第81話 収穫のあとの畑
四つの畑で育てた野菜をみんなで食べた翌日、リオ・フェルナーは朝食を終えると、いつものように記録帳を持って外へ出た。
昨日は収穫した野菜を並べ、エマたちと一緒に食べた。味の感想もそれぞれ記録してあり、記録帳には新しいページが増えている。
けれど、畑にはまだ仕事が残っていた。
収穫した場所には、野菜を抜いたあとの土が見える。残っている葉や根もあり、いつもとは少し違った景色になっていた。
「収穫したら、それで終わりじゃないんだな」
リオは畑の前でつぶやいた。
そこへ父のガイルがやってきた。
「どうした?」
「昨日収穫したところを見ていたんだ。野菜がなくなると、畑の様子もずいぶん違うね」
「そうだな。収穫したあとの畑にも、やることはあるぞ。残ったものを確認したり、道具を片づけたり、次に何を育てるか考えたりな」
「次に植えるものは、すぐ決めるの?」
「すぐ決めることもあるが、まずは畑の状態を確かめる。何を育てていたか、どんな作業をしたかも考える必要がある」
ガイルは収穫した場所を指さした。
「ここには、まだ根が残っている。土を整える前に、残っているものを確認するんだ」
リオはしゃがみ込み、土の表面を見た。
野菜を収穫した場所には、細い根のようなものが見える。どれが残してよいものなのか、どれを取り除く必要があるのか、リオにはまだ判断できなかった。
「これは全部取るの?」
「種類や状態によって違う。今は俺が見ているから、分からないものは聞きなさい」
「うん」
ガイルは必要なものを一つずつ確認し、リオに作業を教えた。
リオは教わったとおりに、残っているものを集めていく。強く引っ張ると土まで大きく崩れてしまうため、力加減にも気をつけた。
作業は思っていたより時間がかかった。
畑の中には、収穫した場所だけでなく、まだ野菜が育っている場所もある。そちらを踏まないように歩く必要もあった。
「父さん、ここはどうすればいい?」
「そこはまだ作物が残っているから、そのままにしておこう。全部を同じように片づけるわけじゃないんだ」
リオは、畑の中でも場所によって作業が違うことを改めて知った。
昼前には、収穫した場所の片づけが一段落した。
リオは記録帳を開き、収穫した日と場所、片づけた内容を書いた。
そのあと、朝畑の地図にも、収穫した場所を小さな印で示した。
「これなら、どこを収穫したか分かるね」
父は記録を見て頷いた。
「次に何か植えるときにも役立つだろう」
午後になると、エマたちがやってきた。
「今日は何をしていたの?」
エマが尋ねた。
「収穫した場所を片づけていたんだ。野菜がなくなったところを確認して、残っているものを集めたよ」
「私たちの畑も、同じようにしたほうがいいかな?」
「うん。でも、何を取っていいかは、お父さんやお母さんに聞いたほうがいいと思う」
トーマは畑を見渡した。
「次に何を植えるかも考えないとな」
「そうだね。何を育てたいか、みんなで考えようよ」
カイルの提案に、四人は賛成した。
まだ次の野菜を決めるには早いかもしれない。まずは畑の状態を確認し、家族にも相談することにした。
夕方、リオは父と一緒に道具を洗った。
土がついた道具を水で洗い、乾かす場所へ並べていく。収穫のときに使った籠も、汚れを落として片づけた。
「道具も、使ったらきれいにするんだね」
「そうだ。次に使うときに困らないようにな」
ガイルは道具の柄を布で拭きながら言った。
リオは、その言葉も記録帳に残すことにした。
畑を育てることだけが農作業ではない。
収穫したあとも、畑や道具を整えて、次の仕事につなげていく。
今日のリオには、そのことが少し分かった気がした。
夕食の席では、アルドとノアも収穫後の作業について話していた。
リオは二人の話を聞きながら、次の畑で何を育てるのかを考えた。
四つの畑は、これからも少しずつ変わっていく。
その変化を記録するために、リオは明日も畑へ向かうつもりだった。




