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野蛮学校物語  作者: yukke
第2章 運命の魔物たち編
52/116

第50話 複雑過ぎる宴 前編



 渡されたのは【古代ガウ・ダウ言語辞書】というものだ。

 此方はキチンとカルナ言語で書かれていた。


 解読し始めて数分すると、突然女ゴブリン数人が大きな土器(というか皿)を持ってきた。



 俺は料理のこぼしが本にかかると大変だと思い、後ろの方にそっと魔術本と翻訳本を置く。



 「さあ、コレが我々の料理です! 是非、お召し上がりください!」



 ゴブリン村長はそう言った。



 女ゴブリンは俺達とゴブリン村長の前に大皿を置いた。


 5枚の大皿にそれぞれ違う料理が盛り付けられている。

 5人前はありそうな量だ。


 (山の幸だな。肉や野菜がメイン……人間の魔物解説本では、ゴブリンは肉だけしか食べないとか書いてあったよな。人間の肉も食べる事があるとか色々書いてあったんだが)


 しかし、目の前にある料理は違う。

 俺達人間が普段作りそうな料理が何品かある。



 「まず一番左から順に紹介しましょう。ゾンビ牛ロースと旬野菜の特製リンゴソース和え。濃厚で脂身の多いゾンビ肉のロースを旬野菜と炒め、若干酸味の効いたリンゴソースで味付けしました。」



 ゴブリン村長は右手で俺達の左から料理を紹介する。

 ゾンビ牛という言葉に疑問が出た俺は、ゴブリン村長に聞いてみることにした。



 「……ちょっと待て、人間の間ではゾンビ牛は()()()()()()()()()()だぞ?」



 ゾンビ牛というものは一般の牛とは違い、外傷や腐食などによって雑菌が体内から入り込み、ゾンビのように正気を失ってしまった牛だ。


 腐食した肉を食べてしまうと、牛と同じ末路を辿ってしまう。何せ普通の牛よりも数が多いのが面倒なのだ。

 毒の一種だと世間の間ではささやかれている。


 それが今、料理になって出て来ている。

 これが質問せずにいられるだろうか?



 「確かにゾンビ牛は生体上、()()の肉には猛毒クラスの腐肉(ふにく)といわれる部分が存在します。」

 「大半?」


 「そう。全てが腐肉にならないのがゾンビ牛の特徴なのです。ゾンビ牛は特性上、生き残った肉に栄養や脂身を避難させています。流石に生では寄生虫が生息している可能性があり毒です。しかし、寄生虫を全て取り除き中までしっかり火を通して雑菌を滅せば、旨味満天の極上肉ですよ。」

 「なるほど、理解した。」



 つまり、ゾンビ牛は何とか生きようとするために、重要な栄養やエネルギー源となるものをまだ生きている肉に避難させているのだ。


 そして、必ず全ての寄生虫を取り除きしっかり火を通せば美味しく食べられると言う。



 労力はかなりかかるが、もしこれで美味しければかなり大きな事だろう。

 食えないと思われていたゾンビ牛が、食えるとわかれば食事情というか、楽しみが増えるのではないか?



 まあ、結論としては食べられると言うことだ。

 考えるより先に手を動かした方が得策といえる。



 「次に冬カボチャの煮付け。冬カボチャ本来の旨味と甘味を生かし、調味料ほとんどなしで煮込んだ逸品です。」

 「うわ~食べた~い!」



 モークの目が澄んでいる。

 恐らくもしもモークが一人だったならば、この5品を平らげてしまいそうな気がするのだ。



 それにしてもこのカボチャは美味しそうだ。

 オレンジ色しかないこの皿は他の皿とは違い、華やかなものがある。



 「真ん中のお皿は飛ばします。今は何もありませんが、デザートを食後にお持ちします。そして、此方は旬野菜炒め。シンプルに塩胡椒で味付けしました。」



 すると女ゴブリンが俺達にそれぞれ2枚の小皿とコップや箸、銀製のスプーンとフォークなどの食器を渡す。


 そして、2人の女ゴブリンは料理の両脇に飲料水を置く。


 (なるほど、これで小皿に自分の取り分を取って食べる形式の奴か)


