↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
15/86

第15話 畑の外にも仕事がある

 翌朝。


 リオが朝食を食べ終えると、母のミーナが声をかけた。


「リオ、今日は畑へ行く前に手伝ってくれる?」


「何するの?」


「昨日収穫した野菜を分けるの」


「分かった」


 リオは母について家の裏へ向かった。


 そこには籠がいくつも並べられている。


 中には昨日収穫した野菜が入っていた。


「いっぱいある」


「そうね」


 ミーナは一つを手に取った。


「まず、傷がないか確認するの」


「全部?」


「全部よ」


 リオも一つ持ち上げて見る。


 ぱっと見ただけでは分からない。


 けれど、よく見ると小さな傷があるものもあった。


「これは?」


「少し傷があるから、今日の食事に使いましょう」


「こっちは?」


「大丈夫」


 良いもの。


 少し傷があるもの。


 保存に向かないもの。


 母は一つずつ分けていく。


「母さん、毎日こんなことしてるの?」


「収穫の時期は特にね」


「畑だけやればいいんじゃないの?」


「畑で作ったものを食べるまでにも、いろいろあるのよ」


 リオは頷いた。


 昨日まで、畑で作物を育てることが農家の仕事だと思っていた。


 でも、収穫したあとにも仕事がある。


 洗う。


 分ける。


 保存する。


 料理する。


 必要なら売ったり、誰かと交換したりする。


 思っていたよりも、農家の仕事は多かった。


 そこへ妹のリナがやってきた。


「おにいちゃん」


「リナ、どうしたの?」


「これ」


 小さな手の中には、木の実がいくつかあった。


「どこで拾ったの?」


「おそと」


 リオは母を見る。


「食べていい?」


「私が見てからね」


 ミーナは木の実を確認した。


「これは食べられるけど、勝手に拾って食べちゃ駄目よ」


「うん」


 リナは素直に頷いた。


 リオは妹の頭を撫でる。


「次から母さんに聞こうね」


「うん」


 しばらくすると、作業が終わった。


「ありがとう、リオ」


「どういたしまして」


 そのあと、リオは畑へ向かった。


 父と兄たちはすでに作業を始めていた。


「遅かったな」


 アルドが言う。


「母さんの手伝いしてた」


「そうか」


 アルドは少しだけ笑った。


「家の仕事も大事だからな」


 リオは頷いた。


 畑仕事だけではない。


 家の中にも仕事がある。


 家族が暮らすためには、いろいろな仕事が必要なのだ。


 その日の夜。


 食卓には、昼間リオが分けた野菜が料理されて並んでいた。


「これ、僕が分けたやつ?」


「そうよ」


 母が笑う。


 リオは料理を一口食べた。


 いつも食べている料理なのに、今日は少しだけ違って感じた。


 自分も少しだけ、この食卓を作る手伝いができた。


 それが嬉しかった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。