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野蛮学校物語  作者: yukke
第2章 運命の魔物たち編
48/116

第46話 仲間になろうぜ!



 モークが気絶した後、俺はどうしようもないので難読本の続きを読んでいた。


 しかし、この本。

 相変わらず難しい。



 そもそもそんなスキルなど有り得ないのだ。


 「このスキルは、本来変化出来ない相手のステータスやその後の未来。スキル所有者はいとも簡単に変えることができる。全てが主の自由のままに。」


 何を言っているのかがサッパリわからないのだ。


 (()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()と言うことかな?そんな神様みたいなスキルがあるのか?)


 俺は色々この難読本の意味をゆっくりと解いていく。

 別にそれが嘘話ならそれでいいのだ。


 このスキルに興味は多少ある。でも多少なだけだ。

 仮にこのスキルがあったとしても、楽しい人生が必ず待っているという訳ではない。



 何時かは退屈するのだろう。



 でもそういう事を俺は一生懸命考えるから、この本は個人的に「面白い」とハッキリ言えるのだ。

 たとえそれが全く理解出来ない難読本でもだ。



 ……という自分なりの理論を自由に押し付け、難読本を読むことに勝手に正当性を持たせていると、モークがハッと目を覚ます。



 「……あれ? どうして俺は倒れているの? ……あ、此処は死の世界なんだ。」

 「起きたか? まったく……自分の魔力の残りぐらいしっかり確認しておけとサングラスに忠告されたのに……。」


 「あれ? アイリスも()()()()? なーんだ、僕の事が好きすぎて死後の世界まで来たのかぁ~そうなんだ~。」

 「……バカな事言ってないで魔法の勉強をしていろ! 此処は現実! お前は魔力切れで気絶した、以上。」


 「……あれ? 俺寝ぼけてたのか、良かった~、死んだかと思ったよ。」



 ワケのわからないモークの謎発言に一瞬戸惑いを感じながらも、俺はモークを現実世界に連れ戻した。

 ハッとなったモークは寝ぼけによるものだと言って一生懸命に誤魔化すが、既に弁明しても遅すぎるのである。


 (ひょっとしたら、寝起きのモークはもしかしたらかなり悪い方かも知れんな……)


 今後の付き合いという点でちょっと覚悟をした。



 取り敢えず魔力が元通りになったモークに「魔力を使うのは程々にしとけよ。」と言って魔法の勉強に集中させることにした。

 ついでにサングラスも渡したから英才教育で何とかしてくれるだろう。


 その寸前に、俺はさっきのユッケとの戦いでステータスが気になりサングラスに調べてもらった。




【ステータス】名前無し(現愛称 アイリス・オーリア)


  レベル 39 ランク C-


  体力 764/764

  魔力 286/289

  攻撃 425/426

  防御 232/232

  早さ 723/723

  速度 8.5/8.5

 当会心 9.125/9.125

  回避 56/56

 当回避 56/56

 総回避 80.64/80.64

 残血液 3164/4000(200)


 経験値 71862/500000000

   次 71862/77000(5138)




 ユッケで7万の経験値が追加されている。

 多分モークもそうなのだろう。


 (早さと体力があがりすぎだな。普通の冒険者の平均より()ほどあるんだが。でも、防御力と魔力は冒険者よりも少し下。)


 冒険者の平均ステータスを調べた本がある。


 冒険者個人個人によってステータスの差がある。

 生まれつき基準より低いステータスになった人は、大抵が生まれ故郷で商売をするのが基本だ。


 夢を捨てきれずに魔物に打たれて死んだ人も少なくはない。



【ステータス】20代男性冒険者平均


  レベル 40 ランク D-~C+


  見方 平均/推定最低水準


  体力 407.2/320

  魔力 316.17/255

  攻撃 412.86/216

  防御 321.03/109

  早さ 246.76/108

  速度 6.342/4.25

 当会心 9.304/6.75

  回避 約15/9

 当回避 約10/6

 総回避 約23.5/14.46

 残血液 約4200/3300(約2300/2800)


 経験値 71800~72000/500000000

   次 71800~72000/77000(5138)




 このステータスは装備抜きでコレ。

 多分甲冑(かっちゅう)つけているイメージが強い騎士はステータスの数値が一部強くなる。

 と考えると、自分が装備している物は悲しいものだろう。


 (カネと素材が無いからこうするしかなかったんだけどな。まあ、仮にあっても重いからという理由で拒否してたけど)



