第12話 損害賠償の行方は?
直前の編集しようと思っていたらまさかのログアウト。
パスワード忘れて(何回か間違えるとロックが掛かります)10分後、ようやくホームへと舞い戻りましたが編集した物が全て消えてしまっていました。
編集途中の原文をそのまま載せてしまい、申し訳ありません。
海老の天ぷらはどうだろう?
俺は一口天ぷらを頬張る。
「うまっ!」
つい俺は独り言をいってしまった。
美味しすぎて人間のよくわからない、言いたい欲求が漏れ出した瞬間であった。
何て美味さだ!
此処の店の出汁を吸った海老の天ぷらは、他では味わうことの出来ない味と食感だ。
汁をすっていても衣がサクッとしている。
海老のプリプリ感もいい。
(衣でケチって無いし、何より現地の人が作るのは平均的に別格だな。)
サクサクプリプリの海老の天ぷらは油断したら一瞬で食べてしまう。
どうしよう?
このまま一気に尻尾ごと食べるか、半分残すか、残った分を最後に一気に食べるか
すごく悩んでしまう。
そんな海老の天ぷらを俺なりに表現し、いつ海老を食べるか悩んでいたところに、今田さんが手に何かを持ってやってきた。
「坊ちゃん。 これ使えるかい?」
今田さんは俺にあるものを2つ持ってきて俺に差し出す。
これは……ナイフ!?
よく見るとこれあの時、今田さんが運んでたそばの容器の一つじゃん!
「これは、壊れた奴を鍛冶屋の知り合いに『なんか、でけへんか?』って依頼して、2本のナイフを特別に作ってもろとたんよ。ここまま捨てんのは正直勿体なかったんや。俺は別にナイフなんか持っとるで必要ないし、処理に困ってたんや。あんた、今日はちと無理やけど、明日は此処旅立つんやろ?」
「ありがとうございます!」
「せやけど、ただやあらへん。勿論このナイフ作んのにカネがかかっとんのや。大体銀貨1枚と銅貨3枚てとこかな。」
俺は今田さんの話を一言一句丁寧に聞いている。勿論、そばを食べる手は止めている。
「それで俺の考えは、あんたが銀貨2枚出してナイフとこの【海老の天ぷらそば】を支払うんや。残りは迷惑料と容器の被害料て考えたらええ。」
「僕が持っている銀貨は4枚ですよ? どうして全額を請求しないんですか? この世界の賠償は基本、全額がルールですよ。」
「これからどっか宿をとるつもりなんやろ? おっちゃんはあんたをわざわざ路頭に迷わせる事はせーへん。そんな事して店にヘンな噂たてられたら、コッチもたまったもんやないで。」
確かに。
俺に慈悲なく全額を要求して、路頭に迷わせる店員の料理を一般客は食べようとは思わないだろう。
ただ、【臆病者】の俺なら遠慮なく全額をせびれた。
【臆病者】が路頭に迷っても一般客はそんな事を完全無視して、いつも通りこの店でそばを食べることだろう。
「それに、ナイフを渡したのにはもふたつ理由がありますのや。」
「理由をお聞かせ願えますか?」
「一つ目は、戒めやな。幾ら反省しても、人間はどーしてもだらけんねん。それはしょーがないねん。このナイフみてもらったらまたあの時を思い返すやろ。まあ、実際坊ちゃんとぶつかった時、そばの容器は全部大丈夫やったんやけどな」
俺は2本のナイフを受け取る。
そばの容器の染色がこのナイフにも移ったのだろう。
赤と黒という不気味な色の組み合わせだ。
柄の部分は木だな。
汚れが目立たないように黒にしている。
第三者からみれば何かおぞましい2本の武器を持ち、山鬼の仮面を被った人間として認識されそうだ(殺人鬼にしか見えないじゃん……)。
2本とも刃渡りおよそ30センチ。
すごい軽い。
切れ味はどこかで試さないとわからないな。
流石に此処で血を流す訳にはいかない。
※【臆病者】は切れ味を試すとき、自分の右手を切って試してます……。
