その16。
「こんにちはあ。」
次の日ビビが現れた。
「あら、ヒビっち。お馬さんを引き取りに来たの?」
「嫌ですよ、魔女様。」
コロコロと笑うビビ。
「お客様を連れて来ましたの。私の幼馴染達ですわ。占って欲しいんですって。」
「お邪魔します。」
おや、確かに後ろに男女二人組がいる。
「あ、なるほど。こちらのアベックが依頼人なのね。
よござんす。アベック割引きをいたしましょ。」
「もう。主。今はカップルと言うんですよ。
それに割引ならペア割引きという言い方がしっかり来ますよお。」
シロフワちゃんがダメ出しをする。
「アハハ、そうですね。アベックってどこかのラーメンみたいだ。」
声を立てて笑うのは赤毛の男性の方。
「こんにちは、ビビの幼馴染のマックでーす。」
Vサインをかましてくるチャラ男のマック。
地味にイラッとさせるキャラだ。
「私はダナです。」
黒髪の気の強そうな娘さんだ。
ふーん。
「ぶっちゃけカップルでもアベックでも無いんですけど、割引きしてくださるならカップルを装うことに迷いはありません!
イェーイ!」
良い笑顔で笑うマック。
何がイェーイだ。親指を立てるな。
イラつくなあ。
「あら、マック。私は本物の恋人でも構わなくてよ。」
チラリとビビを見て牽制するダナ。
「私とマックの相性を見ていただきたいの。魔女様。」
「あら、了解。」
「んーん、俺はビビとの相性を見てほしいなあ。」
「マック!」
唇を尖らせるダナ。
あらら。
そういう三角関係かあ。
ビビはこのマックに気はあるのかな?
チラリと横目で見ると満面の笑みを浮かべているビビ。
「ねえ、寿ぎの魔女様。」
「なんじゃらほい。」
「先日、紹介料として王子様にナンボか渡してたでしょ。」
ドキ。
「あら、あらら。気が付いていたの。」
「私にも下さいねえ?」
手を出すビビっち。
「ええっ?」
薄い金色の眉尻をさげて上眼使いでこっちを見てくる。
「先日もお話した通り母が入院して。お金がいるんです。」
「それは…お気の毒だけど。」
「うん、俺らもそれを聞いてね?ビビの為にひと肌脱ごうかと。」
胸をポン!と叩くマック。
なんか古臭いアピールだ。
「それは普通にお見舞いを包めばいいのでは。」
「お見舞いだと快気祝いがありますから!」
言い切るビビっち。
そ、そう。大変なのね。
「コホン。私も昔から知ってるおばさまが心配ですし、」
真顔になるダナ。
ふうん。恋敵の母親を心配するなんて良いとこあるじゃん。
「それに、水晶玉占いには憧れてますの。」
頬を染めて続ける。
なるほどねえ。
とりあえずお客様という事で中にいれてお茶とクッキーを出す。
「あら!このクッキー美味しいですわ。」
「本当。」
「わかる?ビビっちにダナっち。」
「ダナっちって私ですか?」
目をまるくするダナ。
「あ、ごめん。つい。ビビがさ、同僚にビビっちって呼ばれていたから。」
「い、いえ。構いませんよ。あだ名を付けられるのは初めてなんですの。
…割と良いものですね。」
頬を染めてうつむく。黒髪の前髪の下、長いまつ毛がゆれている。
あら可愛いじゃないの?
「そうだなー!ダナは怖いからな!みんな気安くしないんだ!」
肩をすくめるジャスチャーをするマック。
…止めろっ。
「えっと、まずクッキーを褒めてくれてありがとう。私の手作りなの。最近ウマを手に入れたからお買い物にいけて、良いバターや砂糖を手に入れられる様になったのよ。」
「ま!あのヒヒンがお役に立ちましたのね!」
ビビっち、あとでヒヒンことアリタに会ってやって。
「それで二人とも水晶玉占いでいいのね?」
「はい!」「是非!」
「言っておくけど私は八百長や忖度はしないわよ。
どんな結果が出てもノークレームでお願いします。
アベックでもカップルでも無いというわけで正規料金を頂戴します。
1人5000ギエンね。」
「ええー。」
「魔女様、紹介割引はないのですか?」
「ビビっち。料金のI割をアナタにバックするわ。」
「二人とも!サクサク払って!」
そしてシロフワちゃんがカゴを咥えてやってきた。
「料金はこの中にお願いしますにゃ。前払いですにゃ。」
さあ、占いの始まりだ。