 濃い緑色の上着。()()()()の防御力。

 黒色の長ズボン。多分数値で10程度。


 出前店長のナイフ。攻撃はハッキリ言って微妙。

 でも、耐久性は高過ぎて尊敬するレベルだ。


 あのヤバそうなユッケの剣をしのいだのだ。

 ちなみに刃こぼれは一切ない。



 それよりも嬉しかった事がある。


 途中通過地点である総回避80を突破したのである。

 単純な計算だと、ナイフが5本飛んできても4本は当たらない。

 ただ、これはあくまで計算での話。


 (ナイフ5本なんてよっぽどの配置と速度で飛んでこなければ余裕で全部回避できるけどな)


 やっと回避能力の真髄が発揮されるレベルになり始めたのだ(あとはもっとステータスが上がれば、間違いなく単体でドラゴン倒せるな)。


 ともあれ、今はユッケを待つしかないようだ。

 俺はまた難読本の解読を続けた。



 ……。




 ……。




 ……。




 ……。



 ユッケが倒れてから数時間が経とうとした時、遂に本人が目を覚ました。



 「……アイタタタ、ん~。……あれ? 今何時だ?」

 「こんにちは、ユッケ。今は昼の3時近くだ。」


 「……は? 2時間も気絶してたのか?」

 「ああ、おかげでこの難読本を今までで一番長く読んだぞ? ちょっと心が折れかけたけどな。」



 俺はユッケに難読本をヒラヒラと揺らして見せつける。



 「……? どっかで見た気がするけど……まあ、いい。」



 ユッケはこの難読本を見て何かの記憶を呼び覚まそうとしたが、()()()()()()で後回しにする。



 「それで、モークはどこ?」

 「あそこだ。そこで気絶している。これで何回目なのか数え飽きた。魔法の勉強で魔力切れだとさ。」


 「……なるほど。やりたくない勉強だなそれは。」



 本気ででやりたくなさそうな顔がハッキリと見て取れる。

 気絶する前の苦しみがどこかであったのだろう。



 俺は本題に入ることにした。

 あれだけ長い間俺を見ていたのは色々あるのだろう。



 「ユッケ、俺達の仲間になってみる気はないか?」

 「え? ああ、別にいいけど。」



 ユッケは即答で答える。

 少し悩むだろうと予想していた俺はあまりの速さに動揺した。


 冷や汗と言うより、「え?早くない?」というような困惑に近いと言うべきだろう。


 (こんな即効で決まるものなのか?仲間になるかって。)


 しかし冷静に考えたら、今回のユッケとの戦闘の目的は殺し合いではなかった。

 単にユッケが俺達の戦闘能力を見たかっただけなのだ。


 まあ、【魔力暴走】が理由で色々話が複雑に絡み合ったのは仕方がない事なのだが。



 「俺言ったじゃん。元々俺はおまえ等の仲間になりたかったからひょっこり出てきたんだ。断る理由が無いだろ?」

 「じゃあ、ほんとにそれでいい? 後悔しても知らんぞ?」


 「いいぞ。逆に俺はお前といると退屈しない。」



 ユッケは指でGOODサインを送る。

 まあ仲間が多いことに越したことはないし、何よりユッケの戦力は強大だ。



 「わかった。ユッケは俺達の仲間だ! これからの旅はよろしくな。」

 「ああ。」



 俺とユッケは右手でガッチリと握手を交わす。

 ()()()()()()()()()()()が放っておこう。



 「オイ! ちょっとアイリス! なに勝手に俺抜きで話進めてんだ!」



 案の定モークが気絶から立ち上がって俺に文句を言う。

 しかし、モークに拒否権はない。



 「どうせ『ユッケを仲間に入れていいよ!』とでも言うんだろ?」

 「ああ! そうですよ。でも、人(魔物)無視して勝手に進めようとする汚い人間達に小さく嫉妬しているだけですけど?」



 モークは俺に向かって頭突きを連発で行う。


 ……若干モフモフだったモークが、柔らかい粘土を固めたような硬さになった気がする。


 確かに勝手に進めるのは流石にキレるか。



 「すまん。じゃあモーク、そろそろ昼飯だからコイツをやろう。」



 俺は干し肉2枚を渡す。


 今度は格別だろう。

 なにせ優と最上だ。


 ちなみに干し肉の残りはこうだ(収納魔法に入ってる)。

 