「元々、このそばの容器は頑丈な陶器みたいなもんやねん。そうそう壊れんよ。ただ、流石に8年ぐらいずっと使とたら流石にそうなるのは当たり前の話や。」
今田さんは少しショックな表情をしていた。
8年間も使っていたら物に愛着が湧くのは俺もわかる気がする。
出前店長さんのそばの容器は、オーダーメイドだったのだろう。
「坊ちゃん。別におっちゃんの話を耳で聞くだけでええねんで? 折角の熱いそばが冷めてしもたらアカンからな。はよ冷めないうちに食べな。真剣に聞く必要も無い。あくまで今は客の店員や。生徒と教師やあらへん。」
今田さんは【海老天ぷらそば】の箸が止まっているのを申し訳なく思ったのか、俺に食べながら聞いてよいと言った。
続けて今田さんは話を続ける。
「おっちゃん、師匠がおるちゅう話はしたことあるな?」
「はい。少し前に言っていました。池崎さんですよね?」
「おお! そや! この町では英雄扱いの池崎師匠やで。」
池崎さんはイグナル村長が言ってた「池崎」と同一人物だ。
此処を旅立つ前に、池崎は異世界の味を皆に伝えたいという願いからこの店を始めたという。
今田さんは異世界からやってきてすぐに、池崎の弟子になったそうだ。
今でも初めにここにきて食べた【温そば】が忘れられないらしい。
でも、今田さんが一人前になったときに池崎は店を託したらしい。
どうして店を任せたのかは未だに今田さんもわからないと言っていた。
先代の池崎は何処かへ旅立った可能性があると、少し前に今田さんが話していた。
その時の事を言っている。
でも、他の国で池崎が活躍してるという噂を聞いた時は、大いに喜んだそうだ。「他に何かデカいことをやろうとしているのかもしれない。」という期待をしているのだろう。
「池崎師匠がお前に少し用があるって言う手紙がコッチに来たんや。」
「えっ? 俺池崎さんとは会ったこともありませんよ?」
俺はつい箸を止める。
池崎なんて人は、会った記憶が一つも無い。
池崎になりすました、どっかの他人じゃないか?
「そやろ? やから、ほんまに本人かと思て、わざわざイミルミアっちゅうとこにおる池崎師匠の所までいったんや。カネで冒険者何人か雇ってな。ついでに師匠のそばも久しぶりに食べたかったんや。」
今田さんも凄いことをする。
ここからイミルミア帝国までは余りにも遠すぎる。
よっぽどの大金と好奇心があって、実現するものなのだろう。
やっぱ異世界人って、この世界の人と比べて探求心が高い人が多いな。
「そしたら師匠本人が『確かに手紙を送った』って言うたんや! 何で捜しとるんかは教えてくれんかったけど、送ったのは間違いないねんて。」
「弟子である今田さんですら教えてくれなかったんですか?」
「そや。『何時でも大丈夫。すまんが今田でも教えられん事情がある。』とかいうて言わんかったんや。師匠の秘め事を弟子がグチグチ暴くのはアカンし、諦めたんや。」
まあ、子供が親の秘密を突っつきまくるのと一緒だろう。
根掘り葉掘り聞くのは相手の了承を得ないとダメだしな。
「まあ、一応伝えましたで。何時でも大丈夫とは言ってましたんで、イミルミア帝国行くのならついでに会おうという感覚で充分やと思うわ。」
「ハ……ハイ……。」
俺は少し呆れた様子で返答する。
「何時でも大丈夫」じゃないだろ!
「出来れば早くきてください」じゃないの?
俺が【明日にしよう派閥】だったらどうすんのさ?
※この世界では【今やろう派閥】と【明日にしよう派閥】が議論しあってた時期がありました(少し前に【明日にしよう派閥】が圧勝という衝撃的な結果に)。
【今やろう派閥】は、物事を今ずく終わらそうとする人間の事を指します。
反対に【明日にしよう派閥】は、物事を先延ばしにしてしまう人間の事を指します。ちなみに勝利の根拠はストレス上の問題でした。
死にかけの時に俺が来たらどうすんのさ?