 こういった点は田舎では普通の食べ方である。実際イケザキ村の一般家庭も大半はこんな形式だ。

 後は宿で見たバイキング形式というのもあるが、一般家庭ではほとんどないので除外にしておこう。


 ※第21話参照。



 ゴブリン村長は最後の料理を説明する。

 ……説明しなくても見た目で即わかる。



 「此方はゴブリン達の主食の原点である、バラライ鹿の丸焼きです。食べることが出来ない内臓系統は全て取り除いております。残忍な食べ方だと思いますが、私達はこのバラライ鹿によって生き長らえてきました。我々はこのバラライ鹿を神からの贈り物としてたたえています。」



 バラライ鹿は人間にとっては面倒なのだ。

 稀に近くの村や町に襲来し、農産物を荒らしまくっていた。


 なかなか素早くて人間の腕と足では仕留めづらい動物。

 近年、バラライ鹿の数はかなり増えている。


 ただし、このゴブリン達はバラライ鹿を上手に仕留めることが出来る。

 ゴブリン達にとってはラッキーな食材なのだろう。


 何せインパクトがデカい。

 直径70センチある大皿でもはみ出してしまう勢いなのだ。

 俺は真っ先にこれを食べることにした。



 「ではたーんと召し上がってください。……ついでに私も頂くとしますかな?」



 ゴブリン村長がそう言いながら笑った瞬間、モークは小皿に冬カボチャを箸で上手に転がし食べようとする。

 俺はハッとなってモークを制止する。


 (よくよく考えたら、干し肉食べてたときにはやらなかったな……ユッケ戦の事で色々あったし)


 ちょっともう少し早めに言うチャンスはあったのにと少し悔やむ。



 「モーク、ちょっと待て。人間には食べる前にこういう()()があるのを知っているか?」

 「知らない。作法って美味しくする儀式?」

 「ホッホッホ! 流石はアイリスさん。わざわざ言われなくても身に染み着いていますなぁ。」



 モークは体を傾げ、村長は狙っていたかのように笑う。

 そして、ゴブリン村長はモークに人間の礼儀作法を教えるようだ。



 「モーク。人間の一部の方々は食事を頂く際に『いただきます』、『ごちそうさま』という言葉を食材やその食材を作ってくれた人に送るのですぞ。」

 「どうして?」


 「【()()】ですよ。肉や魚には当然命というものがあるのは当たり前でしょう?」

 「そうだね。動いているから当然だよね!」

 

 「それと同じように野菜や果物にも命があると考え、『○○の命を私の命にさせていただきます。ありがとうございます。』と感謝しているのだよ。」

 「ああ、そう言う感じ? 何となく文化というものが読めてきた。」



 モークは村長の言葉をある程度理解する。

 あらゆるものに命があり、それを感謝するのは異世界人の中でも【にほんじん】は特に多い。

 そう言う文化(他の国の文化も多くある)に感化されてこの世界の人間の生活は成り立っている。



 「後はもう一つ。()()()()()()()()()()()()()()しているのだよ。農業者、加工者、料理人。この食材に携わった人全ての人々に『ありがとう』と感謝する。それが『いただきます』なのだよ?」

 「なるほど! ……じゃあ『ごちそうさま』は?」


 「()()()()()()()()()()()()()()()すると言う意味です。食べ終わった際に、『ごちそうさま』というのはその類ですよ?」

 「大体わかったよ。……それで、礼儀作法はどういう感じ?」


 モークは本能という理由で滅茶苦茶食べたそうにしている。

 まだモークの小皿に盛られた冬カボチャは、熱々だという事を証明するために湯気が湧き出ている。


 ゴブリン村長は両手を合わせ、モークに礼儀作法を教える。


 ユッケとモークはそれを真似ようとする。


 (モークは元々手がないから無理だな。ユッケは意味は何となく知ってただろうけど、食事の礼儀作法なんてあまり見かけないから多分知りたいのだらう)



 「ルールは単純。食べる直前にこうやって手を合わせ、気持ちを込めて『いただきます』。食べた後にまた両手をこうやって合わせて『ごちそうさま』。モークは手がなくても、気持ちはしっかりすること。」

