120.帝国近衛騎士のロイスを名乗る者
王立学園で爆破事故と広く認識されている事案が発生して7日が経つと、学園内を騎士が歩く光景にも慣れてくる。
そうなると中には「週末はどう過ごすのか」と、騎士に問いかける女子生徒たちも現れ始めた。だが青いマントのその竜王国騎士はひたすらに真面目な男でもある。
「騎士は週末など決まった休みはない。俺も昨日は仕事の合間に被害者の見舞いをしていた」
昼前に高等部にたどり着いてから、食堂で食事をしている間ですら問いかけられて同じ言葉を繰り返す。そんなテオバルトを、情報共有のため同席するアニエスはにこやかな顔で眺めるだけだった。
昼食後、食堂を出たテオバルトは冬の乾いた空気に包まれた渡り通路を進む。その合間もテオバルトは、通りすがりの女子生徒から挨拶を向けられていた。
そうして渡り通路を歩きながら、テオバルトは女子生徒たちは何をしたいのかと問いかける。
すると女子生徒を小鳥と呼ぶアニエスは、テオバルトの個人情報が欲しいのだと説明した。つまりのところ気になる殿方の私的な行動や趣味などを知りたいのだ。
そんな一般的な説明にテオバルトは真面目な顔でうなずき、理解しようとする姿を見せる。
「俺のような毛色の違う存在に興味を持つことは、どのような場面でもありうる話だな。それに個人情報を得ることで会話のきっかけを得ようとするのは社交の基本だ」
「テオバルト殿は第二部隊長の肩書を持ち、部下もいるでしょう。部下の方々と私的な会話はされませんか? 恋愛の話なども」
「そのような話をする時間はないからな。部下たちには報告書を置いておくよう指示してあるから問題はないよ」
「なるほど? つまり部下の方々とコミニュケーションを取っていないと」
「俺の仕事は帝国で言う第四部団長殿と変わらないからな。俺も部下も基本的に王都を巡回しているから会う機会もない。しかし活動報告書には、花束をもらっただの贈り物をもらっただのと私的な事は書いてあるよ。ただ彼らは花束などの管理ができないらしく、俺の机に置いていく。他にもカップや菓子類など俺の執務室に私物が置かれていくから、彼らも楽しくしているようだ」
「テオバルト殿の執務室は居心地が良いということですね」
「基本的に上司がいないからな。最近など俺は王立学園にいるとわかっていて、昼を執務室でとる者が多い。仕方ないから今朝の指示書に、昼は食堂で温かいものを食べるよう書いておいたよ」
「その指示書は面白いので、機会があれば私にも指示書をください。あ、そう言えば初日から思っていたのですが」
そう言いながらアニエスはなぜかテオバルトの手をそっとすくい上げた。そうしてここ数日で一気に荒れた手を確認しつつ笑顔を保つ。
「テオバルト殿の字って可愛らしいですね」
笑顔で告げたアニエスのはるか後方で女子生徒たちの絶叫のような声が上がる。嬉しそうに騒ぐ女子生徒たちを真顔で眺めたテオバルトは、そっとアニエスから手を離した。
「謎の遊びをするのはやめよう。俺はこのまま寮へ行くが、君は中庭でトレーニングだろう」
「はい。マティアスの傷が癒えたならテオバルト殿も一緒にトレーニングしましょう。許されるなら私に剣術の指南なども」
「そうだな。あの被害者なら、そういうものを見るのも好きそうだ」
「マティアスは好きですね。そもそも彼は戦神ロールグレンに憧れてしまうほど格好良いものが大好きなんです」
「伝説や物語の英雄に憧れるようなものか」
「その素直なところが可愛いですよね。だからマティアスはテオバルト殿のことも好きになるだろうと思っています。貴殿の存在は、マティアスの中に刻まれた恐怖を上書きするものだと」
「それはかいかぶり過ぎだよ。あの子はディートハルト君に癒やしてもらってるんだ」
件の被害者は事件当日からずっとディートハルトに付き添われ、甲斐甲斐しく看病されている。おかげで死の恐怖も彼の優しさによって拭い取られているのだ。少し見舞うだけの赤の他人が被害者に影響を及ぼすことはない。
その部分だけ訂正したテオバルトは、アニエスと別れて第一校舎に入った。そのまままっすぐに正面入口から外へ出ると、赤いマントを腕にかけた帝国騎士がいる。
漆黒の騎士団服をまとったその男性は黒髪黒瞳と、かの国では珍しくない色合いを持つ。
「良かった。生徒たちから、竜王国騎士殿が午後から寮に行かれると聞いて待ってたんです」
「俺は1年男子寮へ行くのだが、貴殿も同行したいと理解すれば良いのか?」
「はい、そうです。むしろここってかなり敷地が広いですよね。寮だって学年ごとに違うらしくて、説明されてもまったく理解できなくて」