……まあ、そんな事はしないと思うけど。
(そもそも池崎の顔すらわからないし……)
そんな事もあり、15分がたった頃には【海老天ぷらそば】は完食していた。
※結局海老はそばと一緒に食べた。尻尾も食べてます。
「御馳走様でした。」
「おお! 全部汁まで飲んでくれたんか。ほんまに嬉しいわ。」
「いや~ついつい美味しかったので飲んじゃったんですよ。」
「そう言われると余計頑張りたくなるんやわ!」
今田さんは大きく笑う。
活気などおじさんの笑い顔は需要がある(と思う)。
「ほな、会計やな。【海老天ぷらそば】1つとナイフ2本、その他もろもろ込みで銀貨2枚や。」
俺は収納魔法から銀貨2枚を取り出し、今田さんに直接渡した。
「はい、銀貨2枚丁度だな。ありがとう!」
「ナイフ、大切に使わせて頂きます。」
「おお! 大切に使ってくれや!」
俺は感謝の言葉を伝えた。
あの武器を持つまでは、このナイフが主力だろう。
武器を貰うまでの俺は、武器どころかナイフすら所持していなかった。
つまり素手と魔法というなんとも珍しい戦い方をしている。
これが魔法使いだ!なんて周りに言ったらボコボコにされるのだろう。
※①魔法の効果を上げるものと、物理攻撃力を兼ね備えた武器を持っている。
②魔法のみで現在のランクと同等の魔物を、魔法だけで倒すことが出来る(物理一切なし)。
以上の条件を満たすと、魔法使いの称号を得られる権利が得られる。
ちなみに魔物危険表とは別に、冒険者自体にもランクがある(違いはGが有るか無いかのみ)。
俺は大剣以外ならほとんど装備可能だ。
唯一の大剣は、俺の長所である走る速度や、回避する能力が大剣の重みで落ちてしまうのだ。
短剣ばかり使ってきた俺にとって、大剣は苦痛だった(威力はすごいのだけれど……)。
しかし、今回渡されたのは俺が2番目に使い慣れている短剣。
しかも2本だ。
何かの役にたつ気がする。
今は、最悪の手段での武器としておこう。
「坊ちゃん!」
「ハイ! 何でしょうか?」
「今度帰ってくるんやったら、今まで散々口でバカにしてきた人を見返すような【英雄伝説】持ってくるんやで。それと、」
今田さんは此処で一瞬だけ言葉を止めた。
そして、全てを吐き出したような言い方で、
「もう坊ちゃんは【臆病者】やない! 一人前の【冒険者】や! 他人なんかに振り回されんと、自由に【冒険】して来い!」
そう言った。
建物が飛ばされるのではないかと言うほどの勢い。
それ程の声紋が俺の耳に響く。
俺はこの店からでる前に収納魔法から山鬼の仮面を取り出して被った。
いつか……いつか……。
仮面を付けずにここの商店町を歩けたら……。
俺はもう【臆病者】と呼ばれずに済む!
俺は今田さんにこう言った。
「ハイ!! 本気で【英雄】になって見せますよ。この世界のクソみたいな常識の一つくらい、この手でぶっ壊しますよ!」
俺はガッツポーズをする。
勝ったときの喜びではなく、「期待しておいてください」の余裕の表情から出たポーズだ。
今田さんに負けないくらいの声で高々と宣言した後、俺は店の出口を開ける。
スライド式だったためガラガラという音をたてて扉が開いていく。
夕方でしか見ることができない、夕焼けの空が出ている。
夕日が俺に向かって、赤橙の色で俺の全身を照らした。
暖冬終期の寒い風を完全に無視し、優しい暖かみのある温もりで俺はホッとした。
俺は【うどん・そば 池崎処】の店を出る。
店の扉を閉めようとしたとき、「気をつけてな~、ありがとうございました!」という今田さんの声が聞こえた。
俺を最後まで心配する気持ちと、客として店にきてくれた事への感謝。
それが合わさった声だった。
(俺は【冒険者】か……。【臆病者】よりもカッコイイな!)
俺は再び【商業エリア】を戻る。
しばらくの間、今田さんの最後のデカイ【声が大きい・重大】言葉を、独り言でひそひそとつぶやく(山鬼の仮面かぶって独り言ボソボソつぶやく奴は変人の領域だな……)。
―――――――――――――――――――――――
さてと……。
一旦宿に止まらないとマズイ。
金はあるのに宿を取らずに野宿は御免だ。
誰かが襲ってくるのが怖いという訳ではない。
単純に寒いからである。
【うでどけい】は4時と少しだ。
朝まで宿に入るのは少し勿体ない気がした。
(ひとまず、チェックインぐらいはしておこうかな?この時間だと混んでは無さそうだしな)
俺は【商業エリア】の真ん中を歩く。
後50分位したら冒険者達が此処に大勢くる。
イグナル村長の戦略が上手くいっている証拠だな。
時間は余裕だが、何が起こるかわからないのがこの世界だ。
俺は直行でこの町で一番人気の宿屋へ向かった。
部屋が空いているかはわからないけど取り敢えず行ってみるとするか!
皆さんは、自分の大好物やとても美味しい料理を食べるときはどうしますか?
最初に一気に食べる?
途中で一気に食べる?
他のと同時に食べる?
時間をかける?
最後に残して一気に食べる?
その他
よろしければコメントお願いします。
※私は最後に残すタイプです。




