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寿(ことほ)ぎの魔女は途方にくれる。  作者: 雷鳥文庫


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14/16

その14。

「一応聞くけどね、この馬何歳なの。」

「さ、さあ?でもこの毛並みがいい事!引き締まった身体!

いい仕事しますよ、きっと。」


「…あのさあ。舐めんじゃないわよ、ビビっち。白馬が年寄りだと言う事は常識です。

この白い毛は白髪でしょ。魔女学校のテストに出ました。」


「ええっ!知りませんでした!物知りですね!」

「いや、アンタ本当に牧場の娘?」

「小さい頃からお城で奉公していたんですよ…家が貧しくて。跡取りの兄と小さい妹は実家住まいですが。」

「いや、なんか、ごめん?」

「それにこの子は迷い馬なんです。去年ふらりと迷い込んできたらしくって。」

「持ち主を探しなさい!」

「もう、一年経ったからウチの子です♡」

「適当だな、オイ。」


そこで金色の眉を顰めるビビっち。


「ずっと私の妹が世話をしてたんですけど。母の病院への付き添いや、家事で忙しくて。

この子は私と妹にしか懐かないんですよ。

父や兄は蹴られそうになったり。」

「暴れ馬はいりません!」


ヒヒン。


馬が頭を下げる。


「何か魔女様の事が好きみたい?頭なでて欲しいみたいですよ。」

「適当なことを。」


シロフワちゃんが私の肩に乗ってきた。

あるじ!こいつもしかしたら!」

その声が震えて毛が逆立っている。


「この子面白いんですよ、頭を撫でるとね?ホラ。」

ビビっちが頭をなでる。


しゅううううん!ぽん!


するとなんて事でしょう。


馬のおでこからつのが生えてきたではないか!


「み、見事な一本角!」

「主いっ!コイツユニコーンです!やっぱりな!ただモンじゃないと思ってたんだ!」

目を見開くシロフワちゃん。


「えっ?貴婦人の失敗をごめんとかいって頭を下げる奴?」


「ちなみにすぐに引っ込みます。私と妹の時しかこれ、生えないんです。母が撫ででもダメなんですよ。」


…そりゃあねえ。


「というか、このツノって出し入れ自由なワケ?」

シュワン。

収納された。

「そりゃ、主。見つかったら狩られますからね…」

「面白いでしょ!魔女様も撫でてご覧になって?」

…わかって言ってんのか?このビビっち。


ふん!私は清らかな乙女だぜ!百歳超えてるけどなあ!!


ゴリゴリゴリ!撫でさする。ふん!生やしてみろよ、オラ!

「ああ!主、乱暴ですっ!」


シュウウウン!

バサバサバサ!


おっ?


「ツノと共に…羽根が生えた?え?ペガサスなの?」

「いえ、主、コイツはアリコーンとかペガサスユニコーンとか呼ばれる奴ですよ…」


ヒヒヒヒーン。

「…私は清らかな乙女を乗せて飛ぶのが好きなのです!と言ってますニャ。」

「…へえ。」

言葉わかるんかい、シロフワちゃん。


「以前は貴族のお嬢様に支えていたけれど、嫁入りしたから彷徨っていたそうです。」

「なるほど…」

「魔女様!ツノが伸びて飛べる!良いお馬さんですわよ!」

微笑むビビっちの圧が強い。

そんな歌って踊れるアイドルみたいに言うな。


…結局。

「このお馬さん引き取ったんですの?」

アリス・ゴーストが馬の背中に乗っている。

この子も若くして亡くなった乙女なのか。

「良いベッドでありんす。」

タテガミの中に身体を埋める。


「あ、そ。お馬さんの世話は任せたわよ、アリス。」

「はいなあ。」

なんとこのお化けとアリコーンの相性は良いようだ。

アリスとアリコーンか。語呂もよい。


「じゃアリコって名前でいいか。」

ヒン?

牝馬ひんばじゃねえんだから。と言ってますニャ。」


「じゃ、アリタ。」

ヒヒ…ヒーン。

「どっかの陶器市みたいな地名だけど、それでいい申しておりんす。」

「あ、そ。」


これでアリコーンのアリタが仲間に加わった。


飛んで買い出しにいけるようになったのだ。便利である。



ちなみにビビっちにはあの目玉アクセに、悪縁避けの強い加護を重ねがけしておいた。


「ちょっと、ビビ!仕事をやり直しよ、この掃除って……うわああー!!」


お局・ティボーネはビビっちの半径二メートルに近づこうとすると弾き飛ばされるようになったそうである。


めでたし、めでたし。


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