↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
61/85

第61話 四つの畑の地図

翌朝、リオ・フェルナーは朝食を食べ終えると、いつもの記録帳を持って庭へ出た。


昨日、四つの畑の記録を一冊にまとめたばかりだった。エマたちと一緒に作った記録は、これまで別々に書いていた絵や観察したことが一つに集まり、思っていた以上に見やすくなっていた。


しかし、昨夜の夕食でノアから言われたことが、リオの頭に残っていた。


畑の場所が分かる地図を作ってみたらどうか。


「地図かあ……」


リオは庭の端に立ち、四つの畑がある方向を眺めた。


朝畑は家から少し歩いたところにある。日なた畑はその向こう側で、豆畑は朝畑から道を挟んだ場所にある。角の畑は、ほかの畑から少し離れたところに作っていた。


どれも自分たちで名前をつけた畑だが、紙の上に描こうとすると、どこから始めればいいのか分からなかった。


とりあえず、リオは地面に小枝で四角を描いた。


「ここが家で、こっちが朝畑……」


四角を並べ、道らしい線を引いてみる。ところが、描き終わってから眺めると、実際の位置関係とは少し違っていた。


朝畑と豆畑はもっと近い。日なた畑はもう少し奥にある。角の畑に至っては、どちらの方向へ置けばよいのか迷ってしまった。


「うーん、難しいな」


「何をしているの?」


振り返ると、エマが籠を持って立っていた。


「地図を作ろうと思ったんだけど、うまく描けないんだ」


リオが地面を指差すと、エマは隣にしゃがみ込んだ。


「地図なら、上から見た形を描けばいいんじゃない?」


「上から?」


「うん。実際に空から見ることはできないけど、上から見たつもりで描くの」


エマは小枝を受け取り、家の位置を少し大きめの四角で囲んだ。その下に道を一本引き、道の両側に畑を置いていく。


リオも隣から意見を出した。


「朝畑は、家からこのくらいの距離だよね」


「そうだね。でも、日なた畑はもう少し向こうかな」


二人は実際の畑を見に行き、歩いている道や、畑同士の距離を確かめながら地図を描き直した。


しばらくすると、トーマとカイルもやってきた。


トーマは道の曲がり方を覚えていて、カイルは畑の端にある木や石の位置をよく知っていた。四人で話し合うと、リオ一人では思い出せなかったことが次々と出てきた。


「この木のそばを通ると、角の畑に行きやすいよ」


カイルが言う。


「でも、木を描くだけじゃ畑の場所が分からないんじゃない?」


トーマが返す。


「じゃあ、畑の名前も書けばいいよ」


エマの提案で、それぞれの畑に名前を添えることにした。


完成した地図は、まだ少し歪んでいた。道の幅も実際とは違うし、畑の大きさも正確ではない。それでも、家からどちらへ進めばよいのか、四つの畑がどこにあるのかは分かるようになっていた。


リオは地図を紙に描き写し、四つの畑の名前を書き込んだ。


さらに、畑の中で観察する場所も記録できるよう、小さな印をつけることにした。


「これで、前に描いた葉っぱがどこにあったのかも分かるね」


エマが嬉しそうに言った。


「うん。これからは、場所も一緒に書くようにするよ」


四人は地図を持って、もう一度畑を回った。


朝畑では、間引きをした場所を確かめた。日なた畑では、土が乾きやすいと感じたところを印で示した。豆畑では、以前から気になっている小さな草の場所を記録し、角の畑では、葉の形を描いた場所を示した。


こうして見ると、地図には畑の場所だけでなく、自分たちが何を見つけたのかも残せる。


リオは、それが少し嬉しかった。


夕方、家へ帰ると、ノアが納屋の前で籠を直していた。


「地図はできたのか?」


「うん。まだ正確じゃないけど、どこに畑があるか分かるようになったよ」


リオは地図を見せた。


ノアはしばらく眺め、道の曲がり方や畑の配置を確認した。


「いいじゃないか。最初から完璧に描く必要はないさ。使ってみて、違うところがあれば直せばいい」


「あとから直してもいいの?」


「もちろんだ。地図だって、記録帳と同じだよ。新しく分かったことがあれば、書き足せばいい」


リオは地図を見つめ直した。


完成したら終わりだと思っていたが、使いながら変えていくこともできるのだ。


夕食のあと、リオは地図を記録帳の最初のページに挟んだ。


これから畑を観察するときには、この地図を見ながら場所を確かめよう。


四つの畑は、これまでと変わらず、いつもの場所にある。


けれど、地図に描いたことで、リオには少し違った景色に見えるようになっていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。