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追放されたけど、敵の命を対価に生産する禁忌の力で成り上がります  作者: 秋月心文
第1章 カース帝国

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謎スキル:タイカクラフト

――10歳(成人)になった


 成人の儀では、スキルを確認する儀式を受ける事になっていた。


 与えられてたスキルは「タイカクラフト」という謎スキルだった。

 誰も知らないスキルだ。

 だから、使い方を教えてもらう事も出来ない。


 「クラフト」というからには「生産」出来るスキルだろうと予想出来た。


 前生を知った俺にとっては(あぁ、やっぱり…。)という印象があった。


 早速、そのスキルで試しに「剣」の生成を試みた。

 きっと、スゴイ剣が出来るに違いない……そう思った。


 ……けれど、

 生成できたのは、小さてもろい「おもちゃの剣」だった。


 ……それに加え、

 2つ目の剣を生成しようとしても、何も出てこなかった。


 魔力を消費されている感じはない。

 「生成に必要な条件」が、全くわからなかった。


 こんなスキルで、これからどうすれば…生きていけるのだろう。


 誰も聞いた事のないスキルだったので、効能は不明だ。

 けれど、名前から、大量殺戮用のスキルではないと、皆が思った。

 俺自身でさえ……


――成人の儀のあと……


 当主に呼ばれ、家を追放する旨を告げられた。

「帝国貴族は敵を大量に屠れる技能がないとダメなのだ。

 家を守る為、明朝、おまえを家から追放する。

 何か言いたいことはあるか」


「ありません。」

何も返せる言葉が、思い浮かばなかった。


 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・


――そして……


 どうしようかと、途方にくれていた。

 俺に剣を、教えてくれていた、先生が駆けてきた。


「帝国本領では、大量殺戮が出来る人間しか(兵士の)仕事につけない。

 兵士以外の仕事をしている人たちは……殆どが占領国からの奴隷だ。

 人を雇う事が許されていない」


「はい、わかっております。それで、途方にくれておりました」


「だから…」


 そして、俺の両手を取り、

「追放される話は聞いている。

 内密にと…念を押されたが、いてもたってもいられなかった」


「ありがとうございます。

 最後に、先生にお会いできてうれしいです」


 先生は、高い高い本領の城壁を指差し、静かに力強い声で続けた。

「君が生き残って行くためには、本領を出るしかない」


 そして、短めの剣と、1着の上着を差し出した。


 その上着は……

 表面は、頑強な鎖かたびらの上に、安い布を貼り「粗末な様に偽装」されてた。

 裏面は、手触りのよい裏地が貼られ、剣の鞘が縫い付けてあった。


「君の体は、まだ小さい。今なら、このくらいの大きさが丁度いい」


「これは剣であると同時に、柄に埋め込まれた石の効果で杖としても機能する」


「よ、よろしいのですか、こんなスゴイもの」


「元々、君の10歳のお祝いにと用意していた。

 君に合わせて作ってもらったので、断られたら使いみちがない。

 貰ってくれないか」


 気がつくと、先生が、お気に入りだと言ってた「懐中時計」が無くなっている。

 きっと、無理して用意してくれたのだろう。


 そして、俺に合わせて作られているのも、確かなようだ。

 そもそも、剣と魔法を両方使おうという酔狂なヤツはいなかった。

 俺以外には……


 先生は、剣術の師匠だから、剣を選びたかったのだろう。

 けれど、俺が、剣より魔法の方が得意だった事も知っていた。

 だから、こういう選択になったのだろう。


 ゲス家の者に見つからないように、剣を鞘(服の裏)に収め、急いで、その服を身に着けた。

 周囲で見ている人に、安い服をもらったと、理解してもらう為に、こう言った。

「似合いますか?」


「あぁ、とてもよく似合ってるとも……」


 これから先、正直不安だったので、こういう装備はありがたい。


「ありがとうございます。」

 正直、涙が出そうになった。

 なんだか、目の前が少し曇ってきた。

 そうか、俺は今泣いているのか…。


 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・


「本領を出たら、西に向かいなさい。

 太陽が進んでいく方角に進めばいい。

 すると、山が見えてくるハズだ。

 そこに、私が生まれ育った村がある。」


「先生は、本領の生まれではなかったのですか?。」


「あぁ、私の国は、何十年も前に、帝国に滅ぼされた。

 私の村は、土の下に家がある。

 地表は砂漠化してるだろうが、

 略奪から逃れる事が出来たので、今も存在しているだろう」


「そんな大事な事、俺に教えてしまって、大丈夫なのですか?。

 俺のせいで、その村が気づかれたりしませんか?。」


「そこは、大丈夫だろう。

 兵士たちの略奪は、侵略時にしか許されていない。

 だから、今、気づかれても、略奪対象とならないのだ。

 あそこなら、職人も優遇される。人を雇う習慣もある。

 そこなら、君のスキルも活かせるだろう」


「だが……」

 そこまで、言いかけて、先生は言いよどんだ。

 俺は、先生をじっと見上げ、先生の言葉の続きを待つ。


 先生は、その場に座り込み、目の位置を俺と同じ高さにしてじっと見つめ返した。

 先生は、今にも泣きそうで申し訳なさそうな表情をしていた。


 そして、俺の手を、両手でぎゅっと覆って言った。

「本当ならば、そこまで送って行ってやりたい。

 だが、それが許されてはいないのだ……」


「承知しているつもりです。

 でも、追放だけで済んで、ちょっとホッとしています。

 こういう場合、普通は殺されると聞いてましたので……」


「君は賢いな…。それだけに惜しい……」


「先生のせいじゃありませんから……」


(それに、このスキルが発現した原因は、俺の前生の影響だろう……)


「村までの道のりは遠い。

 子供の君が、無事に辿り着くのは、難しいだろう。

 でも、君が生きるには、そこを目指すしかないと思ってる」


「はい」


「だから、だから、生きて、そこまで辿り着いてくれ……」


「やってみます」


「気休めにしかならないかもしれないが、

 今の私が、君にしてやれるのは、それだけだ……」


「ありがとうございます。先生の気持ち、お預かりします。」

 せめてもの遠慮として「頂きます」ではなく「預かります」という言葉を選択した。


「その手紙は、村長に渡してくれれば、村での便宜を図ってくれると思う」

 

 その日は、なんだか嫌な気がしたので、その服を着た状態で眠りについた。

 最後までお付き合いいただき、ありがとうございました!


 数ある作品の中からこの物語を選び、読んでいただけたことを、とても嬉しく思っています。


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