99・魔法とは
魔法とは~
自らの体内にある『魔力』を消費しそれを構築する『魔法陣』を媒介として現象を行使する技能である
それは基本属性からなる五大元素
火 水 土 風 木
から成り立っており基本的には魔力を持っている人間なら誰しも扱える属性である。そしてそこから派生される属性は様々であり、例を少し挙げるとするならば
氷 雷 光 闇 空間 など、さらに細かく分けると数えきれないほどの属性がある
だが結局それらを扱おうとするには本人の力量もさることながら、その魔法を構築する魔法陣を理解する必要がある
例えば日常に使われている光を照らす『ライト』と言う魔法。それを行使するには、まず必要な魔力量の調整、そしてそれを発動するための魔法陣を頭に描く事が必須である。このライトと言う魔法はただ明かりを照らすだけとシンプルな魔法である故、構築する魔法陣も非常に簡易。だがそこに込める魔力量を間違えてしまうと自分の目が潰れてしまいそうになる程の強い光を発してしまう。その為魔法の発動には十分な理解と慎重さが必要となってくるのだ
そこで役に立ってくるのが『詠唱』と呼ばれるもの。本来魔法の発動は前述した様に魔力量の調整とそれを構築する魔法陣への理解があれば声に出さずともイメージがしっかりしていれば発動する
だがそのイメージを最も最適に顕現してくれるのが『詠唱』になるのだ
分かりやすく例を挙げるとするならば、『アップルタルト』と言う言葉を思い浮かべた時、脳内に出てくるのは、甘くて丸くていい香りがして出来立てなら暖かくてさらに美味しい、と言った事が一瞬で想像できるように、『ライト』と詠唱をすればそれに必要な魔力量、魔法陣が一瞬で脳内にイメージ出来ると言う事だ
だがこれは簡易な魔法だけに当てはまる事で、シャルやジールが行使しているようなドラゴンをも倒せるような高難易度の魔法ともなるとその複合的な難易度は何倍にも跳ね上がる
シャルが唱えた『バキュームブレード』を行使するならば
基本属性は風、打ち出すのは真空の刃、その刃の形、その大きさはドラゴンより大きく、威力はドラゴンの鱗を切り裂けるほど、真空にする為の空気の調整、その数は、維持する距離は・・・などなど
そしてそれに比例して魔法陣がどんどん複雑化していく。それを一瞬でイメージするには『詠唱』が一番最適と言う訳だ。ただそれを一瞬でイメージ出来るようになる為には相応の努力が必要となってくる訳だが・・・
勿論それを行使するに必要な己の魔力量と理解できるだけの聡明さが重要となってくる
生まれ持ったバカげた魔力量を持っているシャル。だがそのシャルが霞むほどの先天的異常性の魔力を体内に納めているジール。自らの努力で難解な魔法陣を理解し、それを行使しているシャル。瞬間記憶能力を持ち、どんな難解な魔法陣も一回見ただけで一瞬で理解してしまうジール
二人が世界屈指の実力者と呼ばれてはいるが二人の間には大きな歴然とした実力の差があった
つまりシャルは詠唱に置いて積み重ねてきたイメージを明確にし魔法を行使しているのに対して、ジールは別に詠唱をせずとも直ぐに魔法を発動できると言う訳だ
なら何故ジールはシャルの様に詠唱をしているのか?その答えは簡単である
「技の名前を言った方がイケてるに決まってんだろ!」
・・・それがカッコいいと思っているだけだった
だがそれは血の滲むような努力を積み重ねて来たシャルにとってはただの嫌味にしか見えず、結果先程のような皮肉がつい出てしまうのも必然なのかもしれない
そして魔法とはまた一線を引いた別の事象
それも魔力を消費するのには間違いないのだが魔法とは全く以て非になる
それが
「チッ!『来たれ炎の化身ヴォルカヌス』!」
『召喚』である
召喚が最も魔法と異なる点は、魔法は魔力を消費し魔法陣を介して発動することに対し、召喚は召喚する者と『契約』さえしていればすぐに呼び出せる、と言う点だろう
その呼び出す際に必要なのが魔力と、そして言霊である
言霊と言うのは何か、これも分かりやすく言えば「すいませんが、力を貸していただけませんか?」という事を召喚される者が分かりやすいような言葉で言い換える必要があるという事だ。そしてそれに魔力を乗せて声を掛けたら召喚陣を介して来てくれる、という訳だ。その際、魔法を行使する時に魔法陣を頭に描く必要は無く、魔力と言霊さえ乗せれば召喚陣は相手側が描いてくれるというのが利点だろう
さらに通常の魔法と異なり、一度呼び出してさえすれば送還するまでずっと手助けしてくれるし、召喚された者自身も当然ながら魔力を持っている為、その者が魔法を行使する際には自身の魔力を消費するので呼び出した本人はそれ以上魔力を消費しなくていいのだ
これだけ聞くと、魔法より召喚の方が遥かにいいじゃないか、と思うかもしれないが当然不都合な点もある
まず第一に召喚する際の魔力量が魔法に比べて遥かに膨大であるという事
そして第二に契約の際は相手に認められる必要があるという事
そして第三に・・・これが最もリスクがあり召喚に対して躊躇する人間が多い点なのだが、それは契約する際に認められなかった場合、下手をすれば殺されてしまう可能性がある、という事だ