「確かに施設が多いから、不慣れな者には難しい場所だな。ただ部外者立入禁止が原則なのだから、あえてわかりにくくしているのかもしれない」
「確かに、不法侵入者の目的を阻むにはそれが一番ですね。あ! 僕の名前はロイスと言います。グレイロード帝国騎士団の近衛騎士です」
「俺は竜王国騎士団第二部隊長テオバルト・ヴェルだ」
「じゃあテオバルトさんですね」
初対面から呼び方の距離を詰めてきた相手にテオバルトは思わず鼻白む。
同じ帝国の近衛騎士で距離感が少しおかしいアニエスですら、まだ騎士と言う立場での敬称をつけていた。だというのにこの騎士は最初から個人相手の敬称をつけてくるのだ。
そうして戸惑うテオバルトを、黒く大きな瞳で見上げてきた帝国騎士は首を傾ける。
「嫌そうな顔してますけど……テオバルト君って呼びます?」
「いや、もうそこは何でも良い。貴殿の距離感は理解した」
「ありがとうございます。じゃあ、マティアス君? でしたっけ? その子の部屋に案内いただけると助かります」
「ああ……いや、なぜ帝国騎士である貴殿が被害者と会おうとしている?」
「お見舞いです。と言いいますか、ディートハルト君が校舎を破壊しちゃったじゃないですか。それで王立学園から保護者呼び出しになっちゃったんですよね。校舎の損害賠償とかアレコレで」
「そうだな。どんな重大事件が起きていたとしても、王立施設の破壊はまた別の話になる。彼自身は人命救助のために行ったのだから責められる理由はないが、損害の補填は必要だ」
「そうそう。なのでまずは被害者のお見舞いをして、可能なら治癒師の方から話を聞けたらと思うんですよね。場合によっては被害者には、損害賠償の話が届かないようにしたいから」
初対面から距離感の近い帝国騎士だが、気遣いはきちんとできるらしい。案内しても問題ないと判断したテオバルトは寮へ向かうべく歩き出す。すると騎士にしては小柄な帝国騎士も隣をついてきた。
「貴殿は近衛騎士だと言うが、アニエス・ディランのことは知っているか?」
「それはもう、小さい頃から知ってます。あ、テオバルトさんってあの子からお姫様抱っこしたいって言われました?」
「ああ……最近の帝国はおかしな冗談が流行っているなと思っていた」
「あれは冗談ではないですよ。あの子は本気で好きな相手をお姫様抱っこしたい趣味の子です。そしてそれを言われたということは、テオバルトさんは実力者として認められたということですね」
「騎士として評価されるような場面は発生していないんだが」
いつどんな理由でアニエスが自分を実力者として評価したというのか。理解できないテオバルトは本気で戸惑い帝国騎士を見る。
するとなぜか帝国騎士は楽しげに笑い出した。
「テオバルトさんみたいな人、僕も大好きですよ」
「君のその距離感はどうかと思う」
「えー? 帝国騎士団では普通なんだけどなぁ」
だからアニエスもお姫様抱っこなんて言えるのだと帝国騎士は笑う。だがテオバルトはそんな国だったかと思いながらため息を吐き出した。
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食堂の奥にある個室でオリヴィエ・アンベールは父から届いた手紙を読んでいた。そんな彼のそばにはシェルマンがいて、深刻な顔でグラスの水を飲む。
「手紙の内容はどんなものだった? アンベール侯爵なら騎士団を黙らせるくらい余裕だろうけど」
「ぼくたちはここに来る前にあの騎士を見たよな」
冬の弱い光が差し込む個室にはオリヴィエとシェルマンしかいない。今年度は勉強に専念したいというセシーとは週末しか会わなくなった。それに伴いテオドールも来なくなっている。
そんな室内で深刻な顔で手紙を見せてくれるオリヴィエに、シェルマンは緊張しつつもうなずき文面に目を向けた。
白い騎士団服と青いマントは、竜王国騎士団の上級騎士しかまとえない。そして現在、王立学園内に立ち入ることを許可されているのはただひとりだ。
「父はあの騎士から生意気な反論をされた夜からずっと刺客を送り続けているらしい。しかしあの騎士は今日も生きていて、平然と校舎内を歩いている」
「そんな多くの人間を相手にしていたら死ななくても疲弊するはずじゃ…」
オリヴィエもシェルマンも、手紙にある「刺客を送っている」という文言を正しく理解していない。ただ犯罪者を雇って殺そうとしているのだと漠然と想像するだけだ。
ただそれでも四夜も刺客と戦い逃げ回っていたら疲弊するはずだ。そもそも生きているのもおかしいし、無傷なのもおかしいのだが。
「父はあの騎士のことをアルマンと呼んでいた。誰のことなのかわからないが、危険な存在なのかもしれない」
