第4話 雑草と野菜
豆を見始めてから、何日か経った。
ある朝、父がリオに小さな籠を渡した。
「今日はこれを使う」
「何するの?」
「雑草取りだ」
リオは籠を覗き込んだ。
「雑草?」
「ああ。作物の近くに生えてるだろ」
父が指差す。
「これ?」
「それは作物」
「じゃあ、これ?」
「それも作物だ」
「……じゃあ、どれ?」
アルドが吹き出した。
「まだ難しいか」
「だって似てるよ」
「最初はそうだ」
アルドはしゃがみ込み、葉の形を一つずつ教えてくれた。
リオは真剣に覚える。
すると、エマたちもやってきた。
「今日は何するの?」
「雑草を取る」
「私もやる」
「俺も」
トーマは少し嫌そうだった。
「俺は食べる係がいい」
「そんな係ないよ」
エマが笑う。
四人で畑の中にしゃがみ込む。
一本。
二本。
少しずつ雑草を取っていく。
けれど、リオは途中で手を止めた。
「……これ、どっち?」
「見せて」
エマが覗く。
「分からない」
カイルも見る。
「俺も」
結局、四人で父のところへ持っていった。
「これは?」
「雑草だな」
「やった!」
四人は喜んだ。
「でも、これは?」
次の一本を見せる。
「それは残せ」
「どうして?」
「それは豆の仲間だ」
リオは驚いた。
「同じように見えるのに?」
「よく見れば違う」
父は葉を見せながら説明する。
「農家は、作物を育てるだけじゃない。何が必要で、何が邪魔なのかを見分けることも大事だ」
リオは頷いた。
その日の作業が終わるころには、籠いっぱいの雑草が集まっていた。
「結構取ったな」
父が言う。
「僕たちが取った」
「そうだな」
リオは少し胸を張った。
帰り道、エマが言う。
「明日も手伝おうよ」
「うん」
「じゃあ、明日もここに集合ね」
四人は約束した。
その日の夜。
リオは布団に入ってから、父に言われた言葉を思い出していた。
作物を育てる。
雑草を取る。
水をやる。
毎日少しずつ世話をする。
農家の仕事は、思っていたよりずっと細かい。
でも、不思議と嫌ではなかった。
明日も畑に行こう。
そう思いながら、リオは眠りについた。




