第51話 複雑過ぎる宴 後編
「どうして毒耐性を聞くのかお教えしましょう。ズバリ今回使用しているデザートに猛毒の毒草があるのです。」
「ヤッパリそうきたか。」
「なるほどな。」
「ええ~!」
俺は予想していたカンが当たり納得する。
ユッケも俺と同じく納得する。
モークはかなり落ち込んでいる。デザートが食べられない事がとてもイヤなのだろう。
しかし、毒耐性が無いモークにあの毒草は無理だ。
耐性の無い奴が食べたら必ず生き地獄を見ることだろう。
毒草を6000枚程食べれば美味しくなるが、その前に大抵の人間は諦めるのだろう。
すると、一人の女ゴブリンが俺達の前に残った大皿一枚にゼリーのようなものを置く。
ぷるるんとした大きな緑色のゼリーが姿を表した。
中に毒草とみられる草のようなものが入っている。
(耐性の無い奴には間違い無く無理だな)
そう思えるような毒草の量だった。かなり濃縮しているのだろう。
「此方は私達ゴブリン達の大好物、【毒草ゼリー】です。私達の習わしでは、これを完食できたら一人前の大人になったと証明する認識があります。人間で言うところの通過儀礼です。」
「そこまで難しそうには思えないのだが。」
村長はゼリーの説明をする。
毒草の辛さをあまり実感していなさそうなユッケは首を傾げてそう言った。
だが、俺には身にしみてわかる。
地獄の通過儀礼だと。
その理由をゴブリン村長が教えてくれた。
「我々ゴブリンは生まれつきご先祖が引き継がれた毒耐性というのは最低限お持ちです。しかし、それでもこのゼリーをまともに食べられるようになるには……少なくとも2000枚の毒草を食す必要がございます。」
いくら生まれつきに毒耐性があったとしても2000枚はキツイ。
一枚だけで50秒ほど苦しみを味わうハメになる。
2000枚×50秒で……100000秒。
一時間で3600秒だから……約27時間46分、1日強の地獄巡りである。
死ぬことは無いというのが余計辛いのだ。
だから、いくらモークでも流石にこのゼリーは食べな……。
「……いただきます。」
「!!!」
「オイ、モーク! 止めておけ!」
モークは自分の小皿にゼリーの欠片を取り、スプーンを使ってそれを食べようとした。
ゴブリン村長は驚き声も出ず、ユッケはモークを必死で止めるために怒鳴った。
「止めておけ!」という警告の一種である。
しかしそれでもモークはスプーンを止めることは無く、口に入れようとした。
俺はそれを必死に止める。
自分の体を駆使し、モークが動けない状態になった後こう叱る。
「止めろモーク! 毒耐性の無いお前が、濃縮されたこのゼリーを食べたらどうなるかわかっているのか!」
「アイリス、止めるな。食わせろ。そんなことは当にわかってる。」
モークは俺の警告をスルーし、強引にゼリーを口に運ぼうとする。
俺は慌ててモークの口に右手を当て、制止した。
……しかしモークはそれでも食べようとするだろう。
俺はモークにこう言った。
「モーク、今此処で吐いたらダメと言うことはわかっているよな?」
「ウー……ウウゥーウゥーウウゥー(うん……そりゃそうだな)。」
「ちなみに、俺は毒草を何枚も食べたから言えるのだが……地獄だぞ? 死ねないんだぞ?」
「ウーウウウウウウーウッウッウウーウッ(そんなの別にどーだっていいじゃん)。」
口を閉ざした俺が悪かったが、体を縦に振っていることから何となくわかっているのだろう。
俺は村長にある頼みをした。
「村長さん。モークがこのようにどうしても聞かない。だから、血を入れるバケツか何かを持ってきてくれませんか?」
「構いませんが……何故あなたはそこまで地獄に飛び込むのですかなモーク? アイリス、口を開けてくれませんか?」
俺は村長の言われたとおりモークの口を解放する。
モークは「プハッ! このアイリスのバカ野郎……後でお仕置きだね。」という捨て台詞を放った後、ゴブリン村長の質問に答えた。
「だって……僕もアイリスみたいに毒草の味が美味しくなるのを見たいしそれで……。」
「それで? 如何に?」
