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第7話 豆の収穫

 行商人が帰ってから、さらに数日が経った。


 畑の豆は、ずいぶん大きくなっていた。


「そろそろ収穫だ」


 父が言った。


「本当に?」


 リオは嬉しくなった。


 毎朝見ていた豆。


 水をやった。


 雑草も取った。


 雨の日には家から心配していた。


 それが今、収穫できるところまで育った。


「エマたち呼んでくる!」


「走りすぎるなよ」


 父の声を背中に受けながら、リオは村へ走った。


「エマ!」


「どうしたの?」


「豆、収穫するって!」


「本当?」


 トーマとカイルもすぐにやってきた。


 四人で畑へ向かう。


「これ?」


 トーマが豆を触る。


「勝手に取るなよ」


 リオが言う。


「分かってる」


 父から収穫の仕方を教えてもらう。


 無理に引っ張らない。


 傷つけない。


 一つずつ丁寧に取る。


「こう?」


「そうだ」


 リオが最初の豆を籠に入れた。


「取れた!」


 その瞬間、なんとも言えない嬉しさが込み上げてきた。


「次!」


 四人で収穫する。


 籠は少しずついっぱいになっていく。


 昼になる頃には、かなりの量になっていた。


「これ、全部食べられる?」


 トーマが聞く。


「全部じゃない」


 父が笑った。


「家で食べる分と、売る分がある」


「売るの?」


「そうだ」


 リオは少し寂しくなった。


 自分たちが育てた豆が村の外へ行ってしまう。


「でも、それで別のものが買える」


 父が言った。


「種だったり、道具だったりな」


「そっか」


 リオは納得した。


 育てたものが誰かの役に立つ。


 その代わりに、別のものが自分たちのところへ来る。


 農業は、ただ食べ物を作るだけではないらしい。


 その日の夕食には、収穫した豆が並んだ。


「いただきます」


 リオは一口食べる。


 いつもと同じ味。


 でも、今日は少し違った。


「おいしい」


 母が笑う。


「自分で育てたから?」


「うん」


 父も笑っていた。


 リオは、来年も何か育ててみたいと思った。

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