表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
蓮華草  作者: 山猫
第二章 あの時の話
PR
113/148

113・戦利品の配分

頭上にピコンと閃いたようなマークが見えて来そうな程、苦悶の表情から一気に着想した表情へと切り替わったジール。そしてその閃きが浮かんだジールの視線の先には未だに二房の爆弾をブルブル揺らしながら小躍りを続けているシャルの姿があった


「黄ちゃんに四神、もう少し持ち堪えててくれ。何とかしてみるから・・・」


四神達にそう告げ殆ど残っていない魔力でシャルの方へゆっくりと近寄っていくジール。その表情は妙案が閃いた時の顔と打って変わって眉間に皺が寄り、ある意味少し覚悟を決めた顔をしている様に見えた

その表情が意味するところは、今からあの小躍り爆乳美女に交渉事を持ちかける必要があるからであった。只でさえ普段から何かしらの弱みを握られて貢がされているのだ。そのシャルに取引を持ち掛けるのだ、それは並大抵の掛け合いでは一気に主導権を持っていかれるだろう。ここは細心の注意を払いながら挑まなければならないのだ


シャルに近づいたジールはゴクリと唾を飲み込む。これはある意味では神龍より手強い相手と言えるのだ

ふぅっと軽く息を吐いた後、覚悟を決め恐る恐るシャルへと話し掛ける


「・・・良かったなシャル。伝説級のお宝が手に入って、それに大きな怪我も無さそうで安心したよ」


取り合えず様子見、一息でシャルの様子を伺いながら今回の戦いの戦果を共有するような言葉を投げ掛ける


「あぁ、ジール!これ見てみなよ!こんなお宝アタシでも初めて見たよ!売ったら一体いくらになるんだろうね!今から楽しみさね!」


「お、おう・・・そうだな、取り合えず一生遊んで暮らせるどころか何世代も豪遊できるぐらいの金にはなるだろうよ」


「そうだろうねそうだろうね!あぁこの依頼を受けて良かったよ!どちらにしろアタシ一人じゃ無理だったし・・・ジール!アンタが居てくれたお陰さね!ありがとよ!」


テンション高い、高すぎる。最早、両目が金マークどころか二房の爆弾すらもその中に金が詰まっているんじゃないかと思うぐらい金の亡者になり果てているシャル。だが分からなくもない、この世に存在しているのかどうか分からないと言われていた伝説のお宝なのだ。当然、その価値は計り知れないだろう

シャルの事だ、王族にでも売りつけてふんだんに金を毟り取ってやろうと思っているに違いない。あのシャルがここまで冷静さを欠いて感情を爆発させているのは珍しい事だ。特に素直にジールにお礼を言っている所が、だ・・・だがこれはチャンスだ


揺れ動き続けている爆弾に視線を取られつつも、あまり時間を取ってしまっては四神達の存在が消えてしまう。そんな事はあってはならない、特にその理由が己のスケベ心なら尚更だ

出来れば凝視し続けたい男の性をグッと押し殺し、それとなく交渉を進めてみようと試みるジール


「あ~何だ、そんな事気にすんな。元々お前から頼まれた依頼だしな・・・それよりシャル、その代わりと言っちゃ何だが・・・お前アレ持ってたよな?出来たら俺にくれないか?四神達の為に使いたいんだが・・・」


「何さ!?この神鱗の代わりなんだ!何でも言ってくれさね!」


よし、第一段階はクリアだ

言うタイミングとしてはバッチリだ。高揚しまくっているシャルに冷静な判断は出来てないみたいだ。このまましれっと進めてみるか・・・

ジールはそう思うと特に思考を凝らす事無くそのまま求めていたものを告げた

・・・だがこれがいけなかった


「あ~アレだよアレ。四神達クラスを復活させる事が出来ると言ったらアレしかないだろ、『精霊の宝珠』」


「・・・は?」


ピタリと、シャルの動きが止まった


しまった、やらかした

動きが止まってしまったシャルを見てジールは自分の失態に気付いた。だがそれは既に遅かった

あれだけ揺れ動いていた爆弾が動きを止め、ゆっくりとジールの方へ向き直る


「ジール、今、何が欲しいって言ったのさ?」


怖い、怖すぎる

両手には神鱗を大事に抱えているものの、ジールを見据えるその視線は金色の両眼でジールを睨みつけていた神龍の視線とはまた違った恐ろしさ。先程までキラキラと金マークで輝いていたシャルの両目はいつもの様な、特にジールがシャルを卑猥な視線で凝視した時を窘める時に使うような見下した両目

そしてそれにジールが気付いた時には全てが終わっていた

これはアカン、第二段階に行く前にしくじった


「いや・・・あの・・・そのですね・・・四神達の為に『精霊の宝珠』をですね」「はぁあああん!?」「・・いえ、何でもゴザイマセン」


『精霊の宝珠』

それは世界三大秘宝と言われるブルーメタルトパーズと比肩するほどの宝玉。それには若干劣るがその性能は絶対防御を成すソレと似て非になる物。どちらかと言えばブルーメタルトパーズの下位互換と言える宝玉だろう。だがその効力は精霊を限定しながらも、その存在全てを全て守る事が出来るとされる。それこそ、伝説級と言われる四神達であってもだ。つまりそれを使えば存在が消えつつある四神達を立ちどころに救えると言う訳なのだ

だが、それ程の宝玉だ。その価値はいくらブルーメタルトパーズの下位互換とはいえ計り知れない。金の亡者であるシャルにとってそれを簡単に手放すなど考えられないだろう。それ故、ジールは神鱗を手に入れたばかりのシャルになら譲ってくれると思ったのだ・・・直ぐに撃沈してしまったが

相変わらず交渉事が下手なのはある意味、天性のものなのだろう

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