「皆に褒められたい! ビックリさせたい! ただそれだけ。」
「! ……なるほど。」
村長はモークの返答を聞いた後、女ゴブリンに指示をする。
数十秒経った後、女ゴブリンが戻りモークの側に銀製のバケツを置く。
底が深く、そこそこ大きい。
「では、そこまで勇気があるのなら挑んでみてくだされ。私はしかと拝見致しますぞ。」
「村長、良いのですか?」
「死ぬことはありません、ご安心を。かなりの苦痛は伴いますがね。」
俺はモークを心配し、村長に聞いてみることにした。
特訓していたあの頃は1枚ずつ食べていた。
苦痛は酷かったが死ぬことはなかった。
しかし、今回は違う。
初めてで複数枚は死ぬのではないかという不安に駆られるのだ。
村長の言葉で安堵はしたが、それでも不安材料は残る。
「わかった。モーク、食え。」
「センキュー!」
俺はモークの拘束を解いた。食えないようにしていた為、もう必要は無い。
モークは俺にそう言うと、ぷるるんとしたゼリーをスプーンで運び、ガブリと口の中に入れる。
……。
……。
「……グッ! アアアアアアアアア! ガハッ! ガハッ! ギィャアアアアアアア! ウウウ! ウウウウウウッ! ……アアアアアアアアア!」
……案の定モークは強烈過ぎる悲鳴をあげた後、用意していたバケツに緑色の血を大量に吐く。
大量の血は留まることなく、口を抑えようとしても極度の痙攣と激しい疲労。
数百本の針がズブズブと刺さるような腹痛、頭痛、筋肉痛。
「アアアアッ……たす…………助け……シッ……しんじゃ……死にた…………ヤダ。ギャアアアア! ゲフッ! ゲフッ! ゲフッ!」
モークは顔色を変えて俺に助けを求める。
だが、俺にはどうしようも無い。
強いて出来ることは、モークの背中をさすってあげる事ぐらいしか出来ない。
(今思えば、あの頃一番辛かったのは毒草だったな。だから掠り傷や鏃がマシに感じたんだな)
俺はモークの生き地獄ぶりを見てこう思い、大量の冷や汗をダラダラと流す。
流石のユッケも冷や汗を隠しきれず、時々「……この部屋結構暑いな。」と言っては手で汗を拭っている。
ゴブリン村長はモークの生き地獄をただじっと見つめている。
なんだか頑張れと応援しているようだった。
「ギィィィィ! ……ガバッ! ゲホッゲホッゲホッ!」
地獄が始まって1分が過ぎた頃、直後よりはマシになったがそれでもキツイようだ。
バケツにドボドボと緑色の血が流れ出し、既に小さな緑色の池が出来始めている。
サングラスに調べてもらった所、モークが口にした毒草はおよそ10枚分。
初回でいきなり毒草10枚とは。
昔の俺なら間違い無く無理だろう。
するとモークが俺に話掛けてきた。
「アイ……リス……ガバッ! ……どうしてあの時……ぼっ……僕の背中を…………ゲホッ! ……さすってくれたの?」
「俺は多分一番お前の苦痛をわかっているからな。でも、これくらいしか出来ないんだ。……申し訳ない。」
「……そっ…………それでいい。……ゲホッゲホッ! ……ガッ。それが……励みになるね。」
モークはわざわざ無理をして俺と話す。
俺は楽に血が吐けるようにまたモークの背中を優しくさすった。
モークはまだドロドロと緑色の血を体に出し続けている。
……これ、失血死にはならないのだろうか?
もしそうなったら最悪である。
まあ、何故だかそうはならないのだけれど。
何かしらの成分がそうしているのだろう。
モークが血を吐いてから3分が経った頃、ようやく緑色の血を吐くことは無くなった。
だが、流石に疲れたのだろう。
ぐったりと横になり、目はかなりやつれている。
俺はモークにしばらく寝ておくように指示したが、まだ大丈夫だということなので今は起きている。
《結果を報告します。吐血量1560ml。全てのステータスが一時大幅低下。他散々たる有り様です。》
サングラスが今回の結果を詳細に言葉で伝える。
全く嬉しい報告ではないのだが、死ななかっただけマシだと思おう。
俺は残っていたモークのゼリーを一口パクリと食べる。
(??? ウッ……滅茶苦茶甘過ぎる。ちょっと砂糖の量が多くないか?)
