95・グルマン
「はいよ!お待ち!」
とそこに丁度いいタイミングでジールの元に料理が運ばれてきた。店主が皿に盛った料理の数々、その量もさることながらそれぞれが鼻腔を擽るほどいい香りが漂ってきているのが良く分かる
それを見たジールも思わず出てきた料理に涎が出てしまう。先ほどまで海綿体の血流が下半身に集中していたことも忘れ、二の腕に柔らかい幸せな感触を押し付けていたシャルのデカメロンをブルンっと突き放すとカウンターの席に座り直した
「お、来た来た!よーし!じゃあ頂くとしますか!」
ジールの前に次々と並べられていく料理。それを目の前にして両手でフォークを持ち今にも喰らい付くような勢いでジュルリと再び涎を垂らす。そして食欲と言う本能に従いそのままガブリと食らい付こうとした・・・が
「美味そうじゃないかい!ほんじゃ言質も取った事だし御馳走になるとしますか!」
「ってお前はまだ食うんかい!」
いつの間にか自分の隣の席に腰を掛けていたシャル。そしてその両手にはジールと同じく力強くフォークが握り締められていた
だがシャルの言うように御馳走することを渋々ながら、いや性欲と言う本能に逆らえず了承してしまった為、ジールにそれを止める事は出来ない。自分のせいでもあるしシャルの作戦通りでもある。ジールは溜め息を吐きながらやれやれと思い肩を竦めるが、考えても仕方ないと思い改めて食事を始める事にした
「おっ、これは俺の好きなライノレックスの毛先じゃねぇか。さすがおっちゃん、分かってるねぇ」
「そうだろう!ガッハッハ!仕入れるのは大変だったがお得意様の好物とあっちゃあ切らす訳にはいかねぇからな!」
「モグモグモグモグ」
さすがジールの行きつけの店の店主だ。ジールの好みを良く分かっており、さらに食事には糸目をつけないから仕入れにかかる金額も気にしなくていい。それだけジールが金を落として行ってくれるから。元々ハンターたちに人気があり味に定評がある店主だ。その料理がマズい訳無い
「おっこっちはブルードラゴンの赤身かぁ。いや~通だねぇ」
「モグモグモグモグ」
「それにこれはエレファントコングのササミじゃねぇか。こいつがまた酒に合うんだよな」
「モグモグモグモグ」
「それにこっちは・・・ってもう無いんかい!おいシャル!お前食い過ぎだろ!おーい、おっちゃん!追加だ追加!」
「あいよー!」
ジールが料理に舌鼓を打っている間に次々と隣のデカメロンに料理が吸い込まれて行っていた。お前はさっきアレほど食べただろうが、と思うがどんどん無くなっていく料理にジールも慌てて皿に残っている料理を口に掻き込み始めた
こうなればゆっくり味わっている暇はない。次々と出てくる料理を我先にとお互い奪い合うようにして己の胃袋の中に詰め込んでいった。それを見ていた周りのハンター達はこれがいつも通りの光景と言わんばかり「おいおい、また始まったぜ。まったく・・・毎回よくやるよ」と皆が口を揃えてそう呟いていた
~数十分後
「っかぁ~~!いや~食った食った!ご馳走さん!」
「ちっ・・・今日の稼ぎがパァだぜ」
店の食材をほとんど食い尽くした頃にやっと一息つく二人。その奥の厨房では三人いる料理人が全て精魂尽きた表情で床に崩れ落ちていた
「ガッハッハ!毎度あり、お陰で今日はもう店仕舞いだな!まぁ酒はまだ残ってるからゆっくりしていってくれ」
それとは対照的にホクホク顔の店主。仕入れた食材がほとんど捌けたのだ。他の客からはブーイングが入るがそんな事は気にも留めていない。要は店主からすれば店が儲かればいいのだ
食材が無くなったことで提供できる食事も乾き物ばかりになってしまう。だがそんな事で客足が遠のく様には見えない。ここに来るハンター達は腕のいい店主の食事が目的なのは元より、この店自体の雰囲気が気に入っている。それ故、少々のブーイングは起こるものの結局は楽しく酒を飲みながらお互いの情報交換が出来ればそれでいいのだ
「助かったよジール。最近物入りが多くてね、懐がすっからかんだったのさ。まぁアンタに奢ってもらったから結果オーライってやつさね」
金が無いのに天井まで皿が届くぐらい食ってんじゃねーよ、とツッコみたくなるジールだが自分も腹いっぱい食い過ぎて返事をするのも億劫になっている。シャルに張り合って少し食い過ぎたみたいだ
しかしアレだけ食べたのにも関わらず、相変わらずシャルのスレンダーなボディラインはキープされたままだ。対するジールの腹はパンパンに膨れ上がっており履いているズボンが少し下にずり落ちている
彼女の消化器官は一体どうなっているのかと疑問に思うが、その主張が大変強い二房のデカメロンを見ればそんな疑問なぞあっという間に解消されてしまう
「それはそうとジール、アンタ最近あんまりいい噂を聞かないよ?」
腹いっぱいになりチビチビと酒を飲みチラチラとシャルの胸を盗み見ていたいたジールに再度シャルから声が掛かった




