第49話 ゴブリン村 村長
俺達は、【試練の森】の奥地にいるというゴブリンを探しすためにひたすら歩いていた。
「……それにしても、この森広くない? だるくてしんどいんだけど。」
モークはへとへとな状態で歩きながら、俺に愚痴りだす。
此処は昼頃ならば唯一の安全地帯。
モークには体力増幅の一環として歩かせているのだが、2時間ぐらいでしんどくなってきたようだ。
そろそろ、腕時計の短針長針は17時20分である。
冬頃はこんな時間帯でも暗くなり始めるのだ。
此処は夜になると少しヤバイ。
体力の高い厄介な敵がうじゃうじゃ出てくる。倒せないことは無いのだが、朝まで眠れないのは人間にとっては辛い。
日中眠くて戦闘どころではなかった。
「ユッケ、このあたりは夜になると敵が出やすくてかなり面倒なんだ。だからモークを抱えて走るぞ。」
「お前はどうなんだ?」
「大丈夫。後6時間は走れる。流石に途中で戦闘になったら体力は削れるけど。」
「……わかった。」
俺の返答に一瞬困惑した様子だったが、ユッケはモークを両手でかかえる。
モークは体をブルブル震わせながら俺のことを見ている。
(よくよく考えたら、6時間ずっと走れる奴は早々いないよな。)
意地っ張りのモークが恐れるのは当然っちゃ当然か。
そう考えながら、俺は走る。
ユッケはその後方に続く。
走りながら進む俺に、ユッケは少し疑問を抱いた。
「すごいな、アイリス。一体どうやってこの森を平然と迷わず走れるんだ?」
「経験だよユッケ。10年間も此処で特訓してたら、死にたくないから嫌でも逃げ道や安全地帯を覚えられるのさ。実は所々に木々に色違いの糸がくくりつけられてたんだが……見えたか?」
「いや、俺にはサッパリ……。」
「……ん?黄色い奴と赤い奴と青い奴と緑の奴? 細かったけど、わかりやすいね。」
走っている魔物には全くわからないくらいを想定して糸にも工夫したんだが……。
意外にもモークは目が良いようだ。
コイツ、下手したら回避の才能もあるんじゃないか?
「モーク、ビンゴだ。黄はイケザキ村への帰還ルート、赤は危険回避ルート、青は安全地帯ルート、緑は戦闘可能ポイント。他にも色々あるんだが。今までで見えたのは多分それぐらいかな?」
俺はモークに色の違う意味を教えた。
豆知識程度で教えるのには丁度良いだろう。
「へ~。でもさ、糸が取れちゃう時もあるんじゃない?」
「そうならないようにしっかりと結ぶ必要がある。まあ、ほどけた時にはとっくに糸がなくても暗記で何とかなるけどな。」
「もし、他の森の中に入ったらアイリスは迷子にならない?」
「どうかな? 行った道を帰ることは容易なんだか……多分虱潰しに探すと思う。その森が広すぎたら知らん。」
モークは困惑した顔をする。
10年間血を吐く思いしてこれかよという気持ちを素直にぶつけられないのだろう。
あんな光景と、俺の特訓の過酷さを実際に知った後では。
俺は少し笑い、落ち込みながら【試練の森】を走った。
そうこうしている内に、日中安全地帯を抜けた。
するとすぐに、大きな洞穴が姿を表した。
まだ遠くからぼやけて見えるだけで、イマイチ詳細がわからない。
「此処かな? 入ってみないとわからんな。ダークゴブリンの所だったら申し訳ないんだが……一年しないうちに結構変わったな。」
「つまり……うじゃうじゃ出てきたオオムカデとかの巣の可能性があるってこと。」
「そうなったら絶対戦闘だな。警戒はしとけよ。」
俺はゆっくりと洞穴に近付く。
段々と洞穴が明瞭になり、大きさもわかってきた。
(……オオムカデじゃないな)
俺はオオムカデの可能性を捨て去る。
オオムカデならば、此処まで大きい洞穴の中には住まない。
一匹程しか通れない穴から、幾多に分岐して巣の大きさを広げていく。
しかし、今回の洞穴はムカデが一度に10匹ほど通れる穴の大きさなのだ。
習性上絶対に有り得ない。
だとしたらなんだ?
