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寿(ことほ)ぎの魔女は途方にくれる。  作者: 雷鳥文庫


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21/22

その21。恋する瞳にうつるのは。

 水晶玉を取り出す。

「アーブラカタブラー♫」


「我があるじ魔女様?今回は霧は出ないのですか?そしてその呪文は?」

ビビっち、気がついたかね。


「ふふふ…バージョンアップしました。夜間にアップデートされるのよ。」

「はあ。自動なんですか?」

「あらかじめ魔力を込めておくことが必要ですニャ。」


うん、充電切れだとうまくいかないのよ。


「呪文は気分で唱えることにしてるの。

……エロイムエッサイム!我は求め訴えたり!」


「ええっ!エロを求めるんですかあ?」

「黙れっ、下ネタ王子!」


「 ! いたたっ!『威圧』は、やめてえええ!」


「我がキミは綺麗な顔してワイ談大好きですからね。」

トムが苦笑する。

「えええ、そうなの?」

「そうだよ、ビビ。男同士の話ってそんなもんだよ。へへへ。」

ゲスな笑いを浮かべるトム。

「やはり男って最低!」

潔癖な乙女のビビっちが冷たい視線で男性陣を見回します。

「やめよ、トム。私のイメージが地に落ちるではないかっ!」


ふ、私の中ではとっくに落ちておりますよ、王子様。



「トム、無駄口叩いてるヒマあったら、水晶玉を見とけよ!オマエの為の占いなんだからな!」

苦虫を噛み潰したような顔をする、ソーヤ。

彼はトムの相手がどっちか知りたいのだ。


「…さあ、水晶玉よ、答えて?このトムに相応しいのは…アリッサとイモティどっち?」


二人の令嬢の姿が浮かび、


カタカタカタカタ!

カードを切る様に切り替わる。

「え、目がチラチラするわ…」

ビビっちも困惑顔だ!


カチッ!


そしてひとりの令嬢の姿に固定された。


「えっと…どっち?」

トムは目を凝らす。


「…アネッサ。そんな…」


みるみる顔が強張るソーヤ。

君はアネッサが好きなんだねえ…。


「ふうん、こっちがアネッサかい?」

呑気な王子様。


「水晶玉のお告げだ。トム、彼女のことを真剣に考えてみたらどうだ?」

「は、はい。」


「ですが!」

ムキになるソーヤ。

「オマエ、どっちでも良いと言ってたよな!それに…水晶玉もどっちにしようかな?って迷ってたように見受けられます!」


「つまり、ソーヤよ。おまえはこの結果に異議ありなのか?」

「はい!我が君。」

「それは…おまえがアネッサだか、イモティだかに恋心を抱いていて、告白するのは自由だとは思う。

しかしだな、おまえも水晶玉のお告げを聞きに来たのであろう?

まず、それを試してからではないか。」

美しい笑みを浮かべて諭す王子様。


…ふん。ソーヤが占いをしないとその分のマージンが貰えないもんね。

綺麗な外見だがお腹は黒いぞ!

「さ、お代を忘れるでないぞ。」


王子様の言葉に従ってソーヤがシロフワちゃんのカゴにお金をいれる。


「…はい!では魔女様。水晶玉様!お願いします!私と相性が良い乙女の姿を写したまえ!」


「はいよ。

……じゅげむじゅげむ!こごうのすりきれ!」

あるじい。変わった呪文ですねえ…」

「シロフワちゃん。縁起の良い名前を呼び出す呪文なのよ!

それが運命を手繰りよせるハズ!!

……それー!ポンコポピーにポンポコナー!!!食う寝るあそぶ!」


「最後なんかまじってませんかにゃ?」


その時水晶玉が光りだす。



奥からひとり乙女の姿が浮かびあがった。


「おや。今回は迷ってないんだね?」

感心する王子様。


あらっ。これは???



「…えっ?ワタシ??」


「ビビ?」

トムと王子様の声が揃う。


「あら。ビビっち。良かったわね?アンタの寿命が延びたってことよ?結婚を考えられるくらいにはね?」

心からホッとしてビビっちを見る。


固まってるビビっち。

水晶玉とも連動してるのか、水晶玉の像も同じ表情を浮かべている。


「嘘だあーーーっ!!!」



そして、ソーヤは絶叫した。





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