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君のオリオン座になりたい  作者: 河彗ツキ
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知るべき時



10.




悶々とした思いを抱えた僕は次の日を迎えた。




『星河さんに会ったらなんて言う?』


『尋ねてもいいのか?』


そんな事を考えながら学校の机に突っ伏した。


「おーい志河ーどうした?」

「別に、普通。」

「イライラしてるのー??不機嫌なのー?」


朝からテンションの高い澄元が僕の脇腹をつついてくる。


「何でもねぇようるさい。」

「なんだ志河生理か〜!」


澄元はいい奴だがデリカシーがないところがある。

もちろん僕に子宮はないから生理が来るはずもない。

こういう所がモテないんだろ、と言いたいのをグッと抑えて僕は澄元を無視する事にした。



今日星河さんに会ったらいつも通り接しよう。

変に気を使う方が彼女も気を悪くするかもしれないし、まだ決まった話ではない。

僕はそのまま昼休みを待った。






その日、彼女は学校に来なかった。





ーーー




「ただいま〜。」

「あれ兄さん、こんな時間なのに珍しく帰ってきたんだ。」


僕には6つ歳の離れた兄がいる。

普段は大学に通ってバイトをして、彼女と同棲をしている。


「いや〜振られちゃってさ〜!この寒い中追い出されたわ!だからしばらくここに居るよ。」

「そう・・・。母さんは知ってるの?」

「昨日電話したから知ってるよ。」


兄さんは手癖が悪い。

女の人を取っかえ引っ変えしては女の人の家に入り浸って別れたら戻ってくる。

そして新しい彼女を作ったらまた出ていく。

そんな兄である。

もう21時を過ぎてるのにノコノコ帰ってきた。


「そろそろまともに恋愛したらいいじゃん。格好悪いよ。」

「その口ぶりはまだ女を知らないな〜!?若いうちに遊ばないと!お前ホントに兄ちゃんの弟か〜!?」


ケタケタと笑ってくる兄の言葉に飲んでいたミルクティーを吹き出した。


「ちょ、ホントに澄元といい兄さんといいデリカシー無さすぎ・・・。」

「あ、そういえばすぐそこの家凄かったぜ。怒鳴り声と物の割れる音が、なんだっけ、星河さん?ってとこ。」


一瞬目の前が真っ白になった。


「今、星河さんって言った?」

「?おう。」


間違いない。

母さんの話といい兄さんの話といい・・・今日学校に来なかった星河さん。


「ぼ、僕外出てくる!」

「あ!おい!上着は!」


兄さんの声を無視して僕はマフラーだけを掴んで家を飛び出した。

マンションを出て山の方向の道を走って『星河』の表札を探す。


3軒通り過ぎたところで街灯の下にしゃがみこむ女の子を見つけた。

見覚えのある髪色。見覚えのある部屋着。見覚えのある姿。


「・・・っ、星河さん・・・!」


僕の声にビクッと身体を震わせ顔をあげた。


「・・・志河、くん・・・。」


泣き腫らしたであろう腫れた目でこちらを見つめるのは確かに星河さんだった。

口の端が切れて血が出ていた。

髪は乱れて、部屋着のショートパンツから露出した足には痣がいくつも出来ていて、その足は何も履いていなかった。



「・・・・・・知ってたんだね、その顔は。」





彼女は力なく笑っていた。











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