第83話 次に育てたいもの
四つの畑の収穫が少し落ち着いたころ、リオたちは広場に集まっていた。
今日は、次に何を育てるのかを話し合う約束をしていた。
リオは記録帳と畑の地図を持ってきた。エマは自分が食べてみたい野菜をいくつか紙に書いている。トーマは家で聞いてきた話を覚えており、カイルは畑の広さを気にしていた。
「まずは、何を育てたいか話そうよ」
エマが言った。
「僕は豆がいいな。前に育てたものが楽しかったから」
トーマが答える。
「僕は、葉っぱを食べる野菜がいい。育っていくところを見やすそうだから」
カイルはそう言って、紙に丸い葉を描いた。
「僕は、前とは違う野菜も育ててみたいな」
リオが言うと、エマは嬉しそうに頷いた。
「私も。せっかくなら、今まで育てたことがないものがいいな」
四人は、それぞれ育てたいものを出し合った。
しかし、話しているうちに、いくつか気になることが出てきた。
育てたい野菜があっても、今の時期に種をまいてよいのか分からない。畑の広さに合うかどうかも考えなければならない。
そこで、リオは父に相談してみることにした。
夕方、ガイルが畑の道具を片づけているところへ行き、四人で考えた候補を見せた。
「いろいろ考えたな」
「でも、どれが今植えられるのか分からなくて」
「そうだな。野菜には、それぞれ育てやすい時期がある。気温や土の状態も関係するから、まずは種の袋や村の人の話を参考にするといい」
「全部、今すぐ植えられるわけじゃないんだね」
「そういうことだ。育てたいものを決めるのはいいが、育てられる条件も考えないといけない」
ガイルは、いくつかの候補について説明してくれた。
今の時期に向いているものもあれば、もう少し待ったほうがよいものもある。種を用意する必要があるものもあり、畑の場所を変えたほうがよいものもあった。
リオは説明を聞きながら、候補の横に印をつけた。
翌日、四人はそれぞれの家でも相談した。
エマは母親から、育てる場所と水やりについて教わった。トーマは父親から、畑を使うときには家の作業と重ならないようにする必要があると聞いた。カイルは、家に残っている種の種類を確認してきた。
再び集まったとき、四人の考えは少しずつ整理されていた。
「育てたいものは、いくつかあるけど、全部は難しそうだね」
エマが言った。
「まずは一つか二つにしたほうがいいんじゃないかな」
トーマの提案に、リオも頷いた。
「そうだね。前の畑も、四つ全部を一度に見るのは大変だったし」
「でも、四つの畑を使うなら、場所ごとに違うものを育てることもできるよ」
カイルは地図を指さした。
四人は畑の広さを確認し、どの場所に何を植えるか考えた。
ただし、最終的に決める前に、もう一度それぞれの家族に相談することにした。
リオは、畑の地図に候補を書き込んだ。
決まったことと、まだ考えていることを別の印で示す。そうすれば、あとから見たときに混乱しない。
「これなら、何を決めたか分かるね」
エマが言った。
「うん。まだ決まっていないものは、無理に決めなくていいと思う」
リオは、前に父から教わったことを思い出していた。
分からないことを、無理に決めない。
育てたい気持ちだけで進めず、必要な準備を整えてから始める。
それも、畑を続けていくために必要なことだった。
夕方、リオは家に帰り、父に今日の話し合いの結果を伝えた。
「少しずつ決まってきたな」
「うん。まだ家族に相談していないところもあるけど」
「それでいい。焦らず考えなさい」
リオは頷き、記録帳を棚にしまった。
次の畑では、どんな野菜が育つのだろう。
まだ決まっていないことは多かったが、考えている時間も楽しかった。




