↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
藍のレコード  作者: ぁずにゃん子


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

21/68

第2章:侵食の季節 第20話:核脈

蠢く肉塊が、鞭のようにしなる関節を振り下ろしてきた。

石畳が破裂し、濡れた破片が飛び散る。


「引くな! 周りを囲め!」


サムが前に飛び出し、肉塊の振るう歪な腕を盾で受け止めた。重い衝撃に骨が鳴るが、歯を食いしばって押し返す。その隙を突き、ツカが弓を引き絞った。


「狙いは……あの青いところだけだっ!」


放たれた矢が肉塊の隙間を縫い、脈打つ青い臓器の直前へ突き刺さる。肉塊は不快な体液を撒き散らしながら暴れ狂うが、アキとマキが左右から同時に肉片を削ぎ落とし、核の露呈した中心部を剥き出しにさせた。


「サク、今だ!」


マキの叫びに応え、サクは地蹴り跳んだ。


粘液と鱗の混ざり合う腐臭の中、サクの視線はただ一点、明滅する青い核だけに注がれていた。

肉塊から生えた不気味な指先がサクの頬をかすめ、血が吹き飛ぶ。だが、サクは躊躇うことなく順手に握り直したナイフを、青い臓器の中心へ深く、深く突き立てた。


「ガ、ぁ……ッ!」


臓器が大きく痙攣し、刃の根本から青い発光が溢れ出す。サクは両手で柄を掴み、体重をかけて一気に刃を抉り抜いた。


瞬間、肉塊の動きがぴたりと止まった。

脈打っていた青い光がサーッと急速に失われ、ドロドロとした黒い体液へと変わっていく。再構成する力を失った肉塊は、そのまま二度と形をなすことなく、崩れ落ちたまま沈黙した。


「はぁ……はぁ……倒し……たのか……?」


ツカが肩で息をしながら、濡れた床に膝をつく。


だが、安らぎは訪れなかった。

核を破壊された衝撃に反応するように、神殿の床や壁を這っていた青い水脈が、激しく波打ち始めたのだ。ゴボゴボと不気味な気泡を立てながら、青い液体はすべて奥の闇へと一斉に逆流していく。


「水脈が……奥へ引き寄せられている」


アキが灯りを掲げ、奥へ続く漆黒の通路を睨みつけた。


「この先に……全部を操っている何かがある!」


サクはナイフにこびりついた体液を払い、静かに立ち上がった。

頬の傷から流れる血をよそに、

5人は言葉を交わすことなく頷き合い、水脈が収束していく神殿の最奥の重く開かれたホールへと足を踏み入れた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。