表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
女性嫌いの令息を護衛している男装女子ですが‥なんか思ってたのと違う?  作者: ノーネアユミ
2章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

37/53

6 決着?

「あいつ新入りだよな、分かっているのか? お嬢様のこと」

「知らねえだろ、あの様子じゃあ」

「誰か教えてやれって」


 観客の無駄口がうるさい。


(少しは声を押さえろ。私にまで聞こえているからな)


 私が観客席に向けてニッコリ視線を送ったら、みんな目をそらして黙った。




「ふ、とうとうここまで来たな」


 ドロドロドロと低い太鼓音が響く。さっきまでは軽快にたたいていたのに。

 広場の中央へ兄の登場。まるで劇の悪役みたいじゃん。

 剣を構え直したダッシュと向かい合った。



「では、始め!」


 ダッシュの瞳が宝石のようにきらめく。魔法を発動させた彼はいつ見ても美しいな。


 流れるような動きで2人の模擬剣がぶつかり、離れる。

 本気の兄にダッシュはしっかり渡り合っている。嫉妬で心がモヤモヤした。


 体格はかなり兄が上回るが、技巧はダッシュが上だろう。

 息を飲むような打ち合いが続き、とうとう砂時計の砂が全部落ちてしまった。


「そこまで!」



 2人はハアハア息を切らしながら構えを解く。両方の木剣にはヒビが入っていて壊れる寸前だった。

 会場の男共が一斉に雄たけびを上げる。


「うをおお新入り、スゲーな!」

「ウォルト様と同格? ありえねえー」

「おいおい、怪物夫婦が爆誕するんじゃね?」


 誰が怪物だ、誰が。



(さあどうする、お兄様?)


 私が見守る先で、兄はダッシュに手をさし出した。

 ダッシュが気まずそうに握手すると、兄は満面の笑みで固く手を握った。


 私はニヤニヤが止まらなくなる。

 兄、と言うか我が家全員は猛者(もさ)が大好物なのだ。

 1度刃を交えさえすれば彼が認められるのは分かり切っていた。



「ライ、お前すごいの見つけてきたんだな」


 兄が私をほめる。私も調子にのってしまった。


「でしょでしょ」

「勝てなかったのですが、良いのですか?」


 ダッシュはまだ分かっていない。


「ハハハ、婿殿に無理はさせられないな。今日からさっそく待遇を変えよう。訓練内容は新兵と同じで、食事も毎日一度は肉を出す。それでいいか?」

「はい。って言うか兄さまロクに肉も食べさせていなかったんですね」

「悪かった」


 しょうがない許してあげるか‥

 一回ボッコボコにする条件で。


「じゃあ最後は私とやりましょう。あ、兄様は素手で」

「おお、了解だ!」


 エキシビションは大盛り上がりだったし、私もスッキリした。



 

 しかしイベントが終わって帰途についている途中、ローアン様の表情は冴えなかった。

 何かを思い悩んでいるっぽい。


「心配事でもありましたか?」


 馬車から降りるタイミングでたずねたら、思わぬ答えが返ってくる。


「ブライトは‥いいのか? ダッシュが妹御を射止めるのは?」


 ローアン様はボソッと私に聞いて来た。

 しばらくは意味が分からなかったが、馬を引きながらハッとする。


 そう言えば兄は一言も私が妹だと言っていない。

 私を呼ぶ時は愛称のライだった。

 つまりまだローアン様はウォルターの妹と私が同一人物だとは知らない。


 そして以前、私はダッシュが好きだと告白もしていた。


(ってことはローアン様の中では妹に思い人を奪われるって状況になる?)


 そこまで複雑じゃないのに。


「辛いんだろうな‥好きな人に気持ちを伝えられないのは‥」


 令息の憂いを帯びた瞳に、心がキュッと痛む。


(なんか無駄に心配させちゃってない? いい加減種明かしをしようか。公爵夫妻の了解は必要かな)



 しかしその懸念を、私はたった数日で忘れる。

 事態が急展開したのだ。


種明かし? しませんよ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