その21。恋する瞳にうつるのは。
水晶玉を取り出す。
「アーブラカタブラー♫」
「我が主魔女様?今回は霧は出ないのですか?そしてその呪文は?」
ビビっち、気がついたかね。
「ふふふ…バージョンアップしました。夜間にアップデートされるのよ。」
「はあ。自動なんですか?」
「あらかじめ魔力を込めておくことが必要ですニャ。」
うん、充電切れだとうまくいかないのよ。
「呪文は気分で唱えることにしてるの。
……エロイムエッサイム!我は求め訴えたり!」
「ええっ!エロを求めるんですかあ?」
「黙れっ、下ネタ王子!」
「 ! いたたっ!『威圧』は、やめてえええ!」
「我が君は綺麗な顔してワイ談大好きですからね。」
トムが苦笑する。
「えええ、そうなの?」
「そうだよ、ビビ。男同士の話ってそんなもんだよ。へへへ。」
ゲスな笑いを浮かべるトム。
「やはり男って最低!」
潔癖な乙女のビビっちが冷たい視線で男性陣を見回します。
「やめよ、トム。私のイメージが地に落ちるではないかっ!」
ふ、私の中ではとっくに落ちておりますよ、王子様。
「トム、無駄口叩いてるヒマあったら、水晶玉を見とけよ!オマエの為の占いなんだからな!」
苦虫を噛み潰したような顔をする、ソーヤ。
彼はトムの相手がどっちか知りたいのだ。
「…さあ、水晶玉よ、答えて?このトムに相応しいのは…アリッサとイモティどっち?」
二人の令嬢の姿が浮かび、
カタカタカタカタ!
カードを切る様に切り替わる。
「え、目がチラチラするわ…」
ビビっちも困惑顔だ!
カチッ!
そしてひとりの令嬢の姿に固定された。
「えっと…どっち?」
トムは目を凝らす。
「…アネッサ。そんな…」
みるみる顔が強張るソーヤ。
君はアネッサが好きなんだねえ…。
「ふうん、こっちがアネッサかい?」
呑気な王子様。
「水晶玉のお告げだ。トム、彼女のことを真剣に考えてみたらどうだ?」
「は、はい。」
「ですが!」
ムキになるソーヤ。
「オマエ、どっちでも良いと言ってたよな!それに…水晶玉もどっちにしようかな?って迷ってたように見受けられます!」
「つまり、ソーヤよ。おまえはこの結果に異議ありなのか?」
「はい!我が君。」
「それは…おまえがアネッサだか、イモティだかに恋心を抱いていて、告白するのは自由だとは思う。
しかしだな、おまえも水晶玉のお告げを聞きに来たのであろう?
まず、それを試してからではないか。」
美しい笑みを浮かべて諭す王子様。
…ふん。ソーヤが占いをしないとその分のマージンが貰えないもんね。
綺麗な外見だがお腹は黒いぞ!
「さ、お代を忘れるでないぞ。」
王子様の言葉に従ってソーヤがシロフワちゃんのカゴにお金をいれる。
「…はい!では魔女様。水晶玉様!お願いします!私と相性が良い乙女の姿を写したまえ!」
「はいよ。
……じゅげむじゅげむ!こごうのすりきれ!」
「主い。変わった呪文ですねえ…」
「シロフワちゃん。縁起の良い名前を呼び出す呪文なのよ!
それが運命を手繰りよせるハズ!!
……それー!ポンコポピーにポンポコナー!!!食う寝るあそぶ!」
「最後なんかまじってませんかにゃ?」
その時水晶玉が光りだす。
奥からひとり乙女の姿が浮かびあがった。
「おや。今回は迷ってないんだね?」
感心する王子様。
あらっ。これは???
「…えっ?ワタシ??」
「ビビ?」
トムと王子様の声が揃う。
「あら。ビビっち。良かったわね?アンタの寿命が延びたってことよ?結婚を考えられるくらいにはね?」
心からホッとしてビビっちを見る。
固まってるビビっち。
水晶玉とも連動してるのか、水晶玉の像も同じ表情を浮かべている。
「嘘だあーーーっ!!!」
そして、ソーヤは絶叫した。




