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呪いの聖女じゃありません~呪われた迷宮と聖なる少女~  作者: 初雪しろ/Yuyu*
第一章 聖女と呪いと冒険の始まり

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誰かの記憶

 森の洋館の庭まで無事にたどり着いた。

 装備は駆け出し冒険者向けの装備を揃えて、ポーション類も安価な最低限のみを揃えてきた。


「駆け出し向けの安価なものでも、ないよりマシってレベルじゃなくて、用意してよかったわね」

「まあ、ゴブリンでも防具無しで受ければ人によっては普通に骨折までいきますからね」

「筋肉あるやついるものね」


 私はガントレットというよりも、多少は一撃の威力も上がりそうだけれど、それ以上に拳を守るほうが主な用途になっていそうなグローブを装備している。

 手をグーとパーと動かしているけれど、ガントレットより動かしやすいまである。

 ただ、腕までは保護がないから攻撃に対して腕で受けるのはちょっと危険ね。

 それと、実は1つだけダメ元でとあるものを持ってきた。


「アリアさん。それ、使えるんですか? 武器屋で買ってましたけれど」


 リナがそういってくる私が背負うようにして持ってきた物は――アックスだ。


「戦いで使う気はないわよ」

「それじゃあ、なんのために」

「すぐにわかるわ。それよりも……直ってるわね」

「え? ほんとだ。2階の窓直ってますね」

「それと反対だけど……作り的には同じようにしてていいはずなのに、なんで広いままにしてるのかしら」


 私はそういいながら、2階の不可解なほど何もなかった右のフロアの窓を見る。

 外から見る分には、やっぱり部屋か何かがあっておかしくない。

 少なくとも、わざわざ壁も作らずに装飾もない空間になっているのは違和感だ。

 むしろ、2階部分は半分で作られていて、あの空間部分は外にせりでるようにバルコニーになっててもいいくらいな気がする。


「入るわよ。それと、呪い……に気をつけろっていってもわからないわよね」

「わかるようになりたいので、アタシなりに魔力には気をつけます。魔法は使えるからアタシにも大きな変化ならわかるはず……」


 今回のことが落ち着いて時間が取れたら、呪いはともかく魔力感知の基本くらいは教えてあげようかしらね。

 まあ、今はそれよりも目の前のことね。

 私たちは入口から堂々と洋館の中へと足を踏み入れた。

 玄関ホールは変わらず台座が光って――あれ、光ってるわね。


「私たちのこと認識してるのかしら?」

「どういうことですか?」

「最初って私たちは1階の別のフロアに入ろうとしたときから光りだしたじゃない。入ってきた時はまだ光ってなかったはず」

「あ、たしかに」


 それにこのマークは家紋だということもわかった。


「少し調べてみましょう」


 今までは不用意に触れるのを避けていたけれど、呪いがあの鎧じゃないと考えたらおそらくこの家紋は何かあるはず。


「え、えっと、アタシにできることは」

「前みたいにわけのわからない生物がでてくるかもしれないわ。後は単純にあの鎧とか、ここ数日の間に魔物が洋館に入り込んでる可能性もあるから警戒していて」

「わかりました」

「あと、念の為に聖水もすぐ使えるようにしておいて」

「あ、はい」


 私は慎重に台座に近づいてしゃがみ込む。そして、光っている家紋に手で触れた。

 少なくとも呪いの魔力と同じだということは、すぐにわかった。

 ただ、触れたことで私のグローブを呪ってくるみたいなことはない。


 それなら、なんで光ってるのかしら?

 そう思いながら、台座にしかけがないかを触って探っている時だった。


 家紋が輝きを増した――その瞬間、視界が歪んだかと思うと周囲の風景が変わる。

 目の前には台座とその上に立つ誰かを象った像があった。

 周囲を見渡すと知らない青年が2人いてなにか言い合っている。ただ、不自然なことに何を話しているのかどころか音は何も聞こえない。

 けれど、その青年ふたりの身につけている物の中にあの家紋が刻まれていることが確認できた。


 一体、私は何を見ているのか。それとも、どこかに来てしまったのか。

 状況を判断しようとしている私と混乱に飲まれそうな私が脳内で喧嘩を始めそうになった時――突然、冷水を浴びたような感覚が襲いかかってきた。


「つめたっ!?」

「アリアさん! 大丈夫ですか!?」

「リ、リナ? あれ、私どうなってた?」

「台座が強く光ったと思ったら、遠い目というか心ここにあらずって感じになってしまって、声をかけても全然反応しないので」


 どうやら、かけられたのは水ではなくて聖水だったようだ。


「……どのくらい、私はそうなっていたのかしら?」


 ひとまず目に入りそうな聖水だけ拭い取って立ち上がる。


「一瞬といえば一瞬でしたが、流石に明らかに台座というか光がました瞬間からだったので」

「そうなのね」


 さっきのは呪いなのか魔法なのかはわからないけれど。

 おそらくこの洋館の記憶か。この呪いに関わる誰かの記憶かしら。

 こんな現象は聞いたことないけれど――もしかして、例の衰退してしまった貴族の記憶だとしたら。

 確信はできないけれど、揉めに揉めたうえでの一家離散みたいな末路だったのかしら。


 まあ、ひとまず。

「リナ。助かったわ」

「いえ、余計なお世話だったらすみません」

「私自身何が起きてたのか正しく把握できてなかったから、自力でどうにかできたかもわからなかったわ。だから、素直にお礼されなさい」

「は、はい。よかったです」


 改めて台座をみれば光は落ち着いて、元々光っていた程度になっている。

 あの鎧も貴族に関わるものなのかしら。


 ダンジョンの中にできた洋館が密接に特定の誰かに結びつくなんていうのも違和感はあるし――どういうことなのかしら?


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