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呪いの聖女じゃありません~呪われた迷宮と聖なる少女~  作者: 初雪しろ/Yuyu*
第一章 聖女と呪いと冒険の始まり

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呪いのそばに潜んだ死者

 扉から飛び込んだ先は一見してかなり広い部屋だった。

 その部屋の用途を確認するよりも先に中で動いていた何かを見つける。

 音なのかそれとも部屋に入ってきたこと自体に反応したかはわからない。だけど、確実にこちらに振り返ってきたそれと目が合う。

 いや、実際には目があっているかは微妙かもしれない。


「なんで森のダンジョンにゾンビがわいてでてきてるのよ!?」


 白目のそれが本当に私のことが見えているかが判断はつかないから。

 しかも、よく見ると微妙に装備が整っている。革製のアーマーに刃の一部がかけているロングソードだ。


「アリアさん、奥にも一体います」


 リナがそう言って見ている先には、更に奥につながる扉が


「おかしいわね。いえ、ゾンビという魔物というかアンデット自体は条件が揃うと簡単に生まれてしまうけれど」

「まだ、この距離なら逃げられると思いますけど」

「いえ、2体ならどうにかなるわ。それよりも、ゾンビが自然に生まれ続けるとしたら今後のことを考えると、なるべく早くこの洋館は調査するべき。あと、アンデットは結局冒険者じゃなくて教会に依頼がくることもあるのよ……」

「そういえば、冒険者ギルドであんまりアンデット退治の依頼はみたことないですね」


 神官が使える神聖魔法や特殊な武器はアンデット全般に対して特攻を持つと言ってもいい。

 もちろん聖女の魔力も有効になる。問題はゾンビの場合は装備をしている場合は、少し魔力が本体にぶつかるのが阻害されてしまうこと。


「私は男の方を相手するから、女のほう頼めるかしら?」

「あの、実はアンデットの相手は初めてで」

「最悪は私がやるけれど、他の魔物と同じで傷を与え続ければ倒れるわ。ただ倒したと思って倒せてないことが多いから、そこだけ気をつけなさい。最悪、口の中に聖水直接流し込めば倒せるから」

「わかりました!」


 リナに奥にいる女のゾンビを任せつつ、私は男のゾンビに対して正面から向かっていく。

 ロングソードの攻撃であれば、しっかりと見れば回避はしやすい。それに、室内でよく見ると木製の机や椅子が散乱している部屋だ。


「さあ、どこからでも来なさい」


 私はある程度、距離を詰めてから改めて構える。

 ゾンビのほうはうめき声を上げつつその手の剣を振り回してきた。


「装備はともかく知能は、特別変わらないみたいね」


 私は攻撃を回避しつつチャンスを待つ。

 そして大きく縦に振り下ろされた攻撃のタイミングで回避してから、外す心配のない胴体に魔力を込めた拳を叩き込む。

 確実に当たった感触があり、敵も数歩後ろに下がったけれど倒れてはくれない。


「やっぱり一撃じゃ無理よね」


 私は後ろに跳ねるように下がる。

 やっぱり鎧の上からだと、魔力は通しにくいわね。

 魔力で威力自体は上がっているはずなんだけど、私のもとの筋力とか拳の当て方が悪いとあんまりダメージにならないのよね。

 後は動く相手だと勝手が違う。それにゴブリンと違って身長はあっちのほうが高いから、派手に吹き飛んでもくれない。


「何度か胴体に攻撃いれてダメージで倒してもいいけれど……」


 魔力を直接叩き込めれば、かなりの効果があるはず。

 リナがアンデットの対処に慣れていないらしい。


「次で決めるわよ」


 ゾンビは態勢を戻すとまた剣を振り回してくる。

 うん。やっぱり、本能的に振り回しているだけでフェイントとかは使ってこない。

 これなら、私の戦闘経験不足でもなんとかなる。


「そして、フルフェイスじゃないのなら!」


 私は大振りの攻撃を避けて、姿勢を低くしてそのまま――顎めがけて拳を突き上げる。

 拳は腐った肉体にぶつかって、数秒後にゾンビはガクガクと痙攣した後に地面に崩れ落ちた。


「リナは!?」


 ゾンビが動かなくなったのと確認して、リナが向かった方向を見ると開きっぱなしの扉だけが目に入る。

 戦っているうちに奥の部屋まで移動してしまったのか。


 私は急いで奥の部屋まで駆け込むと――。

「リナ、大丈夫……みたいね」

「はい。なんとか……ちょっと気の毒な感じになってしまいましたが」


 女のゾンビの口に聖水の瓶がねじ込まれていた。

 そして下半身を見ると、おそらくリナの魔法だと思われる地面から突き出た岩で足が貫かれて簡単には動けなくなっていた。


「建物の中でも使えるの? こういう土魔法って」

「いえ、床が剥げて下に地面が見えたので利用して。流石に何もなかったらもう少し苦戦してました」

「なるほどね。運が良かったってことかしら」

「そうなります」


 だけど、戦いながらちゃんと周りが見えてるってことよね。

 私は敵を視界に捉え続けて、周りはあまり見えてなかったかもしれない。


「まあ、とにかく調べるわよ。このゾンビが何だったのかも含めてね」

「はい……へ? 普通にダンジョンにわいたんじゃ」

「もしかするとダンジョンの中で死んでしまった冒険者の可能性もあるのよ」

「最近見つかったばかりのこの洋館で2人もって考えにくそうですけど」

「そこも含めて調査するのよ」

「は、はい!」


 私たちは改めて警戒を強めながら調査を再開することにした。

 しかし、呪いとアンデットが同じ場所に集まっているのは、あんまり好ましくはない状況かもしれないわね。


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