ユッケとゴブリン村長も静かにゼリーを口に含む。
「モークの後に言うのもあれだが……美味い。」
「私も同感です。甘さ控えめのコレが最高なのです。」
2人は甘さなど気にせずバクバクと食べる。
俺はついつい言ってしまった。
「村長さん。これ、甘過ぎないですか?」
「??? アイリス殿の舌は敏感ですかな?」
「アイリスがたべているそのゼリー、一口いいか? 多分局所的に砂糖が集中しているのかもしれん。」
ユッケは俺のゼリーを一口食べる。
両手を組みじっくりと噛み締めた答えは、やはり俺の予想と同じ結果であった。
「うーん。俺のとあんまり変わらんな。……ん? もしかしてアイツのせいか? アイリス。ちょっと左手を出せ。」
「左手をどうするんだ?」
「今から切り傷をつける。」
え?と言いそうになったが、痛みなど気にしないしどうせ緑草で治せばいい。
人としてどうかと言えばそうでもないのだが。
「構わん。」
「ちょっとガマンしろよ。その後にこのゼリーを食べてくれ。」
ユッケは収納魔法から短剣を取り出し、俺の左手をサクッと斬る。
剣は軽く俺の左手を通り、傷をつける。
当然血が滲み出した。
俺はユッケの言われたとおりゼリーをバクバク食べる。
……ちょっと甘ったるいのがキツかったが、ガマン出来た。
すると、血がででいたハズの左手の掠り傷はいつの間にか姿を消した。
これって俺達が敵同士で戦ってたときの最初のユッケの攻撃でみた奴だな。
「おお! なんと! もしや毒で回復するのですか?」
「コイツは多分おまえ等よりも毒草を食べてきた。それもそのまま生で食べて、デザートみたいな扱いでな。【毒物吸収】とかいうスキルのせいで、毒草自体が砂糖になったんだと俺は思う。だから甘ったるく感じるんじゃないかな?」
ユッケは今まで俺を見てきた(ストーカーまがいだが)という経験を生かし、ゴブリン村長に説明する。
「今まで、何枚の毒草をお召しに? 過程を教えてください。」
「うーん。最初の100枚位まではマジで死ぬほどキツかった。でも、それからはほんの少しだけどマシになってきて……3000枚こえた辺りからはピリピリ程度になったかな? 5000枚で無味になった。6500を越えてから毒草が甘くなってきて……今まで大体8000枚かな? 今はデザート扱いだ。」
すると村長は俺に跪く。
慌てて止めようとするが、村長は俺にこういった。
「何たる根性! 何たる努力! 何たる忍耐! 私達ゴブリン一族が束になってもあなたの努力には釣り合わないでしょう! その諦めない心をずっとお持ちでいてください。いずれ大物となるでしょう!」
「いやいや、それはお世辞の言い過ぎです。俺なんてただの【臆病者】ですよ。」
「その【臆病者】と二度と言われない為に10年間も試練の森で努力してきたのでしょう? 魔物を殺すことを快感とする者も中にはおる中、ほとんど殺すことなく10年という長い期間耐えてきた忍耐はまさに一流ですぞ?」
「確かに俺は頑張って努力してきました。ずっと隠れてね。でも、外側から見れば俺は【臆病者】として生きていかないといけないんですよ。」
「ホッホッホ! 謙遜し過ぎですぞ。あなたは努力を他人に隠し通しています。それは、虎視眈々と何時か這い上がる機会というめのを窺う為では?」
「!!! どうしてそう考えている?」
俺はかなり動揺した。
この村長さん、俺の生活を見通しているかのような鋭い洞察力がありすぎる。
だが虚仮威ししている可能性も念にあるため、聞いてみることにした。
「簡単ですぞ。モークタンの事情を冷静に考えれば自ずと見えてきます。」
「モークタン?」
「そもそも何故モークタンが虐殺されているかご存知ですか?」
「ああ、知っている。確か……。」
「……経験値だろ?」
俺が言おうとした途端、モークが割ってはいる。
多分だけど、自分で言いたいのだろう。
人間が今までしてきた行いを皮肉るかのように。
「ホッホッホ。モークタンであるモークが答えるのですかな? それでは、何故経験値だと思いますか?モーク。」
