その14。
「一応聞くけどね、この馬何歳なの。」
「さ、さあ?でもこの毛並みがいい事!引き締まった身体!
いい仕事しますよ、きっと。」
「…あのさあ。舐めんじゃないわよ、ビビっち。白馬が年寄りだと言う事は常識です。
この白い毛は白髪でしょ。魔女学校のテストに出ました。」
「ええっ!知りませんでした!物知りですね!」
「いや、アンタ本当に牧場の娘?」
「小さい頃からお城で奉公していたんですよ…家が貧しくて。跡取りの兄と小さい妹は実家住まいですが。」
「いや、なんか、ごめん?」
「それにこの子は迷い馬なんです。去年ふらりと迷い込んできたらしくって。」
「持ち主を探しなさい!」
「もう、一年経ったからウチの子です♡」
「適当だな、オイ。」
そこで金色の眉を顰めるビビっち。
「ずっと私の妹が世話をしてたんですけど。母の病院への付き添いや、家事で忙しくて。
この子は私と妹にしか懐かないんですよ。
父や兄は蹴られそうになったり。」
「暴れ馬はいりません!」
ヒヒン。
馬が頭を下げる。
「何か魔女様の事が好きみたい?頭なでて欲しいみたいですよ。」
「適当なことを。」
シロフワちゃんが私の肩に乗ってきた。
「主!こいつもしかしたら!」
その声が震えて毛が逆立っている。
「この子面白いんですよ、頭を撫でるとね?ホラ。」
ビビっちが頭をなでる。
しゅううううん!ぽん!
するとなんて事でしょう。
馬のおでこからつのが生えてきたではないか!
「み、見事な一本角!」
「主いっ!コイツユニコーンです!やっぱりな!ただモンじゃないと思ってたんだ!」
目を見開くシロフワちゃん。
「えっ?貴婦人の失敗をごめんとかいって頭を下げる奴?」
「ちなみにすぐに引っ込みます。私と妹の時しかこれ、生えないんです。母が撫ででもダメなんですよ。」
…そりゃあねえ。
「というか、このツノって出し入れ自由なワケ?」
シュワン。
収納された。
「そりゃ、主。見つかったら狩られますからね…」
「面白いでしょ!魔女様も撫でてご覧になって?」
…わかって言ってんのか?このビビっち。
ふん!私は清らかな乙女だぜ!百歳超えてるけどなあ!!
ゴリゴリゴリ!撫でさする。ふん!生やしてみろよ、オラ!
「ああ!主、乱暴ですっ!」
シュウウウン!
バサバサバサ!
おっ?
「ツノと共に…羽根が生えた?え?ペガサスなの?」
「いえ、主、コイツはアリコーンとかペガサスユニコーンとか呼ばれる奴ですよ…」
ヒヒヒヒーン。
「…私は清らかな乙女を乗せて飛ぶのが好きなのです!と言ってますニャ。」
「…へえ。」
言葉わかるんかい、シロフワちゃん。
「以前は貴族のお嬢様に支えていたけれど、嫁入りしたから彷徨っていたそうです。」
「なるほど…」
「魔女様!ツノが伸びて飛べる!良いお馬さんですわよ!」
微笑むビビっちの圧が強い。
そんな歌って踊れるアイドルみたいに言うな。
…結局。
「このお馬さん引き取ったんですの?」
アリス・ゴーストが馬の背中に乗っている。
この子も若くして亡くなった乙女なのか。
「良いベッドでありんす。」
タテガミの中に身体を埋める。
「あ、そ。お馬さんの世話は任せたわよ、アリス。」
「はいなあ。」
なんとこのお化けとアリコーンの相性は良いようだ。
アリスとアリコーンか。語呂もよい。
「じゃアリコって名前でいいか。」
ヒン?
「牝馬じゃねえんだから。と言ってますニャ。」
「じゃ、アリタ。」
ヒヒ…ヒーン。
「どっかの陶器市みたいな地名だけど、それでいい申しておりんす。」
「あ、そ。」
これでアリコーンのアリタが仲間に加わった。
飛んで買い出しにいけるようになったのだ。便利である。
ちなみにビビっちにはあの目玉アクセに、悪縁避けの強い加護を重ねがけしておいた。
「ちょっと、ビビ!仕事をやり直しよ、この掃除って……うわああー!!」
お局・ティボーネはビビっちの半径二メートルに近づこうとすると弾き飛ばされるようになったそうである。
めでたし、めでたし。