 「「いただきます、ごちそうさま。いただきます、ごちそうさま。」」



 ユッケとモークは互いに両手を合わせ、2回ほど練習する。

 ユッケはしなくても良かった気がするが、練習に損はないから大丈夫だろう。



 「さて、料理が冷めちゃ食材に申し訳が立たない。皆で一緒にいこうか。」



 ゴブリン村長は「せーの」と両手を合わしながら合図をし、俺達はそれに続けて両手を合わせ



 「「「「いただきます!」」」」



 と4人はそう言った。

 おそらく誰もが、感謝の気持ちを込めたことだろう。



 終わったあとは宴のようだった。


 モークは小皿に事前に盛りつけていた冬カボチャを一個ずつ丁寧にたべる。

 途中、熱々だったため「ハフハフ」と口を踊らせていたが、食べた後のモークは顔に至福という文字がびっしりとつけられていた。


 モークタンからは絶対出ないであろう気味の悪い奇声を鳴らしながら、冬カボチャの味をじっくりと堪能する。


 俺がまず最初に箸を進めたのは丸焼きにされたバラライ鹿だった。

 小皿に少量の肉を切り、取り分け、口に運ぶ。



 ……旨い。

 塩胡椒で味付けされているのだろう。


 油たっぷりのジューシーな鹿肉の本来の美味しさがそのまま伝わってくる。

 特訓で同じく様々なものを丸焼きにして来た俺には納得のいく味だった。


 ゴブリン村長も同じくバラライ鹿から先に行った。

 豪快にバラライ鹿の足の部分を小皿に分け、直接ガブリと食う。

 ……泣いているようにも感じた。


 俺がその光景をまじまじと見つめ過ぎていた為、ハッとなったゴブリン村長はこぼれ落ちる涙を手で拭いてこう答えた。



 「お見苦しい所を見せてしまい申し訳ありません。昔バラライ鹿を我が孫と仲良く食べていた頃を思い出し泣きしてしまいまして……お恥ずかしい。」

 「本当に済まない、聞くのは凄く躊躇(ためら)うが……。」



 俺は息子はどうなったのかと聞こうとしたが、村長は右手を出して俺の発言を止める。



 「食事中にこのような事を言うのはあまり宜しくありません。食後に私から話をしましょう。」

 「……済まない。余計な発言をした。」


 「いえいえ、寧ろ食事中に泣き出してしまった私が余計な事をしてしまいました。申し訳ありません。」



 村長は頭を俺に向かって下げる。

 多分俺と同族である人間の仕業なのだろう。


 俺は少しの間だけ押し黙りながらバラライ鹿の肉を口に運ぶ。

 ……どうしてこんなに美味しいのに、悲しいのだろう?




