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寿(ことほ)ぎの魔女は途方にくれる。  作者: 雷鳥文庫


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15/16

その15。

 アリタもウチに馴染んできた頃。

ある初夏の日。


アイスが美味しい昼下がり。

「ふうっ、アレからお買い物に行けるようになったから、アイスも買えて嬉しいわ♡」

「ええ!あるじ。アイスは正義ですにゃ。」

シロフワちゃんは使い魔だから、アイスも食べれるのだ!

おひげが白くなって可愛いぞ!


「あちきまで。すいませんねえ。」

アリスゴーストにもお裾分けしている。

お化けでも食えるんだなあ。口の中に消えるように見えるが。どう言う仕組みだ。



「こんにちは♫集金に参りました。」


ドアの外から声がする。

「うち、新聞も牛乳も取ってませんけど。」

「またまた。おふざけ。」


ため息を吐きながらドアを開ける。


そこには満面の笑みを浮かべた王子様がいた。

「ミゲール王子が見えーる。」

「アハハ。洒落なのかい?」

ミゲール・モルト王子様はにこやかに入ってきた。


「会いたかった猫ちゃん!マイスイートハニー♡」

いきなりシロフワちゃんを抱き上げようとする。


シャーッ!


威嚇するシロフワちゃん。私の肩に飛び乗って毛を逆立てている。


「ワタシはアンタのハニーにも、ハチミツにもなった覚えはニャい!」


「ああ…やはり猫ちゃんはいい!怒った顔もす・て・き♡」

「いちいち区切るなっ!キモイ!」


うおおおっ。フーッ!

本気で怒っている。


「コホン。それはともかく。先日私の侍女達がここのグッズを買っただろ?そのマージンを取りに来たのだよ。」


何故か両手を腰にあてて、えへん!のポーズを取る王子。


「ああ、ハイハイ。」

ボボン!

宙から封筒を出す。


「スゴイなあ。空間に収納が出来るんだね。」

「ハイ、二人分。領収書にサインを。うち、ちゃんと確定申告してるんで。」

「二人分?ビビも先日支払いに来たのだろう?」


美しい眉を顰める王子様。


「…現物で払ったのよ、ビビっち。

裏に来て。」


そこでは白馬が繋がれてノソノソと草を食べていた。


「これが代金なんだって。」

「ええええ。…しかし立派な白馬だな。」


カッ!カッ!カッ!ヒヒーン!!


王子様が近づくと足を踏み鳴らして怒っている。


「だーめですよー。コイツ男嫌いでありんすから。」

馬のタテガミからすっと姿を表すアリスゴースト。

いつのまにか移動していたらしい。


「えっ。なんだい?

この身長約10センチのロリワンピースの美少女は?

妖精?」


王子様が目を丸くする。


「ウフフ、嫌ですよう。御冗談おっしゃっちゃいけません。」

身体をくねくねさせて喜ぶアリスゴースト。


「あ、それ。ただのお化けだから。」

「えっ!ここは心理的瑕疵物件だったのか!恐ろしや!

つるかめ、つるかめ!つるは千年、かめは万年!」

パニックになって訳がわからない事をいいながら、顔を真っ青にして後退りをするミゲール王子。


「うふん、本当にお美しい王子様でござんすなあ。デイジーナ様がご覧になったらお喜びになったでありましょう。」

せつなげなため息をつくアリスゴースト。


「デイジーナ?」

「私の前任者よ。」

そう。ミゲール王子様にそっくりの、彼の先祖の王子様に惚れ込んでいた。


カツン!カツン!


相変わらず足をふみならして

「やんのか?おう、やんのか、コラ!」

と王子様を睨みつけるアリコーンのアリタ。


「あ、そうだわ。」

私がアリタの頭を撫でる。


にゅっ。


ツノが飛び出す。


「えええええ!まさかのユニコーン?!」


「ねえ、王子様。現物支給でどうよ。このツノを代金の代わりに持って行くってのは?」


ヒッ?ヒヒヒン?!


「あら。ツノが引っ込んでしまったわ。」

「そ、そりゃ。ユニコーンのツノは万病に効くというが…でもそれは!海獣のイッカクのツノで…伝説の生き物が何故ここに?」


またまたパニックを起こす王子様。


「ビビが連れてきたっていったじゃん。代金の代わりにここにいるのよ。」


ヒヒヒン!ブルルッ!

「怒っているなあ。」


「そうでありんすよ、王子様。アリタはね、美形の男が嫌いなのですえ。清らかな乙女をたぶらかすから、だそうですわいなあ。」


「なっなるほど。乙女…」

「おっと。セクハラ発言はそこまでだ。『威圧!』」

王子に威圧をかける。


「くっ!頭が重いっ!まだ何も言ってないじゃないですかあ…でもユニコーンのツノじゃなくて、現金でお願いしまっす…」


「しょうがないなあ。

500ギエン上乗せして払うから、またお客様を寄越してよ。」

とりあえず中にいれて(アリタがうるさいので)冷たい飲み物を振る舞う。


「ああ、美味しい。このアイコー。」

「レイコーではないのですかにゃ。」

「あんたらはいつの時代の人だ。」


アイスコーヒーを妙に訳す王子様とシロフワちゃん。


「魔女殿。姉妹達はあのブレスレットで夫婦仲が深まったそうです。ありがとうございました。」

1500ギエンを受け取り、ほくほく顔で王子様は帰っていった。


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