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女性嫌いの令息を護衛している男装女子ですが‥なんか思ってたのと違う?  作者: ノーネアユミ
2章

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10 捕虜に

「何をしている!」


 ゾワっと背中に悪寒が走った。


 私は殺気にふり返る。豪華な甲冑に身を固めた背の高い男が私に向かって駆けて来た。

 全機壊すのはさすがに時間がかかりすぎたようだ。


 私も剣を構えたがすごい力で打ってくる。力だけなら兄に匹敵するだろう。

 剣筋は単純だが腕がしびれた。数合打ちあう間に他の兵士も呼び寄せられる。



「動くな」


 剣の切っ先が複数せまり、私は拘束されてしまった。




「それで貴様が魔導士を殺し、我が軍の兵器を台無しにしてくれたのだな」


 銀色甲冑の男は私を天幕の1つに引きずりこむ。

 ガタイが良いのは分かっていたが、兜を脱いだ顔も整っていた。


(おそらくこいつが指揮官だな。見惚れられるわけだわ、声も低くて良い。黒髪に金色の瞳が光っているのもきれい)


 最悪の状態なのに心はくだらないことを考えてしまった。



「名は?」


 熱を一切感じさせない冷徹な声が私に降りかかる。

 黙秘したらすぐ殺されるであろう圧と共に。


「ブライア・センタリオン」


 正直に答えた。私が子爵家の娘だと知らせればすぐには殺されないはず。


「子爵家の者か」


 銀色に光る鎧の戦士は私に殺気を向けた。


「あそこの息子はウォルトだけかと思ったが、ブライアンなんて次男もいたか?」


 下調べは済んでいるのだろうが、嘘を言っていると思われた? あれ、私本名教えたよね?


「ブライアンじゃなくてブライア! 次男じゃなくて長女!」


 戦士は「えっ」と私を二度見する。


「女?」

「そう!」


 お前もか愚か者め。



 

 武装解除と性別の確認が女性戦士の担当にしてくれて助かった。

 私は彼女たちの天幕で一晩を明かす。


 思ったより好待遇だ。

 ただ食事だけは粗末だった。周りの騎士も同じ内容だから、食料の不足は深刻なのだろう。


 食後は予想通り尋問タイム。



「子爵家の兵数はどれくらいだ」


 素直に答えるか、馬鹿め。


「私を無傷で返し、兵を退いてくれれば食料援助くらいはできます」

「それはできぬ」

「ガナルゾ王太子の命だから?」


 男はあきらめたような笑みを浮かべる。


「それ以上無駄口をたたくのであれば、無傷では返せぬな」


 やべ。



「えっと兵の数でしたっけ? いっぱいいたからよく分かんないですね」


 パンっと音を立てて私の横っ面が張り倒された。

 目の前が一瞬真っ白になる。


「命が惜しかったらまともに答えることだな」


 うぉ、目がヤバい。しょうがないか。


「200人くらいですよ~」

「たったそれだけだと? 偽りを申すな!」


 怒号が響くけど、嘘ではない。


「本当ですって。うち子爵家だし、そんなたくさん兵を抱えておくのは無理ですから」


 いぶかしむ司令官だが、常備兵の数はそれくらいだ。

 それでも兵の維持に借金までしていたのだから、我が家にとって限界の数。

 まあ、あの城塞にこもっている数、ではあるけれど


「そりゃ徴兵はしていますから、今頃はもっと増えてるんじゃないですか?」

「それでも我が軍の攻撃をそれだけで防ぐとは」


 それが城塞の威力なのだよ。教えてあげないけど。



「知っていることは全て話すのが身のためだぞ」


 う、バレてる。

 私としては情報を小出しにしながら時間を稼ぎたいのだけど‥


「はあ、じゃあ私を大切に扱う方がそちらの身の為ですね。もうすぐ王都から大軍が到着して攻勢に切りかえますから」

「残念だが、大軍であれば進軍速度は遅くなる。来るのはもうすぐではない。こちらはその前に砦を落とせばよい」


 はい、その通り。


「まあそれが簡単にできればですけどね。家の兄を舐めないで下さい」



 尋問者にはまだ分かっていないようだが、数日であれば城塞の防御は鉄壁だ。


 迂回して我が領に深入りしようとしても、同じような城塞がもう2つあり、そちらにも何十人かが守っているはず。

 川を越えるのに適した地点は完全に抑えてあった。


「砦は簡単には落ちませんよ。大体、隣の公爵軍はもう到着する頃ですし」


 ローアン様は人員をかき集めている。広大な公爵領から集めれば1000人くらいは来る‥はずだ。


 ブルータスお前もかを使いたかったのですがこの世界にブルータスいないので、愚か者にしました。

 ブルータスの元々の意味は阿呆だそうです。(ローマ人の物語Ⅰより)

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