 ……とりあえずおいておこう。



 次に小皿に取り分けた料理は、ゾンビ牛ロースと旬野菜の特製リンゴソース和えだ。


 肉はスライス状にカットされている。

 恐らくだが、()()()()()()()()()()()()()()()()可能性があるためであろう。


 そうなってしまったら、後はどうなるかは容易に想像が出来る。



 ゾンビ牛と聞くと、食べづらい人もいるかもしれない。

 俺は先入観に支配されるが、ゾンビ牛と旬野菜を恐る恐る口に入れる。



 ……。



 ……うまい。

 これ、普通の牛よりうまい。


 トロトロと口の中でとろけるクリーミーな甘くてしっかりとした脂身。

 噛む度に味が出る赤身に、甘くて少し酸味というアクセントが聞いた特製リンゴソース。


 「シャキッ!」とする白菜に甘く熟したサツマイモ。



 ここにきて良かったと思える旨さだった。

 ()1()()()()()()()()()()()()()は既にとうの昔である。



 この美味しさにハマった俺は次々とコレを小皿に盛り付け、ガツガツと箸で食べる。


 すると、ユッケがこの料理をとるのだが何故か白い破片を大皿に戻すのだ。


 白い破片の正体はタマネギ。



 「ユッケ。お前まさか……。」と彼を見つめると、彼は慌てて座席に戻り肉を食べる。



 「お前……もしかして()()()()()()?」

 「……ああ、嫌い。体質のせいなのかわからないのだが……タマネギは拒絶反応なんだ。許してくれ。」



 ユッケはしょんぼりしている。

 よほどタマネギが嫌いというかダメなのだろう。

 無理して食わせるものではない。

 食事はできるだけ楽しく食べないと美味しくないのだ。


 だが、俺は此処で疑問を持ったので村長に聞くことにした。



 「村長さん。どうして俺達にこんな豪華な食事を?」

 「オッホッホ! やっと聞いてくれましたか! 誰が最初に聞くかどうか予想していましたが、やはりあなたでしたか!」


 「まあ、それはいいんだ。……で、どうして俺達に豪華な食事を? えらくおもてなしが過ぎるが……。タダ働きで食えるものじゃ無さそうだぞ?」 

 「タダ働きではありません。あなた達にお願いしたい事がございました。」



 俺達は一旦食事を止める。

 どういうお願いがくるかによっては、俺達は可否がでるだろう。


 ゴブリン村長の返答を聞くことにした。



 「お願いです。私達に()()の知識をお分けください!」

 「「「……えっ?」」」



 ゴブリン村長は頭を下げて俺達にお願いした。


 意外な返答に俺達は合わせて同音で驚く。

 村長は更に言葉を続けた。



 「我々ゴブリン一族は、私が必死に習得した言語や様々な本により文化を築いてきました。しかし、武術だけは本があってもどうしようもない部分が多数存在します。」



 確かにそれはある。


 武術というものは実際に体を動かさないと本を見ただけではサッパリなのだ。

 だから俺も8歳の頃に町を出てあの特訓をしていた。


 本で武術が習えるようならそんなことは絶対にあんなことはしなかった。



 「つまり、俺達がお前らゴブリンに戦闘を教えろと?」

 「その通りでございます。」



 ユッケは簡潔にまとめて解釈する。

 簡単に言えばそう言うことだ。



 「アイリス、どう思う? ハッキリ言って10日で終わる内容どころではない。()()()()()()()()()話だぞ?」

 「正直かなり悩んでる。」



 俺は頭を抱えてユッケの返答を真剣に考える。


 どっちを選んでもメリットとデメリットがある。

 ……こういうときはサングラスに頼るべき?



 俺は前にしまっていたサングラスを収納魔法から取り出し、それを掛けた。



 サングラス。

 話はある程度聞いているだろ?


 どうしたらいいと思う?



 《受けてください。()()()()()()()()()()します。》



 ……え?

 即答?


 どうしてそうなる?



 《ゴブリン村長を味方につけておくと今後の大きな()()()()になるかと思われます。》



 俺はユッケとモークに念の為聞いてみることにした。

 サングラスだけ意見をとるわけにはいかない。



 「なあユッケ、モーク。おまえ等はどう思う。サングラスは寧ろ推奨しているんだが……行き先をサイコロで決めたおまえ等は良いのか?」

 「僕は教えられる立場だからそこはあまり気にしないよ? 寧ろ、ゴブリンの仲間が増えるならかんげーだよ。」

 「俺はアイリスが良いっていったら別にかまわん。1ヵ月間みっちり教えてやるぜ!」



 モークとユッケも大丈夫なようだ。

 俺は決心する。



 「わかりました村長。喜んで引き受けます。」

 「おお! 受けてくれると! 天は我らを見捨てなかったか!」



 ゴブリン村長は神様とやらに感激している。

 今まで無力な自分を何度も嘆いた事があったのだろう。



 モークが相変わらず好きな冬カボチャがまだホカホカしている。

 ハッとなったゴブリン村長は慌てて俺達にこう伝えた。



 「おお、すみません。お食事を止めてしまいました。続けてもらって構いません。」



 モークとユッケは箸を進める。


 さて、俺もそうしようか。



 旬野菜の炒めものを小皿に取り分け、一気に全て食べる。


 シンプルでほんのり甘い味だ。

 塩胡椒はほとんどの料理に合うという紛れもない証明なのだろう。


 コレはコレで悪くない。


 料理が比較的下手な俺でも塩胡椒の配分さえ間違わなければ何とかなる簡単な料理だ。



 次に冬カボチャである。

 一口大にカットされたカボチャを4、5個ほど取り分け、それを口に入れる。



 ……なんて甘さなんだ!

 モークが()()()()()()()()()()()()()理由が物凄くわかる。


 カボチャは硬い筈なのだが、それを思わせないほどの柔らかさがそこにはあった。

 そして、カボチャ本来である独特の甘さは癖になる味だった。


 ……うまい。

 俺は感動して冬カボチャを取ろうと箸を大皿に入れる。



 「カッ!」という音が響く。

 ……あれ?


