その24。真実はいつもひとつ…かもしれない。
「ねえ、もう外は薄暗いけど。ちゃんとお家の人には遅くなるって言ってきた?」
「あー、子供扱いするなっ!もう17歳の大人だっ!」
「子供でしょ。」
ドスン。
とりあえずツルから解放して椅子に座らせる。
「110歳の私からするとアンタなんか赤ん坊よ。」
「えっ。ババア?」
「バーバラじゃ!ジーナ・バーバラ!!ぼけえ!あの下ネタ王子と同じ発言するなっ!」
ちょんちょん。
シロフワちゃんがそっとベロディ王女の手をつつく。
その口にはカゴがあって中にはクリームが入っている。
そのカゴを王女の膝に置いて、
「主は優しいひとなんですにゃ。このクリームを手と足のツルの跡に塗りなさい、と言ってますにゃ。」
「えっ、優しい…というかそんなこと言ってる?」
「私と主は以心伝心なんですにゃよ。」
「綺麗でお利口なネコちゃん…」
ツルの跡、少し皮が剥けているところにクリームを塗っていく王女。それね?ちゃあんと擦り傷、アカギレ、肌荒れに効く魔女の薬だからね?
「アンタも猫好きなんですかにゃ。あのミゲール王子さまは主よりワタシに会いにきてるようなもんですにゃん。」
「あ、それなら納得した。美猫さんね、あなた。」
納得するんかい。それに王子がネコ好きなのは有名なんだな。
「でも、王女さま。お供もつけずにいらしたので??」
ビビっちがお茶を出しながら言う。
「…振り切ってきちゃった。私が本気になると生半可な騎士はついてこれないの。」
その時。
「頼もう!」
ドアを叩きながら呼ばわる声がした。
「ハイハイ。」
ドアを開けるビビっち。
「はあはあはあ!置いていかないでくださいよ!アナタの馬よりワタシの馬の方が足が遅いんですからね!」
「ふん!ジャン。馬のせいにして。自分の実力不足を。」
そこには汗だくになった焦茶の髪と黒い目をした騎士が立っていた。
「あら、あなたは王女様のお付き兼世話係のジャンさん。」
ビビっち、顔馴染みなのかい??
「あれ、貴女はミゲール王子の愛人?」
「うわ!やめてくださいよ。私の容姿が王子様好みとか言うウワサのせいで迷惑してるんですから!
王子様は貴族の女にしか興味ないし。
私もあの下ネタ好きで銭ゲバの王子様はお断りです!」
「なんだ、そうだったんですか。ティボーネさんに目の敵にされてるからてっきり本当かと。」
ジャンと呼ばれた騎士は頭を掻いた。
「とりあえず誤解を解くために話をしましょう。私はただ、王子様に占いを頼まれていただけで…」
ジャンが私の顔を見て固まる。
「貴女のお顔はどこかで見た事が…!!もしかしてディディ国にゆかりのある…おかたでは??」
「なあに、ジャン。ディディ国って?」
「もう!ですからお勉強はちゃんとなさいと!今のカカオワナ王家の前にあった失われた王朝ですよ!」
「あっ、聞いたことある。せっかく産まれた世継ぎの王女が、赤ん坊の時いなくなって。その従姉妹姫が臣下の大臣に嫁いで、カカオワナ国になったのだと。」
「ええ、その初代王妃様の肖像にそっくりでいらっしゃるのです。この魔女様は。」
あら、あららら。過去が私に追いついてきたわ。




