!!」


刀が朱雀の体に入った…!


朱雀「な…」


最後の一押しが…足りないんだ…最後が…


真「俺は!皇帝に!!なるんだーー!!!」



真「おらあああああああああ!!!!」



その一閃は…ついに…朱雀の体を切り裂き、朱雀を打ち倒したのだ…!


俺は思わず…雄たけびをあげた…!


真「うおおおおおおおお!!!」


その声を発した。


その直後、今いた空間にひびが入った。だがそれは壊れたというよりも…一つ皮がむけたとでもいうべきものだった。


時間がどんどん経過し、どんどん世界が割れていき、最終的にこの空間はなくなった__

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