 可    7枚

 上    4枚

 良    1枚

 優    5枚

 最上   3枚


 まだ最上は一枚あるし、よしとしよう。



 「いいよ! やった~。ひるめしひるめし~!」



 モークはぴょんぴょんと何時もより激しく跳ねる。

 物凄く喜んだ目をしている。

 これほど跳ねるモークは見たことがない。


 (わかった。モークは食うことが好きなんだ)


 俺は一つの確信をする。

 モークは食べ物で黙らせれば良いということである。


 と言うことは。

 ……()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()……という目線をモークに向ける。


 「ギクッ!」というモークの動揺が伺えたのは間違い無い。


 ……まあ、いいか。



 俺は諦めることにした。

 あれだけ約束したんだ。


 (しかし、危なかった……最上を2枚くれと言われたら面倒になる所だった。)


 そんな事を考えていると、ユッケが横槍を入れてきた。



 「アイリス。すまんが俺もひさしぶりにお腹が空いたんだ。俺もくれないか? 後で数倍にして返す。」

 「モークよりは少ないがいいか?」


 「……ほう。どうしてそうなるんだ?」



 ユッケは疑問に思ったのか首を傾げてそう言った。

 怒ってはいない。

 どうしてそうなるのかというただ純粋な疑問を知りたいのだろう。



 「別にキツく言うつもりは無いんだが……味方になったから当然あげるけど、必死でお前を味方に付けてくれたアイツより褒美が上と言うのはおかしいんじゃないか? ……と俺は思うんだ。ほら見てみろ。モークが色々愚痴言ってるだろ?」



 「俺が命懸けでお前を仲間にしてやったんだ!」などと色々モークがユッケに愚痴を言う。



 「じゃあモーク。俺はどれくらいがいいと思う?」

 「うーん、最上1枚かな。」


 「俺はもう少し質が落ちでも良いんだが。」

 「ああは言ったけど、やっぱ()()()()()はしなくちゃね。」



 新人歓迎会という言葉がモークの口から出てくるのは意外だった。


 モークの言葉でユッケは手を額に当てながら高笑いをする。



 「アハハハハハ! やっぱ飽きないわおまえ等の歓迎会は。わかった。最上を1枚貰おう。」

 「モークの意見を採用しよう。ほらこれだ。」



 俺はユッケに最上を一枚渡す。


 「すまない。」とユッケは感謝の言葉を述べた後、最上の干し肉を頬張る。


 「ん~。」という如何にも幸せに包まれているかのような声を唸らせたユッケは、しばらく干し肉を咀嚼(そしゃく)したあと、質問をしてきた。



 「……これ。もしかして、【BeefKing】の店か?」

 「!? よく知ってるな。」


 「いや、だいぶ昔に俺の知り合いだった人が精肉店の見習いやってて、イケザキ村に一店舗だけ【BeefKing】を立ち上げたんだ。結構流行って、度々肉をお裾分けしてもらってたんだがそれに似ていてな。って言うか、あれから大分経つのにまだ店があったのが衝撃なんだが。しばらく見ないうちに随分と成長したなぁ。」



 ユッケは溢れるように昔話を語る。

 そもそも一口食べただけで大昔の記憶の一片を掴む事すら難しい。


 よほど思い入れがあったのだろう。



 「……で、その店主の名前はなんて言ってたんだ?」

 「えっと……確かカラル・ナリリツさんだったっけ?」


 「ナリリツ……ああ、確か下の名前がそうだった。代替えかな?」

 「ユッケは人間より長い間生きているだろ? でも普通の人間の寿命は長くて60年から80年。途中魔物に殺されたらそこで人生終了だしな。」



 「確かに俺が異質なだけだな……。」とユッケは納得し、最上肉を堪能する。

 ユッケから()()()()が出た気がするのは気のせいだろうか。


 一方のモークは言うまでもないだろう。

 一番肉に飛びついたコイツの事だ。



 「ん~~~~、うめ~~~! コレコレ! この味この味!」



 ……やっぱりそうだった。

 モークタンとは言えない茶色い何かが最上肉を食べてほめちぎっているその光景を見たら、冒険者の誰もが一生のトラウマ物になるのだろう。

 おい。口から(よだれ)が出てるぞ!