「あの騎士のことは父たちに任せるしかないね。騎士団に圧力をかけて解雇させるとか」
「ああ、それは…父もやってるみたいだ。でもそんなぬるいものより、何らかの罪に問うて国外追放処分にしてやりたいくらいなんだけど」
騎士としてどれほど強くても法と権力には勝てない。それが貴族が支配する国家というものだ。だからあの騎士は侯爵である父には勝てない。
既に父はこの手紙を書く2日前には、竜王国騎士団へ王立学園でうろつく騎士の解雇を命じたらしい。だがあの騎士は今日も平然と王立学園内をうろついている。
ならば命じてすぐに解雇することも難しいのかもしれない。あるいは竜王国騎士団は、騎士ひとり解雇するのも時間がかかる無能組織なのかもしれない。なんにしてもすぐにあの騎士を消せないということだ。
そしてオリヴィエはそれをもどかしく思っていた。自分が侯爵であれば、あんな騎士など簡単に国外追放処分にできるのにと。
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高等部1年男子寮へやってきたテオバルトは、その足でホールの2階へ上がる。この寮の2階部分にはSクラスとAクラスの部屋があるらしい。
「へぇ〜、学生が使ってるのに綺麗なんですね」
「上位クラスしか使わないからだろう。彼らはほとんどが中等部あがりで上位貴族の子息だ」
ロイスと名乗った帝国騎士の感想へ、簡単な説明で返す。そうして廊下の突き当りにある扉を開けて部屋に入るテオバルトにロイスが言葉を向けた。
「この学園って、扉を叩かないの?」
既に部屋の中を進んでいたテオバルトは、ロイスの問いかけに足を止め振り向いた。そうして真顔でロイスを見つめた後に、改めて寝台の主を見る。
「すまない。叩く習慣が俺の中になかった」
今日も調子が良いらしい被害者は、テオバルトの謝罪に笑顔で首を横に振る。だが室内にはそんな優しい被害者以外に誰もいない。
「ありがとう。ところでディートハルト君と治癒師の姿が見当たらないが、ふたりはどうした?」
問いかけるテオバルトの横を抜けたロイスはバルコニーを見る。その様子を知り目に、被害者が書き板を膝に乗せて紙に何やら書き始めた。
この被害者は事件当初に高熱が続いたため、治療が予定より遅くなっている。そのため7日経った現在も言葉が出ない状態が続いていた。
そして2日前、それを申し訳ないと謝罪しようとする被害者にディートハルトが提案したのが筆談だった。ディートハルトは「オレと秘密の文通をしよう」と提案したが、実際に最も多く筆談している相手は治癒師である。
いつものようにマントを脱いで寝台に座ったテオバルトは、白紙に書かれた「お昼休み」との言葉に安堵する。
事件発生3日後、テオバルトはやっと起き上がれるようになった被害者へ、治癒師の希少性と重要性を語った。そしてそれ以降、心優しい彼は治癒師へ適度な休息をうながしてくれている。
もちろん被害者がそうなった理由を察した治癒師からテオバルトは何度も睨まれているが、こればかりは仕方ない。人を癒せる存在は貴重なのだから。
そんなことを考えるテオバルトの目の前で、被害者が帝国騎士に手を向け首を傾げる。その合間にバルコニーから戻ったロイスが「おそろしく快適な部屋だね」と感想をくれた。
「被害者に君のことをどう説明したら良い?」
「僕はグレイロード帝国騎士団の近衛騎士でロイスだよ。ディートハルトがここの建物を破壊したから、その損害賠償について話に来たんだ」
損害賠償という言葉に被害者がひゅっと息を呑んだ。おおよそ破壊した理由を察してしまったのかもしれない。
テオバルトはそんな被害者の手を握って視線を向かせた上で首を横に振る。
「これは君が何かを背負う話じゃない」
「そうだよ。それにこういうのは帝国じゃあ当たり前だから気にしないで」
よくある事だと笑うロイスに被害者の罪悪感が吹き飛んだらしい。驚きの目でロイスを見たかと思えば慌てて白紙に「今までもあったんですか?」と書いて見せる。
するとまたロイスも笑った。
「それはそうだよ。だってほら、帝国騎士団って他国まで行って闇竜やら魔神種と戦ってるでしょ? 建物どころか街ごと壊れるなんてよくあることだよ。ただ建物は建て直せば良いけど、人の命はそうじゃない。それだけだよ」
そう言いながらロイスは床に膝をつくと、優しく被害者の頭を撫でた。
「君がこうして僕と話してる事が、ディートハルトの功績そのものだ。だから君は自分を責めるより、あの子を褒めてあげてよ。ね?」
その瞬間にテオバルトは、帝国近衛騎士ふたりの共通点を見つけた。彼らは社交性に長けていて、他者の心を癒やすことを得意としているのだ。
