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蓮華草  作者: 山猫
第二章 あの時の話
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104/141

104・神龍

黄龍の声と共に先ほど放ったブレスを再び放つ四神。放つと同時に一瞬にしてぶつかり合う神龍の七色の熱線と四神の四色のブレス

傍から見たら光り輝く色の調和が美しい神秘的な光景なのだが実際はそうではない。それこそ近くにいる空間そのものが消滅するのではないかと勘違いしてもおかしくない程度の衝撃。お互いが触れると同時に聞こえてくる轟音。どこまでも高圧縮された魔力同士の会合。轟音と共に辺り全体に魔力の衝撃波が巻き起こる。それにより緑豊かな山麓の木々は全て吹き飛ばされ一瞬で淡褐色が主体の地面が露呈してしまっている


だがその激突は直ぐに勝敗が決まった


「なっ!?」


『ぬぅ!』


魔力の衝撃波の中から少しも威力を落としていない七色の熱線が顔を出した

それを見た黄龍は己の翼を使い再びジールへと覆いかぶさる


ドォゴォォォン


再度巻き起こる衝撃音に黒煙

そして少し肉が焦げるような燻ぶった匂いが辺りに立ち込める


『ぐぅ・・・何と言う威力だ』


「黄ちゃん!大丈夫か!?」


先程傷を負った翼とは逆の片翼で熱線を防いだ黄龍。そして同様に熱線が直撃した個所からは黒い煙が上がっていた。そのダメージに神獣と言われる黄龍でも苦痛により少し顔を歪ましてしまう


『・・・まだ生まれたばかりだというのにこの威力か。ジールよ、コレはここで叩いておかねばならんぞ』


両翼にダメージを負いバサバサとその傷を確認しながら少し動きを再度確かめる黄龍。金色に包まれた美しいその両翼は神龍の攻撃により部分的に黒く澱んでしまっている


黄龍が慄然する程の神龍とは如何ほどの存在なのか、そしてそれが明らかになるだろう、黄龍が見据えるドラゴニア山に立ち上る白煙が徐々に晴れてきた


「・・・黄ちゃん、アレが神龍ってやつなのか?思ってたよりずっと小さいな」


ドラゴニア山のやや中腹辺り、ジール達の居る場所からは少し距離がある為、若干分かりづらいが確かに何か居る

それを証明するかのように白銀に光る体躯が光を反射しそれがジール達の目に届いている。その存在を明確にする為ジールは魔力を目に集め視力を強化して改めてそれを確認した。そしてジールと同様に横に居るシャルもほとんど残っていない魔力を駆使して神龍を魔力で強化した目で確認していた


そして白煙が完全に晴れて確認したその姿

小さいながらも圧倒的な存在感がこの距離からでも伝わってくる

白銀に包まれた鱗を全身に纏うソレは宛ら銀世界を空想させる雪化粧のよう、そしてその体躯の中心に一際煌びやかに輝く七色の鱗、体を覆っている白銀の鱗より一回り大きく見えそれを中心に重厚な魔力が全身を覆っているように見える。そしておそらくアレが世界の三大秘宝と謳われる『神鱗』と呼ばれるものだろう

それを見た事が無いジールでも分かる、伝わってくる。あぁアレが神鱗だと、それを理解するだけの存在感がある。それ故にそれを携えているソレが神龍なのだと、改めて認識させられた


『油断するなジールよ、先程の攻撃で分かっておるだろう。アレは普通ではない』


「否でも身に染みたさ・・・それよりアイツは何で生まれて来たんだ?」


今際の際を体感したジールにとって、そしてそれを起こした張本人に対して油断する訳などない

世界の三大秘宝を携える神龍。それが間違いなく自分達と対峙している、紛れもない事実。だが何故、そもそも何故神話の偶像と言われていた神龍が自分達と対峙しているのか?黄龍が言うには、まだ生まれたばかりだと。なら何故神龍は生まれたのか、その疑問が自分を最も死へ近づけた存在に対し恐怖しながらも思考に残る

そしてその疑問は黄龍によって解された


『我にも解せないところではあるが・・・おそらくドラゴニア山に溜め込まれたドラゴンの魔力の塊が生み出したのだろう。その証拠に、ジールも見たであろう?溢れ出したドラゴン達がスタンピードを起こしていたのを、我にも原因は分からぬが何らかの原因で希少種であるはずのドラゴンの繁殖スピードが異常な程膨れ上がりそれが引き金となった筈だ。そうでなければドラゴンがスタンピードなぞ起こす筈が無い』


「・・・」


いやお前はその状況でも寝ていただろうが、とツッコみたい二人だがそんな余裕は神龍と対峙している今は無いみたいだ

だが黄龍の言葉の通りなら納得が出来る。最強の魔物の一角を担うドラゴンのその魔力の塊。それが長年溜め込まれ実体化したのだ。四神や黄龍が世界の魔力の塊で顕現されたように、神龍もまたドラゴンの魔力の塊で実体化したのだ

だが四神と神龍が似て非なる存在である理由が、四神達があくまでも魔力の塊で出来ている精霊だという事に対し、神龍はドラゴンの魔力により完全に実体化している所であろう。四神達は召喚により顕現する事が出来る精霊であり、もし瀕死の重傷を負ったりしても死んだり消滅する事は無いのだ。時間を置き再び魔力を蓄積する事が出来れば再び顕現する事が出来る

だが神龍は魔物のソレと同意義である事。つまり世界の三大秘宝の神鱗が残るという事は神龍のソレ等全てが素材として残るのだ・・・もし倒す事が出来れば、の話だが

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