 一方の俺は質素(何時もよりは贅沢)に行こう。


 可一枚と良一枚。

 良は残り1枚だったからついでに食べることにした。


 食事でも特訓の前半は苦しかった。



 初期の特訓では、苦くて血をはいた毒草と、不味くはないけど味が微妙な緑草で一夜を過ごした。



 中盤辺りでもそこそこ豪華になった。


 とはいえ、初期の頃に食べていた毒草と緑草がメイン。

 運が良ければ果物が一つちょこんとあるくらいが精一杯だった。



 完全な毒耐性が付いた頃の終盤は基本的には楽だった。


 果物も多くなり、デザートのようなものもつくようになった。

 山菜や一部の魔物(毒キノコ系)を焼いて調理するのがメイン。

 毒が甘味になったお陰で毒草が砂糖代わりになった。


 お湯に毒草を入れた飲み物が甘かったので、かなり贅沢なコース料理だった。



 しかし、見ててわかると思うが肉なんてものはない。


 金持ちの贅沢だとずっと思っていた。

 ホントは庶民でも手が出せる代物だったのか。


 いっその事魔物の肉でも食べてやろうかという寸前にまで陥ったのだが、念の為に見ておいた冒険者の本で踏みとどまった。


 魔物の肉は耐えられないほど苦いらしい。

 それだけなら問題なかった。


 だが、お腹を確実に壊すというのは痛すぎたからだ。

 特訓途中でお腹を壊すのはいくら何でもマズかったし。




 そんな事を考えながら、「冒険者になって良かった。」と結論づけるまでの間、俺は干し肉の味を堪能していた。



 可はどうかというと、確かにモークの言ったとおり塩味が濃かった。保存をきかせる為だろう。

 しかし、それは最初だけ。


 数十回噛んでみると、噛みごたえがあるジューシーなお肉とほんのり残る塩味が良い。


 総合的に見ると可でも全然アリだった。



 良はどうか。

 食べてみると一瞬でわかる。


 これは干し肉と言うより、ステーキと一緒じゃないか?と思うくらい油が乗っていた。


 塩味以外にも、醤油(異世界人発明)やニンニクのスライス状をまぶしたもの、砂糖(若干)、酒など塩一辺倒では無く味付けまで凝っていることがわかる。


 と言うより、そもそも肉が分厚いのだ。

 長さおよそ20センチ、厚さ3センチ。


 肉の中はまだ赤身が残っていて、脂の筋までもがキラキラと透き通っていた。


 (最初食べた干し肉とはケタが違う。今度余裕があったら食べてみよう)



 俺の頭に当分の間、「満足」という二文字がプカプカと浮かんで離れなかった。



―――――――――――――――――――――――



 【臆病者】達はそれぞれ様々な想いを抱きながら、3時過ぎという遅過ぎる昼食を堪能していた。


 モークは単純なる肉の美味しさによる


 至福、優越、感謝、感激、歓喜。

 様々な喜びの単語がモークに降り注いでいた。



 アイリスは、特訓の過酷さを思い出していた。


 父と肉を食う数も多くなく、特訓の初期では果物すら手に入らなかったその人生を思い起こし、2人よりも低質の干し肉で充分な幸せを掴んでいた。



 ユッケは少し違った。


 人間より食欲が非常に少なく、3ヶ月飲み食いしなくても平然と生き続けることができるユッケには、食べ物の味を堪能することは唯一の幸せだった。


 だが、懐かしい肉の味はユッケに涙を流させた。

 それがどんな涙で、どんな物語があったのか。今は本人しかわからないのである。



―――――――――――――――――――――――

―【臆病者】アイリス視点―



 遅過ぎる昼食を堪能した俺達は現在、どこに行くかで色々揉めていた。


 俺はどっちでも良いのだが、ユッケとモークがやたら揉めるので俺だけでは収集がつかなくなっている。



 「モーク! 俺はイミルミア帝国がいい! 中世のロマンというものがあるだろ? 俺は帝国でおまえ等に魅力を伝えてやるから、な?」

 「だ! か! ら! 俺は鉄の王国アイロンがどんな国なのか見てみたいの。そんなイミルミア国という国がどんなのか大体想像できるじゃん?」


 「どんなのか予想してみろよ!」

 「でっかい城があって、その近くには城下町とかに住んでいる商人が利益を競いながら街の人に様々な商品を売って、街全体を活気づけてる。開けた場所には帝国の威厳を見せるかのように女性達数十人がダンスを踊って、街に華を咲かせている。」


 「……それで?」

 「治安の点では帝国と呼ばれてんだから頑丈な甲冑を着けた騎士とかいう奴が有名。結構強くて頼りがいがあるから市民の平和と命を守っている。後は色とりどりの建物と、最先端のファッションが立ち並ぶ。まだもう少しあるけど、そんな所かな?」