「俺が聞いた話だと……初期経験値がスライムのおよそ100倍らしい。」
「「100倍!?」」
100倍という言葉を聞いた俺とユッケは口を揃えて仰天する。
経験値が多いとは聞いていたが、これほどとは思っていなかった。
初期経験値というのは、初めてその魔物を倒した際に貰える経験値の事だ。
通常の魔物討伐よりも一度だけ多く経験値が貰える。
かなり多い。
確かスライムの初期経験値はおよそ20だったから……モークタンは2000程と言うことになる。
2000という経験値なら誰だってレベル15以上までは確実に跳ね上がる。
子供の安全が確保されるという算段なのだ。
(子供たちが早く強くなるための足掛かりとして、世界中のモークタンを捕獲していたって訳か。それだけならまだ良かったんだが、一部の人間がそれを祭りや催しの恒例にしてしまったからこうなったんだな)
なんだか後味が悪すぎる理由である。
てっきり俺はモークタンの皮目当てだと思ったからだ。
子供にやるのは初陣を経験させるためだと考えていた。
俺は考えが浅はかだったことを後悔する。
「人間の子供の命を安全にするべきか、モークタンの命を救うか。当然人間は子供の命の方を取るだろうな。」
「でも……僕が許せないのはその現状を無関心でいる人や殺しを楽しんでいる人なんだ。本当に子供の命の安全を望んでいるなら、こんな事はしないでくれと言いたいね。」
「よっぽど生活が楽しくなかったんだろうな。」
ユッケとモークは真面目な会話をする。
「僕達は2人で話し合ってるよ」とモークが気遣ってくれたので、俺は村長と話す事にした。
「いかがですかな? 2000程の経験値をノーリスクなく狙えるのならば普通は逃しませんよね。」
「確かに。モークタンのランクはG。この世界最弱のモークタンの経験値が2000だったら誰だってねらう。」
「しかし、あなたはそうではありませんね。人間がモークタンを一緒に連れて歩いているなんて聞いたこともありません。捕獲するのが普通です。」
「俺はモークタンが可哀想だと思ったんだ。だから捕獲をする気は無かったよ。」
「初陣でも失敗しましたね?」
「!!!」
背筋が少し凍り付くような冷気を感じた。
どこまで俺の心を覗いているのだろうか?
他言語の驚異的な習得能力といい、他人の心を見通す能力といい、村長の知略は恐ろしすぎる。
ダークゴブリンがビビって俺達に此処へ行かせた?のも無理はない。
読まれているようなので仕方なく認める事にした。
「まあ、ハイ。その相手は当然モークタンでした。可哀想で殺せなかった。だから俺は周囲から【臆病者】と呼ばれて……それで……。」
「いつか見返してやりたかったからこの森で特訓を10年間も……もはや【臆病者】ではありませんね。」
「これだけ特訓しても周りからみれば呑気に生きている表面の俺しか見えない。だから相変わらず【臆病者】のままだった。遅くてこの町をでる頃には自分は【臆病者】じゃないと言ってやろうと思ったんだが……怖くて出来なかった。」
「……酷い世の中ですね。」
「ああ、俺は【臆病者】じゃないと言っているのにほとんどの人は信じて貰えなかった。だから、もう裏で努力するしかなかった。でも、特訓をやりすぎて魔物に大迷惑をかけてしまったと知ったのはショックだったな。一日中森の中で泣いてたよ。」
此処までカミングアウトしたのは久し振りだ。
いつの間にか、俺の目からは水がポトリと垂れている。
「……あれ? どうしてだろうな? 今までは笑って語り合えたのに涙が出てくるんだろう?」
「アイリスさん、それは悲しみの涙です。今まで殆ど人に言えなかった隠し事を他人に話すのは勇気というものがあります。此処までよく頑張りましたね。」
村長さんは涙を拭こうとする俺に励ましの言葉を入れる。
俺は……やっぱり辛かったんだな。
「確かに、虎視眈々と挽回の機会を狙っていましたが、結局失敗しました。残ったのは【臆病者】という称号と回避が高いだけの普通のステータスだけだとわかりました。」
「しかし、貴方には得たものもあるのでは?」