考えられる選択肢は4つ。
1.ゴブリンの巣。
2.ダークゴブリンの住みか。
3.白熊の巣。
4.あまり無いけどダンジョン。
1ならラッキー、手っ取り早い。
2はマシだけど説明が面倒。
3は素直に嫌。
4は色んな意味で困る。
俺達はゆっくりと近付き、洞穴の中に入ろうとした。
「止まれ! 何者だ!?」
すると、裏陰に隠れていたであろう2体の何かが俺とユッケに槍を突き立てた。
「アイリス、ここは俺が……。」
「待て! よく見ろ!」
ユッケが収納魔法から剣を取り出そうとするが俺が慌てて制止する。
ユッケは収納魔法を止めた。
「ここにきた目的を教えろ! 盗賊や狩人なら容赦せん!」
俺は見張り番の姿をみる。
なんと、緑色の体をしゴブリンだった。
探していた魔物である。
色以外はダークゴブリンとほとんど変わらない。
あのダークゴブリンの長はちょっと例外だが。それ以外は皆普通の体系だ。
後は大事な部分を麻で作られた布地で覆っている。
突き立てられている槍は木の棒に石の鏃を付けた石槍である。
しかし鏃と棒をくっつけるやり方がかなり丁寧なのか、相当な強度な気がする。
だが、一つ凄く気がかりな事があった。
(そもそも人間の言葉で話してる。カルナ言語が流暢過ぎるな。)
※第22話参照。
そんな事を一瞬考えたが、相手が返答を望んでいるので俺はこう答えた。
「盗賊や狩人だったらもっと違う手段を使うと思うが?」
「だったら今すぐ目的を教えろ!」
「ゴブリンの長と話がしたい。ダークゴブリンから聞かされたんだが……おまえ等が此処に来た理由を知りたいだってさ。」
「……ん? さてはお前【臆病者】か?」
「まあ、一年前に来たおまえ等なら見たことはないと思うが……一応本物だ。」
「おっ……お前が【臆病者】?」
動揺が石槍にまで響き、ガクガクと震えている。
「見張り番が震えたらダメだろうが。もっとこう……相手が動けないくらいに石槍をギリギリまで突き立てろ!」
何故か俺が見張り番のゴブリンたちに教えているという奇妙な光景が出来てしまっていた。
恐怖を拭い去ったのだろう。
まるで強大な敵を仕留めるかのように石槍は俺の首数センチまで迫り、ジッと動かなくなる。
「やればできるじゃないか。」と俺は見張り番に誉める。
すると、見張り番は俺を敵だと思わなくなったのだろう。こう言ってきた。
「取り敢えず、村長に連絡を繋げる。それまではおとなしくしていろ!」
見張り番はなぜか動くことなく、ただじーっと俺達を見つめている。
(テレパシーか。カルナ言語を話せるといい、コイツらの長が余計面白くなってきた。)
俺はコイツらより頭が良い村長の存在に胸を踊らせていた。
途中、ユッケとモークがゴブリンの石槍に興味を持っていた気持ちはよくわかる。
木の棒と鏃を上手い具合に組み合わせているだけではなく、硬い紐か何かで頑丈に固定されている。
鏃自体も、毎日上手く研いでいるのだろう。
触れただけで血が出そうだ。
そんな事を話合っていた時、見張り番達は石槍を首から遠ざける。
「村長がおまえ等に会いたいそうだ。今から村長の所まで案内するが勝手な真似はしないように。その時は戦闘になると思え。」
「わかった。案内してくれ。」
俺達は中から出て来た剣持ちのゴブリン数匹に案内された。
中はまるで迷路のように入り組んでいた。
所々に何かしらの油で燃えている小さな蝋燭のようなものが灯りを照らし、一層迷路のような感触を演出している。
途中で大きな穴を見つけ、ゴブリン達が俺達をチラチラ見ていたがそんな事は気にしていない。
(全くわからん……俺達は今何処にいる?)
案内されているのに迷子になっている感覚が凄く気持ちが悪い。
「ねぇ、一体いつ着くの?」
我慢出来なくなったモークは案内役にそう聞いた。
「あと少しの我慢だ。」
「ハーイ。」
モークは仕方なく諦めることにする。
中は迷路のように入り組んでいた。
所々に油で燃えている小さな蝋燭のようなものが灯りを照らし、一層迷路のような感触を演出している。
また途中で大きな穴を見つけ、ゴブリン達が俺達をチラチラ見ていたがそんな事は気にしていない。
(いつになったら着くんだ?時間が掛かりすぎるぞ!)
