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女性嫌いの令息を護衛している男装女子ですが‥なんか思ってたのと違う?  作者: ノーネアユミ
2章

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18 暗闇で、2人きり


 眠れるとは思わなかったが、多少の睡眠は取れたようだ。目が覚めたことで気がつく。


(寒いし足が痛い)


 しかしまだ辺りは暗く、起きる時間ではない。痛みをこらえながら寝返りを打った。



「眠れませんか?」


 隣から声がかかる。


「まあ傷口が痛くて」

「じゃあ魔法をかけ直します」


 暗い中、私たちはモソモソ起き上がった。

 ダッシュは呪文を唱えている。

 見えないからか、彼は昼間よりゆっくり足をさわっていた。

 彼の温かい手が傷の場所を探り当て、痛みが治まる。


「これは‥マズいですね‥」

「そんなに重症だった?」


 痛みが楽になった私は眠気でボンヤリするが、ダッシュの声色から緊張が取れない。疲れたのか息遣いも荒くなってきた。


 ‥いや、これは疲れたんじゃないな。

 傷がない場所までなでられ始めて、さすがに鈍感な私でも気がついた。

 

(‥あーあれか? あれなのかな?)



『わたくしの姉が結婚してね、』


 学生時代、姉のいる同級生が夜の寮でコソコソ教えてくれた、あれ。


『あらブライアは知らなかったの? そっち方面はお子様なんだから』


 目を丸くした私を友人はおかしそうに笑ったものだ。



 今の私なら知識くらいはある。

 町で襲われかけた少女を助けたり、同僚たちの卑猥な会話を聞いているのだから。


 しかし当事者になったらあせるのは仕方ないじゃん!


(どうしよう、このまま流されたいけどでも嫌だし)


 どっちなんだ自分。

 ダッシュだっていつもは飄々と私のアプローチをかわす癖に、こんな予期しない時にグイグイ来ないでよ!



「もう平気。やめていいから」


 私が声をかけると、ダッシュはハッとしたように手を離した。




 ‥超気まずい。こんな時どうすればいいのか、誰からも教わってない。


「冷えてしまいましたね」

「日の出前は寒いからね」


 私は毛布を巻きなおしてぶるっと震える。


「危機を乗り越えたと思ったら気がゆるんで、その‥申し訳ありません」

「ま、まあ私も本当に嫌なわけじゃないけど‥で、でも今じゃないって言うか、その」

「はい分かっています」


 物分かりの良い彼にホッとすると同時に少しだけさみしい。

 恋ってどうしてこう感情がままならないのだろう。



 私はポスンと藁の上に体を横たえる。

 ダッシュの影は肩にかけた毛布を両手で広げていた。


「これくらいなら許されるでしょうか」

「え、なに」


 彼のつぶやきが分からなくて聞きなおそうとした瞬間、彼の息が私にかかる。


(あったかい‥)


 私は毛布ごとダッシュに包まれていた。


「も、もちろん!」


 許す。誰が何と言おうと許す。

 正直彼との関係はもちょっと進展したって良いのだから。





「おはよう、よく眠れたかい」


 おじさんの声で起こされた時はもう日が昇った後だった。

 温かいミルクと冷めたイモをもらい、町の位置を聞く。

 近場の町までは距離があるが、頑張れば行けるだろう。


 そしておじさんはボロボロだけどズボンをくれた。


「そんな乞食みたいな恰好じゃあかわいそうだしな」

「ありがとうございます。さすがに町までこれじゃ恥ずかしかったんで」

「本当に助かりました」


 私につづきダッシュまで深くお礼を言っている。


「良かった。これで目のやり場に困りませんね」


 移動を始めて、彼のつぶやきに顔が赤くなる。


(そうだったスネむき出しだった。ストッキングもはいてない生足見られたし触られた!)


 ケガをした方の足には包帯を巻いただけ。

 どうしても必要な場合は恥ずかしさを感じないけど、窮地を脱した後は急激に来るものなんだな。



 HPとMPを大量消費すれば私にだってイチャイチャシーンが書けるのですよ!

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