 「はい、ざんねーん! 全然間違えてますよー!」

 「正解はなんだ! 今すぐ此処で答えを教えろ!」


 「イミルミア帝国に行って自分で確かめてみてくださーい。」

 「ムキー! ウザったらしいなこの()()()()



 《補足。ユッケはモークの予想にホントは()()()()()しています。》


 大概を当てられたことに衝撃を覚えたのだろう。


 ユッケはイミルミア帝国に行きたい。

 モークは鉄の王国アイロンを見たい。


 叶えられるのはどちらか一つだ。

 残念ながらイミルミア帝国と鉄の王国アイロンはかなり離れている為、両方行くのは流石に怠い。

 だから揉めているのだ。

 

 レベル230程の差があるにも関わらず、武力や暴力で解決せずに話し合いで決めようとするその姿勢に少し感動を覚える。

 ()()()()()()()()()()()()()のような気もするが気にしない方が幸せかも知れない。



 「「アイリス! お前はどっちの味方だ?」」



 ユッケとモークは同時に発声し、同時に俺を見る。

 ビックリした俺はピクッと体を硬直する。


 そして、俺は考えた後こういった。



 「じゃあ、サイコロで決めるのはどうだ?」

 「「……アリ!」」



 ユッケとモークはしばらく考えた後、賛成する。

 ()()()()()()()()()()()()()()()()が妙に合う。仲が悪いのか良いのかサッパリわからない。


 サイコロ。

 賭事や勝負の決着などのギャンブルによく使われる代物だ。


 基本のサイコロは正四面体のそれぞれの面に1~6の数字が振られた物だ。


 異世界の発明では対角線が7になるように決められているが、この世界は少し違う(この世界にもあった)。


 ※例 サイコロの数字2というマークの反対は必ず5になっている。


 この世界には正八面体のいずれかの面に1~6の数字が振ってある。

 並びの法則なんてものは特に決められていない。

 じゃあ、残りの二つは何なのか?


 答えは()()。1より弱いのだ。


 つまり6、5、4、3、2、1、スカの順に強いという事なのだ。


 俺は収納魔法からそれを取り出す。

 赤いダイヤ見たいな綺麗に透き通っている赤色が美しすぎたので、つい買ってしまった()()()()()のサイコロだ。

 次に俺は公正な勝負にするため、収納魔法からそこそこ大きなテーブルを取り出す。

 そしてそれをユッケとモークの間に置いた。


 サイコロをテーブルの上において、準備完了である。


 今回はこれらを使う。

 単純明解な上にレベル差が全く関係のない運任せの勝負だ(見た目は)。



 「ルールは単純明解。数字の大きい方が一勝。先に3勝したら勝利とする。同数の場合はもう一回勝負だ。あと、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()1()()()()。」

 「さんせい!」

 「決まりだな。」


 「言っておくが恨みっこは一切無しだ。後からゴネたたいたら()()()()()()()()をつべこべ言わずに食らって貰う。それでいいか? 後、途中で寄り道するがそれでもいいか? 【試練の森】に置き忘れた武器がある。」

 「さんせい! アイリスの戦場を見てみたい!」

 「問題ない。」



 ユッケとモークは火花を散らすように対立する。


 モーク燃えるような闘志と、ユッケの清流が如き闘志が互いにぶつかっている。


 最早ただのサイコロ勝負なのかがイマイチわからなくなってきた。



 「じゃあ、まずはどっちがやるか決めてくれ。先に()()()()()方を先攻としよう。」

 「よし! まずは俺が先攻としよう。」

 「はい! ……あれ?」



 ユッケが高々と手を先に上げた。

 モークもあげようとしたが、事実に気づき困惑する。


 後で少し思ったのだが……。

 ()()()()()()()()()()()な。


 まあ、先攻と後攻にそんな大したことないしいいっか。


 (でも実はこれ、よーく考えたら()()()()()()んだよな。多分あいつが勝つだろう。)


 俺は勝つ予想の方に目を向ける。



 サングラス、この勝負どう思う?



 《そうですね……ハッキリ言って微妙です。どちらが先に()()に気づくかによって勝敗は変わりますが……恐らくコチラだと思います。》



 ヤッパリお前もそうか。



 《はい。ですが自信はありません。拮抗した勝負になるかと。》



 じゃあ、結果を見てみよう。

 ちょっと面白そうな勝負で楽しみだ。



 このサイコロ勝負。


 いや、()()()()サイコロ勝負はどちらが勝つのか。

 俺には最後まで予測出来なかった。



―――――――――――――――――――――――


※不備(詳細は省略)修正 加筆あり


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