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寿(ことほ)ぎの魔女は途方にくれる。  作者: 雷鳥文庫


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18/20

その18。水晶玉の未来は確定じゃないけど。

「では!魔女様。次はワタシの未来を占ってくださいませ!」

鼻息が荒くなるダナ。

「OKまたはオーライ、そして了解。」

前にダナを座らせて、手を水晶玉にかざす。


「あら?白い霧は今度出ませんね?」

眉を顰めるビビ。

「うん、一度あったまったから。」

「なんの暖機運転すか、それ。」

呆れ顔のマック。


「ええー…誰が浮かぶかしらん♡私の近くにいる人かしら?

なーんちゃって。うふふふ。」

チラリと横目でマックを見て、ワクワクしているダナ。その頬は期待に満ちて上気している。

「貴女おいくつ?」

「19です。」

「じゃあ結婚しても良い年だから…具体的に浮かびそうね?」


おお、影はひとつだ。

水晶の底から浮かび上がってくる。


「来い!来い!マック来い!来い来い、こいーーっ!」


必死に叫ぶダナっち。目が血走っている。

手で綱引きの綱を手繰り寄せるようなジェスチャー付きである。

隣で青ざめるマック君の運命やいかに!


…そこに赤ちゃけた髪の男の姿がぼんやりと写る。


「マックと同じ色!!」

「えっ。やっぱオレとダナで決定なワケ??えええ…」

口を覆うマック。その顔色は、青を通り越して白である。


「何よ、マック。嫌なわけ??」

「そんなワケじゃないけどさ、オマエのことをそんなふうに思った事がなくて…ずっとビビの友達としか…」


「ワタシをビビのオマケみたいに言うなっ!」


このお嬢さん気が強いねえ。


「ほらあ。はっきりと画像が浮かんできましたよう。」

シロフワちゃんがお手で指し示す。

うん、肉球は今日もピンクでツヤツヤしているね。


男の姿がクリアになってくる。


…ん?

マック??

いや、ちょっと違わないかあ?


「この人って…」

ダナの足元がふらつく。


「アニキじゃん。」

マックの目が丸くなる。


「ホントだ。マックのお兄さんのロロックさんだわ。」

ビビが口元を手で覆う。


そこにはマックを10歳くらい老けさせて、ちょっと薄くしたような感じの男性が映っていた。


「…………。」


呆然とするダナっち。



「マック、お兄さんは独身なの?」

「ええ、魔女様。」

「じゃあ、問題ないわね?顔も似てるし。立派な大人だし。」

うんうん。


「…ええー、だって。そんな。えええー。」

ダナは頭を抱えた。

「ウチのアニキはキライか?アニキはいつもダナは良い子だって褒めてたぞ!愛想はいいし、ウチの手伝いはしてくれるし、差し入れのお菓子は美味いしって。」


ほう。ダナっち。頑張ってアタックしてたのね。


「それは!いずれ義理のお兄さんになると思ってたから…!!

お菓子だって、お手伝いだって、マックに会いたいから…」


ポン。


ダナの肩に手を置く。


「ダナっち。さっきも言った通り、今現在の相性なのよ。決められた将来というワケではないわ!」

「そうですわね!魔女様。」

私をすがる眼差しで見てくるダナ。

「ええ。」

半泣きのダナにハンカチを貸してやる。

「さ、気持ちを落ち着けてね?」


「ホラ、お茶のお代わりもありますよう!」

シロフワちゃんがちょいちょいと手をふってお茶をいれる。

ひとりでにカップとポットか動いていく。

「流石、使い魔さん。そんな事もできるのね?」

「ええ、ビビさん。私も長く生きて主につかえてますからねえ。

これくらいの魔法は、ね。」


「ありがとう、猫ちゃん。」

「私は女性には優しいんですから!」

ゴロゴロと喉を鳴らしてダナの膝に飛び乗るシロフワちゃん。


「ああ、猫ちゃんのこの柔らかさ。温かさ。可愛らしさ。このゴロゴロという音。

癒される…」


ダナっちの手はシロフワちゃんを撫でている。


「そういえば、あるじ。このお嬢さんにおススメのアイテムがあるんじゃないですか?」


ナーイスですねえ。シロフワちゃん。


さっ。


空間からストロベリークォーツのブレスレットを取り出す。

キラキラと輝く薄紅色のクォーツ(レピドクロサイトが内包されております。)である。


「これはね?恋愛成就の祈りがこもったブレスレットなの。貴女の魅力を倍増すること間違いなし!

片思いのアナタに最適!今日はサービス特価で普段は5000ギエンのところを…4800ギエンで貴女のものに!!」


「買ったあっ!」


「思い切りの良い貴女には同じ石のイヤリングもお付けしちゃう!」


「わあーうれしー!得しちゃったあ!!」

パチパチパチパチ!


流れるような展開に目をパチクリしているビビっちとマック。


「このブレスレットをつければ好きな彼に思いが伝わるかしら。」

「ええ!請け合いますにゃ。」

「いや?ダナの気持ちは…もう、わかってるけど。」

苦笑するマック。


「(ヒソヒソ)この売り上げも…私にバックされたり?」

ダナがシロフワちゃんに聞いている。

「にゃー。(そうです)」


くるりとダナの方に向き直るビビっち。


「あらあ!素敵!アナタの為にあるみたいね!そのアクセ!」

「ビビ。調子いいわねえ。」

眉を顰めるダナ。

「アナタが要らないなら…私が欲しいわ。」

上眼使いのビビ。


「え、じゃあ俺がプレゼントしようか?ビビ。」

なんと。


ジャリーーン!!


「もう私が買ったから!ダーメ!ダメダメ!」


硬貨をテーブルに叩きつけるダナ。

お釣りなしでぴったりね。あざす。


「こちらいただきますわ!魔女様。

さ、マック帰りましょ!」

「お、おう。ビビも。」


「ビビさん。」

シロフワちゃんがビビの前に回り込む。

「ヒヒンことあのユニコーンのアリタに会って行ってくださいな。」


その目つきは真剣だ。


「わかったわ。私は後から帰る。(マージンも貰わなきゃだし)」


「そうか、またな。」


そしてビビは残った。





……気が進まないが、話をしなくてはならない。


ちょっとだけ途方に暮れる私だった。


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