案内されているのに試されている感覚が凄くなるため更に気持ちが悪い。
「……ねぇ、一体いつ着くの?」
また我慢出来なくなったモークは案内役にそう聞いた。
「あと少しの我慢だ。」
「……ハーイ。」
モークは仕方なく諦めることにする。
中は迷路のように入り組んでいた。
所々に油で燃えている小さな蝋燭のようなものが灯りを照らし、一層迷路のような感触を演出している。
またまた途中で大きな穴を見つけ、ゴブリン達が俺達をチラチラ見ていたがそんな事は気にしていない。
(……キツイ。流石の俺でも同じ光景に飽き飽きしてきたぞ)
案内されているのに同じ光景を見続けているため死にそうになってきた(死なないけど)。
「……ねぇ、一体いつ着くの? 幾らなんでも長くない?」
またまた我慢出来なくなったモークは案内役にそう聞いた。
「あと少しの我慢だ。」
「だったらさ……。」
モークは言っていいのか?という戸惑いの顔をした後、案内役にこう答えた。
「どうして同じ所をグルグル回っているの?」
「!? どうしてそうなる?」
俺も若干そんな気はしていたが、イマイチ大きな証拠が掴めなかった。
ありがとうモーク、これで俺も確信した。
ユッケはあまりわからないようだ。
「だって、ちょっとおかしいんだよね。まるで僕達が自ら村長に会うのを止めようとして来てるぐらい長いんだもん。だって一時間位ずっと歩いてなくない?」
「そういう場合もあるだろう?」
案内役は平然を装っているが、若干動揺している。
足がカクカク動いているのを俺は見逃さなかった。
「俺達がおまえ等以外にゴブリンを見かけたのはたったの一回だけ。それに、蝋燭のようなものを置いて道が長いように見せかけているけど、結局はただの繰り返し。そもそも、地底にいけばいくほど暑いのに此処は全然感じない。なんか秘密のルートがあるんじゃない? 例えば……ここ!」
「おい! そこは……。」
モークはユッケから出ると、近くの壁に体当たりする。
するとモークは壁をアッサリト突き抜け、広い所に出たのだ!
突き抜けたというより、扉が開いた感触に近い。
案内役が必死に止めようとしたが時すでに遅し。
広い所の中はまるで民族的な空間の中に入ったかのようだった。
すると目の前に、正座で座っている人間でいえば70代の老人が茶器の飲み物をすすりながらこう答えた。
「よく気がつきましたね。あなた方にはもう少し手順をふんでもらいたかったのですが……場所がバレてしまった以上どうしようもありませんね。」
「ゴブリン達の長だな?」
「如何にも。私、ゴブリン達の長を勤めさせております。人間達の言う名前はありませんが……ゴブリン村長、村長という愛称で読んで頂いて構いません。どうぞごゆっくりと。」
ゴブリン村長は客を迎え入れるかのように丁寧にお辞儀をしながらそう名乗る。
このゴブリン村長をサングラスにステータスを確認してもらうことにした。
……やはり、確かにステータスは俺が出会った頃のモークより弱い。
だが、知略という点で考慮すればどうだろう?