「ハイ、仲間です。モークタンのモークとユッケ。此処で言うのもアレですが、心の支えになっているかも知れませんね。」
すると、妙な違和感を覚える。
なんとユッケとモークが事の話を聞いていたのだ。
あの【ミニチャン】を起動していなくても、モークとユッケから会話が無いことに違和感を覚えた為である。
※【ミニチャン】については第21、22話参照。
「モーク、聞いたか? 俺達は物凄く嬉しいけれど、貰ったものが干し肉一枚だけとはちょっとな~。」
「そうだね。干し肉ちょっとで仲間になりましたなんてそんな訳は無いしね。」
「後の冒険の途中にこのネタ使ってもうちょっと貰おうか。」
「さんせー!」
ユッケとモークがニヤニヤしながら影で俺を煽っている。
間違いなくワザとだろう。
後で干し肉を取られないように対策を練っておかなければならない。
諭されないように話を続ける。
「ありがとうございます。お陰でかなり心のモヤモヤが片付きました。村長さんのお陰です。」
「いえいえ。寧ろ今までつらい道を歩んできた貴方は賞賛されるべきですよ。それに、あなたは差別というものを決してしないお方だ。より一層、あなたの戦闘スキルとやらを見たいものですな。」
「ところで、俺達が授業をするのは何時からですか?」
「3日後です。それまでは、時間割や授業の組み込みなどを行いたいところですな。顔合わせ程度もその間に行うべきでしょう。」
ふーんとうっすら納得する。
まあ、流石に急に授業と言うわけにはいかない。当然である。
一週間すれば授業は慣れるだろう。
(そもそも人に教えた事すらほとんどないのに、ゴブリン相手に上手に教えられるのだろうか?)
強烈な疑問が頭をよぎるが「やっぱり先生やめます。」なんて今更言っても遅いのである。
……と村長と長話し過ぎてしまったため、ほとんどゼリーに手をつけていないことに気付く。
俺はスプーン一杯のゼリーを口の中に入れるが、やっぱり甘過ぎる。
「甘過ぎですかな?」
「やっぱり甘過ぎますね。砂糖に蜂蜜かけた味みたいな感じがします。」
「それなら明日、アイリスさんの為のゼリーをご用意しますよ。砂糖無し、毒草のみのゼリーでよろしいですかな?」
「ありがとうございます。」
俺は村長に感謝する。
わざわざ俺の為だけに作ってくれることは有り難いものがある。
ゴブリン村長は俺がゼリーを食べた後、自分もゼリーを食べる。
少し離れていたユッケもゼリーを取るために小皿を持ち、ゼリーを小皿に取る。
結構な量を取ったのは意外である。
流石にモークはもう食べないだろう。
あの地獄を知ったら二度と食べないのが普通だからな。
だってあんなに大量の血が……あれ?
血が入ったあの容器はどこだ?
俺がそう思ってユッケの方を見た瞬間、また悲劇は起こった。
「……グッ! ガハッ! ガハッ! ギィャアアアアアアア! ウウウ! ウウウウウウッ! ……アアアアアアアアア!」
モークはまた毒草ゼリーを食べてしまい、バケツに大量の血を吐く。
これだけ吐いても何故か死なないと言うのがこの毒草の不思議なところなのだが。
そんな事は言っていられない。
また世話をしなくてはいけなくなった。
……。
……。
それから30分後、モークに取ってはトラウマである毒草ゼリーが無くなった。
3300mlという大量の緑色の血を吐いたモークは無事だった。
「もうやるなよ。」と念の為に言ったのだが、多分モークは聞かないのだろう。
まさか強力な毒耐性が付くまでやるんじゃないのだろうか(個人差あるがおよそ2000枚。)?
この後、俺達は先生となってゴブリン達に戦闘のノウハウを教えなければならない。
初めて教えるこの体験は貴重。
いわば、冒険の糧なのである。
今回の歓迎の宴は嬉しいというか、有り難いというか、悲しいというか、みてられないと言うべきか。
複雑過ぎる宴だったのは間違いない。
※次話投稿後、今まで執筆して来た50話分の一斉修正(文不足、誤字訂正など)を行います。
オマケに今までの50話の中で個人的に名(迷)言集を集めて投稿したいと思います。
現在、24話から修正中。
1話~23話は後回しです。




