13 敵国の王太子
「どうだバリスタの威力は? ウィードの奴らは降参したか?」
「いまだ砦は落とせませんが、子爵家の娘を捕虜にしました。ただいま交渉中です」
「遅い、交渉など相手を利するだけだ。しかし子爵家の娘か、どこだ」
ブルームの王太子は顔こそきれいだが体は細く貧弱だった。
クロードは後ろの私を前に出す。
「ふん、どう見ても男だろう」
こいつ嫌い。
「本当に女だとしたら同情する。聖女の爪の垢でも飲ませたい」
あきらかにバカにする口ぶり。
私は大人しくひかえながら、殺し方を模索する。
(一瞬で片を付けるか? それともジワジワなぶるか?)
殺気に気がついたようで、クロードは私を引きずって王子から離れた。
「面倒なことを考えるな」
王太子は誰かを待っているようで私たちには見向きもしない。
可愛らしい声が響いた。
「ガナルゾ様」
前線基地では不自然な純白ドレスの少女が歩み寄って来た。
「さあビビアン、ここの兵士を癒してやれ」
「ええ、もちろんですわ」
少女が傷ついた兵達に向けて手を差し伸べ、呪文を唱える。
見る見るうちに傷はふさがり、兵士の目には光が宿った。
「すげえ、さすが聖女様」
つまりこの子が聖女様か。確かに可憐だけどさ。
「わたくしがいるかぎり、正義の軍は負けませんわ」
(侵略しておいて正義を語るか)
私は眉をひそめたけれど、すぐ首を振った。
戦争なんてそんなものだろう。
それより、癒してもらった兵士がみな興奮状態で聖女をあがめているのが不気味。
(魔法の副作用なんだろうけど、怖い。あのテンションで攻めこむのか?)
空腹でぐったりしていた集団の目がギラギラ光り出す。
今にも出撃しそうだ。
まだバリスタは修復されていないはず。
後方からの射撃もなしに城塞へつっこんだらハチの巣にされるはずなのに。
敵であっても同情してしまった。
王太子はやれ突撃だの敵を蹂躙せよだの、非現実的な命令しかかけていない。
聖女はただ己の正義を声高に叫ぶだけ。
(このままこいつが王になったら国は大丈夫なのか?)
隣国が滅んだら難民が押し寄せるから、子爵領としては防ぎたい。
「やっぱりあなた、王座をねらってくれません?」
王子たちには聞こえない場所まで離れたので、結構本気で頼んでみた。
クロードも今度はもっと真剣な顔で聞いている。
「だが、どうやれば? 停戦に一番有効なのはどちらかが圧勝することだ」
大敗直後であれば過激派や強硬派を納得させられるから。
しかしわざと負けようとするバカはいない。こう着状態が続くことは決定していた。
「男の人たちはとりあえず拳で語り合えば分かってくれますよ」
「我が国の上層部がそんな単純なわけないだろう」
無理なのか。残念。
「あの2人を亡き者にするだけではダメなのですか」
後ろの元暗殺者が物騒な提案をしてきた。
「王太子と聖女だけ殺して戦争が終わるのならとっくに殺している」
クロードは残念そうにつぶやいている。
誰か黒幕がいて、それさえいなくなればうまく行くなんて考えは迷信だ。
為政者であれば信じてはいけない。
「あれをどうにかできたとして、教会が黙っていない。聖女を殺しては民衆の支持を得られまい」
「聖女だけなら何とかなるかもしれませんよ‥」
私は考えを披露してみた。
「そんな方法がうまく行くものか」
「まあダメ元で良ければですね。ちょこっと試してみて無駄だったらあきらめればいいんですから」
出撃が決まった。
城塞を守る兵がたったの200と聞いた王太子は自ら馬を駆り砦から出る。
クロードは残ったので逃げるのはちょっと難しい。ま、後々を考えたら作戦を終わらせてからで良いし。
見張りはついていたが、暴れなければ好きにさせろと動く許可はもらっている、
私は聖女に近づいた。
いくらお金になるといってもエロい広告は嫌いです。
これ女性向きの作品なのに‥
あ、でもBL広告とか出されても困りますね(笑)




