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女性嫌いの令息を護衛している男装女子ですが‥なんか思ってたのと違う?  作者: ノーネアユミ
2章

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20 報告

「ブライト良く戻って来た」


 ローアン様にも迎え入れられて、報告を始める。

 聖女を口説こうとしたが失敗したこと、クロード王弟と話をつけたこと。


「敵軍はどうなりましたか?」

「ああ、お前の追撃に王太子が加わっていたらしくて重症らしい。爆発はこちらからも確認した。王弟殿下とは停戦の協定が結べそうだ」




 兄は爆発を合図に進軍を決めた。今回の戦闘は私が逃げる時間を稼ぐ形だけの予定だったが、勝機をみすみす逃がす兄ではない。

 我が軍にも公爵家の勢力が加わり、ギリ1000を超える兵が集まったのだ。


 クロードの軍はそれでも善戦したが、乾いた草原全体に炎が広がる。混乱はさけられない。


 

 そして炎は陣営地を囲む木柵にまで燃え移る。基地に残っている兵が少ないせいで、消火しきれず陣営地は全焼した。


 兵が少なかったのは王太子が私の追撃に大勢連れ出したから。

 私たちを獲物に、狩りでもするつもりだったのだろうか。騎兵だけでなく従者も後ろを追って来ていたのだけれど、もれなく熱風の餌食に。


 後詰を残しておくのは常識なのだが。

 つまりは私たちの圧勝。停戦に一番必要な条件が成り立った。



 聖女ビビアンは逃げ出せたが、私の爆発に巻きこまれた騎兵に強硬派が多かったらしい。

 王太子も戦線離脱したことから、クロードはひとまずの停戦をまとめる。


 しかしまだ停戦であって終戦ではない。 

 戦争とは始めるのはたやすいが、終わらせるのはとんでもなく大変なのだ。


 王太子1人を倒すだけではうまく行かない。悪者を倒せばそれでめでたしめでたしになど、現実では絶対に起こらない。




 私は公爵領の代官屋敷を襲撃したことも正直に伝えた。


「一刻も早い連絡が必要かと、馬を奪ってしまいました」

「なんと‥それはこちらの落ち度だ、お前が謝ることはない」


 よし、あの代官クビになるな。




 汗をかきながら詳細な報告を済ませると、兄はダッシュと肩を組んだ。


「で、何もしていないよな」


 私はつい目をそらしてしまう。

 兄は目をとがらせた。


「不可抗力だけです。お気になさるようなことは何も」

「まったく何もないわけじゃないんだよな、きっちり報告はしてもらう」


 兄から漏れ出る殺気がヤバい。


「何があったんだ」


 ローアン様はいつも通り分かっていない。

 今は上司より兄の説得だ。


「別に、ケガの手当てで足にさわったことと、添い寝しただけでしょ」


 ふむ、と兄はあごに手を当て私たちを交互に見る。


「嘘は行っていない、が全部は話していないな」



「ま、まあハグくらいは」

「寒かったので。それ以外は特にありませんよ」


 ダッシュさん、あなたよく真顔で言えるよね。

 私は恥ずかしさで顔をおおっちゃうのに。


「せっかく婿に向かえてやろうとしているのに良い度胸だ」

「その程度のことで?」


 兄はうなる。


「必要なのは分かった。だが下心がないとは言い切れないだろう!」



 ダッシュは兄を振りほどき、私をそっと抱きしめた。


「ちょ、ちょっとここでしなくても」


 耳まで真っ赤になる。私の狼狽など気にも留めず、ダッシュは兄へ不敵に笑った。


「ふふ、下心があるのはお互いのようですから」

「ぐぬぬぬ」


 バン、とダッシュが殴られた。兄がいる方向とは逆側から。

 殴ったのはローアン様。


「ブライトのことを(もてあそ)ぶんじゃない! こいつの心は乙女なんだよ!」


 ‥心だけじゃなくて正真正銘の乙女です。


 兄とダッシュは驚いている。状況が分かっているのは私だけかもね。



 ローアン様からしたら、ブライ()と結婚するつもりのダッシュがブライ()も口説いている状態だろう。



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