そこをサングラスに頼むことにした。
《……間違いなく知略はこの場ではゴブリン村長の方が上です。それも、次元が違います。次に高いのはモークです。》
……なるほど。
下手に出ない方がいいのか。
俺はサングラスと会話しながら、ゴブリン村長が用意した座布団に座る。
正座がしずらいので、あぐらをかくことにした。
座席は自由と言われたので、村長から見て真ん中に俺。
右にモーク。
左にユッケという配置だ。
ちなみに案内役は念の為警戒を敷いている。
俺達が必死に歩いていた迷路での退路を塞ぐ形だ。
すると、俺とモークのお腹が「グゥゥ!」と鳴る。
歩きすぎてお腹が減ってしまった。
「おやおや大変申し訳ありません。お腹が空いているのでしょう? 大したおもてなしは出来ませんが、お食事を御用意いたします。」
ゴブリン村長は両手を3回叩く。
「これで大丈夫。30分ほどすれば御用意出来るでしょう。それまでに、つまみとしてこちらを。」
すると、後ろから女ゴブリン3人が俺達の目の前に皿を用意する。
中は加工された竹の棒と葉っぱが20枚ほど。
これは確か……。
俺はゴブリン村長に聞いてみることにした。
「これは【香味草】か? 確か煙を吸うと爽やかなハッカみたいな味がするやつだったかな?」
「御名答。大人も子供も無害なく、安心して吸えるものです。火を付けても構いませんが……火の後始末は御願い致します。とても手荒な真似はしたくありませんからね。」
異世界ではパイプタバコや普通のタバコというものがあった。
しかし、この世界では竹で作られたパイプタバコが主流。
更に【香味草】というハッキリ言ってタバコより美味い奴があったため、竹製のものが多い。
理由は成分の問題だった。
異世界のタバコは問題があった。
吸い続けてしまうと身体によくないと発表されたのである。
それが理由でこの世界の【香味草】が主流になったと言われている。
俺も実際吸ったことがある。
……確かに美味い、暇潰しには丁度良さそうな奴だった。
「ちょっと~、俺わかんないから早く教えてよ~。」
そんないつもの様に思い出を思い返していると、吸い方がわからないモークが俺にやり方を教えるように要求してきた。
初回なので仕方なく教える。
「いいか、まず香味草をこっちの穴に一枚入れて……火を付ける。絶対火遊びすんなよ。後はここの穴からゆっくり煙を吸い込むんだ。」
モークは言われた通りにし、その煙を吸い込む。
「……意外にうまい。」
「だろ? 暇潰しには丁度良いから結構人気なんだ。」
「僕達殺すよりこんな発明品作ってたら世の中の為になるのになぁ。」
モークがしれっと人間を皮肉る。
こんな性格にさせた人間も人間である。
「本当にそうで御座います。モークさんのお気持ちは大変理解しております。」
ついでとばかりに村長も香味草を吸いながらモークに同情する。
その顔には辛い、憎いをメインに様々な感情が折り混ざっていた。
「あなた方が私と会う口実の中に、私達が此処に来た理由を教えてくれというものがありましたね?」
「まあ、ホントは違う目的で此処にきた訳だが。」
「私の知略をダークゴブリン様によって教えられたのでしょう?」
「……どうしてそうなる?」
「ダークゴブリン様はああ見えて人についつい教えてしまう性格です。この前人間と仲良くなって平和になったと非常に喜んでおられました。」
アイツそういう性格だったのか……と心の中で唖然とする。
魔物も外見だけでは判断できない性格というものがあったのか。
後でちょっとからかってやろう。
「真相は夕食を召されてからお話します。お酒やつまみがないと話せない事です。」
「わかった。じゃあ、ゴブリン達がどうして人間の言葉であるカルナ言語をそこまで流暢に話せるんですか?」
此処で俺はずっと気になっていた質問をする。
「俺が先に言いたかったのに!」といいたげに、ユッケとモークが俺を見つめている。
ゴブリン村長は笑ってこう答えた。
「私がゴブリン達にカルナ言語を教えましたが……カルナ言語だけだと思ったのですか?」
「「「……えっ?」」」
俺達は揃って驚く。
気になったので俺はどれだけ言えるのかという質問に変えてみることにした。
「そうですねカルナ言語、魔物言語、龍語、スライム語、獣語、ダウ言語、ガウ言語、古代カルナ言語、古代龍語、モークタン言語、古代ガウ・ダウ言語、後少々でございます。」
ゴブリン村長は右手の指で今まで覚えた言語の数を数えていく。
開いた口が塞がらないという異世界のことわざはこういうときに使う。
龍語はともかく、古代龍語?古代カルナ言語?モークタン言語?
誰が好き好んで所得するというのだろうか?
