その22。そんな事言ったってねえ。
そして王子様とトムとソーヤは帰宅した。
「ビビっち。」
ビビっちの顔はこわい。まるでお城のガーゴイルか鬼瓦かの様である。
「私だって嫌いです、あんなの。」
あー、そうだわね。
「あれは無いですにゃ。」
ため息をつく猫、シロフワちゃん。
あの後ソーヤが、
「私が愛してるのはアネッサです!こんな小娘お断りだっ!」
ビシッ!!
指刺して高らかに宣言した。
「おい、ソーヤ。失礼だぞ!」
トムが流石に嗜める。
「あちょおっ!」
バシシシ!
口から吐き出す怪鳥音!そして手刀でソーヤの指を叩き落とすビビっち。
「いてえっ!」
「ホントに失礼だっ!オマエなんぞお断りだっ!
一昨日来やがれのすっとこどっこい!
このアンポンタンのスカポンタンのポンコツ野郎のバカちんがっ!!
……はあはあはあっ!」
髪を振り乱して怒るビビっち。怒髪天ですね。
「どうどう!」
後ろから手を回して抱いて止める。
「わあ。素晴らしいタンカですにゃ。惚れ惚れしますにゃ。」
「うむ。猫ちゃんの言う通りだ!ソーヤ!」
猫の味方の猫好き王子様。
「シロフワちゃん!塩巻いてっ!」
「ハイにゃ!」
わあ、やめろ。家の中がザリザリするじゃないの!
それにシロフワちゃん、アンタは私の使い魔だよね?ビビっちの言うことをナチュラルに聞いてるよね?
「はい、帰った帰った!」
ソルトが振られる前に男どもを追い出した。
それから数刻後。
「おばんでやんす。」
王子様が戻ってきた。
「集金に参りましたよ。へっへっへっ。」
揉み手ですかあ、王子様。なんかキャラ変わってないか?
…全部ビンボが悪いんやね。
「はい、ご紹介ありがとう。」
トムとソーヤの分の紹介料をわたす。
「まいど。」
商人となった王子様。
「そうだ。今度から新しい使用人を採用する時、魔女様の所にまず連れてくるってのはどうかな?」
「なるほど?どこの部署がいいか占ってほしいのですか?」
「過去に悪さをしてないか水晶球に聞くとかですかにゃ?」
「そうだね。人事として。」
まあ、それもアリかな?
「王家が占い代を負担するのですか?」
「いいや?お給金から少しずつ天引きするよ。もちろん分割手数料はこちらが負担します。」
何ジャ〇〇ットみたいなこと言ってるんだい。
「ところで、そろそろ私も占ってもらおうかな。今回のも合わせて、5000ギエン貯まったんだ。」
なるほど。ほかでもチリツモ貯金をしていたと。
「今度絵姿を持ってくるから。その中から選んでくれたまえ。」
頭を掻き上げて王子様は美しく微笑まれた。
私達には美貌の無駄遣いですよ。
ビビっちと2人で平常心で見つめる。
「わかりました。」
「じゃあ、シロフワちゃーん♡またねえ。」
「ペッペッ。投げキッスなんかいりませんにゃ!」
王子様が出ていったら、シロフワちゃんが後ろ足で砂をかける仕草をした!
立派な猫マタギである。
「なんか慌しかったわねえ。」
「主様。厄落としに秘蔵のワインを開けてパーッとやりませんか。」
「ビビっち。アンタが飲みたいだけでしょ。ま、いいか。
何か美味しいものでも作って?」
「OK、ラザニアでも作りましょうか。ミートソースとホワイトソースの作り置きが有りますよ。」
「そういえば冷蔵庫にあったわね。」
「主の氷魔法のおかげでいつも冷え冷えですにゃ。」
そう。私は氷魔法も得意なのだ。
「その前にアイスを食べましょうか。」
「賛成!!」
くるくるくる!!
生クリームと卵と砂糖を冷やしながら攪拌していく。
「うわあ。高級品であるアイスが食べられるなんて!しかも手作りなんて!この職場サイコー過ぎです!」
「ふふん。もっと褒めて?」
盛り付けてさあ食べましょう♫
その時。
バターン!!
ドアを蹴り破る勢いで開けられた。
(あっ!ホントに蹴ってる)
「ここね?ミゲール王子を誑かしている魔女の家は!」
見るからに健康優良児のお嬢さんが立っていた。
……誰??