そしてそれはテオバルトには持ち得ない能力だった。
その後もロイスが被害者と雑談していると、治癒師とディートハルトが戻ってきた。
だがディートハルトは、ロイスを見た瞬間に飛び上がる勢いで喜び絶叫する。
「うあーーーー!!!! オレの作戦勝ち過ぎる!!!!!!!」
「わー、ディートハルトが叫んでるー」
ディートハルトが喜ぶ理由はテオバルトにはわからない。ただロイスもその辺りは気にせず、叫んでも怒られないなんてすごい環境だねとのんきに被害者へ話しかける。
そこで被害者から「いまは授業中で他の生徒がいないから見逃されているが本来は駄目」だと筆談で説明される。
その脇でテオバルトは治癒師に足をつつかれた上で耳元にささやかれた。
「この可愛らしいお顔の方はどちら様ですか」
「君は他人の顔を気にするが、見た通りの帝国騎士だ。ディートハルト君が損壊した様々なものに関する損害賠償の話し合いのために来た」
「そうなんですね。いえ、顔を気にしたのではないですよ。人相がディートハルト君と違う系統なので保護者とは思えないじゃないですか」
「人相なら、彼はディートハルト君と目が似てる。親を名乗るほどではないが親戚だと言われれば……」
納得するという言葉がテオバルトの喉で詰まった。ディートハルトの父親である帝国騎士団長グレイドル・ソフィードの親戚が、近衛騎士であるはずがない。
「これは独りでうろついていい存在なのか?」
「この寮にたどり着けないだけでそこまでなっちゃうんですか!? 僕はひとりで帝国からここまで来てますよ!」
彼は近衛騎士ではなく、近衛騎士に守られるべき存在なのではないのか。そう考えるテオバルトへ、他ならぬロイス本人が声をあげた。
「ねぇ、マティアス君もおかしいと思うよね? こうして実際にここまでたどり着いてるのに、校舎からここまで来られないだけで単独行動不可みたいに言われちゃうんだよ。あ、でもそれなら今夜はテオバルトさんのお世話になれば良いのかな…?」
ひとりで騒いでひとりで何かにたどり着く。そんなロイスに治癒師はなぜかテオバルトの太ももを叩き続ける。
「ほらほら、言ったじゃないですか。隊長様はお顔がよろしくていらっしゃるから不必要に惑わせるんですよ」
「この話と俺の顔は関係ない」
「そうだよ。便利に使えるかどうかが重要であって、テオバルトさんの顔は二の次なんだよ。なにせ僕は宿の泊まりかたを知らないからね……」
語尾とともに急速に深刻な雰囲気を出すロイスに、ディートハルトが「やっぱり」と笑った。だがテオバルトは笑い事ではない。
「すまないが、俺は戻ったほうが良さそうだ」
ここで長居をしていると宿の受付が終わってしまう。そう考えたテオバルトが立ち上がると、被害者が白紙に「また明日」と書いて見せてくれた。そのためテオバルトは我知らず微笑み被害者の頭を撫でる。
王立学園の正門から外に出たところで、同行しているロイスが口を開いた。
「テオバルトさんは、ローラン侯爵という人を知ってます?」
「屋敷の場所ならわかる」
「じゃあそこまで案内してくれると助かります」
ローラン侯爵家へ行きたいというロイスにテオバルトは眉をひそめた。
「そもそもあなたは本当にこの国へ単独で来ているのか? それにディートハルト君の行動は、あなたが動くほどのものではないはずだ」
「やっぱり、僕が誰なのかわかったんだ?」
「グレイドル騎士団長は妹しかいない。だがそちらはディラン公爵家へ嫁いでいる。それ以外の親族となるとリュースター商会の主と……」
「うん。そこで言わないのはさすがだ。でも君だってわかってるよね? ディートハルトはわざと校舎をあそこまで破壊してるし、竜神殿まで壊してるって。あの子はね、そうすることで自分の手に負えない政治的な部分で助けを求めたんだ」
ロイスはにこやかに語るが、自分の予想が当たっていたと自覚したテオバルトは嘆息を漏らす。
ディートハルトが意図的に施設を破壊して騒ぎを大きくさせたことはわかっている。だがだからといってロイスほどの存在が動いて良い話でもない。
「グレイドル騎士団長が心配します」
「そんなことはないよ。竜王国にはフィーリスがいるし、なにより君と会えたから」
そう言いながら、ロイスはテオバルトの手をそっとつかんだ。
「そういうわけで、まずはおやつを食べよう。お土産を買って行けばローラン侯爵とやらも怒らずに僕を泊めてくれるかなぁ」
そのまま手を繋いだロイスは、なだらかな坂を下り始める。面識のない相手の元へ押しかけて泊まろうとする精神がわからないテオバルトは二度目のため息を吐き出した。




