第84話 畑の土を確かめる
次の作付けについて考え始めたリオは、畑の土についても気になっていた。
同じ畑でも、場所によって土の色や硬さが違うことがある。以前から気づいていたことだが、これまで詳しく調べたことはなかった。
朝、リオは父のガイルに相談した。
「父さん、畑の土を見比べてみたいんだ」
「どんなところを?」
「場所によって、色や触った感じが違うから。次に何を植えるか考えるときに、知っておいたほうがいいと思って」
「それなら、畑の端など、作物に影響しない場所で確認してみるといい。ただし、土を深く掘る必要はないぞ」
ガイルは小さな木の道具を渡してくれた。
「土を少しだけ取るときに使いなさい。場所を変えるたびに、道具についた土を落とすんだ」
「分かった」
リオは道具と記録帳を持って、四つの畑を回った。
最初は朝畑の端だった。
土の表面には細かな粒があり、指で触ると少し柔らかく感じる。リオは少量だけ土を取り、手のひらに乗せてみた。
次に日なた畑へ向かった。
こちらは、朝畑より表面が乾いているように見えた。触った感じも少し違う。しかし、朝に見たばかりなので、どの程度の差なのかはまだ分からない。
豆畑では、土の表面に小さな草が生えていた。角の畑では、以前から気になっていた端の部分を確認した。
リオは、それぞれの場所を地図に記した。
昼前になると、エマがやってきた。
「何をしているの?」
「畑の土を少しずつ見比べているんだ」
「土って、どこも同じじゃないの?」
「僕もそう思っていたけど、場所によって違って見えるんだよ」
エマは興味を持ち、自分の畑の端でも同じように確認してみることにした。
トーマとカイルも加わり、四人で土の色や触った感じを比べた。
ただし、土を見ただけで、どの野菜に向いているかを決めることはできない。
そこで、リオは父に教わったことを思い出し、見た目や触った感じだけを記録することにした。
「土の名前とか、良い悪いとかは書かないの?」
トーマが尋ねる。
「分からないから、今は書かないよ。見たことだけ書いておくんだ」
「なるほどな」
四人は、それぞれの畑で見つけた違いを記録した。
午後、ガイルが畑を回っているとき、リオは記録を見せた。
「場所ごとに比べたのか。よくできているな」
「でも、これだけで何が育つか分かるわけじゃないんだよね?」
「そうだ。土の状態を見るのは大切だが、それだけで決められるものではない。育てる野菜や、これまでの畑の使い方も考える必要がある」
「前に何を植えたかも関係するの?」
「そうだな。だから、畑の記録を残しておくと役立つ」
リオは、これまでの記録を見返した。
四つの畑には、それぞれ違う野菜を育てた時期がある。どこに何を植えたのか、どんな作業をしたのかも残してある。
まだ十分とは言えないが、少しずつ情報が集まってきていた。
夕方、リオは新しいページに土の記録をまとめた。
色、触った感じ、確認した場所、天気。
最後には、『土だけで植えるものを決めない。父に相談する』と書いた。
畑を育てるためには、目に見える野菜だけでなく、その下にある土についても知る必要がある。
それを知ったリオは、次の作付けを考えるのがさらに楽しみになった。




