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追放されたクラフター、敵の命を対価にする禁忌の力で成り上がる  作者: 秋月心文


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1章01話:帝国貴族メチャ・ゲス

カース帝国と呼ばれている国があった。

カース帝国の皇帝ヒッド・カースは必要なものは常に奪うという政策を是とし、国の拡張を広げ、超大国へと発展していた。

この国は、強い魔法部隊を駆使し、周辺の国々を力で蹂躙し、占領した領地からは略奪のかぎりを尽くし、それを帝国本領に送るだけという政策を繰り返していた。


カース帝国の強力な魔法攻撃を受けた地は、魔力に汚染され、雑草すら育たない。土の中の細菌も死に絶え、砂漠化されていった。

その為、本領から国境に到達するまで、砂漠化している地域が長くなりすぎて、帝国が他国に侵攻出来る回数は、年々減少の一途を辿っていった。

他国を攻めるには、広大な砂漠を超える必要があったが、途中に補給が出来る場所が存在しない為、膨大な量の物資を運ばなくてはならなかったからである。


故に、帝国では、本領内でも、限られた人間以外に食糧を回す事が出来なくなっていった。

限られた人間…。それは、皇族であり、武功に秀でる大貴族であり、大商人であり、そして、兵士である。


故に、そこに生きる国民は、皆、兵士になりたがった。大貴族や大商人でもないかぎり、兵士でなければ食べていく事が出来なかったからである。

そして、兵士には、少ない補給物資で他国を侵略出来る「大量殺戮」が出来る技能が求められていた。


帝国を支える貴族たちは、貴族であり続けるために、力のある者を自らの家に取り込んでいった。

それ故に、帝国貴族なのに大量殺戮技能を持たずに生まれた者がいた場合には、事故や病気で死んだ事にする為に抹殺される事が一般的だった。


・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・


ロフト・リム は、そんなカース帝国の貴族の従者の家系に生まれた。


幼い頃から、剣術や魔法の基礎は叩き込まれてきた。

うれしい事に、俺は魔力量が人より1桁多いらしい。


・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・


5歳で、無詠唱で魔法が行使出来るようになった。

火球を飛ばしたり、水流をぶつけたり、穴を掘ったり、小さな怪我を治したり、飲み水を作り出したりする事が出来ていた。

だから、魔法に素質があるとチヤホヤされてきた。


カース帝国では、大量殺戮の素養があれば、重用される。

この国では、それが、あるかないで、扱いが大きく変わっていた。

この国の人間は、大量殺戮がもたらす悲劇など、考えにも及んでいなかった。


だから、きっと強力な大量殺戮魔法を放つ事が出来るだろうと期待されてきた。


10歳になったとき、俺には、どんな素養(殺戮の才能)が芽生えるだろうか…。とても楽しみだった。


・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・


8歳になった時、ロフトの評判を聞きつけた貴族の名門、ゲス家の当主メチャ・ゲスは、

自らの家に、引き抜くべく、その子を差し出せと要求する。


子供だったロフトは、親に泣き付いて行きたくないとゴネた。そして、リム家の両親も、反対した。


しかし、それを見た貴族メチャ・ゲスは、両親を目の前で殺せと命じた。両親は、ゲス家の兵士たちに殺された。


そして、呆然としている ロフト・リム を、無理矢理、馬車に乗せて連れ帰った。


両親の墓を作る時間も許されなかった。


・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・


その日から、リム家の名前を捨て、ロフト・ゲスと名乗るように強要。

その後、貴族として様々なことを無理矢理押し込まれできなければ叩かれた。

しかし、いつか復讐してやると誓い、厳しい鍛錬にも負けず、日々を過ごしていく。


時々、両親が殺された時の事を思い出し、うなされる事もあった。


ゲス家には、自分と同じように、どこからか連れてこられた兄と、姉がいた。

ゲス家の兄ソウデ・ゲスは大量殺戮スキルを、姉ムリデ・ゲスは広範囲攻撃魔法を放つ事が出来た。

ちなみに、ゲス家の兄も、姉も、自分同様に、ゲス家以外のどこかから、連れられてきた。

だから、兄も、姉も、自分の本当の家族のように接してくれていた。


自分は剣の腕が良い。

だから、自分も、兄たちと同じように、殺戮に強いスキルが現れると思っていた。


当面の目標は…

「大量殺戮」技能を見につけ、いつの日か、ゲス家の当主メチャ・ゲスに復讐する事だ。


・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・


ある日、俺は、階段から踏み外し頭を打ち意識を失った。

その混沌の中で、死を意識していたのだろうか、ふと、前生の記憶を取り戻してしまった。

俺は、日本という国で、小さな工場を経営していた。何より、モノづくりが大好きだった。

貪欲に知識を吸収し、いろんなモノを作っては試す事を何よりのよろこびとし、数々の発明をして、財を成すような人生をしていた。


前生での自分のモットーは「どうせ作るなら相手の想像を超えるモノを…」だった。

今の帝国とは真逆の環境だった。とても衝撃を受けた。モノづくり生活に憧れる自分が芽生えた。


しかし、大量殺戮技能を身に着け、それを行使出来るようにならなければ、ここでは生きていけないという現実があった。

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