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追放されたクラフター、敵の命を対価にする禁忌の力で成り上がる  作者: 秋月心文


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1章02話:謎スキル:タイカクラフト

10歳になった俺は、スキルを確認する儀式を受けた。


そして、成人の義を迎えることになり、与えられたスキルが、タイカクラフトと言うスキル。

クラフトというからには、モノづくりのスキルだろうと予想出来たが、最初に生成できたのは、おもちゃの剣。

前生を知った俺にとっては(あぁ、やっぱり…。)という印象があったが、

それ以降は、スキルを何度使おうとしても何も出てこなかった。

生成に必要な条件が全くわからなかった。


これからどうすれば…生きていけるのだろう。

誰も聞いた事のないスキルだったので、スキルの効能は不明だが、名前から大量殺戮用のスキルではないと、皆が思った。俺自身でさえも…。


「帝国貴族は敵を大量に屠れる技能がないとダメなのだ。家を守る為、明朝、おまえを家から追放する事にする。何か言いたいことはあるか。」

「ありません。」


・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・


どうしようかと途方にくれていると、俺に剣を教えてくれていた先生が駆けてきた。

「帝国本領では、大量殺戮が出来る人間しか(兵士の)仕事につけない。

 兵士以外の仕事をしている人たちは、殆どが占領国からの奴隷ばかりで、人を雇う事が許されていない。」

「はい、わかっております。それで、どうしようかと、途方にくれておりました。」

「だから…」


そして、俺の両手を取り、

「話は聞いた。内密にと…念を押されてはいたが、いてもたってもいられなかった。」

「ありがとうございます。最後に、先生にお会いできてうれしいです。」


先生は、そう言いかけると、高い高い塀を指差し、静かに力強い声で続けた。

「…これから、君が生き残って行くためには、本領を出るしかない。」


そして、短めの剣と、1着の上着を差し出した。


その上着は、頑強な鎖かたびらをベースに、

表面は安物の服のように偽装した粗末そうな雰囲気の布が貼っていて、裏面は手触りのよい裏地が貼られたもので、

服の中に、剣の鞘が縫い付けてあった。


「君の体は、まだ小さい。今なら、このくらいの大きさが丁度いい。

 これは剣であると同時に、柄に埋め込まれた石の効果で杖としても機能する。」

「よ、よろしいのですか、こんなスゴイもの。」

「元々、君の10歳のお祝いにと用意していたものだ。貰ってくれないか。

 君に合わせて作ってもらったので、断られたら使いみちがない。」


気がつくと先生がお気に入りだと言っていた懐中時計が無くなっている。


きっと、無理して用意してくれたのだろう。

でも、俺に合わせて作られているのは、確かなようだ。

そもそも、剣と魔法を両方使おうという酔狂なヤツはいない。


先生は、剣術の師匠であるから剣を選びたかのだろう。けれど、俺が、剣よりも魔法の方が得意だった事も知っていた。

だから、こういう選択になったのだろう。


ちなみに、剣の鞘は、その服の裏地に縫いつけられてあった。

ゲス家の者に見つからないように、剣を鞘(服の裏)に収め、急いで、その服を身に着けた。

周囲で見ているかもしれない人に、服をもらったのだと、知ってもらう為にも、このように言った。

「似合いますか?」

「あぁ、とてもよく似合っているよ」


これから先、剣だけでも、魔法だけでも、正直不安だったので、こういう装備はありがたい。

「ありがとうございます。」

正直、涙が出そうになった。なんだか、目の前が少し曇ってきた。そうか、俺は今泣いているのか…。


・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・


「本領を出たら、西に向かいなさい。太陽が進んでいく方角に進めばいい。

 そうすると、小さな山が見えてくるハズだ。そこに、私が生まれ育った村がある。」

「先生は、本領の生まれではなかったのですか?。」

「あぁ、私の生まれた国は、何十年も前に、帝国に占領されて滅亡した。

 私の村は、土の中を住居にして生活していたので、気づかれず、略奪から逃れる事が出来たので、今も存在している。」

「そんな大事な事、俺に教えてしまって、大丈夫なのですか?。俺のせいで、その村が気づかれたりしませんか?。」

「そこは、大丈夫だろう。兵士たちの略奪は、侵略時にしか許されていない。

 だから、今、気づかれても、略奪対象とならないのだ。

 あそこなら、職人も優遇される。人を雇う習慣もある。そこなら、君のスキルも活かせるだろう。

 だが…」

そこまで、言いかけて、先生は言いよどんだ。


俺は、先生をじっと見上げ、先生の言葉の続きを待つ。

先生は、その場に座り込み、目の位置を俺と同じ高さにしてじっと見つめ返した。

先生は、今にも泣きそうで申し訳なさそうな表情をしていた。

そして、剣を持っていない方の俺の手を、両手でぎゅっと覆って言った。

「本当ならば、そこまで送って行ってやりたいのだが、それが許されてはいないのだ…。」

「承知しているつもりです。でも、追放だけで済んで、ちょっとホッとしています。

 こういう場合、普通は抹殺されるものだと育ちましたので…。」

「君は賢いな…。それだけに惜しい…。」

「先生のせいじゃありませんから…。」

(それに、たぶん、このスキルが発現した原因は、俺の前生のせいでしょうから…。)

「村までの道のりは遠い、子供の君が無事に辿り着くのは難しいのはわかっている。

 でも、私の知る限り、君が生きる為には、そこを目指すしかないと思っている。」

「はい。」

「だから、だから、生きて、そこまで辿り着いてくれ…。」

「やってみます。」

「気休めにしかならないかもしれないが、今の私が、君にしてやれるのは、その剣だけだ…。」


「ありがとうございます。先生の気持ち、お預かりします。」

せめてもの遠慮として「頂きます」ではなく「預かります」という言葉を選択した。

「その手紙は、村長に渡してくれれば、村での便宜を図ってくれると思う。」


その日、なんだか嫌な気がしたので、その服を着た状態で眠りについた。

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