ゴブリン村長は話を続ける。
「カルナ言語は1ヶ月弱で習得しました。人間のゴミ箱で見つけた辞書があれば簡単でしたね。特に大変だったのはモークタン言語。あれは言語ではありません、暗号そのものです。習得するのに10年ほど掛かりました。相当苦労しましたよ。」
「俺の現愛称はアイリス・オーリアだが、何か気付かないか?」
「おお! モークタン言語で【慈悲深い人間】という意味ですね。素晴らしい愛称だと私は思いますよ!」
俺はモークタン言語を褒めたくなった。
愛称はずっとアイリス・オーリアでいいかもしれない。
「ちなみに、辞書は何時も残しております。私の後ろを見てみると宜しいですよ。」
俺達は言われたとおりにゴブリン村長の後ろを見る。
「スゲェ爺さんだな。」
「コレが知略の理由か。」
ユッケとモークは感心している。
大きな棚には様々な言語を記した本が隙間なくずらりと並んでいる。
それだけではない。
戦略本、数学、歴史書、魔術書、魔法書など多彩なジャンル毎に分けられている。
およそ1000冊。
ファンタジーな小説や面白い漫画などはほとんどない。
専門書や教育本ばかりである。
「……一冊取っても良いですか?」
「構いません。どの本になさいますか?」
俺は真剣に考えた後、気になった魔術書を選ぼうとした。
「魔術書で良いですか?」
「人間の間では禁止本扱いされていますが?」
「多分黒色魔法よりはマシだと思うのだが?」
「如何にも、人間たちはくだらない言い争いで戦争をしていました。そして、最も愚かな魔術の禁止という事をしてしまいました。」
「ああ、1000年も前の話だが知っている。しかし、魔術というものは確かに強力だが……人によるんじゃないかと思ってな。」
「はい。魔術は人の心を具現化し、その発想や創造力を鍛えることによって生み出すもの。心正しき人が使うと素晴らしいものですが、悪しきものが使うと残酷極まりないものとなります。」
なるほど。
なぜ魔術と魔法で戦争していたのかが何となくわかった。
だったら魔術を使えるのは国から許可された人のみとかいう制度があったら何とかなったんじゃ?
という疑問が湧く。
すると、それを聞いていたかのようにゴブリン村長は言葉を続ける。
「確かに許可制にすれば良かったと思うのですが、1000年も前はそんな制度を考えられるほど政治面ではあまり発展しておりません。万が一出来たとしても、魔術本の盗難やなりすましなどで色々失敗していたと私は思いますよ?」
もう心の中まで丸見えという事実の驚きが段々と薄れてきていた。
コイツは知略が高過ぎてこういう存在なんだと自覚したほうが良さそうだ。
「じゃあ、ゴブリン村長さんに俺に貸してもいいか悪いか任せますよ。それなら俺もキッパリ諦めがつきます。」
「ん~アナタは子供の頃にこの森で修行していましたね。それが原因で心の闇を抱えてしまった。微かにあなたの心に黒くてドロドロした感情はあります。」
「……。」
何も言い返せなくなった俺は口ごもる。
俺には魔術は無理かな?
「ですが、この闇は魔術とはほとんど関係はありませんね。もっと別の所では大問題ですが。」
「ゴブリン村長さん。俺にその闇とは何なのか教えてくれませんか?」
「それは別に話しても良いですが……どうでしょう? 本来ならば自らの力で乗り越えなければいけないものですが?」
ここで、ユッケとモークが互いにあることを思いつく。
「そうだ! 俺達に教えるというのはどうだ?」
「同感だな。そしたら、俺達は影で支えることが出来るんじゃないか?」
「アイリスさん。どうですか? お友達の意見も悪くない、寧ろ仲間らしい選択だと思いますよ。」
「ああ、そうしようか。」
俺は悪くないと思い、提案を受け入れることにした。
ユッケにお願いしてもらい、結果数分だけ仮死状態になれる魔法を発動させてもらった。
すると、俺は死んでしまった。
……仮死状態になった。
数分後、ハッとなった俺は急いで起き上がる。
ユッケとモークはドヨンとした悪い空気になっている。
余程嫌な闇の塊が俺に取り憑いているのだろう。
聞かないことにした。
「しかし、アナタの闇は魔術には関係ありませんから、コレをお貸しします。読み終わったら一声かけてください。」
俺は目の前においてあった重い本を見る。
【魔術全般 第6巻(終)】という本で、2500ページを超えるとても重くて大きい本だ。
「大変貴重なので大切に扱うようにお願いします。」
「ありがとうございます!」
俺は吸っていた【香味草】の火を消し、ページをゆっくりとめくる。
……ナニコレ?
全く読めない!
「あ、申し訳ありません。此方も渡しておきます。」
渡されたのは【古代ガウ・ダウ言語辞書】というものだ。
此方はキチンとカルナ言語で書かれていた。
解読し始めて数分すると、突然女ゴブリン数人が大きな土器(というか皿)を持ってきた。
「さあ、コレが我々の料理です! 是非、お召し上がりください!」
ゴブリン村長はそう言った。
※不備(詳細は中略)修正 加筆あり




