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女性嫌いの令息を護衛している男装女子ですが‥なんか思ってたのと違う?  作者: ノーネアユミ
2章

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5 大会の開始!

「どう? 体調は」

「さあ、まあまあですかね?」


 当日、心配する私をダッシュは涼し気に受け流す。

 今日はローアン様夫妻そろって私の実家を訪問だ。


「ブライトの実家だなんて楽しみだわ」


 ローアン様の前なので、デイジー様は器用に私の呼び名を使い分ける。

 私の性別を理解しようとしない夫を面白がっているようだ。


 まあ、いくら天然のローアン様でも私と兄とのやり取りを聞けば目が覚める‥はず。




「良くお出で下さった。ローアン卿には家族が世話になっていますな」

「面白そうな催しだな。我が家からも参加できるのか?」

「もちろんでございます」



 そうそう、と兄は私に注意する。


「ダッシュは強制参加だ。ここで勝ち進めない奴に妹をやる気はない」


 ダッシュが兄に連れて行かれる。


「へえ、妹がいたんだ」


 公子様は一切ブレていない。




 子爵家は屋敷こそ広くないが、訓練場はやたらと広い。

 今日はそこに兵の半数以上が集まっていた。


「今日は集まってくれてありがとう。この武闘試合は勝ち抜き戦で行われる。優勝者にはすばらしい景品が用意されているが、ベスト8まで勝ち進めばワインを1本ずつ進呈しよう」


 対戦表が発表され、うをおおおと叫び声が上がる。

 

(みんなのやる気を出させてダッシュの体力をそぐ作戦か?)


 優勝者だけに景品では参加者が増えない可能性があるけれど、ベスト8なら4回勝てば良さそうだ。



 貴賓席に案内されたらポコポコポコと使用人が軽快に太鼓をたたいている。試合開始の合図だ。

 人数が多いから4組同時に戦い始める。みんなの熱気がすごい。


「いっけえ!」「そこだぁ」


 武器は木剣のみ、魔法は攻撃魔法のみ禁止のルール。

 みな自分の持つ技を惜しみなく披露している。



 喧騒の中勝敗が次々とついた。

 ダッシュは軽々と勝っている。


(さすが私が見こんだ男)


 顔がにやけてしまう。



 人数が多いせいで一回戦が終わった時点で昼休憩になった。

 私たちにはパイやサンドイッチが用意されている。


(ピクニックなら豪華な食事を用意しなくてもとがめられないからの招待だな)


 借金は消えたとしてもまだ余裕があるわけではない我が家に、公子夫婦を招待できるか不安だった。答えが分かるとホッとする。


 本来は一緒に食べられる私ではないが、ここは実家なので特別にデイジー様と共に食事だ。チキンパイをほおばりながらダッシュを目で探すと、余裕しゃくしゃくでパンをかじっている。




 休憩の後、試合が再開された。公爵家からの参加者は2回戦までしか残らなかった。


「やはり普段から敵と戦う覚悟のある兵は強いな」


 ローアン様は余裕ある言葉の割に、残念そうだ。自慢の部下が簡単に負けれたので悔しいのだろう。



 ベスト8が決まると、兄がまた演説をする。


「これから選ばれし8人の戦いだ。ルールは同じ、優勝者には私に挑戦し、妹に求婚する権利が得られる!」


 なるほど、兄の目論見は私の求婚者を見繕うことだと私は得心した。

 妹の夫は余所者の犯罪者より顔見知りから選びたいのだろう。



 しかし演説後、さっきまでの喧騒が水を打ったように静まりかえった。挑戦者たちの目から光が消えている。


 そして始まる泥仕合。


(おい、なんで急にみんなやる気なくなるんだよ)



 ローアン様が私に顔を寄せて来た。


「妹御はそんなに人気がないのか?」

「僕に聞かないで下さい‥」


 どう答えていいか分からん。


「兄上と戦うのが嫌なだけかもしれないな」

「そうっすね、きっとそうでしょう」


(自分より強い女は嫌だなんて、器の小さい男はこっちから願い下げじゃい)


 まあ私が帰省のたび色々やらかしていたのが原因だろうが‥


(一応貴族令嬢なんですけど)



 試合はぶっちぎりでダッシュが優勝した。

 目は暗緑色のままだから、魔法もろくに使ってないな。


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