 いつの間にか、冬カボチャの煮付けは大皿からパタリと無くなっていた。



 「冬カボチャの煮付けは完食いたしました。残念ですが、これ以上はありません。どうかご容赦ください。」



 ゴブリン村長は頭を下げて謝っているが、多分()()()()()()()()に聞いてみることにした。



 「ごめんね、モーク。今すぐ疑うから悪いんだけど……お前9割ぐらい食べてない?」

 「あ……その……えーっと……ゴメンナサイ。」



 モークは素直に白状する。


 すると、ユッケがモークを鷲掴みにし、モークを問いただした。



 「モーク、お前……。」

 「ゴメンナサイゴメンナサイ!」

 「……ユッケ、流石にやりすぎ……。」



 ユッケはたいそうご機嫌斜めだ。

 いや、斜めという言い方は間違っているかも知れない。


 鬼の形相でモークを睨みつけているといった方が正しい。


 よほど何かよからぬことでもしてしまったのだろう。

 「流石にやり過ぎだからほどほどにしとけよ。」とユッケに忠告しようとした。



 「勝手に冬カボチャを食べやがって……()()()()()()()()()!」



 そんなにユッケは冬カボチャの煮物を食べたかったのかよ……と俺は後ろで苦笑いをする。

 ゴブリン村長は右手に口を当てて笑いを堪えているようだ。



 「じゃあ『俺も食いたい!』とか言えば良かったじゃん! なんで僕が食べた後にグチグチ言ってくるの!?」

 「そっそれはな……。でも、お前の食べるペースが……。」



 少しユッケに怒られたモークだが、あまり相手と話す積極性にイマイチ欠けるユッケの弱点を生かし、反論する。

 動揺したユッケだったが、今度はモークの食べる速さに愚痴を……。


 と2人が言い争っているのを尻目に、俺は2人が食べていないバラライ鹿の丸焼きに目を付けた。

 ゴブリン村長もバラライ鹿に目を付け、俺達は黙々と2人で食べていた。



 まあ、喧嘩するほど仲がよいと言われているから大丈夫だろう。

 本気で怒っていないのは間違い無い。



 それから5分後に2人は食事をし始め、20分が

経過した頃、全ての料理は空になった。



 ()()()6()()()()()()()()()()()()()()()という事実に目を背けてはいけない。

 今後モークには控えてもらわないといけない。


 俺はバラライ鹿4割、その外まんべんなくと個人的には頑張ったほうかもしれない。

 そこまで大食漢ではないのだが、今日は少しハリキリ過ぎたようだ。

 お腹が少し膨れている。


 ユッケは少量。

 干し肉をあげたときに確か殆ど食事はとらないと言っていた。

 体質上仕方のないことだろう。若干無理をしていた気もする。


 ゴブリン村長はバラライ鹿半数とその外少し。

 俺よりもバラライ鹿を食べていたことに驚きを隠せなかった。

 よほどバラライ鹿が好きなのだろう。



 「ゴブリン村長、ありがとうございました。とてもおいしかったです。」

 「そうですか、ありがとうございます。気に入っていただいて大変恐縮です。」



 俺は村長に礼を言う。

 村長は嬉しそうだ。


 女ゴブリンがせかせかと大皿の片付けをしている最中、ゴブリン村長は俺達にある質問をする。



 「ところで、デザートの方ですが……()()()()()()()()()となっております。」

 「「???」」

 「? どうして人を選ぶデザートなんですか?」



 モークとユッケは互いを見つめながら同意見だという風に首を傾げる。


 イマイチ意味がわからなかったので、俺は村長に詳しく聞いてみることにした。



 「この中に【毒物無効(ポイズン)】以上をお持ちになっている方はいらっしゃいますか?」

 「ああ、俺はある。」

 「……僕は持ってないかな。」

 「【毒物無効】!?」


 「アイリス。お前は【毒物吸収(ポイズン・ライフ)】だから大丈夫だ。」


 ※【毒物無効】、【毒物吸収】が気になる人は第34話を参照。



 ユッケはあると言い、モークは無いと言う。


 俺はどこかで聞いたことのあるような【毒物無効】に反応する。

 しかし、ユッケによる横からのサポートのおかげで答えることが出来た。



 《アイリス様は【毒物吸収】というスキルをお持ちのため、大丈夫です。》



 サングラスもそう言うなら大丈夫そうだ。


 しかし、どうしてデザートで【毒物無効】があるかどうか聞くのだろうか?

 ……いや、待てよ。


 (そう言えば一つだけ体には良いけど猛毒の奴があったな。俺が幼少期の頃から緑草と間違えて食べた()()が)


 そして、その()を予想した俺は村長の返答を待つことにした。


不備(詳細は省略)修正 加筆あり

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