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呪いの聖女じゃありません~呪われた迷宮と聖なる少女~  作者: 初雪しろ/Yuyu*
第一章 聖女と呪いと冒険の始まり

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呪われていた装備

 少し休憩した後、改めて2つの部屋を見て回った。

 通路から入ってすぐの少し広い部屋は食堂か用途に応じて家具の配置を変えられるようにしてある部屋だと想像する。

 机や椅子がところどころに転がっているところから想像した。

 そして奥の部屋は厨房だった。入ってすぐのゾンビが倒れている位置は出来上がったものを置いておくスペースになっていて、奥に調理のための設備があった。もちろんこの状態なので、使えそうにはないけれど。


「あとは……ゾンビかしらね」

「装備は見たところ駆け出しでも買えるような装備ですけど」

「問題はダンジョン内で1から生まれたアンデットなのかどうかってことよ」


 死体に対して申し訳ない気持ちもあるけれど、真相を知るためには仕方ない。

 それに、もしもダンジョンに入った冒険者であれば死んでしまったことを知らせる必要もある。

 私は女のゾンビをリナにまかせてまず男のゾンビが装備していた防具や、物がしまえそうな場所を調べる。

 鎧は判断材料にならずソードは劣化がひどいけれど、大陸中で見る作りのものだ。

 他になにかないか調べていると、かろうじて形を保っていた鎧の下の服の胸ポケットに入っている何かを見つけた。

 取り出して見てみるとタグのついたネックレスだった。タグには名前が刻み込まれている。


「これだけだと私には誰なのかわからないけど……ダンジョン内で生まれてたとしたら、こんなものはもっていないわよね」


 それに誕生日から計算すると成人はしているけれど、まだ若い人だったようだ。


「初心者でダンジョンにきてやられたのね。それで、場所が悪くて死体はゾンビになってしまったと」


 あとはヘルムね。

外から見えてる部分は何も問題なかったけれど。

 そう思いながら、ヘルムの内側を見てみると嫌なものを見つけてしまった。


「またこのマーク。なんのマークかは知らないけれど呪いみたいね。ただ、ヘルムを持っただけだと影響はないみたいだし、被ると呪いが発動されるか……頭に対して呪いを付与してくる感じかしら」


 そうだとすると結構厄介な呪いだ。

 ただ、この森自体の難易度の話を聞く限り簡単に死ぬことはなさそうだけど、呪いで頭がおかしくなっていたとしたら。


「こんなところかしら。洋館の調査が終わったら埋葬してあげるから、寝心地は悪いでしょうけれどここでもう少し待ってなさい」


 私はせめて体勢だけでも仰向けで眠るように整えてからリナと合流する。


「リナ。何かあったりしたかしら?」

「アタシが感じる限りだと、目立っておかしなものはないですけれど。服の残骸を見るともしかしたらメイドだったのかなと」

「メイド? この洋館に住んでいたってこと?」

「そこまではわかりません。ただ、アタシの知識で服の残っている部分から想像がついたのが、貴族の屋敷にいるのを遠目からみたメイドの服装のそれだなって」

「なるほどね。まあ、たしかにそう言われてしっかり見ると、私にも見覚えがあるような気もしてくるわ」


 でも、なんでメイドがゾンビ化しているの。

 いや、そもそもダンジョンの洋館にメイドってどういう状況なの。

 ダンジョンで生まれた洋館だとしたら建物の形は洋館でも、人が住んでいるわけではないはず。


「混乱してきたわね」

「そっちのゾンビはどうでした?」

「若い冒険者だったみたい。タグを持ってて名前が刻まれてたわ」

「なるほど……でも、そうなると気をつけないとですね」

「なんで改めて言うのよ」

「いえ、現状はゾンビとゴブリンぐらいにしか出会ってないけれど、死んでしまう要因がここにあるってことなら、魔物か命を奪うような罠があるのかと」

「そうね……まあただ、防具に呪いがかかっていたみたいだから、それで死んだかもしれないけれど」

「そんな呪いがあるんですか!?」


 なんで今更驚いているのかしら。


「装備したら死ぬってことですよね」

「あー……違うわよ。いや、ないとはいわないけれど簡単に使うことはできないから、そんなに身近で使われることはないわよ」


 そういう勘違いで驚いたのね。


「ようは呪いの影響で満足に活動が出来ない時に、普段なら対処できていることができなくなってしまったってことよ。そういう場合は、普通にしている文には脅威は少ないかもしれないじゃない」

「なるほど。ですが、アリアさん。冒険においては最低を想定してすすめたほうがいいんですよ」

「そ、そうね。たしかにそのとおりね」


 決して呪いを軽視してるつもりはないけれど、確かに呪いに意識がいきすぎて関係なく危険なものがないと考えるのは、それこそ危ないわよね。

 その後、他に扉などがないかを軽く調べてから私たちは玄関ホールまで戻ってきた。

 ただ、台座のマークはホールに戻っても消えずに光り続けている。


「何に反応しているのかしらね」

「さっぱりですね。あと今気がついたんですけれど」

「台座に何かあるとか?」

「いえ、台座の後ろといいますか。あれって……」

「うん?」


 リナが指さした方向を見ると階段の下に四角い枠がついている。

 よく見れば、ドアノブがあれば違和感がなさそうな位置にも小さい穴があいていた。


「よく考えると階段の下にきっちり空間を埋めてるってのも変よね」

「右側の厨房とかがある位置までの奥行き考えると、玄関ホールが狭かったので」

「言われてみればたしかにそうね。でも、よく見つけたわね」


 ただ、ドアノブがないとなると、かなり開けづらい。

 仮に鍵なんてかかっていたら、どう外せばいいのか。流石に鍵開けの技術はもっていないし、そもそも学んだことがない。


「リナって鍵開けできる?」

「できません」

「そうよね。私も出来ないから、何にせよあとにしましょう。まずは残りの左の通路を調べるわよ」

「はい!」


 私たちはそうして左の通路へと移動した。

 ただし、残念ながら特にめぼしいものはなく部屋の配置は似ていて厨房部分が大きな倉庫になっていたくらいだ。

 残念ながら、価値があると思えるものは残っておらず玄関ホールに戻った。


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