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女性嫌いの令息を護衛している男装女子ですが‥なんか思ってたのと違う?  作者: ノーネアユミ
2章

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16 逃亡と窮地

 こちらの情報を簡単に送れるとは思っていなかったが、都合よくパーカーが交渉に来る。


「全面降伏を進める。それ以外はないと思え」


 ガナルゾ王子は強気で押し通すつもりだ。

 私はこっそり言伝手を頼んだ。

 王子の前で手紙を渡せるか不安だったけど、そこはクロードが腹心を使い成しとげる。




 数日後、返事が届いた。


「まさかウィード王家の了承を取るとは」


 ローアン様は王都と緊密に連絡を取り合っていて、全権をゆだねられていた。


「これなら王太子と聖女の身柄さえ抑えられれば何とかなるか」


 

「じゃあ王太子は私が引き受けます」


 私は待っている間に立てた作戦を敵将に披露する。




 次の日、私とダッシュは敵地から逃亡した。

 クロードの部隊は出撃している。私たちを追いかけるのは王太子率いる近衛隊。


 王太子本人が追いかけて来る確証はなかったが、十中八九本人が来るとクロードからお墨付きをもらっていた。


 奪えた馬は一頭だけ。2人乗りだとスピードは出ない。

 敵が後ろに迫ってくる。その数約50騎、近衛隊のほぼ全てだ。

 王太子がいるのはまちがいない。


「もっと引き離したかったけど、しょうがないね」


 敵の放った矢が馬に当たり、私たちは失速する。


 馬を降りて、これまた奪った剣をぬいた。


 馬が横1列に並んで走ることはめったにない。

 つまり向かってくるのは1頭ずつ。


 矢をかわしながら私は敵兵の馬をねらう。

 足を一閃し落馬しかかる兵をダッシュが仕留める。

 続く兵も同じ方法で倒した。


 なんとか連続で5騎倒す。第一陣は受けきった。

 さすがに王太子はかかってこない。ここで命を取ることが最善なのだけど。


「痛っ」


 だが敵将を討ち取る前に私の足に矢が刺ささった。

 痛みで動きが間に合わない。

 次の騎兵が目の前に迫っているのに。


(ここまでか)


 戦場での命が軽いことは知っていた。

 今も自分の手で奪ったばかりだ。


 それでも、本当に理解したのは今。


 敵の動きがやけに緩慢(かんまん)に見える。

 突進を避けながら1人切り、2人切る。


 3人目は攻撃を失敗した。まあダッシュがなんとかやってくれるだろう。

 でもそこが限界だ。


 4人目の槍は避けきれない。


(せめてダッシュだけなら逃げられるかな)


 しかし4人目は私に向かいながら馬から落ちる。

 ダッシュが魔法を放ったらしい。


「ブライア!」


 ダッシュは主人がいなくなった馬の手綱を取り私の腕をつかむ。

 彼に引き上げられてなんとか馬上にまたがった。


「攻撃魔法は苦手なんです。距離がなくて助かりましたが」



 敵がまだまだ迫って来る。窮地はまだ脱していない。

 それでも私は笑った。


「あなたでも苦手なことってあるんだね」

「それはもちろん」


「ねえ、思いついたことあるんだけど試していい?」

「君が逃げ切れるのなら」

「まあ失敗したら1人で逃げてよ。向こうが追っているのは子爵家のブライアだけなんだから」


 ダッシュは首を振った。


「せっかく武闘試合で優勝したんですから、景品がいなくなったら困るでしょう」


 彼はあの約束を覚えていてくれた。嬉しくて顔がほころぶ。



「浮遊魔法は使えたよね。馬ごと飛べる?」

「無理です。君だけなら可能ですが、スピードは出ませんし人を抱えては3分が限界ですよ」

「上等!」


 私が立てた計画は単純だ。


「あなたが私ごと浮かせたら、私は攻撃魔法をぶちかます。そうすれば敵の動きは止められるし、私たちは勢いで逃げられる‥はず」


 上手く行かなくてもヒット&アウェーくらいは可能だろう。

 馬が失速したタイミングで私たちは地面に下りた。敵の騎馬は先ほどの奮戦から学んでいる。一度にかかれるよう、無駄につっこんでは来なかった。


 その時間を使い、ダッシュは私を肩に抱え上げ腰と足を固定する。


「ごめんね、重くて」

「そ、それほどでもない、です」


 うん、筋肉の塊だからね。

 気にしないで呪文に集中しようっと。


 人体は重いのです。「羽根の様に軽い」など言わせません。


 馬が横1列で走らないのはNHK「歴史探偵」からの知識です。川中島の合戦を再現した回で紹介されていました。

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